第3章 主な医薬品とその作用97主な医薬品とその作用(外皮用薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問97:主な医薬品とその作用(外皮用薬)

外用消炎鎮痛成分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • インドメタシンは15歳未満の小児への使用について、全身性の副作用リスクを踏まえ使用しないこととされており、また喘息の既往がある人にも注意が必要である。
  • フェルビナクはプロドラッグであり、皮膚から吸収されて体内でフェニル酢酸に変換されて初めて抗炎症作用を発揮するNSAIDsの外用成分である。正答
  • ケトプロフェンを含む外用薬では光線過敏症が起こることがあり、使用中および使用後も当分の間は天候にかかわらず患部を遮光する必要がある。
  • サリチル酸メチルは皮膚から吸収されてプロスタグランジン合成を阻害する作用のほか、局所への温感刺激( 温感パップの有効成分の一つ)としても配合される成分である。
  • ジクロフェナクナトリウムは外用NSAIDsの一つであり、アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)の既往がある人には使用してはいけないとされている。
正答:フェルビナクはプロドラッグであり、皮膚から吸収されて体内でフェニル酢酸に変換されて初めて抗炎症作用を発揮するNSAIDsの外用成分である。

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正答はイ(誤っているもの)です。

フェルビナクについて、「プロドラッグで体内でフェニル酢酸に変換される」という記述が誤りです。フェルビナク自体がすでに活性型の抗炎症成分であり、皮膚から吸収されてそのままCOX(シクロオキシゲナーゼ)を阻害します。プロドラッグではありません。

ゴロ:「フェルビナクはそのまま効く(プロドラッグじゃない)」

ア・ウ・エ・オはいずれも正しい記述です。特にウのケトプロフェンの光線過敏症は頻出ポイントです。

標準試験対策の基準レベル

外用NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)比較表:

| 成分名 | 特徴 | 15歳未満 | 光線過敏症 | 喘息注意 |

|---|---|---|---|---|

| インドメタシン | 強力なCOX阻害。吸収率が高い | 使用しないこと | なし(要確認) | NSAIDs喘息注意 |

| フェルビナク | フェニル酢酸誘導体・活性型。直接COX阻害 | 使用しないこと | なし(要確認) | NSAIDs喘息注意 |

| ケトプロフェン | アリールプロピオン酸系。光増感作用あり | 使用しないこと | あり(遮光必須) | NSAIDs喘息注意 |

| ジクロフェナク | 強力なCOX-2選択性あり | 使用しないこと | なし(要確認) | NSAIDs喘息注意 |

| サリチル酸メチル | サリチル酸系。経皮吸収。温感作用あり | 原則注意 | なし | NSAIDs喘息注意 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): インドメタシンは強力なCOX阻害薬であり、15歳未満の小児への外用でも全身吸収によるNSAIDs関連副作用(胃腸障害・腎機能影響)のリスクがあります。また、NSAIDs全般として、アスピリン喘息(COX-1阻害によるロイコトリエン産生亢進→気管支収縮)の既往者には注意が必要です。
  • イ(誤・正答): フェルビナクはフェニル酢酸(phenylacetic acid)の誘導体そのものが活性型抗炎症成分です。プロドラッグではなく、皮膚から吸収されてそのままCOXを阻害し、プロスタグランジン合成を抑制します。「フェニル酢酸に変換されて活性化する」という記述が誤りです。
  • ウ(正): ケトプロフェンは光増感作用(ベンゾフェノン部分による紫外線エネルギー吸収)があり、患部に光線が当たると光アレルギー性接触皮膚炎(光線過敏症)を生じることがあります。曇りの日や室内でも窓越しの紫外線でも発症しうるため、使用中および使用後(数日)は患部を衣服や包帯で遮光することが必要です。
  • エ(正): サリチル酸メチル(サリチル酸グリコールも同様)は、皮膚から吸収されてサリチル酸に分解され、末梢(患部)でのプロスタグランジン産生を抑制すると考えられています。ただし手引きでは、その作用の主体は局所刺激による患部の血行促進や、末梢知覚神経への軽い麻痺による鎮痛にあるとされています。温感パップ(ホットタイプ)の有効成分の一つとしても配合され、本選択肢の記述は手引き準拠で正しい内容です。
  • オ(正): ジクロフェナクナトリウムをはじめとする外用NSAIDsはCOXを阻害するため、NSAIDs過敏喘息(アスピリン喘息)の既往がある人では気管支収縮を誘発するリスクがあり、使用してはいけない(禁忌)とされています。外用薬でも全身吸収により十分な血中濃度に達し得るため、内服と同様の禁忌が適用されます。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【外用NSAIDsの薬理機序・光線過敏症・アスピリン喘息の詳細】

外用NSAIDsの経皮吸収と薬理:

外用NSAIDsが有効なのは、塗布後に皮膚(角質層→表皮→真皮)を透過し、皮下組織・筋肉・関節滑膜まで移行して局所でCOXを阻害するためです。

各成分の化学的特徴と吸収性:

  • インドメタシン(インドール酢酸系):高いCOX阻害活性。経皮吸収量は製剤(ゲル・パップ・テープ)によって異なる。
  • フェルビナク(フェニル酢酸系):分子量が小さく経皮吸収性が良好。活性型で直接COX-1・COX-2を阻害。
  • ケトプロフェン(プロピオン酸系):COX-1・COX-2非選択的阻害。ベンゾフェノン構造が光吸収体となる。
  • ジクロフェナクナトリウム(フェニル酢酸系):COX-2選択性が比較的高い。経皮移行性が良好。

フェルビナク vs プロドラッグのNSAIDs:

フェルビナクは活性体そのものである点で、プロドラッグ(例:ピケトプロフェン→ケトプロフェンに変換)とは異なります。プロドラッグは吸収後に酵素により活性代謝物に変換される設計であり、フェルビナクはそのような変換を必要としません。

ケトプロフェンの光線過敏症の機序:

ケトプロフェンのベンゾフェノン部分が紫外線(特にUVA: 320〜400nm)を吸収して励起状態となり、皮膚タンパクとの光化学反応で抗原(ハプテン)を形成します。

光線過敏症は2種類:

1. 光毒性反応:免疫反応を介さず、光化学的に組織が傷害される(即時性・用量依存性)

2. 光アレルギー性反応:免疫(IV型遅延型過敏反応)を介した反応(遅延性・感作後に低用量でも発症)

ケトプロフェンは主に光アレルギー性の問題が知られています。貼付剤では特に問題が大きく、添付文書には「使用中および使用後数日間は患部やその周囲を日光に当てないよう注意」と記載されています。交差反応として、チアプロフェン酸・フェノフィブラート・オクトクリレン(日焼け止め成分)とのアレルギー交差がある場合があります。

アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)の機序:

アラキドン酸代謝経路の概要:

  • COX経路(プロスタグランジン産生)
  • 5-LOX経路(ロイコトリエン産生)

NSAIDsがCOX-1を阻害すると:

  • アラキドン酸が5-LOX経路へシャント
  • システイニルロイコトリエン(LTC₄、LTD₄、LTE₄)の大量産生
  • 気管支平滑筋LTC₄/LTD₄受容体刺激→強い気管支収縮・粘液分泌亢進→喘息発作

アスピリン喘息は全喘息患者の約10〜20%に存在するとされ、特にCOX-1親和性の高いNSAIDsで強く誘発されます。

外用NSAIDsの場合:皮膚から吸収されて全身循環に入ったNSAIDs成分が、同様のCOX-1阻害→LT産生亢進を引き起こします。外用薬は「局所だから安全」という誤解がありますが、吸収量が十分に高まればアスピリン喘息を誘発しうるため、禁忌の適用は内服と同様です。

15歳未満への外用NSAID禁忌の根拠:

インドメタシン・フェルビナク・ケトプロフェン・ジクロフェナクは外用であっても15歳未満の小児への使用が禁止または「使用しないこと」とされています。小児では皮膚面積当たりの体重が少なく、単位体重当たりの吸収量が成人に比べて多くなるため、全身性の副作用(腎機能障害・胃腸障害・ライ症候群様の肝障害)のリスクが高まります。

登録販売者の実務ポイント:

  • 購入者にアスピリン喘息の既往があれば外用NSAIDsも禁忌→非NSAIDs外用薬(温感刺激系・ハーブ系)やサリチル酸系でも同様の注意が必要
  • ケトプロフェン含有製品は「使用後の遮光」を必ず説明する
  • 15歳未満の子どもへの外用NSAIDsは禁止→子ども向けの打撲・捻挫への対応は冷却・圧迫など非薬物的手段を優先
出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第12節「外皮用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

外用消炎鎮痛成分の比較=インドメタシン/フェルビナク/ケトプロフェン/サリチル酸メチル頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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