問題
胃腸鎮痛鎮痙薬の成分に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエ(誤っているもの)です。
ロートエキスは、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が速くなる(頻脈)おそれがあるため、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要があります。「母乳中に移行しない」「授乳を控える必要もない」という記述が誤りです。
ゴロ:「ロートエキスは母乳に移って乳児が頻脈」
抗コリン成分で「使用前に医師・薬剤師に相談」とされる人を一気に覚えましょう:
1. 排尿困難の症状がある人 2. 心臓病の診断を受けた人 3. 緑内障の診断を受けた人
ア・イ・ウ・オはいずれも正しい記述です。
胃腸鎮痛鎮痙薬の成分比較:
| 成分名 | 分類 | 作用(手引き) | 主な留意点(手引き) |
|---|---|---|---|
| ブチルスコポラミン臭化物 | 抗コリン成分 | アセチルコリンと受容体の反応を妨げて鎮痛鎮痙 | 排尿困難・心臓病・緑内障は使用前に相談、まれにショック(アナフィラキシー) |
| ロートエキス | 抗コリン作用を示すアルカロイドを豊富に含む生薬成分 | 同上 | 上記に加え、母乳を与える女性では使用を避けるか授乳を避ける |
| パパベリン塩酸塩 | 平滑筋に直接働く成分 | 消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める(胃液分泌を抑える作用は見出されない) | 眼圧を上昇させる作用があり、緑内障は使用前に相談 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 消化管の運動は副交感神経系の刺激によって亢進するため、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げる成分(抗コリン成分)が、胃痛、腹痛、さしこみを鎮めること(鎮痛鎮痙)のほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられます。ブチルスコポラミン臭化物はその代表的な成分です。
- イ(正): 抗コリン成分が副交感神経系の働きを抑える作用は消化管に限定されないため、散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、口渇、便秘、排尿困難等の副作用が現れることがあります。緑内障の診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあり、使用前に医師・薬剤師に相談がなされるべきとされます。
- ウ(正): パパベリン塩酸塩は、消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める作用を示すとされます。抗コリン成分と異なり自律神経系を介した作用ではありませんが、眼圧を上昇させる作用を示すことが知られており、緑内障の診断を受けた人では使用前の相談が必要です。
- エ(誤・正答): ロートエキスは、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が速くなる(頻脈)おそれがあるため、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要があります。なお、ロートエキスにより母乳が出にくくなることもあります。
- オ(正): 排尿困難の症状がある人、心臓病又は緑内障の診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがあり、使用する前にその適否につき医師又は薬剤師に相談がなされるべきとされています。手引きの区分は「使用を避ける」ではなく「相談」です。
【抗コリン成分の作用と、作用が消化管に限定されないことによる副作用】
急な胃腸の痛みは、主として胃腸の過剰な動き(痙攣)によって生じます。消化管の運動は副交感神経系の刺激によって亢進し、副交感神経系は胃液分泌の亢進にも働くため、抗コリン成分は鎮痛鎮痙のほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられます。胃腸鎮痛鎮痙薬に配合される抗コリン成分には、メチルベナクチジウム臭化物、ブチルスコポラミン臭化物、メチルオクタトロピン臭化物、ジサイクロミン塩酸塩、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、チキジウム臭化物等があり、抗コリン作用を示すアルカロイドを豊富に含む生薬成分としてロートエキスも多く用いられます。ロートエキスは、ロートコン(ナス科のハシリドコロ等の根茎及び根を基原とする生薬)の抽出物で、スコポラミンを含む成分です。
これらの成分が副交感神経系の働きを抑える作用は消化管に限定されないため、散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、顔のほてり、頭痛、眠気、口渇、便秘、排尿困難等の副作用が現れることがあります。重大な事故につながるおそれがあるため、使用した後は乗物又は機械類の運転操作を避ける必要があります。
【手引きの区分:「相談」と「使用を避ける」】
| 対象 | 成分 | 手引きの区分 |
|---|---|---|
| 排尿困難の症状がある人 | 抗コリン成分 | 使用する前に医師又は薬剤師に相談 |
| 心臓病の診断を受けた人 | 抗コリン成分 | 使用する前に医師又は薬剤師に相談 |
| 緑内障の診断を受けた人 | 抗コリン成分・パパベリン塩酸塩 | 使用する前に医師又は薬剤師に相談 |
| 高齢者 | 抗コリン成分 | 使用前に適否を十分考慮し、慎重な使用 |
| 母乳を与える女性 | ロートエキス | 使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける |
| 妊婦又は妊娠していると思われる女性、15歳未満の小児 | オキセサゼイン(局所麻酔成分) | 使用を避ける |
| 6歳未満の小児 | アミノ安息香酸エチル(局所麻酔成分) | 使用を避ける(メトヘモグロビン血症のおそれ) |
高齢者では、排尿困難や緑内障の基礎疾患を持つ場合が多く、一般的に口渇や便秘の副作用が現れやすいため慎重な使用が重要とされます。ブチルスコポラミン臭化物については、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)が知られています。メチルオクタトロピン臭化物も、吸収された成分の一部が母乳中に移行することが知られています。
【パパベリン塩酸塩の位置づけ】
パパベリン塩酸塩は消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める成分で、抗コリン成分と異なり胃液分泌を抑える作用は見出されません。自律神経系を介した作用ではないにもかかわらず眼圧を上昇させる作用を示すため、緑内障の診断を受けた人では使用前の相談が必要です。「抗コリン成分ではない=緑内障に関係ない」と考えるのは誤りです。
【相互作用と受診勧奨】
- 胃腸鎮痛鎮痙薬を使用している間は、他の胃腸鎮痛鎮痙薬の使用を避けることとされています。
- 抗コリン成分は、かぜ薬、乗物酔い防止薬、鼻炎用内服薬等にも配合され、一部の抗ヒスタミン成分も抗コリン作用を併せ持つため、併用すると抗コリン作用が増強され、排尿困難、目のかすみや異常な眩しさ、口渇、便秘等の副作用が現れやすくなります。
- 痛みが次第に強くなる、痛みが周期的に現れる、嘔吐や発熱を伴う、下痢や血便・血尿を伴う、原因不明の痛みが30分以上続く等の場合には、基本的に医療機関を受診するなどの対応が必要です。
登録販売者が抗コリン成分を含む胃腸鎮痛鎮痙薬の購入者に確認すべき事項:
1. 排尿困難の症状がないか
2. 心臓病・緑内障の診断を受けていないか
3. 授乳中でないか(ロートエキス)
4. 他に抗コリン作用を有する成分(かぜ薬・鼻炎用内服薬・乗物酔い防止薬等)を使用していないか
5. 使用後に乗物や機械類の運転操作をしないか
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅲ-3「胃腸鎮痛鎮痙薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

