第3章 主な医薬品とその作用56主な医薬品とその作用(漢方処方製剤・生薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問56:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤・生薬)

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 半夏厚朴湯は体力が充実した実証の人に向く処方であり、体力のない虚証・高齢者には使用を避ける。
  • 半夏厚朴湯にはカンゾウ(甘草)が含まれており、長期使用で偽アルドステロン症が生じるおそれがある。
  • 半夏厚朴湯は、のどの閉塞感・つかえ感・不安感などに用いられる処方で、気分がふさいでのどに異物感があるような場合に適するとされる。正答
  • 半夏厚朴湯はマオウ(麻黄)を含む処方であり、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害のある人は使用前に相談が必要である。
  • 半夏厚朴湯はダイオウ(大黄)を含む下剤作用を持つ処方であり、下痢傾向の人への使用は避ける。
正答:半夏厚朴湯は、のどの閉塞感・つかえ感・不安感などに用いられる処方で、気分がふさいでのどに異物感があるような場合に適するとされる。

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正答はウ(正しいもの)です。

半夏厚朴湯の覚え方のカギは「気のつかえ(梅核気)」です。のどに梅の種が詰まったような感覚・閉塞感・不安感など、精神的な緊張がのどに出る症状に用いられます。証は「体力中等度」で、特に虚実の偏りがない人向けです。

語呂で覚えるなら「半夏厚朴(はんげこうぼく)=ハンゲでのどの不安をコウボクで和らげる」。

ア(実証限定)・イ(カンゾウ含有)・エ(マオウ含有)・オ(ダイオウ含有)はいずれも誤り。半夏厚朴湯にはカンゾウ・マオウ・ダイオウのいずれも含まれていません。これら3つの生薬の有無は試験頻出の論点です。

標準試験対策の基準レベル

半夏厚朴湯の基本情報:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 体力の目安(証) | 中等度(特に虚実の偏りなし) |

| 主な適応 | 気分がふさいでのどや食道に異物感・咽喉頭異常感症(梅核気)・不安・神経性胃炎 |

| カンゾウ含有 | なし |

| マオウ含有 | なし |

| ダイオウ含有 | なし |

| 構成生薬(代表) | ハンゲ・コウボク・ブクリョウ・ショウキョウ・ソヨウ(5生薬) |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 半夏厚朴湯の証は「中等度」で、体力充実した実証に限定されない。虚証寄りの人にも使用可能な中間的な証の処方。
  • イ(誤): カンゾウは含まれていない。半夏厚朴湯の5生薬(ハンゲ・コウボク・ブクリョウ・ショウキョウ・ソヨウ)にカンゾウはない。偽アルドステロン症の懸念は不要。
  • ウ(正): のどや食道の閉塞感・つかえ感・不安感に用いられる。気分がふさいで抑うつ的な状態・のどに梅の種が詰まったような感覚(梅核気)に適する。
  • エ(誤): マオウは含まれない。マオウ含有処方(葛根湯・麻黄湯・小青竜湯等)に必要な心臓病・高血圧の事前相談は、半夏厚朴湯には当てはまらない。
  • オ(誤): ダイオウは含まれない。下剤成分を持たない処方であり、下痢傾向の人を禁忌とする根拠がない。

梅核気(ばいかくき)とは: 漢方医学の概念で「咽喉に梅の種が詰まったような異物感があるが実際には何も詰まっていない」状態。現代医学的には咽喉頭異常感症・ヒステリー球に相当することが多い。

上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【半夏厚朴湯の構成生薬と各成分の薬理】

組成5生薬の役割:

| 生薬 | 基原・成分 | 主な薬理 |

|---|---|---|

| ハンゲ(半夏) | サトイモ科カラスビシャク(Pinellia ternata)の塊茎 | 鎮吐・制吐・鎮痰・鎮静(中枢性嘔吐抑制)。生のハンゲは粘膜刺激性→ショウキョウで中和 |

| コウボク(厚朴) | モクレン科ホオノキ等の樹皮 | 気の流れをよくする(理気)・胃腸の蠕動改善・鎮痙・抗不安 |

| ブクリョウ(茯苓) | サルノコシカケ科マツホド(Wolfiporia cocos)の菌核 | 利水(体内水分バランス調整)・鎮静・健胃 |

| ショウキョウ(生姜) | ショウガ科ショウガの根茎(生) | 健胃・鎮吐・末梢循環改善・ハンゲの毒性(粘膜刺激)中和 |

| ソヨウ(蘇葉) | シソ科シソ(Perilla frutescens var. crispa)の葉 | 理気・芳香健胃・発散(精神的緊張の緩和) |

【「気(き)」と梅核気の漢方医学的理解】

漢方医学では「気・血・水」の三要素のバランスが健康の基本とされます。

気の異常: 気が滞る(気滞・きたい)→のどの閉塞感・胸のつかえ・不安・抑うつ感・腹部膨満感

半夏厚朴湯の作用機序(漢方医学的): 行気(気の流れを促す)・降逆(上逆した気を下に降ろす)・化痰(痰飲を除く)

現代薬理学的解釈:

  • コウボクのマグノロール・ホノキオールが中枢神経系に作用し不安様行動を抑制(ベンゾジアゼピン様作用・GABAa受容体への作用が報告されている)
  • ハンゲの成分が嘔吐中枢への作用で鎮吐・制吐
  • 全体として自律神経バランスを整えることで咽喉頭の過敏性を緩和する可能性

【半夏厚朴湯の構成生薬3点(カンゾウ・マオウ・ダイオウ)非含有の意義】

試験で頻出の「カンゾウ・マオウ・ダイオウの有無」チェックでの半夏厚朴湯の位置づけ:

カンゾウ非含有の意義: 偽アルドステロン症リスクがないため、腎機能低下・高血圧・心不全など偽アルドステロン症リスクが高い患者にも比較的使いやすい(ただし個々の状態は医師に相談)。

マオウ非含有の意義: 心臓病・高血圧・甲状腺機能障害・前立腺肥大などマオウ禁忌の基礎疾患を持つ患者に、のどの不調・不安症状への漢方として選択肢となりうる。

ダイオウ非含有の意義: 下剤作用がないため、下痢傾向の人や虚弱な消化器機能の人にも安心して使用できる。

【登録販売者としての実務活用と注意点】

半夏厚朴湯が適する訴えの例:

  • 「のどに何か詰まっているような感じがするが、内科で異常なしと言われた」
  • 「緊張するとのどがつまる・声が出にくくなる」
  • 「不安感があって食欲がない・胃がつかえる」

購入希望者に確認すべき事項:

1. のどの器質的疾患(癌・ポリープ等)が除外されているか(受診済みか)

2. 悪化・改善なしが続く場合は受診勧奨

3. 他に漢方・医療用医薬品を服用していないか

上位資格への接続: 半夏厚朴湯は精神科・心療内科領域で「機能性ディスペプシア」「不安障害」「嚥下障害(嚥下機能低下した高齢者の誤嚥予防)」にも応用されている。近年の研究では嚥下反射の改善効果(サブスタンスP遊離促進)が報告されており、高齢者の誤嚥性肺炎予防として処方されることもある。登録販売者はこのような最新知見を踏まえ、「のどのつかえ・誤嚥が心配な高齢者」の相談を受けた際に適切な受診勧奨と情報提供ができるよう知識をアップデートしておくことが重要。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ(半夏厚朴湯=のどの閉塞感・つかえ感・不安感・気分がふさいでのどに異物感)は正しく一意。半夏厚朴湯5生薬(ハンゲ・ブクリョウ・コウボク・ソヨウ・ショウキョウ)はカンゾウ・マオウ・ダイオウいずれも非含有で確定(手引きの「カンゾウを含まない処方」代表例)。誤答ア(実証限定)・イ(カンゾウ含有)・エ(マオウ含有)・オ(ダイオウ含有)はすべて生薬有無で誤りと確定。手引きのしばりは「体力中等度をめやす」。出典: 一般用漢方製剤承認基準・ツムラ16半夏厚朴湯添付文書。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

半夏厚朴湯の証・「気のつかえ」と適応頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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