第3章 主な医薬品とその作用85主な医薬品とその作用(まれな重篤副作用・横断テーマ)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問85:主な医薬品とその作用(まれな重篤副作用・横断テーマ)

医薬品による間質性肺炎に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 間質性肺炎の典型的な症状は発熱・膿性痰・胸部のゴロゴロとした湿性の咳であり、細菌性肺炎と同一の症状が現れるため鑑別診断が不要である。
  • 間質性肺炎は医薬品の投与を開始して数年後に徐々に発症するため、医薬品を使い始めて数週間程度では間質性肺炎の発症を疑う必要はない。
  • 間質性肺炎の初期症状として、息切れ・空咳・発熱が現れた場合は医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診察を受ける必要がある。正答
  • 小柴胡湯による間質性肺炎はかつて問題となったが、現在市販されている小柴胡湯に間質性肺炎のリスクはなく、他の漢方薬による間質性肺炎も報告されていない。
  • 間質性肺炎は肺の「肺胞」部分(空気と血液の間のガス交換場所)に炎症が生じる疾患であり、間質(肺胞と肺胞の間の組織)には炎症は生じない。
正答:間質性肺炎の初期症状として、息切れ・空咳・発熱が現れた場合は医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診察を受ける必要がある。

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正答はウです。

間質性肺炎の初期症状は空咳・息切れ(運動時)・発熱です。これらが現れた場合は使用している医薬品を直ちに中止し、医師の診察を受ける必要があります。

アは「湿性の咳・膿性痰」ではなく空咳(乾性咳嗽)が特徴、イは「数年後」ではなく比較的短期間で発症することもある、エは現在も小柴胡湯等の漢方薬で間質性肺炎のリスクがある、オは間質(肺胞と肺胞の間の組織)に炎症が生じる疾患が間質性肺炎、がそれぞれ誤りです。

ゴロ:「空咳・息切れ・発熱=間質性肺炎のサイン、すぐ中止・受診

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医薬品による間質性肺炎の概要:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 病変部位 | 肺の間質(肺胞を取り囲む結合組織・血管・リンパ管のある部分) |

| 炎症の性質 | 非感染性・免疫反応性(細菌・ウイルスでなく薬剤が引き金) |

| 典型的症状 | 乾性咳嗽(空咳)・労作時息切れ・発熱・全身倦怠感 |

| 発症時期 | 使用開始後数週間〜数ヶ月(個人差あり) |

| 画像所見 | 両肺野のすりガラス陰影・網状陰影(X線・CT) |

| 重症化 | 呼吸不全・肺線維症 |

原因となりうる主な一般用医薬品(の成分・カテゴリ):

| 原因成分・カテゴリ | 代表的なもの |

|---|---|

| 漢方薬 | 小柴胡湯(最も有名)・柴胡桂枝湯・柴苓湯等のサイコ(柴胡)含有処方 |

| 解熱鎮痛薬 | 一部のNSAIDs(アスピリン・イブプロフェン等) |

| その他 | 添付文書に「重大な副作用:間質性肺炎」の記載がある成分全般 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 間質性肺炎の咳は乾性咳嗽(空咳)が特徴であり、膿性痰・湿性咳嗽は細菌性肺炎の特徴です。間質性肺炎と細菌性肺炎は症状が異なるうえに鑑別が重要で、「同一症状・鑑別不要」は誤りです。
  • イ(誤): 間質性肺炎は使用開始後数週間〜数ヶ月以内に発症することがあります。「数年後」は誤りで、使用開始直後〜早期の段階でも発症しうるため注意が必要です。
  • ウ(正): 息切れ・空咳・発熱は間質性肺炎の初期症状として手引きに記載される重要なサインです。これらが現れた場合は直ちに使用を中止し、医師の診察を受けることが求められます。正しい記述です。
  • エ(誤): 小柴胡湯による間質性肺炎はかつて重篤な副作用として社会問題となりましたが(1994年頃からPMDAに報告が集積)、現在も小柴胡湯等の漢方薬では間質性肺炎のリスクは否定されていません。添付文書にも重大な副作用として記載されています。「現在リスクなし・他の漢方でも報告なし」は誤りです。
  • オ(誤): 間質性肺炎は「肺胞」ではなく「間質」(肺胞と肺胞の間・肺胞壁・肺血管周囲・細気管支周囲の結合組織)に炎症が生じる疾患です。間質に炎症・線維化が進むとガス交換が障害されて息切れ・呼吸不全が生じます。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【医薬品性間質性肺炎の病態生理と登録販売者の早期発見における役割】

間質性肺炎の構造的背景:

肺の構造:

  • 肺胞:薄い膜(I型・II型肺胞上皮細胞)で覆われた小嚢。酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる。
  • 肺胞間質(interstitium):肺胞と肺胞の間・肺血管周囲・気管支周囲に存在するコラーゲン・エラスチン繊維の網目状構造。

間質性肺炎では、この間質に炎症細胞(リンパ球・マクロファージ)の浸潤・線維芽細胞の増殖・膠原線維の沈着が起こります。

医薬品性間質性肺炎の主な発症機序:

1. 免疫学的(アレルギー性)機序(最も多い)

- 薬剤または代謝産物が肺組織のタンパクとハプテンを形成→T細胞を介した免疫反応→肺間質への炎症細胞浸潤

- 発症時期:比較的早い(数日〜数週間)

- 特徴:好酸球増多(血液検査)・再投与で再燃

2. 直接毒性機序

- 薬剤が肺胞上皮細胞・内皮細胞に直接障害

- 発症時期:用量依存的・遅発性

- 特徴:用量依存性・好酸球増多は少ない

小柴胡湯による間質性肺炎(歴史的背景と現在の警告):

  • 1994年頃からC型慢性肝炎患者への小柴胡湯の広範な使用と間質性肺炎の発症が問題視されました。
  • インターフェロンとの併用がリスクを著しく高めることが判明し、「インターフェロン製剤との併用禁忌」が設定されました。
  • 現在も小柴胡湯の添付文書には「重大な副作用:間質性肺炎」の記載が維持されています。
  • 柴胡桂枝湯・柴苓湯等のサイコ(柴胡)を含む処方にも同様のリスクが報告されています。
  • サイコに含まれるサポニン(サイコサポニン等)が免疫調節作用を介して肺の炎症反応を誘発するという説がありますが、詳細な機序は解明中です。

間質性肺炎と細菌性肺炎の鑑別ポイント(登録販売者が認識すべき):

| 特徴 | 間質性肺炎(薬剤性) | 細菌性肺炎 |

|---|---|---|

| 咳の性質 | 乾性咳嗽(空咳)・痰なし | 湿性咳嗽・膿性痰・血痰 |

| 発熱 | あり(軽度〜中等度)| あり(高熱)|

| 息切れ | 労作時から早期に出現 | 重症化してから出現 |

| 胸痛 | 少ない | あり(胸膜炎合併時) |

| 感染症状 | 明らかな感染源なし | 感染(菌血症等の可能性) |

| 薬剤服用歴 | あり(重要な問診事項) | 関係しないことが多い |

発症時期と対応の重要性:

間質性肺炎は医薬品開始後数日〜数ヶ月で発症します。重症化すると肺線維症(不可逆的な肺組織の線維化)に至り、呼吸機能が永続的に障害されます。

「少し空咳が続く」「動くと息切れがする」という軽微な症状の段階で発見・中止できれば回復が期待できますが、放置すると呼吸不全・死亡に至ることがあります。

登録販売者の早期発見における実務的アクション:

1. 問診時の確認事項

- 現在の空咳・息切れ・発熱の有無

- 医薬品使用開始からの時期(数週間〜数ヶ月以内の発症に注意)

- 既往の肺疾患(気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患)

2. 特にリスクが高い状況での注意

- 小柴胡湯・柴胡含有漢方薬の使用者

- 高齢者(肺の予備能低下)

- インターフェロン等の免疫調節薬との併用(OTC薬として扱うことは少ないが確認)

3. 症状出現時の対応

- 空咳・息切れ・発熱が現れた場合→「使用中の医薬品を中止して早急に医師を受診してください。服用中の薬の名前を医師に伝えてください」と指導

4. 受診時の情報提供のサポート

- 使用した製品名・成分・使用期間を正確に記録・伝達できるよう支援

間質性肺炎は早期発見・早期中止が回復の鍵であり、日常的な販売現場での問診・指導が患者安全に直結します。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 主な医薬品の副作用(間質性肺炎) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

まれな重篤副作用②・間質性肺炎(空咳・息切れ・原因成分と漢方頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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