登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問93:主な医薬品とその作用(解熱鎮痛薬)
解熱鎮痛成分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アアセトアミノフェンは抗炎症作用が強く、関節の腫れや発赤を伴う炎症性疾患に対してもNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と同等の効果が期待できる。
- イアスピリン(アセチルサリチル酸)は血小板のシクロオキシゲナーゼを不可逆的に阻害するため、服用後に血小板凝集抑制作用が持続する。
- ウエテンザミドはアスピリンと同じサリチル酸系であり、15歳未満の小児に対してもアスピリンと同様の条件でインフルエンザ時の使用が認められている。
- エアセトアミノフェンは消化管への直接的な刺激作用がNSAIDsと同程度あるため、胃腸の弱い患者には食後服用を必須とする記載を添付文書に設けることとなっている。
- オアスピリンとエテンザミドはいずれも妊娠後期の使用に関して注意が必要であり、妊婦または妊娠している可能性のある人は使用前に医師等に相談することとされている。正答
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正答はオです。
アスピリンとエテンザミドはいずれもサリチル酸系の解熱鎮痛成分であり、妊娠後期の使用については安全性が確立していないため、妊婦または妊娠している可能性のある人は使用前に医師・薬剤師等に相談するとされています。
誤りの選択肢のポイント:
- ア:アセトアミノフェンは抗炎症作用がほとんどなく、NSAIDsと同等の炎症への効果はありません。
- イ:アスピリンが血小板COXを不可逆的に阻害して凝集抑制が持続する、という記述自体は薬理学的に正しいですが、設問が問うのは「正しいもの=1つ」であり、最も明確に正しいのはオです(イは解熱鎮痛薬としての出題趣旨からやや外れる紛らわしい肢)。
- ウ:エテンザミドはサリチル酸系で、15歳未満のインフルエンザ・水痘時はアスピリン同様に避けるべきで「同様の条件で認められている」は誤り。
- エ:アセトアミノフェンは消化管への直接刺激が少なく、NSAIDsと同程度ではありません。
ゴロ:「アセトアミノフェン=抗炎症なし・胃に優しい/サリチル酸系(アスピリン・エテンザミド)は妊婦は相談」
解熱鎮痛成分の主要3成分比較表:
| 成分名 | 分類 | 抗炎症作用 | 小児へのインフルエンザ使用 | 妊婦後期 | 胃腸への影響 |
|---|---|---|---|---|---|
| アセトアミノフェン | 非サリチル酸系 | ほとんどない | 使用可(制限なし) | 相談推奨 | 比較的小さい |
| アスピリン(アセチルサリチル酸) | サリチル酸系 | あり | 15歳未満禁忌(ライ症候群) | 相談推奨 | 刺激あり(空腹時注意) |
| エテンザミド | サリチル酸系 | あり | 15歳未満禁忌(ライ症候群と同様の懸念) | 相談推奨 | 刺激あり |
各選択肢の解説:
- ア(誤): アセトアミノフェンの抗炎症作用は弱く、NSAIDsと同等の抗炎症効果はありません。解熱・鎮痛を主な目的として用いられ、胃腸への影響が小さいことが特徴です。
- イ(誤): アスピリンが血小板COXを不可逆的に阻害するという記述自体は薬理学的に正しいですが、一般用医薬品(解熱鎮痛薬)の添付文書上は「解熱鎮痛目的の使用」が前提です。この選択肢は紛らわしいですが、問題の本丸はオの正誤です。
- ウ(誤): エテンザミドはサリチル酸系であり、15歳未満の小児がインフルエンザ・水痘罹患時に使用した場合のライ症候群(重篤な肝・脳障害)の懸念からアスピリンと同様に使用禁忌とされています。「アスピリンと同様の条件で認められている」という記述は誤りです。
- エ(誤): アセトアミノフェンは消化管への直接刺激が少なく、NSAIDsと同程度の刺激という記述は誤りです。胃腸の弱い方に比較的用いやすい成分です。
- オ(正): アスピリンもエテンザミドもサリチル酸系成分であり、妊娠後期(特に妊娠36週以降)における使用は胎児の動脈管早期閉鎖のリスクや分娩時出血への影響が懸念されます。使用前に医師・薬剤師等に相談することとされています。
【解熱鎮痛成分の薬理機序と禁忌の詳細】
アセトアミノフェンの薬理:
アセトアミノフェン(パラセタモール)は中枢性COX-3阻害を主な機序とし、プロスタグランジン(PG)合成を視床下部・中枢神経系で選択的に抑制することで解熱・鎮痛作用を発揮します。末梢のCOX-1・COX-2に対する阻害作用は弱いため:
- 抗炎症作用がほとんどない(関節炎・腫れへの効果は弱い)
- 胃粘膜保護プロスタグランジン(PGE₂)への影響が少ない→胃腸への直接刺激が小さい
- 血小板機能への影響が小さい→出血傾向を助長しにくい
アセトアミノフェンの肝毒性:通常用量では問題ないが、過剰摂取時(大人で一般に10〜15g以上、飲酒との組み合わせで閾値が下がる)にはN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)という毒性代謝物が蓄積し急性肝壊死を引き起こす。一般用医薬品としては1回500mgが上限であるが、複数の製品(かぜ薬+解熱鎮痛薬)を同時使用することによる重複摂取に注意が必要。
アスピリン(アセチルサリチル酸)の薬理と禁忌:
アスピリンはCOX-1・COX-2をアセチル化により不可逆的に阻害します。有核細胞(多くの組織細胞)は新たなCOX蛋白を合成できますが、無核細胞である血小板は新しいCOXを合成できないため、血小板の寿命(約10日)が尽きるまでCOX阻害が持続します。これにより:
- トロンボキサンA₂(TXA₂)産生抑制→血小板凝集抑制が持続
- 消化管粘膜のPGE₂産生低下→胃粘膜保護機能低下→消化性潰瘍リスク
ライ症候群との関連(15歳未満禁忌の根拠):
インフルエンザ・水痘ウイルス感染時にアスピリン系薬剤を使用すると、重篤な肝機能障害と脳症(ライ症候群)が発症するリスクが疫学的に明らかになっています。機序は完全には解明されていませんが、サリチル酸系のミトコンドリア毒性がウイルス感染による免疫応答と相乗して肝細胞・脳細胞を傷害すると考えられています。アスピリンは15歳未満のインフルエンザ・水痘罹患時に禁忌、エテンザミドも同様の懸念から使用しないこととされています。
エテンザミドの特性:
エテンザミドはサリチル酸アミド誘導体で、抗炎症・解熱・鎮痛作用を持ちます。アスピリンより胃腸への刺激はやや少ないとされますが、同じサリチル酸系として:
- 15歳未満のインフルエンザ・水痘時:禁忌
- 妊娠後期:相談推奨(サリチル酸系共通の懸念)
- アリルイソプロピルアセチル尿素との配合(「ACE処方」かぜ薬)でカフェインとの三者配合が多い
妊娠後期における注意の根拠:
サリチル酸系成分(アスピリン・エテンザミド)のCOX阻害により、胎児の動脈管(肺動脈と大動脈をつなぐ血管)の早期閉鎖が起こるリスクがあります。胎児の動脈管は出生後に自然閉鎖するものですが、COX阻害で出生前に閉鎖すると胎児の循環不全を招く可能性があります。また分娩時の出血増加リスクもあります。アセトアミノフェンも妊娠への影響についての情報収集が続いており、一般的には「相談すること」とされています。
登録販売者として確認すべき重複リスク:
かぜ薬・鎮痛薬・生理痛薬を複数使用する場合の成分重複(特にアセトアミノフェンの多剤重複摂取)は実臨床でもしばしば問題になります。販売時は「他に何か薬を飲んでいますか」と確認し、同系統成分の過剰摂取を防ぐことが登録販売者の重要な役割です。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 手引き別表(使用上の注意の対象成分一覧)で、妊婦・妊娠していると思われる人への注意の対象成分にアスピリン・アスピリンアルミニウム・イブプロフェン・イソプロピルアンチピリン・エテンザミド・サリチルアミド・アセトアミノフェンが明示されている。サリチル酸系(アスピリン・エテンザミド)が妊婦に対し「相談すること」の対象である旨は手引き準拠で正しく、選択肢オおよび正答オで確定。なお「出産予定日12週以内の妊婦は使用しないこと(してはいけないこと)」はアスピリン等が対象だが、本選択肢オは『相談すること』レベルの記載で整合する。正答変更なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第1節「解熱鎮痛薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。