登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問57|安中散と人参湯

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

安中散(あんちゅうさん)と人参湯(にんじんとう・別名:理中丸)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエ(誤っているもの)です。

人参湯(理中丸)にはダイオウ(大黄)は含まれていません。人参湯の構成生薬はニンジン(人参)・ビャクジュツ(白朮)・カンキョウ(乾姜)・カンゾウ(甘草)の4種類で、下剤成分は含みません。むしろ下痢を「止める」方向に作用します。

語呂で覚えるなら「安中(あんちゅう)=弛緩した胃を安定させる」「人参(にんじん)湯=ニンジンが胃腸虚弱を補う」。安中散は胃の弛緩(胃酸過多・胸やけ)、人参湯は胃腸がより弱った虚弱状態に向きます。どちらも「冷え」が共通キーワードです。

安中散と人参湯の証・組成比較:

項目安中散人参湯(理中丸)
体力の目安(証)虚弱〜中等度(虚証〜中間)虚弱(虚証)
主な適応胃痛・腹痛・胸やけ・胃酸過多・げっぷ・食欲不振(胃弛緩型)腹痛・腹部膨満・下痢・嘔吐・冷えが強い胃腸機能低下
冷えの有無あり(冷えによる胃の症状)あり(強い冷え・四肢の冷え)
カンゾウ含有ありあり
マオウ含有なしなし
ダイオウ含有なしなし ← エの誤りの根拠
代表生薬ケイヒ・エンゴサク・ボレイ・ウイキョウ・シュクシャ・カンゾウ・リョウキョウ(7生薬)ニンジン・ビャクジュツ・カンキョウ・カンゾウ(4生薬)

各選択肢の解説:

  • ア(正): 安中散は虚弱から中等度の人に用いる。胃の弛緩(蠕動が弱く胃酸が逆流する状態)・胃痛・胸やけ・げっぷに適する。
  • イ(正): 人参湯は虚弱な人向け。冷えが強く四肢が冷たく、胃腸機能が衰えた状態(腹部が冷たく柔らかい)の腹痛・下痢・嘔吐に用いる。
  • ウ(正): 安中散はカンゾウを含む。偽アルドステロン症・低カリウム血症(手足のだるさ・筋力低下)への注意が必要。
  • エ(誤・正答): 人参湯にダイオウは含まれない。ダイオウは刺激性瀉下成分で「下痢症状の改善」には使わない(むしろ便秘に使う)。人参湯はカンキョウ(乾燥生姜)による温熱作用・ニンジンによる補気で胃腸機能を高めて下痢を止める方向に働く。
  • オ(正): 両処方とも冷え型の胃腸症状に使うが、人参湯はより虚弱・冷えが強い人向け。安中散は胃弛緩(弛緩型胃炎)、人参湯は虚弱な胃腸機能低下という使い分けが重要。

【安中散の構成生薬と胃弛緩への薬理機序】

安中散の7生薬の役割:

生薬主な薬理
ケイヒ(桂皮): シナモン樹皮温熱・健胃・鎮痙(胃腸の痙攣緩和)・抗菌(Helicobacter pylori抑制の報告あり)
エンゴサク(延胡索): ケシ科の塊茎鎮痛(テトラヒドロコプチシンがD₂受容体遮断・μオピオイド受容体作動)・鎮痙
ボレイ(牡蛎): イタボガキの貝殻制酸(CaCO₃主体)・収斂・鎮静
ウイキョウ(茴香): セリ科のフェンネル果実芳香健胃・鎮痙・駆風(胃腸のガスを除く)
シュクシャ(縮砂): ショウガ科の果実芳香健胃・理気・温中(胃腸を温める)
カンゾウ(甘草)鎮痙・抗炎症・粘膜保護・調和諸薬
リョウキョウ(良姜): ショウガ科ハナミョウガ属の根茎温胃止嘔(胃を温め吐き気を抑える)・健胃・鎮痛

胃弛緩(胃アトニー)への作用機序: エンゴサクの鎮痛鎮痙作用・ケイヒの鎮痙・ウイキョウやシュクシャのアネトール等による胃腸蠕動調整・リョウキョウの温胃作用が複合的に働き、冷え・痛みのある胃弛緩状態を緩和する。ボレイ(炭酸カルシウム主体)が胃酸を中和する制酸効果も持ち合わせるため、胃酸過多・胸やけにも有効。

【人参湯(理中丸)の構成生薬と虚寒証への薬理】

人参湯の4生薬(最小構成)の役割:

生薬主な成分・薬理
ニンジン(人参): ウコギ科高麗人参の根サポニン(ジンセノシド)による免疫調節・抗疲労・補気(気を補う)・健胃促進
ビャクジュツ(白朮): キク科オオバナオケラ等の根茎健脾(脾胃の機能強化)・利水(体内余分な水分除去)・乾燥・止瀉
カンキョウ(乾姜): ショウガを乾燥させたもの温裏(内部を温める)・温熱・健胃・止瀉(腸管を温めて冷えによる下痢を止める)
カンゾウ(甘草)鎮痙・粘膜保護・調和諸薬

カンキョウ(乾姜)とショウキョウ(生姜)の違い: ショウキョウ(生)は主に発散・温表(体表を温める)作用。カンキョウ(乾燥加工)は温裏(内部・腹部を温める)作用が強くなる→人参湯の強い冷え改善には乾燥した生姜(カンキョウ)が使われる。

【安中散・人参湯の使い分けと登録販売者の実務判断】

購入者の訴えと処方の対応:

訴えのパターン適する処方不向きな処方
胃がもたれる・むかつく・食べると胃が重い・げっぷが多い安中散人参湯(下痢向き)
冷えると腹痛・下痢・冷え体質で消化器が弱い人参湯安中散(弛緩型向き)
胃酸が上がる・胸やけ安中散(ボレイの制酸)—
口呼吸・四肢が冷えて元気がない・胃腸が弱い人参湯(補気補脾)—

どちらの処方でも確認すべき事項:

  • カンゾウ含有のため、他に漢方・カンゾウ含有医薬品を使用していないか
  • 体力が充実した実証の人には向かない(どちらも虚証〜中間向け)
  • 症状が続く・改善しない場合は受診勧奨(消化器器質疾患の除外)

上位資格への接続: 人参湯は「四君子湯(ニンジン・ビャクジュツ・ブクリョウ・カンゾウ)」と近い構成で、消化器系を補う処方群の基本となる。現代医学的にはニンジン(高麗人参)のジンセノシドRb1・Rg1が腸管上皮の増殖促進・免疫調節・腸管蠕動改善に関与する可能性が研究されている。安中散はH. pylori(ピロリ菌)除菌治療の補助として胃粘膜の保護目的に用いられることもあり、漢方と現代医療の統合的活用の場面が増えている。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅲ-1「胃の薬」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅲ-1「胃の薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。