第3章 主な医薬品とその作用80主な医薬品とその作用(成分群の共通注意・横断テーマ)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問80:主な医薬品とその作用(成分群の共通注意・横断テーマ)

アドレナリン作動成分(交感神経刺激成分)を含む一般用医薬品に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • メチルエフェドリン塩酸塩は気管支を拡張させる目的でかぜ薬・鎮咳去痰薬に配合されるアドレナリン作動成分であり、交感神経のアドレナリン受容体を刺激して血管収縮・心拍数増加を引き起こすことがある。
  • アドレナリン作動成分を含む薬を使用した場合、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿困難がある人は、症状が悪化するおそれがあるため使用前に医師・薬剤師等に相談することが必要である。
  • フェニレフリン塩酸塩はα₁受容体を選択的に刺激する成分で、鼻粘膜の血管収縮による鼻づまり改善を目的として鼻炎用内服薬・点鼻薬に用いられるが、高血圧や心臓病のある人は使用に際して注意が必要である。
  • アドレナリン作動成分には前立腺肥大(良性前立腺過形成)による排尿困難を悪化させる作用はなく、泌尿器系への影響は抗コリン成分のみに限られる。正答
  • 甲状腺機能亢進症の患者でアドレナリン作動成分を使用すると、甲状腺ホルモンによるアドレナリン受容体の感受性増大によって心悸亢進・血圧上昇等の循環器症状が過剰に出現するおそれがある。
正答:アドレナリン作動成分には前立腺肥大(良性前立腺過形成)による排尿困難を悪化させる作用はなく、泌尿器系への影響は抗コリン成分のみに限られる。

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正答はエ(誤っているもの)です。

アドレナリン作動成分は交感神経のα受容体を刺激して尿道(内尿道括約筋)の収縮を引き起こすため、前立腺肥大による排尿困難を悪化させることがあります。「泌尿器系への影響は抗コリン成分のみ」という記述が誤りです。

アドレナリン作動成分の共通注意は次の4点です。

  • 高血圧:血管収縮・血圧上昇を助長
  • 心臓病:心拍数増加・心負荷増大
  • 甲状腺機能障害:甲状腺ホルモンとの相乗でバイタル変動
  • 前立腺肥大・排尿困難:α₁受容体刺激で内尿道括約筋収縮→排尿がさらに困難に

ゴロ:「交感神経刺激で高心甲前(高血圧・心臓・甲状腺・前立腺)に要注意」

標準試験対策の基準レベル

アドレナリン作動成分の主な種類と含有カテゴリ:

| 成分 | 代表的な含有カテゴリ | 主な作用 |

|---|---|---|

| メチルエフェドリン塩酸塩 | かぜ薬・鎮咳去痰薬 | β₂受容体刺激→気管支拡張、α₁→鼻粘膜収縮 |

| フェニレフリン塩酸塩 | 鼻炎用内服薬・点鼻薬 | α₁選択的→鼻粘膜血管収縮 |

| ナファゾリン塩酸塩 | 点鼻薬・点眼薬 | α₁/α₂→鼻粘膜・眼血管収縮 |

| プソイドエフェドリン塩酸塩 | 鼻炎用内服薬(一部) | α₁/β→鼻粘膜収縮・気管支拡張 |

| テトラヒドロゾリン塩酸塩 | 点眼薬・点鼻薬 | α₁→血管収縮(充血・鼻づまり改善) |

各選択肢の解説:

  • ア(正): メチルエフェドリン塩酸塩はα₁・β₁・β₂受容体を刺激します。β₂刺激→気管支拡張(鎮咳・去痰目的)、α₁刺激→血管収縮・心臓β₁刺激→心拍数増加が起こりえます。心臓や血管への影響があるため、心臓病・高血圧の人は注意が必要な記述として正しいです。
  • イ(正): 手引きに記載されているアドレナリン作動成分の「相談すること」共通事項です。高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病(グリコーゲン分解促進で血糖上昇しうる)・前立腺肥大による排尿困難がある人は使用前に相談が必要です。
  • ウ(正): フェニレフリン塩酸塩はα₁選択的刺激薬であり鼻粘膜の血管収縮に有効ですが、全身の血管(特に細動脈)も収縮させるため血圧上昇・心臓への負荷増大があります。高血圧・心臓病の人には注意が必要な記述として正しいです。
  • エ(誤・正答): アドレナリン作動成分(特にα₁受容体刺激薬)は内尿道括約筋のα₁受容体を刺激して括約筋を収縮させ、排尿をさらに困難にします。前立腺肥大ですでに尿道が狭窄している状態では尿閉のリスクが高まります。「泌尿器系への影響は抗コリン成分のみ」は誤りであり、アドレナリン作動成分も排尿困難に影響します。
  • オ(正): 甲状腺ホルモン(T₃・T₄)はアドレナリン受容体(特にβ受容体)の発現量・感受性を増大させます。甲状腺機能亢進症では受容体が過感受性の状態にあるため、アドレナリン作動成分の少量でも心悸亢進・血圧上昇・不整脈が過剰に出現することがあります。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【アドレナリン作動成分の薬理機序と疾患別の影響詳細】

アドレナリン受容体のサブタイプと臓器分布:

| 受容体 | 主な分布 | 刺激時の反応 |

|---|---|---|

| α₁ | 血管平滑筋(細動脈・静脈)、内尿道括約筋、鼻粘膜血管、瞳孔散大筋 | 血管収縮・尿道括約筋収縮・散瞳 |

| α₂ | 交感神経終末(自己受容体)、脂肪細胞、血小板 | ノルアドレナリン遊離抑制・血小板凝集 |

| β₁ | 心筋(洞結節・房室結節・心室筋) | 心拍数増加・収縮力増大 |

| β₂ | 気管支平滑筋、骨格筋血管、子宮平滑筋 | 気管支拡張・血管拡張 |

| β₃ | 脂肪細胞、膀胱(排尿筋) | 脂肪分解・排尿筋弛緩 |

疾患別リスクの機序:

(1)高血圧:

  • α₁刺激→末梢血管抵抗増大→拡張期血圧上昇
  • β₁刺激→心拍出量増加→収縮期血圧上昇
  • 血圧コントロール中の患者では薬効が十分でなくなったり、高血圧クリーゼ(急激な血圧上昇)のリスクが高まります。
  • モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)との併用でアドレナリン様物質の代謝が障害され、著しい血圧上昇を引き起こす危険があります(薬物相互作用)。

(2)心臓病:

  • β₁刺激→心拍数増加・心筋収縮力増大→心臓の酸素需要増大
  • 狭心症では冠動脈の予備能を超える酸素需要増大→狭心症発作の誘発
  • 不整脈(心房細動・心室頻拍)の素因がある人では、交感神経刺激が引き金となり重篤な不整脈を誘発することがあります。

(3)甲状腺機能障害:

  • 甲状腺ホルモン(T₃)は核内受容体を介してβ₁アドレナリン受容体のmRNA発現を増大させます。
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病等):β受容体が過発現・過感受性の状態→アドレナリン作動成分の少量で著しい頻脈・動悸・血圧上昇が起こりえます。
  • 甲状腺機能低下症:β受容体感受性の低下→逆に有効性が落ちる場合がありますが、使用前相談の対象です。
  • 糖尿病:β₂刺激→肝臓でのグリコーゲン分解促進・膵臓からのインスリン分泌抑制→血糖値上昇。インスリン・経口血糖降下薬の効果を弱めることがあります。

(4)前立腺肥大・排尿困難(重要・誤りやすい):

  • α₁受容体は内尿道括約筋・前立腺間質・尿道平滑筋に分布します。
  • α₁刺激→内尿道括約筋収縮→尿道出口が締まって排尿困難が悪化します。
  • 良性前立腺過形成(BPH)の薬物治療に用いられるα₁遮断薬(例:タムスロシン)がα₁受容体を遮断して内尿道括約筋を弛緩させ排尿を助けることと対比して理解できます(逆の作用)。
  • 前立腺肥大の患者にアドレナリン作動成分を含む薬(例:かぜ薬のメチルエフェドリン・鼻炎薬のプソイドエフェドリン)を勧める際は十分な問診と医師相談の指導が必要です。

登録販売者として確認すべき問診項目と対応:

| 確認事項 | リスクの理由 | 対応 |

|---|---|---|

| 高血圧(治療中・未治療問わず) | 血管収縮→血圧上昇 | 医師・薬剤師に相談を促す |

| 心臓病(狭心症・不整脈・弁膜症等) | 心拍増加・酸素需要増大→発作誘発 | 使用前に必ず医師に相談 |

| 甲状腺機能亢進症 | β受容体過感受性→循環器症状過剰 | 使用を控え医師へ |

| 糖尿病(インスリン・内服薬使用中) | 血糖値上昇・降下薬効果減弱 | 使用前に相談 |

| 前立腺肥大・排尿困難 | α₁刺激→内尿道括約筋収縮→尿閉リスク | 使用前に相談。α₁遮断薬との相互作用も確認 |

これらは添付文書の「相談すること」(基礎疾患欄)に記載される標準的な確認事項であり、登録販売者がOTC販売時に口頭で確認する義務があります。アドレナリン作動成分は多数のカテゴリ(かぜ薬・鼻炎薬・点鼻薬・点眼薬・鎮咳去痰薬)に横断的に含まれるため、1製品に複数の抗コリン成分・アドレナリン作動成分が配合されている場合のリスク重複にも注意が必要です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 主な医薬品の副作用・成分の使用上の注意(アドレナリン作動成分の共通注意 各節横断) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

アドレナリン作動成分の共通注意(高血圧・心臓病・甲状腺・前立腺肥大頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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