登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問53|忌避剤ディート・殺虫剤の剤形

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

殺虫剤・忌避剤の剤形・使用方法および衛生害虫に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。

燻蒸型殺虫剤は成虫・幼虫には有効ですが、ゴキブリの「卵鞘(らんしょう)」に対しては効果が限定的です。ゴキブリの卵は卵鞘(固い殻)に守られており、燻蒸型殺虫剤の薬剤成分が浸透しにくい構造になっています。そのため卵が孵化して幼虫が出てきた後には再び殺虫処理(追加使用)が必要です。「1回の使用で卵の孵化後も継続して効果が持続する」という記述は誤りです。

ア(ディートの乳児禁忌)、イ(燻蒸型の注意事項・換気)、ウ(乳剤型の残留噴霧)、エ(ボウフラ対策・幼虫発生源除去)はすべて正しい内容です。

暗記ポイント: 「ゴキブリ卵鞘は燻蒸では死なない→孵化後に追加処理が必要」

殺虫剤・忌避剤の主な剤形と用途まとめ:

剤形特徴主な用途注意点
燻蒸型(煙剤・加熱式)薬剤を煙・霧として室内全体に充満蚊・ゴキブリ・ノミの成虫・幼虫の一斉駆除使用中は人・ペット室外・換気必須
乳剤(希釈散布)原液を水希釈して残留噴霧害虫の潜伏場所・侵入経路への処置環境汚染・食品汚染に注意
粉剤粉末を散布床下・壁の隙間・土壌中の害虫粉の吸入を避ける
エアゾール加圧スプレー直接害虫に噴霧・空間散布直接目・口への噴霧禁止
毒餌(ベイト剤)殺虫成分を餌に混入ゴキブリ・アリの誘引殺虫ペット・子供が食べないよう設置場所に注意
水面散布型水面に散布・溶出ボウフラ(蚊の幼虫)駆除水生生物への影響注意

各選択肢の解説:

  • ア(正): ディート(DEET: N,N-Diethyl-m-toluamide)は虫の嗅覚・接触センサーを妨害することで、昆虫が近づかないよう忌避する成分です。生後6ヶ月未満の乳児には禁忌(皮膚吸収・神経毒性リスク)で、12歳未満の小児への使用も制限(1日あたりの使用回数制限等)があります。顔への直接塗布・衣類への内側への使用も避けます。
  • イ(正): 燻蒸型殺虫剤は有機リン・ピレスロイド系薬剤を煙・霧で室内に充満させる剤形です。使用中は必ず人・ペット(特に魚類・鳥類は感受性が高い)・食器類・食品を室外に出し、使用後30分〜2時間(製品によって異なる)の換気が必要です。
  • ウ(正): 乳剤は有機溶媒・乳化剤に溶解した原液を水で希釈して使用します。害虫が潜む壁面・床下・排水溝周辺等に散布すると、薬剤が表面に残留して接触した害虫を殺虫します(残留噴霧)。
  • オ(誤・正答): ゴキブリは卵を「卵鞘(oothecae)」という固い殻に包んで産卵します。卵鞘はタンパク質でできた頑丈な保護殻であり、燻蒸型殺虫剤の薬剤が浸透しにくい構造です。そのため燻蒸処理で成虫・幼虫が駆除された後でも、残存する卵鞘から幼虫が孵化してきます。「1回の使用で完全解決」は不可能で、孵化サイクル(約2〜4週間)に合わせた追加処理が推奨されます。
  • エ(正): 蚊の生活環は「卵(水面)→ボウフラ(幼虫・水中)→サナギ(水中)→成虫(空中)」です。ボウフラ対策の根本は発生源(雨水桶・植木鉢の受け皿・側溝のたまり水等)の除去・排水です。水面散布型殺虫剤(テミホス等の有機リン系・モノスプライン等)は水中のボウフラに直接作用して駆除します。

【ディート(DEET)の忌避メカニズムの科学的解明】

ディートの忌避機序は長らく「匂いを嗅いだ虫が嫌がって逃げる」と単純に考えられていましたが、近年より詳細な分子機構が解明されています。

主な仮説・知見(研究段階):

1. 嗅覚受容体の直接阻害: 蚊はヒトの体臭(1-オクテン-3-オール・ジメチルスルフィド・乳酸等)を感知して吸血対象を探します。ディートは蚊の嗅覚受容体(特にOr(Odorant receptor)経路)を阻害して「ヒトの匂いが検出できない状態」にします。

2. 直接的な嫌悪反応: 蚊の第III神経節細胞(Ir(Ionotropic receptor)経路)がディートに直接反応し、「不快・危険」のシグナルを発生させて逃避行動を誘発。

3. 接触忌避: ディートが皮膚表面にある場合、蚊が着地した際の接触でも忌避反応が誘発される(嗅覚だけでなく接触でも効く)。

小児・乳児への使用制限の根拠:

  • 乳幼児の皮膚は角質層が薄く体重あたりの皮膚面積が大きいため、経皮吸収量が相対的に多い
  • ディートの神経毒性(高用量での中枢神経影響)は乳幼児で問題になりやすい
  • 報告された副作用: 頻度は低いが、過剰使用・広範囲塗布での脳症(痙攣・意識障害)例が海外でいくつか報告されている

日本の使用基準(2016年厚労省通知):

  • 6ヶ月未満: 使用禁忌
  • 6ヶ月〜2歳未満: 1日1回まで
  • 2〜12歳未満: 1日1〜3回まで(製品濃度に依存)
  • 12歳以上: 回数制限なし(ただし顔・粘膜・傷口への使用は禁忌)

【ゴキブリの生態と効果的な防除戦略】

ゴキブリの種類と生態:

種主な生息場所体長繁殖速度
チャバネゴキブリ室内(飲食店・家庭の暖かい場所)10〜15mm早い(年数回・卵鞘内40〜50個)
クロゴキブリ屋外(下水溝)・屋内30〜40mmやや遅い(卵鞘内22〜28個)
ワモンゴキブリ下水溝・温暖地域35〜40mm遅い

卵鞘(oothecae)の特性と燻蒸限界:

  • 卵鞘はキチン質+タンパク質の二重構造で非常に頑丈
  • 燻蒸剤の有効成分(ピレスロイド等)は卵鞘に浸透不可
  • 卵は15〜50日で孵化(温度依存性)

総合的なゴキブリ防除戦略(IPM: Integrated Pest Management):

1. 環境整備: 食べ物・生ゴミの密閉管理・水まわりの乾燥・侵入経路(排水管・壁の隙間)の封鎖

2. 燻蒸処理: 成虫・幼虫の一斉駆除(第1弾)

3. 卵鞘孵化後の追加処理: 2〜3週間後に再度燻蒸または毒餌(ベイト)で幼虫を駆除

4. 毒餌(ベイト剤)の継続配置: 燻蒸後の生き残り・再侵入個体への長期的対策

【衛生害虫の分類と伝播する疾患】

日本の登録販売者試験で頻出の衛生害虫と疾患:

衛生害虫伝播・媒介する疾患防除のポイント
蚊(カ)デング熱・日本脳炎・マラリア(外来)・ウエストナイル熱幼虫発生源(たまり水)除去・成虫忌避(ディート)
ハエ赤痢・コレラ・チフス・食中毒菌の機械的伝播食品の密閉・ゴミの適切管理
ゴキブリ食中毒菌・腸炎ビブリオ・サルモネラの機械的伝播侵入防止・燻蒸・ベイト
ノミペスト(ネズミノミ)・猫ひっかき病・サナダムシ卵の伝播ペットの定期的ノミ駆除
マダニライム病・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)・ツツガムシ病草地での肌露出を避ける・ディート
シラミ発疹チフス(コロモジラミ)・頭ジラミ症集団感染対策・専用シャンプー

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のポイント: 2013年に日本で初確認・マダニを介するウイルス感染症(フレボウイルス属)。致死率が10〜30%と高く、有効な治療薬・ワクチンがないため、「予防(マダニに刺されない)」が最重要です。

登録販売者がこれらの知識を持つことで、顧客に「単なる不快害虫」を超えた「公衆衛生上の重大リスク」として適切な対処法を案内できます。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅤ-2

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅤ-2「殺虫剤・忌避剤」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅤ-2「殺虫剤・忌避剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。