第3章 主な医薬品とその作用65主な医薬品とその作用(漢方処方製剤・生薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問65:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤・生薬)

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 苓桂朮甘湯は体力が充実した実証の人に向く処方であり、体力のある若い人の動悸・めまいに第一選択として用いられる。
  • 苓桂朮甘湯にはマオウ(麻黄)が含まれており、心臓病・高血圧の人は服用前に医師へ相談する必要がある。
  • 苓桂朮甘湯はカンゾウ(甘草)を含む処方であり、長期服用で偽アルドステロン症が生じるおそれがある。正答
  • 苓桂朮甘湯はダイオウ(大黄)を含む処方であり、授乳中の女性への使用は禁忌とされている。
  • 苓桂朮甘湯はのぼせ・赤ら顔のある人の動悸に最も適しており、冷え性の人には使用できない。
正答:苓桂朮甘湯はカンゾウ(甘草)を含む処方であり、長期服用で偽アルドステロン症が生じるおそれがある。

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正答はウ(正しいもの)です。

苓桂朮甘湯は「ブクリョウ(茯苓)・ケイヒ(桂枝)・ビャクジュツ(白朮)・カンゾウ(甘草)」の4生薬で構成されます。カンゾウを含むため、偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇・低カリウム血症)のリスクがあります。

語呂で覚えるなら「苓桂朮甘(りょうけいじゅつかん)=めまい・動悸・息切れ、体力が中程度以下でのぼせ感も」。めまいの中でも「立ちくらみ・フラフラ感」が中心で、「のぼせていて頭に血が上る感じ」も伴うことがある証に向きます。

マオウ含有(イ)・ダイオウ含有(エ)は誤り。ア(実証限定)・オ(のぼせのある人限定)も誤りです。

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苓桂朮甘湯の基本情報:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 体力の目安(証) | 中等度以下(虚証〜中間)・のぼせ感があって疲れやすい |

| 主な適応 | めまい・動悸・息切れ・頭痛・立ちくらみ(水毒・気の上衝による) |

| カンゾウ含有 | あり(甘草)→偽アルドステロン症リスク |

| マオウ含有 | なし ← イの誤りの根拠 |

| ダイオウ含有 | なし ← エの誤りの根拠 |

| 構成生薬 | ブクリョウ・ケイヒ(桂枝)・ビャクジュツ・カンゾウ(4生薬) |

| 処方名の由来 | 苓=ブクリョウ(茯苓)・桂=ケイヒ(桂枝)・朮=ビャクジュツ(白朮)・甘=カンゾウ(甘草) |

漢方医学の「水毒(すいどく)」と苓桂朮甘湯:

漢方では体内の水分が偏在(停滞)する「水滞・水毒」という概念があります。水が耳・脳周辺に停滞すると、めまい・立ちくらみ・耳鳴りが生じると考えます。苓桂朮甘湯はこの水滞を除いてめまい・動悸を改善します。

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 苓桂朮甘湯は「中等度以下」の体力の人向け。実証の人が主な対象ではない。
  • イ(誤): マオウは含まれない。心臓病・高血圧への注意(マオウの交感神経刺激)は適用されない。
  • ウ(正): カンゾウを含むため偽アルドステロン症リスクがある。正しい記述。
  • エ(誤): ダイオウは含まれない。授乳中禁忌の根拠となるダイオウ・センナ系成分はない。
  • オ(誤): 苓桂朮甘湯は「のぼせ感があって」疲れやすい人に向く。のぼせを「伴う」場合に使える処方であって、「のぼせのある人だけ」に限定されない。冷え性の人にも使えない理由はない。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【苓桂朮甘湯の4生薬と「気の上衝(きのじょうしょう)」理論】

苓桂朮甘湯の4生薬詳細:

| 生薬 | 基原・成分 | 薬理 |

|---|---|---|

| ブクリョウ(茯苓) | サルノコシカケ科マツホド(Wolfiporia cocos)の菌核 | 利水(体内水分の偏在解消)・鎮静・健脾胃。β-パキマン(多糖)→免疫調節・利尿促進 |

| ケイヒ(桂枝→桂皮) | クスノキ科シナモン(Cinnamomum cassia)の樹皮 | 温通経脈(血液循環改善)・平衝降逆(上方に逆流した気を下に降ろす)・心臓強心 |

| ビャクジュツ(白朮) | キク科オオバナオケラ等の根茎 | 健脾燥湿(胃腸機能強化・余分な水分除去)・利水・止汗 |

| カンゾウ(甘草) | マメ科カンゾウの根 | 鎮痙・調和諸薬・グリチルリチン酸(抗炎症・偽アルドステロン症の原因) |

漢方医学的説明:

「気の上衝」とは、気が正常な下降方向を失い上方に向かって逆流する状態。頭部・胸部に気が集まることで、動悸(心気上衝)・めまい(脳への気の逆流)・のぼせ感・息切れが生じる。ケイヒ(桂枝)は「桂枝甘草湯」の核心生薬として気の上衝を抑える(降逆)作用が特に強い。

【めまいの種類と苓桂朮甘湯が適する型の区別】

めまいの種類(現代医学的):

1. 回転性めまい(BPPV・メニエール病など): 半規管・耳石の障害

2. 浮動性めまい(脳血管障害・貧血・低血圧など): 持続的フラフラ感

3. 立ちくらみ(起立性低血圧): 体位変換時の血圧低下

苓桂朮甘湯が適するめまいのタイプ:

  • 「立ちくらみ・フラフラ感(浮動性)+動悸・息切れ+疲れやすい」という虚証のめまい
  • 漢方医学的には「水毒+気の上衝」の組み合わせ

めまいに使う漢方の選択比較:

| 漢方処方 | 適するめまいの型 | 証 |

|---|---|---|

| 苓桂朮甘湯 | 浮動性・立ちくらみ・動悸を伴う | 中等度以下・疲れやすい |

| 半夏白朮天麻湯 | めまい・頭重・吐き気を伴う(胃腸弱い) | 中等度以下・胃腸虚弱 |

| 真武湯 | 冷えが強い・全身が弱い・慢性めまい | 著明な虚証 |

| 釣藤散 | 高血圧・頭痛・のぼせに伴うめまい | 中等度 |

【「水毒」の現代医学的対応:内耳リンパ水腫と利水薬】

内耳リンパ水腫(メニエール病等の病態)と漢方の水毒概念の重なり:

メニエール病は内耳の内リンパが過剰になる(内リンパ水腫)ことで、回転性めまい・耳鳴り・難聴が繰り返される疾患です。漢方の「水毒(耳周辺への水の偏在)」と概念的に重なる部分があり、ブクリョウ・ビャクジュツを含む利水系漢方が使われることがあります。

苓桂朮甘湯の利水作用(現代研究):

  • ブクリョウのβ-パキマン→利尿促進(AQP2等の水チャネル調節の可能性)
  • ビャクジュツの成分→腸管・腎臓での水分排出調整
  • ケイヒのシンナムアルデヒド→末梢血管拡張→循環改善(浮腫軽減)

【登録販売者の実務:動悸・めまい訴えへの対応】

購入者の動悸・めまい相談時の優先事項:

1. 急性発症・重症感(突然の激しいめまい・動悸・胸痛・失神)→即受診勧奨(緊急性を判断)

2. 慢性・軽症の場合→証の確認(体力・冷え・のぼせ・疲労感)

3. 苓桂朮甘湯の適応確認(中等度以下・疲れやすい・のぼせ感あり・浮動性めまい・動悸)

4. カンゾウ含有の確認→他漢方との重複チェック

5. 1ヶ月以上で改善なければ受診勧奨

上位資格への接続: 苓桂朮甘湯は「桂枝甘草湯(ケイヒ+カンゾウ)」を基礎に「茯苓・白朮」で利水作用を加えた処方。薬剤師国家試験では「苓桂剤(苓桂朮甘湯・苓桂甘棗湯等)」として気の上衝への対応処方群として出題される。また「ブクリョウを含む利水処方」として猪苓湯・防己黄耆湯・五苓散等との比較で「適応症・構成生薬の違い」が問われる。登録販売者は「めまい+動悸+疲れやすい→苓桂朮甘湯」「めまい+胃腸弱い→半夏白朮天麻湯」「めまい+冷え強い→真武湯」という3点セットで整理することが実用的。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ(苓桂朮甘湯=カンゾウ含有→偽アルドステロン症)は正しく一意。苓桂朮甘湯4生薬(ブクリョウ・ケイヒ・ビャクジュツ・カンゾウ)はカンゾウ含有・マオウ/ダイオウ非含有で確定。よってイ(マオウ含有)・エ(ダイオウ含有)は誤り。手引きのしばりは「体力中等度以下で、めまい・ふらつき・のぼせ・動悸」→ア(実証限定)・オ(のぼせのある人限定・冷え性不可)は誤りで確定。なお「## 設問」の二重記載は現ファイルには存在せず(7行目の1箇所のみ)作問者の懸念は不要だった。出典: ツムラ39苓桂朮甘湯添付文書・一般用漢方製剤承認基準。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

苓桂朮甘湯の証・動悸・めまい頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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