問題
カンゾウ(甘草)・マオウ(麻黄)・ダイオウ(大黄)の基原および含有処方における注意事項に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
「複数の漢方薬を同時服用しても各処方の1日用量を守ればグリチルリチン酸の過剰摂取にならない」という記述が誤りです。カンゾウはかぜ薬や鎮咳去痰薬以外の医薬品にも配合されていることが少なくなく、甘味料として一般食品等にも広く用いられています。そのため、摂取されるグリチルリチン酸の総量が継続して多くならないよう注意する必要があります。
暗記ポイント: 「カンゾウ→マメ科・根及びストロン→偽アルドステロン症(総摂取量に注意)」「マオウ→マオウ科・地上茎→アドレナリン作動成分と同様の作用・依存性」「ダイオウ→タデ科・根茎→センノシドを含む・授乳中は避ける」。
3つの生薬の基原・注意事項まとめ:
| 生薬名 | 基原 | 主要注意事項(手引き) |
|---|---|---|
| カンゾウ(甘草) | マメ科のGlycyrrhiza uralensis又はGlycyrrhiza glabraの根及びストロン | 大量摂取で偽アルドステロン症。1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上の製品は、むくみ・心臓病・腎臓病・高血圧のある人や高齢者では相談等、慎重に使用。グリチルリチン酸の総量に注意 |
| マオウ(麻黄) | マオウ科のEphedra sinica等の地上茎 | アドレナリン作動成分と同様の作用。心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能亢進症の人は使用前に相談。依存性 |
| ダイオウ(大黄) | タデ科のRheum palmatum等の、通例、根茎 | センノシドを含む大腸刺激性瀉下成分。授乳中は使用を避けるか授乳を避ける。瀉下薬は妊婦では「相談すること」 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 手引きは、カンゾウを「マメ科のGlycyrrhiza uralensis Fischer 又はGlycyrrhiza glabra Linné の根及びストロン」を基原とする生薬とし、大量に摂取するとグリチルリチン酸の大量摂取につながり、偽アルドステロン症を起こすおそれがあるとしています。
- イ(正): マオウは「アドレナリン作動成分と同様の作用を示す生薬成分」であり、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがあるため、使用前に医師等に相談がなされるべきとされています。
- ウ(正): 手引きは「ダイオウもセンナと同様、センノシドを含み、大腸刺激性瀉下成分として用いられる」とし、センナ、センノシド、ダイオウについて、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要があるとしています。
- エ(誤・正答): 手引きは、グリチルリチン酸を含む成分が「かぜ薬以外の医薬品にも配合されていることが少なくなく」、総摂取量が継続して過剰にならないよう注意を促す必要があるとしています。「各処方の1日用量を守れば過剰摂取にならない」は誤りです。
- オ(正): 手引きは、メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、マオウについて「中枢神経系に対する作用が他の成分に比べ強いとされ、依存性がある成分であることに留意する必要がある」としています。
【グリチルリチン酸の偽アルドステロン症:横断注意の実務】
グリチルリチン酸は、化学構造がステロイド性抗炎症成分に類似していることから、抗炎症作用を示すと考えられています。グリチルリチン酸を大量に摂取すると、偽アルドステロン症を生じるおそれがあります。
手引きの基準(第3章 Ⅰ-1かぜ薬・Ⅱ-1鎮咳去痰薬):
- むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者に、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上(カンゾウ(原生薬換算)として1g以上)の製品を使用する場合は、医師等に相談する等、事前にその適否を十分考慮し、慎重に使用する
- どのような人が対象であっても、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上(カンゾウとして1g以上)となる製品は長期連用を避ける
- 医薬品ではグリチルリチン酸としての1日摂取量が200mgを超えないよう用量が定められている
- かぜ薬以外の医薬品にも配合されていることが少なくなく、グリチルリチン酸二カリウムは甘味料として一般食品や医薬部外品などにも広く用いられているため、総摂取量が継続して過剰にならないよう注意を促す
このため、1製品ごとに用量を守っていても、複数のカンゾウ含有製品を併用すると総摂取量が多くなり得ます。これが選択肢エの誤りの核心です。
【マオウ(麻黄)の作用と依存性】
マオウは、アドレナリン作動成分と同様の作用を示す生薬成分で、気管支拡張のほか、発汗促進、利尿等の作用も期待されます。交感神経系への刺激作用によって、心臓血管系や、肝臓でのエネルギー代謝等にも影響が生じることが考えられ、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では、使用前に医師等に相談がなされるべきとされています。高齢者では、心悸亢進や血圧上昇、血糖値上昇を招きやすいので、慎重な使用が重要です。
かぜ薬に配合されるアドレナリン作動成分(メチルエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩等)とマオウについて、手引きは「いずれの成分も依存性があることに留意する必要がある」としています。
【ダイオウ(大黄)と妊婦・授乳婦】
- ダイオウはセンナと同様、センノシドを含み、大腸刺激性瀉下成分として用いられます
- ダイオウは各種の漢方処方の構成生薬としても重要ですが、瀉下を目的としない場合には瀉下作用は副作用となります。構成生薬にダイオウを含む漢方処方製剤では、瀉下薬の併用に注意する必要があります
- 授乳中:センナ、センノシド、ダイオウは吸収された成分の一部が乳汁中に移行し、乳児に下痢を生じるおそれがあるため、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要があります
- 妊婦:手引き 別表5-2では、瀉下薬(一部の成分のみからなる場合を除く)は「妊婦又は妊娠していると思われる人」の「相談すること」の対象で、理由は「腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため」です。なお、センナ及びセンノシドが配合された瀉下薬については、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきとされています
【3生薬の含有を確認すべき代表的漢方処方(手引き記載に基づく)】
| 処方名 | カンゾウ | マオウ | ダイオウ |
|---|---|---|---|
| 葛根湯 | ○ | ○ | - |
| 麻黄湯 | ○ | ○ | - |
| 小青竜湯 | ○ | ○ | - |
| 防風通聖散 | ○ | ○ | ○ |
| 大柴胡湯 | - | - | ○ |
| 芍薬甘草湯 | ○ | - | - |
| 麻子仁丸 | - | - | ○ |
| 三黄瀉心湯 | - | - | ○ |
3生薬の含有確認が重要な場面:
- カンゾウ重複: むくみ・心臓病・腎臓病・高血圧のある人や高齢者に複数のカンゾウ含有製品を販売する場合
- マオウ重複: 心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能亢進症の人への確認
- ダイオウ重複: 授乳中・妊婦・他の瀉下薬を使用している人への確認
「漢方薬は自然由来だから安全」という誤解を解き、成分の横断的確認を促すことが登録販売者の重要な役割です。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ-1-2)「主な配合成分等」(手引き R8 PDF p67-68)・第3章 Ⅱ-1-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(手引き R8 PDF p94-95)・第3章 Ⅲ-2-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(手引き R8 PDF p115-116)・第3章 ⅩⅣ-1-2)「代表的な漢方処方製剤、適用となる症状・体質、主な副作用」(手引き R8 PDF p194-195)・第5章 別表5-2「妊婦又は妊娠していると思われる人」(手引き R8 PDF p415) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

