登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問15:主な医薬品とその作用(皮膚用薬・外皮用薬)
皮膚に用いる薬(外皮用薬)に配合されるステロイド性抗炎症成分と非ステロイド性抗炎症成分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- アヒドロコルチゾン(副腎皮質ステロイド)を含む外皮用薬は、皮膚の炎症(かぶれ・湿疹等)を抑えるが、広範囲への使用・長期連続使用は全身性の副作用(副腎機能抑制等)が生じるリスクがあるため避けることとされている。
- イケトプロフェンを含む外皮用薬(湿布薬等)は、光線過敏症(塗布部位が紫外線に反応して炎症を起こす)の副作用があるため、貼付中・剥がした後もしばらくは日光に当たらないよう注意が必要である。
- ウインドメタシンを含む外皮用薬は11歳未満の小児への使用が認められておらず、また妊婦(特に妊娠後期)への使用にも注意が必要である。
- エステロイド外用薬は感染性皮膚炎(細菌・真菌・ウイルスによる感染)にも使用でき、感染を伴う湿疹・皮膚炎に対しても有効な第一選択薬である。正答
- オフェルビナクを含む外皮用薬(スポーツ貼付剤等)は非ステロイド性抗炎症成分として、筋肉痛・関節痛・捻挫に用いられるが、喘息の人は症状が悪化する可能性があり使用に注意が必要である。
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正答はエ(誤っているもの)です。
ステロイド外用薬は感染性皮膚炎(細菌・真菌・ウイルスによる感染症)には使用禁忌です。ステロイドは免疫・炎症反応を抑制するため、感染が存在する部位に使用すると感染が悪化・拡大します。感染を伴う皮膚病変(とびひ・水虫・帯状疱疹等)にステロイドを使用することは非常に危険です。
ア〜ウ・オはいずれも正しい記述です。特にケトプロフェンの光線過敏症と、フェルビナクを含む非ステロイド性外用薬で喘息悪化の可能性(アスピリン喘息との関連)は頻出の注意事項です。
主な外皮用抗炎症成分の比較:
| 成分 | 分類 | 特徴的な注意事項 | 小児禁忌 |
|---|---|---|---|
| ヒドロコルチゾン | ステロイド | 感染部位禁忌・広範囲/長期禁忌・顔面制限 | 製品によって異なる |
| インドメタシン | 非ステロイドNSAID外用 | 11歳未満は使用不可・妊婦注意 | 11歳未満 |
| フェルビナク | 非ステロイドNSAID外用 | 喘息悪化・妊婦注意 | 製品による |
| ケトプロフェン | 非ステロイドNSAID外用 | 光線過敏症(使用中・剥離後も日光回避) | 製品による |
| ピロキシカム | 非ステロイドNSAID外用 | 光線過敏症注意 | 製品による |
各選択肢の解説:
- ア(正): ヒドロコルチゾン等のステロイド外用薬は副腎皮質ホルモン(グルコルチコイド)の外用製剤です。広範囲・高濃度・長期使用ではHPA軸抑制(内因性ステロイド産生低下)・皮膚萎縮・毛細血管拡張・多毛・感染誘発が生じます。顔面への使用も酒さ様皮膚炎・ステロイド性痤瘡のリスクから制限されます。
- イ(正): ケトプロフェンはチアプロフェン酸と光アレルギー交叉反応が知られており、紫外線照射でケトプロフェン誘導体が免疫反応を引き起こす光線過敏症(接触光アレルギー性皮膚炎)を生じます。貼付中はもちろん、剥がした後も皮膚にケトプロフェンが残留するため数日間(目安2〜3日)は貼付部位への直射日光・紫外線照射(日焼けサロン含む)を避ける必要があります。
- ウ(正): インドメタシン含有の外皮用薬(OTC)は11歳未満の小児には使用が認められていません(添付文書上、11歳以上の小児に使う場合も保護者の指導監督下とされる)。外用薬でも経皮吸収による全身暴露があり、NSAIDsとしての副作用(胃腸障害・動脈管収縮等)が生じる可能性から妊婦(特に後期)への使用も注意が必要です。なお、同じ外用NSAIDでもフェルビナクは15歳未満不可と、成分により年齢の下限が異なる点に注意が必要です。
- エ(誤・正答): ステロイド外用薬は炎症・免疫反応を強力に抑制します。感染性皮膚疾患(細菌性:とびひ(伝染性膿痂疹)・毛包炎、真菌性:白癬(水虫)・カンジダ症、ウイルス性:帯状疱疹・単純ヘルペス等)に使用すると、本来の感染制御が阻害されて感染が悪化・拡大します。感染を伴う皮膚病変にはステロイドを使用しないことが原則で、感染の治療を優先します。
- オ(正): フェルビナク・インドメタシン等の非ステロイド性外用抗炎症薬(NSAIDs外用)は、COX阻害によりロイコトリエン産生増加→気管支収縮を引き起こす可能性があります。アスピリン喘息(NSAIDs過敏性喘息)の患者では内服NSAIDsだけでなく外用NSAIDsでも同様の反応が誘発されることがあります。
【ステロイド外用薬の強さの分類(ストロング〜ウィーク)と登録販売者の取扱範囲】
ステロイド外用薬はグルコルチコイド受容体への親和性・血管収縮試験等で5段階に分類されます(ストロンゲスト→ウィーク)。OTCで販売されているステロイド外用薬は一般的に「ミディアム」以下(例:ヒドロコルチゾン酢酸エステル0.5%等)に限られており、「ベリーストロング」「ストロング」以上は処方箋医薬品です。
登録販売者が扱えるステロイド外用薬の制限:
- 顔面・陰部・小児(乳幼児)の皮膚への使用は添付文書で禁止または「相談すること」とされることが多い(皮膚が薄く全身吸収が多い)
- 2週間以上使用して改善しない場合は医師受診を勧奨
- 感染性皮膚疾患・皮膚結核・水痘・帯状疱疹への使用禁忌を必ず確認
「なかなか治らない湿疹・皮膚炎」として市販ステロイドを長期使用している購入者の中に、実は白癬(水虫の菌がいる)状態でステロイドを使い続けているケースがあります。ステロイドで一時的に症状が緩和し「効いている」と誤解して使い続けると感染が拡大・重篤化します。購入者への確認事項として「感染の可能性がないか」「いつから・どの部位か」を確認することが重要です。
【ケトプロフェンの光線過敏症:機序と市販化後の注意強化経緯】
ケトプロフェン光線過敏症の機序:
1. ケトプロフェンが皮膚に塗布または経皮吸収
2. UVA(320〜400nm)照射によりケトプロフェンがUV励起→ラジカル中間体形成
3. 皮膚タンパク(ハプテン形成)と結合→免疫感作
4. 再曝露(ケトプロフェン+UV)でT細胞介在性アレルギー反応→皮膚炎
特徴:
- 接触アレルギーではなく「光接触アレルギー(photoallergic contact dermatitis)」
- 感作成立後は極微量のケトプロフェン+微量のUVAで反応(反応閾値が非常に低い)
- チアプロフェン酸・ベンゾフェノン(日焼け止め成分)・サンスクリーンとの光交叉反応あり
2009年以降、添付文書での「貼付中及び剥離後4週間は患部を直接日光にあてないこと」という強化された注意事項が追記されました。登録販売者はケトプロフェン含有製品を販売する際に必ずこの注意を伝える必要があります。
【NSAIDs外用薬とアスピリン喘息の交叉反応:外用でも生じる理由】
アスピリン喘息(NSAIDs過敏性喘息)は、NSAIDsによるCOX-1阻害で起こります(内服・外用共通)。外用NSAIDsでも:
1. 経皮吸収により全身循環に入る(特に大面積・長期貼付)
2. 血中NSAIDs濃度がCOX-1阻害閾値を超える
3. アラキドン酸が5-LOX経路に流れ→ロイコトリエン(LTC4・LTD4・LTE4)増加→気管支収縮
フェルビナクの外用での喘息誘発は、特に大きな面積に複数枚貼付・汗をかいた状態での吸収増加の場面で報告されています。アスピリン喘息の既往がある人へのNSAIDs外用薬販売は要注意で、医師への相談を勧めることが安全です。
【感染性皮膚疾患の見分け方:登録販売者の判断と受診勧奨】
感染性皮膚疾患をステロイドで悪化させないための確認ポイント:
| 疾患の可能性 | 特徴的な見た目 | 登録販売者の対応 |
|---|---|---|
| とびひ(伝染性膿痂疹) | 水疱→破れて黄色いかさぶた・小児に多い・周囲に広がる | 受診勧奨(抗菌薬必要) |
| 白癬(水虫) | 足趾間の皮むけ・水疱・痒み・爪白癬 | 抗真菌薬(ステロイド禁忌を伝える) |
| 帯状疱疹 | 片側性・神経に沿った水疱・痛み | 緊急受診(抗ウイルス薬必要) |
| 単純ヘルペス | 口唇・性器・繰り返す水疱 | 受診勧奨(OTCでの対応困難) |
| カンジダ(カンジダ症) | 陰部・指間の赤み・白色分泌物 | 抗真菌薬(ステロイド禁忌) |
「かぶれかな」と思って購入しようとしている顧客の皮膚症状が感染性の可能性がある場合に、ステロイドを勧めるのではなく受診を勧めることが安全な医薬品販売の原則です。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第10節
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【重要修正・健康被害直結】選択肢ウのインドメタシン外用の年齢制限が誤り(元「15歳未満禁忌」)→正しくは「11歳未満は使用不可」(OTC添付文書:11歳以上は保護者指導監督下/フェルビナク外用は15歳未満不可と成分で異なる)。ウを「11歳未満」に修正し正しい記述として正答エ一意を維持(修正しないとウ・エの2つが誤り記述となり正答が崩壊した)。正答エ「ステロイド外用は感染性皮膚炎にも使用でき第一選択」は誤り=感染を悪化させるため感染性皮膚炎には使用しないが手引き原則。ア=ステロイド広範囲/長期で全身性副作用注意で正、イ=ケトプロフェン光線過敏症(剥離後も日光回避・添付文書は4週間)で正、オ=フェルビナクはアスピリン喘息で悪化注意で正。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第10節「皮膚に用いる薬」(外皮用薬) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。