登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問87|まれな重篤副作用④・腸間膜静脈硬化症

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

腸間膜静脈硬化症(腸間膜静脈の硬化・大腸の血流障害)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイです。

腸間膜静脈硬化症はサンシシ(山梔子)を含む漢方薬の長期服用によって引き起こされることがある重篤な副作用です。腸間膜の静脈が硬化し、大腸への血流が障害されます。

サンシシを含む代表的な漢方薬:

  • 黄連解毒湯・加味逍遥散・防風通聖散・辛夷清肺湯・茵蔯蒿湯・辛夷清肺湯(成分表示を確認)
  • ※大柴胡湯はサンシシを含みません(混同に注意)

症状:腹痛・下痢・便秘・嘔吐(慢性的な消化器症状)

アは「急性感染症・短期間」ではなく長期服用(数年〜10年以上)で発症、ウは重篤化する場合がある、エは漢方薬との関係が明確にある、オは「数週間で必ず発症・10年以上では考慮不要」は逆で長期服用ほどリスクが高い、がそれぞれ誤りです。

ゴロ:「山梔子(さんしし)が長く腸間膜の静脈を固める」

腸間膜静脈硬化症の概要:

項目内容
病変部位腸間膜の静脈(腸に血液を供給する静脈)・大腸の血管壁
病態静脈壁の線維化・石灰化→腸管への血流障害→大腸の虚血性変化
原因サンシシ含有漢方薬の長期服用(数年〜10年以上が多い)
症状腹痛・下痢・便秘・嘔吐・腹部膨満感(慢性的・繰り返す)
確認手段腹部CT(腸間膜静脈の石灰化・大腸壁の肥厚が確認される)
対応原因漢方薬の中止。重症例では手術が必要な場合も

サンシシ(山梔子)を含む代表的な漢方処方:

漢方処方名主な用途
黄連解毒湯のぼせ・高血圧・皮膚炎
温清飲皮膚疾患・婦人科疾患
加味逍遥散冷え症・虚弱体質・更年期障害
防風通聖散肥満・便秘・高血圧
茵蔯蒿湯黄疸・じんましん・口内炎
辛夷清肺湯鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 腸間膜静脈硬化症は急性感染症ではなく、サンシシ含有漢方薬の長期服用(多くの場合数年〜10年以上)によって徐々に発症する非感染性の副作用です。「急性感染症・短期間で急激に発症」は誤りです。
  • イ(正): 手引きは黄連解毒湯・加味逍遙散・防風通聖散・辛夷清肺湯・清上防風湯の重篤な副作用として腸間膜静脈硬化症を挙げており、これらはサンシシを含む処方です。一般用医薬品でもこれらの漢方処方が販売されているため、長期服用には注意が必要です。正しい記述です。
  • ウ(誤): 腸間膜静脈硬化症は慢性的な経過をたどることが多く、進行すると腸管の虚血・壊死・腸閉塞等の重篤な状態に至ることがあります。外科手術が必要となる場合もあります。「重篤化しない・問題にならない」は誤りです。
  • エ(誤): 腸間膜静脈硬化症と漢方薬(サンシシ含有)の因果関係は医学的・薬学的に報告されており、手引きも黄連解毒湯・防風通聖散等の重篤な副作用として腸間膜静脈硬化症を挙げています。「漢方薬との服用と無関係」は誤りです。
  • オ(誤): 腸間膜静脈硬化症は長期服用(数年〜10年以上)によって発症するリスクが高まります。「数週間〜数ヶ月で必ず発症」するわけでも、「10年以上では考慮不要」でもありません。長期服用者こそ注意が必要です。

【腸間膜静脈硬化症の病態と登録販売者の役割】

腸間膜静脈硬化症の発見の経緯:

腸間膜静脈硬化症(mesenteric phlebosclerosis)は比較的新しく認識された疾患であり、日本消化器内視鏡学会や日本消化器病学会から複数の症例報告が集積したことで、サンシシ含有漢方薬との因果関係が明らかになりました。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルにも収載されており、添付文書への記載が整備されています。

病態の詳細(腸管虚血のメカニズム):

1. サンシシ(山梔子)の長期服用

2. 腸間膜静脈(腸から肝門脈に血液を送る静脈系)の壁に石灰化・線維化が進行

3. 静脈壁が硬くなり(sclerosis)血流が低下

4. 腸管(特に大腸)への血液供給が慢性的に減少

5. 大腸粘膜の虚血性変化・腸壁の浮腫・肥厚

6. 重症化:腸管壊死・腸閉塞・腹膜炎→緊急手術

腸間膜静脈硬化症の特徴的な画像所見:

  • 腹部単純CT:腸間膜静脈・門脈末梢枝の石灰化(特徴的な線状の高吸収域)
  • 内視鏡:大腸粘膜の暗紫色変色・粘膜浮腫・びらん

サンシシの成分と毒性仮説:

サンシシ(山梔子、Gardenia jasminoides の果実)に含まれる主な成分:

  • ゲニポシド(イリドイド配糖体)→腸内細菌によりゲニピン(ゲニポシドの苦味成分)に加水分解される
  • ゲニピンは反応性が高く、タンパクのアミノ基と結合して青色色素を形成する(腸管壁の青染)という仮説が報告されています。
  • この成分が腸間膜静脈壁のコラーゲン等と結合し、線維化・硬化を促進するとする説があります。
  • ただし詳細な機序は完全には解明されていません。

発症までの時期と個人差:

腸間膜静脈硬化症の特徴として、発症までに長期間(数年〜10年以上の長期服用後)を要することが多いです。

  • 5年以上の服用での発症が多くの症例で報告されています。
  • 発症リスクは個人差があり、同じ処方を同期間服用しても発症しない人も多くいます。
  • 腸管循環の個体差・遺伝的要因・食生活等が影響すると考えられます。

症状と経過:

初期・中期症状(慢性的・繰り返す):

  • 腹痛(特に食後)・腹部膨満感
  • 下痢・便秘(交互に出ることもある)
  • 嘔気・嘔吐

重症化した場合:

  • 腸管壊死→穿孔→腹膜炎
  • 腸閉塞(イレウス)
  • 緊急手術が必要になる場合がある

登録販売者の実務対応:

1. 長期服用者への定期的な確認

- サンシシ含有漢方薬(黄連解毒湯・加味逍遥散・防風通聖散・辛夷清肺湯等)を販売する際、「何年も服用している」という患者への問診が重要です。

- 「腹痛・下痢・便秘が続く・繰り返すようになった」という訴えがあれば、使用している漢方薬との関係を確認します。

2. 初期症状の認識と対応

- 慢性的な腹部症状(腹痛・下痢・便秘)が繰り返す → サンシシ含有漢方薬の長期使用者であれば腸間膜静脈硬化症を疑い医師受診を勧める

- 使用を中止して医師に相談するよう指導

3. 漢方薬の長期使用への適切な情報提供

- 「漢方薬は自然だから安全」という誤解を正し、長期服用にはリスクがあることを伝える

- 添付文書の「長期連用する場合は医師・薬剤師に相談すること」の説明を行う

腸間膜静脈硬化症は登録販売者試験では比較的新しい論点ですが、漢方薬を長期服用する高齢者が多い日本の実状では重要な安全情報です。販売現場での適切な情報提供と症状把握が患者の安全につながります。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ-1-2)「代表的な漢方処方製剤、適用となる症状・体質、主な副作用」(黄連解毒湯・防風通聖散・清上防風湯)、Ⅵ-2)(加味逍遙散)(腸間膜静脈硬化症)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ-1-2)「代表的な漢方処方製剤、適用となる症状・体質、主な副作用」(黄連解毒湯・防風通聖散・清上防風湯)、Ⅵ-2)(加味逍遙散)(腸間膜静脈硬化症) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • まれな重篤副作用④・腸間膜静脈硬化症(長期服用漢方・サンシシ含有
  • 頻出度B

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