第3章 主な医薬品とその作用78主な医薬品とその作用(生薬製剤・漢方処方製剤・横断注意)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問78:主な医薬品とその作用(生薬製剤・漢方処方製剤・横断注意)

カンゾウ(甘草)・マオウ(麻黄)・ダイオウ(大黄)の基原および含有処方における注意事項に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • カンゾウ(甘草)はマメ科植物カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis 等)の根および根茎を基原とし、主成分グリチルリチン酸の1日摂取量が40mg以上になると偽アルドステロン症のリスクが高まる。
  • マオウ(麻黄)はマオウ科植物マオウ(Ephedra sinica 等)の地上茎を基原とし、主成分エフェドリンがアドレナリン作動作用を持ち、心臓病・高血圧・甲状腺機能亢進症等の患者には使用上の注意がある。
  • ダイオウ(大黄)はタデ科植物ダイオウ(Rheum palmatum 等)の根茎を基原とし、主成分センノシドが大腸を刺激して瀉下作用を示し、授乳中の女性は使用を避ける必要がある。
  • カンゾウ(甘草)は多くの漢方処方に配合されているため、複数の漢方薬を同時服用する際でも、各処方の1日用量を守ればグリチルリチン酸の過剰摂取にはならない。正答
  • マオウ(麻黄)は日本国内でエフェドリンの原料としても使用されており、大量・長期使用は依存性のリスクがあることから、一般用医薬品においても配合量が規制されている。
正答:カンゾウ(甘草)は多くの漢方処方に配合されているため、複数の漢方薬を同時服用する際でも、各処方の1日用量を守ればグリチルリチン酸の過剰摂取にはならない。

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正答はエです。

「複数の漢方薬を同時服用しても各処方の1日用量を守ればグリチルリチン酸の過剰摂取にならない」という記述が誤りです。カンゾウ(甘草)は非常に多くの漢方処方に配合されており、複数の漢方薬を同時に服用すると、各製品の1日用量を守っていてもグリチルリチン酸が合計で過剰になることがあります。これが偽アルドステロン症のリスクを高めます。

暗記ポイント: 「カンゾウ→マメ科・根/根茎・グリチルリチン酸→偽アルドステロン症(複数製品の重複に注意)」「マオウ→マオウ科・地上茎・エフェドリン→アドレナリン作動」「ダイオウ→タデ科・根茎・センノシド→瀉下・授乳禁忌」。

標準試験対策の基準レベル

3大横断注意生薬の基原・成分・注意事項まとめ:

| 生薬名 | 基原植物(科名) | 薬用部位 | 主な有効成分 | 主要注意事項 |

|---|---|---|---|---|

| カンゾウ(甘草) | マメ科カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis 等) | 根および根茎 | グリチルリチン酸(甘味配糖体)・リクイリチン(フラボノイド)等 | グリチルリチン酸1日40mg以上→偽アルドステロン症リスク。複数製品の重複に注意 |

| マオウ(麻黄) | マオウ科マオウ(Ephedra sinica 等) | 地上茎(節の部分) | エフェドリン・プソイドエフェドリン等(アルカロイド) | 心臓病・高血圧・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大→禁忌または慎重使用。依存性リスク |

| ダイオウ(大黄) | タデ科ダイオウ(Rheum palmatum 等) | 根茎 | センノシドA・B(アントラキノン配糖体)・タンニン等 | 授乳中禁忌。妊婦には大量使用禁忌。長期使用で耐性・大腸メラノーシス |

各選択肢の解説:

  • ア(正): カンゾウの基原はマメ科植物カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis・Glycyrrhiza glabra 等)の根・根茎です。グリチルリチン酸の1日摂取量が40mg以上になると偽アルドステロン症(低カリウム血症・浮腫・高血圧)のリスクが高まります(手引き記載)。
  • イ(正): マオウの基原はマオウ科植物マオウ(Ephedra sinica 等)の地上茎(草質茎)です。エフェドリン・プソイドエフェドリン等のアドレナリン作動成分が気管支拡張・血管収縮・心拍数増加作用を示します。心臓病・高血圧・甲状腺機能亢進症・糖尿病・前立腺肥大等のある人には使用上の注意(多くは「使用しないこと」または「医師等に相談すること」)が必要です。
  • ウ(正): ダイオウの基原はタデ科植物ダイオウ(Rheum palmatum 等)の根茎です。センノシドA・Bが腸内細菌の酵素で加水分解されてレインアントロンとなり、大腸蠕動を刺激します。センノシドは母乳に移行して乳児の下痢を引き起こす可能性があるため、授乳中の女性は使用しないこととされています。
  • エ(誤・正答): カンゾウは葛根湯・小青竜湯・芍薬甘草湯・防風通聖散等、非常に多くの漢方処方に配合されています。複数の漢方処方を同時服用すると、各処方の1日用量を守っていてもグリチルリチン酸の合計摂取量が40mg/日を超える可能性があります。「各処方の1日用量を守れば過剰摂取にならない」という記述は誤りで、複数製品服用時は合計量の確認が必要です。
  • オ(正): エフェドリンは指定薬物前駆物質(覚せい剤原料)として規制されており、マオウはその原料となり得ます。一般用医薬品においてもエフェドリン塩類の1日用量・配合量の上限が定められています。また、大量・長期使用は中枢神経刺激作用による依存・乱用リスクがあるため、配合規制と販売管理が行われています。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【グリチルリチン酸の偽アルドステロン症:機序・症状・横断注意の実務】

グリチルリチン酸(glycyrrhizic acid:GL)はカンゾウ(甘草)の主成分で、構造がステロイドに類似したトリテルペン配糖体です。

偽アルドステロン症の機序:

1. GL が腸内細菌・肝臓で代謝されてグリチルレチン酸(18β-glycyrretinic acid: 18β-GA)に変換

2. 18β-GA が 11β-HSD2(11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型)を阻害

3. 通常は腎臓でコルチゾール→不活性型コルチゾン(コルチゾン)に変換される反応が阻害される

4. 腎尿細管にコルチゾールが蓄積→アルドステロン受容体(MR)を活性化(本物のアルドステロンと同様の作用)

5. 腎尿細管の Na⁺・水の再吸収増加 + K⁺排泄増加

6. 結果: 低カリウム血症・ナトリウム貯留・浮腫・高血圧(偽アルドステロン症)

初期症状(登録販売者が把握すべき症状):

  • 手足のだるさ・筋力低下(低 K⁺による筋力低下)
  • 体がむくむ(浮腫)
  • 血圧が上がった
  • 手足のしびれ・こむらがえり(低 K⁺による神経・筋肉への影響)
  • 尿量減少

カンゾウ含有の主な漢方処方と1日あたりのグリチルリチン酸量(参考):

| 漢方処方 | カンゾウ1日用量(目安) | グリチルリチン酸相当量(目安) |

|---|---|---|

| 葛根湯 | 1.5〜2g | 37〜50mg |

| 小青竜湯 | 1〜1.5g | 25〜37mg |

| 芍薬甘草湯 | 3〜6g | 75〜150mg(特に多い!) |

| 防風通聖散 | 1.5g | 37mg |

| 補中益気湯 | 1.5g | 37mg |

| 六君子湯 | 1g | 25mg |

芍薬甘草湯はカンゾウを大量に含むため、特に偽アルドステロン症リスクが高い処方です。芍薬甘草湯と他のカンゾウ含有漢方処方を同時服用すると1日摂取量が容易に100mg以上になります。

【マオウ(麻黄)のエフェドリンと覚せい剤原料規制】

エフェドリン(ephedrine)はマオウから抽出されるフェネチルアミン系アルカロイドで、覚せい剤(メタンフェタミン・アンフェタミン)の化学的前駆物質です。

日本における規制:

1. 覚せい剤取締法: エフェドリン単体は覚せい剤取締法(1951年)の「覚せい剤原料」に指定され、製造・輸入・販売には許可が必要

2. 医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく濫用防止規制: 改正法に基づき、令和8年(2026年)4月施行の規制で「濫用等のおそれのある医薬品(指定濫用防止医薬品)」の販売がより厳格化され、エフェドリン類含有製品は購入者の年齢確認・必要数量(原則小容量1包装)の確認・複数購入時の理由確認等が求められる

3. 一般用医薬品(登録販売者取扱い): エフェドリン塩類を含む医薬品は「濫用等のおそれのある医薬品」として、1人あたりの販売数量制限・販売記録等の対象(令和8年4月の手引き・販売制度改訂で強化)

マオウ(生薬・漢方処方)の配合量規制(手引き準拠の理解):

  • エフェドリン類は「濫用等のおそれのある医薬品(指定濫用防止医薬品)」の成分(エフェドリン・プソイドエフェドリン・メチルエフェドリン等)に該当し、販売数量制限(原則1人1包装等)・購入者確認・若年者への販売時の確認等が義務づけられる
  • マオウ・エフェドリン類を含むかぜ薬・鎮咳去痰薬等は、各製品の製造販売承認基準で配合量の上限が定められ、その範囲内で配合される
  • 心臓病・高血圧・甲状腺機能亢進症・糖尿病・前立腺肥大等のある人は使用上の注意(使用前の相談)の対象

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): エフェドリン1日上限「60mg」の具体的数値は厚労省「手引き(令和8年4月版)」には記載がない(手引きはアドレナリン作動成分としての作用・濫用等のおそれのある医薬品としての販売管理を質的に記載)。手引き範囲を逸脱する断定数値(60mg)を削除し、手引き準拠の記述(指定濫用防止医薬品としての販売数量制限・製造販売承認基準での配合上限)に置換。選択肢オ本文「依存性のリスク→一般用医薬品でも配合量が規制」は質的に正で、正答エ(カンゾウ重複でグリチルリチン酸が過剰になり得る=下線記述が誤り)に影響なし。なお令和8年4月改訂で濫用等のおそれのある医薬品の販売規制(購入記録・本人確認・数量制限)が強化された点は本文に反映済み。 -->

【ダイオウ(大黄)のセンノシドと大腸刺激性瀉下:医療現場との接続】

ダイオウの主成分センノシドA・B(anthraquinone glycoside)は医療用医薬品(プルゼニド錠・アローゼン®等)にも使用される成分で、便秘症治療の第一選択薬の一つです。

医療用との比較:

| 項目 | 一般用医薬品(ダイオウ配合) | 医療用(プルゼニド®等) |

|---|---|---|

| 用量 | 生薬配合・センノシド含量は規制内 | 12〜24mg/回(明確な用量設定) |

| 授乳中 | 使用しないこと | 禁忌 |

| 妊婦 | 大量使用は避ける | 禁忌 |

| 長期使用 | 2週間以内を目安に受診勧奨 | 医師管理下で使用 |

登録販売者の実務:

1. ダイオウ含有製品の長期使用(2週間以上)者への受診勧奨

2. 授乳中の使用を確認し、使用しないよう指導

3. 妊婦には大量使用禁忌(少量での短期使用でも医師相談を促す)

4. 他のアントラキノン系瀉下薬(センナ含有製品)との重複使用は大腸への刺激が過度になるため確認

【3生薬の含有を確認すべき代表的漢方処方一覧】

| 処方名 | カンゾウ | マオウ | ダイオウ |

|---|:---:|:---:|:---:|

| 葛根湯 | ○ | ○ | - |

| 麻黄湯 | ○ | ○ | - |

| 小青竜湯 | ○ | ○ | - |

| 防風通聖散 | ○ | ○ | ○ |

| 大柴胡湯 | - | - | ○ |

| 芍薬甘草湯 | ○(大量) | - | - |

| 麻子仁丸 | - | - | ○ |

| 三黄瀉心湯 | - | - | ○ |

3生薬の含有確認が重要な場面:

  • カンゾウ重複: 高血圧・浮腫・心不全・低 K⁺血症を持つ人に複数漢方薬を販売する場合
  • マオウ重複: 心臓病・高血圧・甲状腺機能亢進症・糖尿病・前立腺肥大を持つ人への確認
  • ダイオウ重複: 授乳中・妊婦・下痢しやすい人への確認

「漢方薬は自然由来だから安全」という誤解を解き、成分の横断的確認を促すことが登録販売者としての最重要業務の一つです。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」および第1節「かぜ薬」・第5節「腸の薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

カンゾウ・マオウ・ダイオウの基原と含有処方の横断注意

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

全5章のオリジナル問題。各問に出典(厚労省手引き)とAI解説(3レベル)付き・閲覧無料。