登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問96|痔疾用薬の成分=局所麻酔/ステロイド/止血/組織修復成分の役割

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

痔疾用薬に配合される成分に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオ(誤っているもの)です。

テトラカインは外用局所麻酔成分であり、主に局所(痔の患部)への作用を目的として使用されます。「全身に作用するため全身麻酔にも転用が容易」という記述は誤りです。外用薬の局所麻酔成分は患部の末梢神経を局所的に麻痺させるものであり、全身麻酔に転用できるものではありません。

ゴロ:「外用局所麻酔は患部だけ。テトラカイン=局所限定」

ア〜エはいずれも正しい記述です。

痔疾用薬の主要成分と役割早見表:

目的代表成分特徴
局所麻酔(止痛・止痒)リドカイン・テトラカイン・アミノ安息香酸エチル末梢神経のNaチャネル遮断。ショック(アナフィラキシー)注意
抗炎症(ステロイド)ヒドロコルチゾン酢酸エステル・プレドニゾロン酢酸エステル炎症・腫れの緩和。長期連用により局所副作用
止血カルバゾクロム(内用)・テトラヒドロゾリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分(外用)毛細血管の補強・血管収縮による出血抑制
組織修復アラントイン・ビタミンA油・パンテノール粘膜・皮膚の再生促進
収斂(組織引き締め)タンニン酸・硫酸アルミニウムカリウム(明礬)粘膜・皮膚タンパク変性→保護膜形成

各選択肢の解説:

  • ア(正): リドカインはアミド型局所麻酔薬であり、Naチャネルを遮断して末梢神経の興奮伝導を阻害します。局所の痛み・かゆみを緩和しますが、まれにショック(アナフィラキシー)が起こることがあります。使用後に異常を感じたら直ちに使用を中止して医師に相談します。
  • イ(正): ヒドロコルチゾン酢酸エステルはステロイド外用薬として炎症・腫れを抑制します。長期連用により局所の皮膚・粘膜萎縮・感染防御能低下が起こりえます。ステロイド外用薬は症状が改善したら漫然と継続しないことが原則です。
  • ウ(正): カルバゾクロムは毛細血管壁の強化と透過性亢進の是正により出血を抑制する止血成分です。外用痔疾用薬だけでなく内服の痔疾用薬にも使用されます。
  • エ(正): アラントインは組織修復(wound healing)促進作用を持ち、損傷した粘膜・皮膚の細胞増殖を促します。外用痔疾用薬に配合されています。
  • オ(誤・正答): テトラカイン(エステル型局所麻酔薬)は外用局所麻酔として患部の末梢神経Na⁺チャネルを遮断することで局所の痛み・かゆみを緩和します。「全身に作用する」「全身麻酔に転用が容易」という記述は誤りです。外用局所麻酔成分は局所への適用が前提であり、全身麻酔とは全く異なる概念です。

【痔疾用薬の各成分群の薬理詳細と使用上の注意】

局所麻酔成分の分類と作用機序:

局所麻酔薬は化学構造によりアミド型とエステル型に分類されます。

分類代表成分代謝アレルギーリスク
アミド型リドカイン・ジブカイン主に肝臓で代謝比較的少ない
エステル型テトラカイン・アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)プラズマコリンエステラーゼで加水分解パラアミノ安息香酸(PABA)アレルギーに注意

作用機序:局所麻酔薬は電位依存性Na⁺チャネルの内側から結合して通道を遮断します。Na⁺の流入が阻害されると活動電位が発生できず、神経の興奮伝導が遮断されます。細い無髄神経(Cファイバー:温覚・痛覚)が最初に遮断され、太い有髄神経(Aβ:触覚・圧覚)は最後まで残ります。

アナフィラキシーへの対応:エステル型局所麻酔薬(特にPABA誘導体)はアレルギーを起こしやすいとされています。外用痔疾用薬使用後に発疹・発赤・かゆみなど過敏症状が現れた場合は直ちに使用を中止し、症状が重篤(ショック、顔面蒼白、呼吸困難)な場合は救急受診が必要です。

ステロイド成分の詳細と留意点:

ヒドロコルチゾン酢酸エステル・プレドニゾロン酢酸エステルは外用ステロイド(コルチコステロイド)です。

作用機序:細胞内グルコルチコイド受容体(GR)に結合→核内移行→NF-κBなどの炎症性転写因子を抑制→炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α)の産生抑制→炎症・腫れ・かゆみの軽減。

長期連用の問題:

  • 局所皮膚萎縮(コラーゲン産生抑制)
  • 皮膚・粘膜感染リスク上昇(免疫抑制作用)
  • 毛細血管拡張(ステロイド性酒さ様皮膚炎)

痔疾用ステロイド薬は「使用してはいけない人」として細菌性・真菌性・ウイルス性の感染症がある場合が挙げられます。感染を伴う痔(肛門周囲膿瘍など)にステロイドを使用すると感染が増悪するリスクがあります。

止血成分の比較:

成分分類機序特徴
カルバゾクロム止血薬(毛細血管強化)毛細血管壁の脆弱性改善・血管透過性亢進抑制内服・外用両方
トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)ビタミン成分(止血成分ではない)肛門周囲の末梢血管の血行改善うっ血改善
タンニン酸収斂止血タンパク変性により組織表面に保護膜形成→滲出液・出血抑制外用のみ

カルバゾクロム(旧称:アドレノクロム誘導体)は毛細血管の透過性を正常化することで、出血部位からの血漿成分の漏出を抑制します。内服薬として「痔による出血緩和」の目的で使われる場合があり、外用との使い分けが問われる論点です。

組織修復成分の詳細:

アラントインはプリン類似体であり、線維芽細胞の増殖促進・上皮細胞の再生促進・ケラチノサイトの遊走促進を通じて傷の治癒を早めます。ビタミンA油(レチノール誘導体)は皮膚・粘膜の健全な分化を促進します。パンテノール(プロビタミンB₅)は細胞内でパントテン酸に変換され、CoAの前駆体として組織修復に関与します。

痔の種類と薬の使い分け(登録販売者の実務):

痔の種類特徴適した薬
内痔核(いぼ痔)直腸下端〜肛門内の痔核。出血が多い坐剤・注入軟膏(止血・炎症緩和)
外痔核肛門外側の静脈瘤。痛み・腫れ外用クリーム・軟膏(局麻・炎症緩和)
裂肛(きれ痔)肛門皮膚の裂創。鋭い痛み・出血局所麻酔・組織修復・収斂成分
痔瘻(あな痔)肛門腺の感染→瘻管形成手術適応のことが多い→受診勧奨

痔瘻(あな痔)は細菌感染を伴う疾患であり、一般用医薬品での対応は不適切です。痔瘻が疑われる場合は速やかに医師への受診を勧めることが登録販売者の重要な役割です。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅴ-1「痔の薬」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅴ-1「痔の薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。