登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問60|竜胆瀉肝湯・八味地黄丸・牛車腎気丸の証の区別

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイ(正しいもの)です。

八味地黄丸は「体力が中等度以下・冷えやすい」人の排尿困難・夜間頻尿・むくみに用いる処方です。

3処方の証の違いを整理すると:

  • 竜胆瀉肝湯: 実証寄り(比較的体力がある)・炎症系の排尿症状(排尿痛・残尿感)
  • 八味地黄丸: 虚証〜中間(体力中等度以下)・冷えを伴う排尿困難・夜間頻尿
  • 牛車腎気丸: より虚弱(下肢浮腫・手足の冷え強め)・排尿困難+下肢の浮腫

ア(竜胆瀉肝湯が虚証)は誤り(実証寄り)、ウ(ダイオウ含有)は誤り、エ(マオウ含有)は誤り、オ(八味地黄丸と牛車腎気丸が同一)は誤りです。

3処方の証・組成比較:

項目竜胆瀉肝湯八味地黄丸牛車腎気丸
体力の目安(証)比較的体力がある(実証寄り)中等度以下(虚証〜中間)中等度以下(虚弱寄り)
主な適応排尿痛・残尿感・频尿・陰部のかゆみ(炎症性)排尿困難・夜間頻尿・むくみ・冷え・手足のほてり排尿困難・頻尿・下肢浮腫・腰痛・しびれ(冷え強め)
カンゾウ含有ありなしなし
マオウ含有なしなしなし
ダイオウ含有なしなしなし
ブシ含有なしあり(少量)あり(少量)
特徴的な追加生薬リュウタン・オウゴン・タクシャ等(利湿清熱)ジオウ・サンシュユ・ブシ等(補腎陽)八味地黄丸の全成分+ゴシツ・シャゼンシ(下肢浮腫改善強化)

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 竜胆瀉肝湯は実証寄りの処方。体力があり、炎症性の排尿症状(排尿痛・残尿感)がある人に向く。虚弱な人には不向き。
  • イ(正): 八味地黄丸は体力中等度以下で冷えやすい人の排尿困難・夜間頻尿・むくみに適する。正しい記述。
  • ウ(誤): 牛車腎気丸にダイオウは含まれない。ダイオウを含有する医薬品について手引きが示す妊婦・授乳婦での留意は、牛車腎気丸には当てはまらない。
  • エ(誤): 3処方いずれもマオウを含まない。マオウ注意(心臓病・高血圧)はこれらには適用されない。
  • オ(誤): 八味地黄丸と牛車腎気丸は証・適応が異なる。牛車腎気丸は八味地黄丸の基本構成にゴシツ(牛膝)・シャゼンシ(車前子)を追加し、下肢浮腫・しびれに対する効果を強化した処方。代替不可。

【竜胆瀉肝湯の「実証・湿熱(しつねつ)」理論と泌尿器への作用】

竜胆瀉肝湯は「肝経(かんけい)の湿熱(しつねつ)」を取り除く処方として位置づけられます。

漢方医学での「肝経」: 解剖学的な肝臓ではなく、肝・胆・生殖器・外陰部・鼠径部を巡る経絡の系統。「湿熱(しつねつ・水分が偏在して熱を帯びた状態)」が肝経に生じると、泌尿器・生殖器の炎症(排尿痛・残尿感・おりもの・陰部のかゆみ)が出る。

主成分リュウタン(竜胆)の薬理:

  • ゲンチアナ科センブリ近縁種の根・根茎
  • ゲンチアニン(苦味配糖体)→苦味健胃・消化液分泌促進
  • 抗炎症(COX-2阻害・TNF-α抑制)
  • 利胆(胆汁分泌促進)

【八味地黄丸・牛車腎気丸の「腎陽虚(じんようきょ)」理論と薬理】

漢方医学の「腎」は泌尿器だけでなく、生命エネルギー(腎精・腎気)・生殖・老化・骨・水液代謝を担う臓器概念。

腎陽虚(腎の陽気が衰えた状態):

  • 冷え(特に下半身・手足)
  • 夜間頻尿(腎が膀胱を温められず「気化」が弱まる)
  • 排尿困難・残尿感
  • 腰が重だるい・膝が弱い
  • むくみ(水液代謝低下)

八味地黄丸の核心: 六味地黄丸(補腎陰)+ケイヒ(肉桂)+ブシ(附子)= 「補腎陰で滋養しながら、ケイヒ・ブシの温熱で腎陽を補う」

生薬群代表生薬役割
六味地黄丸(補腎陰)ジオウ・サンシュユ・サンヤク・タクシャ・ブクリョウ・ボタンピ腎を滋養・補腎陰
温腎陽ケイヒ・ブシ(炮附子)腎陽を温める・温熱作用

牛車腎気丸が八味地黄丸より適する状態:

牛車腎気丸は八味地黄丸の全成分に以下を追加:

  • ゴシツ(牛膝: ヒユ科イノコヅチの根): 活血・強膝(膝・腰の強化)・下行(水分・血を下に引き下げる)→下肢浮腫・膝の痛み改善
  • シャゼンシ(車前子: オオバコ科オオバコの種子): 利尿・止瀉・利湿(余分な水分排出)→浮腫改善

適応の違いを実務で判断するポイント:

  • 「夜間にトイレが多く冷える」→八味地黄丸
  • 「夜間頻尿+足がむくみやすい・しびれがある・膝が痛い」→牛車腎気丸

【ブシ(附子)を含む漢方処方の注意事項:八味地黄丸・牛車腎気丸共通】

ブシ含有処方の注意:

  • 心臓病(不整脈): アコニチン系成分の心毒性リスク
  • 服用後に口・舌・四肢のしびれが出た場合は即中止・受診
  • 高齢者(腎機能低下): ブシの排泄が遅れて蓄積リスク

登録販売者の実務での3処方選択の案内フロー:

1. 体力は? → 比較的ある(実証)なら竜胆瀉肝湯、中等度以下なら八味地黄丸系

2. 症状は炎症性(痛み・かゆみ)か、冷え・虚弱性か? → 炎症は竜胆瀉肝湯、冷えは八味地黄丸系

3. 足のむくみ・しびれが強いか? → はいなら牛車腎気丸、なければ八味地黄丸

上位資格への接続: 腎陽虚(腎機能低下)は加齢とともに進行するため、高齢化社会における八味地黄丸・牛車腎気丸の需要は増加している。老年医学・泌尿器科での使用実績も多く、薬剤師国家試験ではブシの薬理機序・副作用・適応疾患(夜間頻尿・ED・腰痛・糖尿病性腎症補助等)として横断的に出題される。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅴ-2「その他の泌尿器用薬」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅴ-2「その他の泌尿器用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。