第3章 主な医薬品とその作用96主な医薬品とその作用(痔疾用薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問96:主な医薬品とその作用(痔疾用薬)

痔疾用薬に配合される成分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • リドカインは局所麻酔成分として痔による痛み・かゆみを緩和する目的で外用痔疾用薬に配合され、まれにショック(アナフィラキシー)を引き起こすことがある。
  • ヒドロコルチゾン酢酸エステルはステロイド性抗炎症成分であり、痔の炎症・腫れを緩和する目的で使用されるが、長期連用により皮膚・粘膜の局所的な症状が現れることがある。
  • カルバゾクロムは毛細血管を強化して出血を抑える目的で配合される止血成分であり、内服の痔疾用薬にも用いられる。
  • アラントインは組織修復を促進する成分として痔疾用薬に配合され、損傷した粘膜や皮膚の再生を助ける目的で使用される。
  • テトラカインは局所麻酔成分としてリドカインと同様に痔の止痛を目的として使用されるが、全身に作用するため、全身麻酔にも転用が容易な成分である。正答
正答:テトラカインは局所麻酔成分としてリドカインと同様に痔の止痛を目的として使用されるが、全身に作用するため、全身麻酔にも転用が容易な成分である。

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正答はオ(誤っているもの)です。

テトラカインは外用局所麻酔成分であり、主に局所(痔の患部)への作用を目的として使用されます。「全身に作用するため全身麻酔にも転用が容易」という記述は誤りです。外用薬の局所麻酔成分は患部の末梢神経を局所的に麻痺させるものであり、全身麻酔に転用できるものではありません。

ゴロ:「外用局所麻酔は患部だけ。テトラカイン=局所限定」

ア〜エはいずれも正しい記述です。

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痔疾用薬の主要成分と役割早見表:

| 目的 | 代表成分 | 特徴 |

|---|---|---|

| 局所麻酔(止痛・止痒) | リドカイン・テトラカイン・アミノ安息香酸エチル | 末梢神経のNaチャネル遮断。ショック(アナフィラキシー)注意 |

| 抗炎症(ステロイド) | ヒドロコルチゾン酢酸エステル・プレドニゾロン酢酸エステル | 炎症・腫れの緩和。長期連用により局所副作用 |

| 止血(毛細血管強化) | カルバゾクロム・トコフェロール酢酸エステル | 毛細血管の脆弱性改善・出血抑制 |

| 組織修復 | アラントイン・ビタミンA油・パンテノール | 粘膜・皮膚の再生促進 |

| 収斂(組織引き締め) | タンニン酸・硫酸アルミニウムカリウム(明礬) | 粘膜・皮膚タンパク変性→保護膜形成 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): リドカインはアミド型局所麻酔薬であり、Naチャネルを遮断して末梢神経の興奮伝導を阻害します。局所の痛み・かゆみを緩和しますが、まれにショック(アナフィラキシー)が起こることがあります。使用後に異常を感じたら直ちに使用を中止して医師に相談します。
  • イ(正): ヒドロコルチゾン酢酸エステルはステロイド外用薬として炎症・腫れを抑制します。長期連用により局所の皮膚・粘膜萎縮・感染防御能低下が起こりえます。ステロイド外用薬は症状が改善したら漫然と継続しないことが原則です。
  • ウ(正): カルバゾクロムは毛細血管壁の強化と透過性亢進の是正により出血を抑制する止血成分です。外用痔疾用薬だけでなく内服の痔疾用薬にも使用されます。
  • エ(正): アラントインは組織修復(wound healing)促進作用を持ち、損傷した粘膜・皮膚の細胞増殖を促します。外用痔疾用薬に配合されています。
  • オ(誤・正答): テトラカイン(エステル型局所麻酔薬)は外用局所麻酔として患部の末梢神経Na⁺チャネルを遮断することで局所の痛み・かゆみを緩和します。「全身に作用する」「全身麻酔に転用が容易」という記述は誤りです。外用局所麻酔成分は局所への適用が前提であり、全身麻酔とは全く異なる概念です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【痔疾用薬の各成分群の薬理詳細と使用上の注意】

局所麻酔成分の分類と作用機序:

局所麻酔薬は化学構造によりアミド型とエステル型に分類されます。

| 分類 | 代表成分 | 代謝 | アレルギーリスク |

|---|---|---|---|

| アミド型 | リドカイン・ジブカイン | 主に肝臓で代謝 | 比較的少ない |

| エステル型 | テトラカイン・アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン) | プラズマコリンエステラーゼで加水分解 | パラアミノ安息香酸(PABA)アレルギーに注意 |

作用機序:局所麻酔薬は電位依存性Na⁺チャネルの内側から結合して通道を遮断します。Na⁺の流入が阻害されると活動電位が発生できず、神経の興奮伝導が遮断されます。細い無髄神経(Cファイバー:温覚・痛覚)が最初に遮断され、太い有髄神経(Aβ:触覚・圧覚)は最後まで残ります。

アナフィラキシーへの対応:エステル型局所麻酔薬(特にPABA誘導体)はアレルギーを起こしやすいとされています。外用痔疾用薬使用後に発疹・発赤・かゆみなど過敏症状が現れた場合は直ちに使用を中止し、症状が重篤(ショック、顔面蒼白、呼吸困難)な場合は救急受診が必要です。

ステロイド成分の詳細と留意点:

ヒドロコルチゾン酢酸エステル・プレドニゾロン酢酸エステルは外用ステロイド(コルチコステロイド)です。

作用機序:細胞内グルコルチコイド受容体(GR)に結合→核内移行→NF-κBなどの炎症性転写因子を抑制→炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α)の産生抑制→炎症・腫れ・かゆみの軽減。

長期連用の問題:

  • 局所皮膚萎縮(コラーゲン産生抑制)
  • 皮膚・粘膜感染リスク上昇(免疫抑制作用)
  • 毛細血管拡張(ステロイド性酒さ様皮膚炎)

痔疾用ステロイド薬は「使用してはいけない人」として細菌性・真菌性・ウイルス性の感染症がある場合が挙げられます。感染を伴う痔(肛門周囲膿瘍など)にステロイドを使用すると感染が増悪するリスクがあります。

止血成分の比較:

| 成分 | 分類 | 機序 | 特徴 |

|---|---|---|---|

| カルバゾクロム | 止血薬(毛細血管強化) | 毛細血管壁の脆弱性改善・血管透過性亢進抑制 | 内服・外用両方 |

| トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE) | 止血(抗酸化) | 毛細血管の血行促進・組織の酸化障害防止 | 止血補助 |

| タンニン酸 | 収斂止血 | タンパク変性により組織表面に保護膜形成→滲出液・出血抑制 | 外用のみ |

カルバゾクロム(旧称:アドレノクロム誘導体)は毛細血管の透過性を正常化することで、出血部位からの血漿成分の漏出を抑制します。内服薬として「痔による出血緩和」の目的で使われる場合があり、外用との使い分けが問われる論点です。

組織修復成分の詳細:

アラントインはプリン類似体であり、線維芽細胞の増殖促進・上皮細胞の再生促進・ケラチノサイトの遊走促進を通じて傷の治癒を早めます。ビタミンA油(レチノール誘導体)は皮膚・粘膜の健全な分化を促進します。パンテノール(プロビタミンB₅)は細胞内でパントテン酸に変換され、CoAの前駆体として組織修復に関与します。

痔の種類と薬の使い分け(登録販売者の実務):

| 痔の種類 | 特徴 | 適した薬 |

|---|---|---|

| 内痔核(いぼ痔) | 直腸下端〜肛門内の痔核。出血が多い | 坐剤・注入軟膏(止血・炎症緩和) |

| 外痔核 | 肛門外側の静脈瘤。痛み・腫れ | 外用クリーム・軟膏(局麻・炎症緩和) |

| 裂肛(きれ痔) | 肛門皮膚の裂創。鋭い痛み・出血 | 局所麻酔・組織修復・収斂成分 |

| 痔瘻(あな痔) | 肛門腺の感染→瘻管形成 | 手術適応のことが多い→受診勧奨 |

痔瘻(あな痔)は細菌感染を伴う疾患であり、一般用医薬品での対応は不適切です。痔瘻が疑われる場合は速やかに医師への受診を勧めることが登録販売者の重要な役割です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 手引き第3章で局所麻酔成分(リドカイン・アミノ安息香酸エチル・ジブカイン塩酸塩・テトラカイン塩酸塩等)は、痔の痛み・かゆみの緩和を目的に局所(患部)に配合される外用成分と位置づけられている。一般用の外用局所麻酔成分は患部末梢のNa⁺チャネル遮断による局所作用が目的であり、「全身に作用し全身麻酔に転用が容易」とする選択肢オは明白に誤り。正答オで確定。なお、まれにショック(アナフィラキシー)の報告がある旨(選択肢ア・リドカイン)も手引き準拠で正しい。正答変更なし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第6節「痔疾用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

痔疾用薬の成分=局所麻酔/ステロイド/止血/組織修復成分の役割頻出度B

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主な医薬品とその作用(かぜ薬)
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主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
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主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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