第3章 主な医薬品とその作用94主な医薬品とその作用(かぜ薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問94:主な医薬品とその作用(かぜ薬)

かぜ薬(総合感冒薬)に配合される成分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • トラネキサム酸はのどの炎症によるはれ・痛みを和らげる目的で配合され、抗プラスミン作用によって炎症の悪化につながる過剰な免疫反応を抑制する抗炎症成分である。
  • グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)由来の成分であり、かぜ薬に配合される場合はのどの炎症の緩和を目的とし、1日最大服用量はグリチルリチン酸として40mg以上となることが多い。正答
  • メチルエフェドリン塩酸塩は交感神経を刺激して気管支の平滑筋を弛緩させ、気道を拡張することで息苦しさや喘鳴を和らげる目的でかぜ薬に配合される。
  • グリチルリチン酸を含むかぜ薬を長期連用した場合、偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・浮腫など)を起こすおそれがあるため、短期間(目安1週間)の使用に留めることが望ましい。
  • トラネキサム酸は血栓のある人、血栓が生じやすい人については、血栓が溶けにくくなるおそれがあるため使用前に医師等に相談することとされている。
正答:グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)由来の成分であり、かぜ薬に配合される場合はのどの炎症の緩和を目的とし、1日最大服用量はグリチルリチン酸として40mg以上となることが多い。

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正答はイ(誤っているもの)です。

グリチルリチン酸を含む製品では、偽アルドステロン症のリスクがあるため、グリチルリチン酸の1日摂取量は40mg以下とすることが基本です。「40mg以上となることが多い」という記述が誤りです。グリチルリチン酸は1日最大服用量が40mgを超える場合は漫然使用しないよう注意が必要で、むしろ40mgを超えないように設計されているのが一般的です。

ゴロ:「グリチルリチン酸の上限は40mg以下(グリ×4=40)」

ア・ウ・エ・オはいずれも正しい記述です。

標準試験対策の基準レベル

かぜ薬の抗炎症・気管支拡張成分まとめ:

| 成分名 | 目的 | 注意事項 |

|---|---|---|

| トラネキサム酸 | のど炎症・はれ・痛みの緩和(抗プラスミン作用) | 血栓のある人・血栓が生じやすい人は相談 |

| グリチルリチン酸 | のど炎症の緩和(甘草由来・抗炎症) | 1日40mg以下が基本。偽アルドステロン症注意 |

| メチルエフェドリン塩酸塩 | 気管支拡張(交感神経刺激→平滑筋弛緩) | 高血圧・心臓病・甲状腺機能亢進症者は相談 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): トラネキサム酸は線溶系を担うプラスミンの作用を阻害する(抗プラスミン作用)ことで、炎症部位での過剰な免疫反応(キニン産生亢進など)を抑制します。のどの炎症によるはれや痛みの緩和目的でかぜ薬・のど薬に配合されます。
  • イ(誤・正答): グリチルリチン酸の1日最大摂取量は、偽アルドステロン症予防の観点から40mg以下を目安とするのが基本です。「40mg以上となることが多い」という記述は誤りです。グリチルリチン酸を含む製品を複数使用する場合は、総量が40mgを超えないよう注意する必要があります。
  • ウ(正): メチルエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動成分(交感神経刺激薬)であり、気管支β₂受容体を刺激して平滑筋を弛緩させ、気道を拡張します。咳・喘鳴への対症療法としてかぜ薬・鎮咳薬に配合されます。
  • エ(正): グリチルリチン酸は偽アルドステロン症のリスクがあり、長期連用により低カリウム血症・浮腫・血圧上昇が生じることがあります。かぜ薬は症状が改善したら服用を中止し、5〜6日間(目安1週間)以内の使用に留めることが勧められます。
  • オ(正): トラネキサム酸は抗プラスミン(抗線溶)作用を持つため、血栓が溶けにくくなるリスクがあります。血栓のある人・血栓が生じやすい体質の人は医師等に相談することとされています。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【かぜ薬成分の薬理詳細と配合の意義】

トラネキサム酸の薬理機序:

トラネキサム酸(TXA)はリジン類似構造を持ち、プラスミノゲンのリジン結合部位に競合的に結合することでプラスミノゲン→プラスミンへの変換を阻害します(抗プラスミン・抗線溶作用)。

かぜ(ウイルス感染)による咽頭炎では:

1. ウイルス侵入→局所免疫応答→プラスミン活性化→炎症性メディエーター(キニン・ブラジキニン)産生亢進

2. ブラジキニンがB₂受容体に作用→血管透過性亢進・浮腫・疼痛

3. TXAがプラスミン活性化を阻害→炎症カスケードの上流を抑制

このため、TXAはウイルス感染初期(炎症が拡大する前)に使用するほど有効とされています。

血栓リスクとの関係: TXAの抗線溶作用は本来の血栓溶解も阻害します。深部静脈血栓症・肺塞栓症・脳血栓などの既往がある人、あるいは長期臥床・肥満・血液凝固異常がある人では血栓が溶けにくくなるリスクがあるため「相談すること」とされています。

グリチルリチン酸と偽アルドステロン症の詳細:

グリチルリチン酸(GL)はカンゾウ(甘草、学名 Glycyrrhiza uralensis)の根および根茎から得られるトリテルペン配糖体です。

偽アルドステロン症の発症機序:

1. GL→消化管で加水分解→グリチルレチン酸(GA)

2. GAが腎遠位尿細管の11β-水酸化ステロイド脱水素酵素2型(11β-HSD2)を阻害

3. 11β-HSD2の阻害によりコルチゾールの不活化が障害される

4. コルチゾールがミネラロコルチコイド受容体(アルドステロン受容体)を活性化(アルドステロンと同様の作用)

5. 結果:Na⁺貯留・K⁺排泄亢進→低カリウム血症・浮腫・高血圧→偽アルドステロン症

1日摂取量の上限が40mgとされる根拠:GA(グリチルレチン酸)の腎臓への影響は個人差が大きく、GL換算で1日40mgを超える用量では偽アルドステロン症の発症リスクが明確に上昇することが臨床研究で示されています。

複数製品の重複摂取が問題になる事例:

  • かぜ薬(GL含有) + 漢方薬(カンゾウ含有処方) + 口内炎薬(GL含有)
  • いずれもGL40mgを超えないような単剤用量でも、複数製品の合計が超過する

登録販売者の実務として:販売時に「漢方薬を飲んでいますか」「他のかぜ薬を使っていますか」と確認し、GL・カンゾウ含有製品の重複使用に注意することが求められます。

メチルエフェドリン塩酸塩の薬理と注意事項:

メチルエフェドリンはエフェドリン(植物マオウ由来)のN-メチル体で、交感神経刺激薬(アドレナリン作動薬)です。

作用機序:

  • α₁受容体刺激:血管収縮(鼻粘膜充血緩和)
  • β₂受容体刺激:気管支平滑筋弛緩→気道拡張(喘鳴・息苦しさの緩和)
  • β₁受容体刺激:心拍数増加・心拍出量増加

禁忌・注意が必要な基礎疾患:

  • 高血圧・心臓病・甲状腺機能亢進症:交感神経刺激による心負荷増大
  • 糖尿病:アドレナリン様作用によるグリコーゲン分解促進→血糖上昇
  • 前立腺肥大:α₁受容体刺激による尿道括約筋収縮→排尿困難悪化

マオウ(麻黄)との関係:マオウ含有漢方(葛根湯・小青竜湯など)にもエフェドリン類が含まれます。かぜ薬(メチルエフェドリン含有)と漢方薬(マオウ含有)を重複使用すると、交感神経刺激作用が増強するため注意が必要です。

登録販売者としての販売時確認事項:

| 確認事項 | 関連成分 | リスク |

|---|---|---|

| 他のかぜ薬・漢方薬の使用 | GL・マオウ | 過剰摂取・偽アルドステロン症 |

| 血栓・心臓病の既往 | TXA・メチルエフェドリン | 血栓リスク・心負荷 |

| 高血圧・糖尿病・前立腺肥大 | メチルエフェドリン | 症状悪化 |

| 使用期間が5〜6日を超える | かぜ薬全般 | 症状が別疾患(細菌感染等)の可能性 |

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第1節「かぜ薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

かぜ薬の抗炎症・トラネキサム酸/グリチルリチン酸と気管支拡張成分頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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