登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問88|まれな重篤副作用⑤・皮膚粘膜眼症候群

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群:SJS)および中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエ(誤っているもの)です。

SJS・TENは外用ステロイドで対処できる軽微な副作用ではなく、命に関わる重篤な疾患です。初期症状が出た時点で使用中の医薬品を中止し、直ちに医師(皮膚科・眼科)を受診することが必要です。「重症化してから受診」では手遅れになる可能性があります。

SJS・TENの基本整理:

  • SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群):発熱・口腔粘膜びらん・目充血・皮膚発疹・水疱
  • TEN(中毒性表皮壊死融解症):SJSより重症。皮膚が広範囲(全身の10%以上)に剥離。致命的となることがある
  • 原因:解熱鎮痛薬・かぜ薬・抗菌成分等のOTC薬も含む

ゴロ:「SJSはスゴイ(重篤)症状・即中止即受診」

SJSとTENの基本(手引き準拠):

  • SJS(皮膚粘膜眼症候群):高熱・粘膜(口・目)のただれ・全身の発疹や水疱が現れる。表皮の剥離は比較的限られる。
  • TEN(中毒性表皮壊死融解症):SJSより重症で、全身の10%以上の広い範囲で表皮が剥離する。
  • 両者とも発症は非常にまれ・予測が極めて困難だが、いったん発症すると急速に進行し致命的となることがある。原因は医薬品(解熱鎮痛成分・かぜ薬・抗菌成分・一部の漢方等)が多く、OTC薬でも起こりうる。

> 注:発症頻度や致死率の精密な数値は文献により幅があり、手引きの範囲を超えます。登録販売者試験では「まれだが予測困難で重篤」という性質の理解が問われます。

各選択肢の要点:

  • ア(正):初期症状(発熱・口腔粘膜びらん・眼充血・発疹・水疱)と、広範囲の表皮剥離でTENへ移行するという流れは正確。
  • イ(正):解熱鎮痛薬・かぜ薬等のOTC薬も原因となりうる(手引き記載)。
  • ウ(正):「まれ・予測困難・急速進行・致命的となりうる」という性質の記述として正しい。
  • エ(誤・正答):SJS・TENは外用ステロイドで対処できる軽微な副作用ではなく、全身性の重篤疾患。初期症状の時点で中止・受診が必須で、「重症化してから受診」は誤りかつ危険。
  • オ(正):初期症状に気づいたら使用中の薬を直ちに中止し、速やかに専門医(皮膚科・眼科等)を受診する、という対応は正しい。

【SJS・TENの免疫病態と登録販売者が知るべき早期警告サイン】

SJS・TENの免疫学的機序:

SJS・TENは遅延型(Ⅳ型)アレルギー反応に分類される薬剤性皮膚障害です。

1. 薬剤または代謝産物が皮膚・粘膜のタンパクとハプテンを形成

2. 抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞・樹状細胞)が薬剤-タンパク複合体をT細胞に提示

3. 薬剤特異的細胞傷害性T細胞(CD8+)が活性化

4. 活性化CTLが表皮ケラチノサイトに対してFasL-Fas系・グランザイム・ペルフォリンを介した細胞障害を引き起こす

5. 大量の表皮細胞がアポトーシス→表皮の壊死・剥離

特にT細胞由来のグランリシン(granulysin)というタンパクがTENにおける大量の表皮壊死の主要メディエーターのひとつとして報告されており、病態理解の進展に寄与しています(研究知見であり、登録販売者試験で問われる範囲ではない参考情報です)。

初期症状の時系列(早期発見のために):

SJS・TENは「かぜがこじれた」と誤解されやすい順序で進みます。

1. 発熱・倦怠感などのかぜ様症状(先行・見落としやすい)

2. 口腔・咽頭粘膜のびらん(口内炎のような、しかし急に多発・悪化するただれ)

3. 眼の充血・目やに・まぶしさ(羞明)

4. 皮膚の紅斑・発疹(中心が暗く周囲が赤い標的状の病変が特徴的)

5. 水疱・びらんが拡大

6. (TEN)全身の10%以上の広範囲で表皮が剥離し、やけど(熱傷)に似た状態に至る

「発熱」と「口・目・皮膚の複数の粘膜・皮膚症状」が同時に重なることが、ただの口内炎やかぜとSJSを見分ける最大のポイントです。

HLA(ヒト白血球抗原)との関連:

特定のHLA型を持つ人では薬剤性SJS・TENのリスクが著しく高まることが知られています。

HLA型関連薬剤主な対象民族
HLA-B*15:02カルバマゼピン(抗てんかん薬)東アジア系(タイ・中国・マレーシア等)
HLA-B*57:01アバカビル(抗HIV薬)欧米系
HLA-A*31:01カルバマゼピン日本人を含む複数

一般用医薬品に関連するNSAIDsについてはHLA型との明確な関連は現時点で確立されていませんが、遺伝的感受性が存在することは医学的に認識されています(この表は処方薬を含む参考であり、登録販売者試験の出題範囲ではありません)。

原因となりうる成分・カテゴリの横断整理:

SJS・TENの重要な特徴は、「特定の1成分だけ」ではなく多くの医薬品で起こりうることです。手引きも原因を特定成分に限定列挙していません。第3章の各論で別々に学ぶ成分が、この副作用では横断的に関わります。

成分・カテゴリ主に含まれる製品登録販売者の着眼点
解熱鎮痛成分(アスピリン・イブプロフェン・アセトアミノフェン・サザピリン等)解熱鎮痛薬・かぜ薬最も相談機会が多い。「かぜ薬・痛み止めを飲んでいて皮膚・粘膜症状」は要警戒
かぜ薬(複数成分の複合配合)総合感冒薬どの配合成分が原因か特定困難。製品全体を中止し受診へ
抗菌・抗ヒスタミン等の配合成分鼻炎薬・外用消炎薬等OTC含有の有無を製品ごとに確認
一部の漢方・生薬製剤漢方処方漢方でも報告例あり。「自然だから安全」ではない旨を伝える

> 特定の製品名・処方名を「これがSJSの原因」と断定して伝えることは避けます。原因は使用中の医薬品全般にありうるため、疑わしければ使用中の薬を中止して受診という対応が安全です。

OTC薬による発症例の特徴と登録販売者が知るべきこと:

解熱鎮痛薬・かぜ薬による発症例の特徴:

  • 初回使用時より、過去に問題なく使用していた薬でも発症することがある(免疫感作・交差反応等)
  • 使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある
  • 初期に「かぜをひいている」と誤解しやすい(発熱・倦怠感が先行する)

初期症状の見分け方(登録販売者が相談を受けた際の確認ポイント):

症状SJSを疑うポイント
口の中がただれる・食べられない通常の口内炎と異なる急激な悪化・多発病変
目が充血・目やにが多い眼科疾患でなく全身症状の一部として出現
皮膚に発疹・水疱標的状(中心が暗く周囲が赤い)病変が特徴的
発熱かぜ薬・解熱鎮痛薬使用中に出現している場合は注意
上記が複数重なるSJS・TENの可能性を強く疑う

登録販売者の対応フロー:

1. 医薬品(解熱鎮痛薬・かぜ薬等)使用中の皮膚・粘膜・眼症状の相談

- 「口の中がただれてきた・目が充血している・皮膚に発疹・水疱がある」という組み合わせがあれば、SJSの可能性を念頭に置く

2. 即時中止と医師受診の指示

- 「使用中の薬を今すぐ中止してください」

- 「皮膚科または救急外来(症状が重篤な場合)を速やかに受診してください」

- 「受診時に使用している薬の名前・成分を医師に伝えてください」

3. 外用薬での自己対処を勧めない

- 「とりあえず市販の塗り薬を」は絶対に言わない

- SJS・TENは外用薬での対処は不適切であり、遅延は症状の急速な悪化をもたらす

4. 医療機関での標準治療(参考知識)

- 原因薬の中止(最優先)

- 免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)

- 熱傷に準じた集中管理(水分・電解質・感染管理)

- 眼科・皮膚科・救急科の連携

SJS・TENはまれな副作用ですが、発見が1日遅れることで重症化・死亡リスクが増大します。登録販売者が販売現場で早期警告サインを認識し、適切に受診勧奨することが患者の命を守る最前線となります。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅲ-1-2)「重篤な皮膚粘膜障害」(皮膚粘膜眼症候群・中毒性表皮壊死融解症)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅲ-1-2)「重篤な皮膚粘膜障害」(皮膚粘膜眼症候群・中毒性表皮壊死融解症) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。