登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問23|小青竜湯・六君子湯の証と生薬・適応の区別

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

漢方処方製剤(小青竜湯・六君子湯・麻黄湯)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。

麻黄湯は体力充実して、かぜのひきはじめで寒気・発熱・頭痛があり、身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの感冒等に用いられます。漢方処方製剤としての麻黄湯はマオウの含有量が多くなるため、体の虚弱な人は使用を避ける必要があります。

アは誤りで、小青竜湯はマオウを含み、心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能亢進症の診断を受けた人は使用前に医師・薬剤師に相談が必要です。イは誤りで、六君子湯にはカンゾウが含まれており偽アルドステロン症のリスクがあります。エは誤りで、小青竜湯はうすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎・鼻炎・アレルギー性鼻炎等に用いられます。ウは誤りで、六君子湯は体力中等度以下で、胃腸が弱く食欲がないもの等の胃炎・胃腸虚弱・食欲不振等に用いられます。

小青竜湯・六君子湯・麻黄湯の比較:

処方証主な適応含有重要生薬高血圧等注意
小青竜湯体力中等度又はやや虚弱うすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎・気管支喘息・鼻炎・アレルギー性鼻炎・むくみ・感冒・花粉症マオウ・カンゾウ・ケイヒ・シャクヤク・カンキョウ・ゴミシ・ハンゲあり(マオウ)
六君子湯体力中等度以下胃炎・胃腸虚弱・胃下垂・消化不良・食欲不振・胃痛・嘔吐カンゾウ・チンピ・ハンゲ・ニンジン等カンゾウによる偽アルドステロン症
麻黄湯体力充実かぜのひきはじめで汗が出ていないものの感冒・鼻かぜ・気管支炎・鼻づまりマオウ(含有量が多くなる)・ケイヒ・キョウニン・カンゾウあり(マオウ)

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 小青竜湯はマオウ(麻黄)を含みます。マオウは交感神経系への刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等にも影響が生じることが考えられ、心臓病・高血圧・糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では、使用する前に医師又は薬剤師に相談がなされるべきとされています。「マオウを含まない」は完全に誤りです。
  • イ(誤): 六君子湯にはカンゾウ(甘草)が含まれています。カンゾウのグリチルリチン酸は偽アルドステロン症(低カリウム血症・浮腫・高血圧)を引き起こすリスクがあります。「カンゾウを含まず副作用がない」は誤りです。
  • オ(正): 麻黄湯(マオウ・ケイヒ・キョウニン・カンゾウの4種)は、体力充実して、かぜのひきはじめで、寒気がして発熱、頭痛があり、咳が出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりに適すとされます。胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では副作用が現れやすい等、不向きとされ、漢方処方製剤としての麻黄湯ではマオウの含有量が多くなるため、体の虚弱な人は使用を避ける必要があります。
  • エ(誤): 小青竜湯は体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症に適すとされる漢方処方です。「水様鼻汁・鼻炎・気管支炎には効果がない」は正反対で誤りです。六君子湯の適応(食欲不振・胃腸症状)と混同させた引っかけです。
  • ウ(誤): 六君子湯は、体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に適すとされます。「体力充実の実証の人向け」は正反対で誤りです。

【小青竜湯のアレルギー性鼻炎への応用と「水湿(水毒)」の漢方的解釈】

小青竜湯の成分と役割:

  • マオウ(麻黄): 発汗・気管支拡張・鼻粘膜血管収縮→鼻閉改善・鎮咳
  • ケイヒ(桂皮): 温熱・発汗促進・血行促進
  • シャクヤク(芍薬): 鎮痙・鎮痛(筋弛緩)
  • カンキョウ(乾姜): 温める・去痰(生姜を乾燥加工)
  • ゴミシ(五味子): 鎮咳・収れん(水分の漏れを止める)
  • ハンゲ(半夏): 去痰・止嘔(気道・消化管の湿を除く)
  • カンゾウ(甘草): 調和・抗炎症

漢方医学的解釈: アレルギー性鼻炎(水様鼻汁・くしゃみ)は「水湿(水分の滞り)」が「寒邪」(冷えの邪気)と結合した「寒飲(かんいん)」の状態と考えます。温める生薬(マオウ・ケイヒ・カンキョウ)で体を温め、水分を散らす(温化・散水)ことで症状を改善するのが小青竜湯の処方意図です。

現代薬理との対比:

  • マオウのエフェドリン→α受容体で鼻粘膜血管収縮→鼻閉改善・鼻汁分泌抑制
  • エフェドリン→β2受容体→気管支拡張→喘鳴・咳改善

【六君子湯の「補気健脾」とエビデンス:上部消化管機能不全(FD)への展開】

六君子湯(ニンジン・ビャクジュツ・ブクリョウ・カンゾウ・チンピ・ハンゲ・タイソウ・ショウキョウの8種)は四君子湯(補気の基本処方)にチンピ・ハンゲを加えた「補気健脾(消化機能を補い強める)」処方です。

現代医学的エビデンス(注目分野):

  • 機能性ディスペプシア(FD)への有効性: 日本で複数のランダム化比較試験が行われており、食後の胃もたれ・早期満腹感・上腹部不快感に有効という報告があります
  • グレリン産生促進: 六君子湯はグレリン(胃から分泌される食欲促進・胃運動促進ホルモン)の産生・分泌を促進することが示されており(動物・臨床研究)、食欲不振・胃排出能低下への機序の一部が解明されています

OTCとしての六君子湯は「体力中等度以下で胃腸の弱い人の胃炎・胃腸虚弱・消化不良等」に適すとされますが、「体力充実の実証の人向け」という誤った記述(選択肢ウ)は典型的な試験の引っかけパターンです。

【麻黄湯と葛根湯の違い:どちらも実証向けかぜ薬だが何が違うか】

麻黄湯・葛根湯はどちらもマオウを含む実証向けのかぜ薬ですが、適応の焦点が異なります:

比較項目麻黄湯葛根湯
体力体力充実体力中等度以上
発汗の状態汗が出ていないかぜのひきはじめ感冒の初期(汗をかいていないもの)
主要症状寒気・発熱・頭痛・咳・身体のふしぶしの痛み鼻かぜ・鼻炎・頭痛・肩こり・筋肉痛・手や肩の痛み
体の虚弱な人マオウの含有量が多くなるため使用を避ける必要がある副作用が現れやすい等、不向き

かぜの初期に用いる漢方処方としては、体力虚弱で、汗が出るもののかぜの初期に適すとされる桂枝湯もあり、汗の有無と体力で使い分けます。

【マオウ含有漢方薬の「使用を避ける」vs「相談すること」の区別】

手引きでは「使用を避ける必要がある」と「使用する前に医師又は薬剤師に相談」の表現が区別されています:

手引きでマオウ(構成生薬にマオウを含む漢方処方製剤も同様)について「使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべき」とされる人:

  • 心臓病の診断を受けた人
  • 高血圧の診断を受けた人
  • 糖尿病の診断を受けた人
  • 甲状腺機能亢進症の診断を受けた人

高齢者では、心臓病や高血圧、糖尿病の基礎疾患がある場合が多く、使用する前にその適否を十分考慮し、慎重な使用がなされることが重要とされています。一方、麻黄湯については、マオウの含有量が多くなるため、体の虚弱な人は「使用を避ける必要がある」とされています。登録販売者は「マオウ含有漢方を選ぼうとしている購入者に上記疾患がないか確認する」というプロセスが重要で、「高血圧の人は使用前に医師・薬剤師に相談を」と伝えるのが手引きに沿った対応です。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1・Ⅲ-1

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」(漢方処方成分)、Ⅲ-1「胃の薬」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」(漢方処方成分)、Ⅲ-1「胃の薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。