第5章 医薬品の適正使用・安全対策11医薬品の適正使用・安全対策(添付文書の「相談すること」)

登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問11:医薬品の適正使用・安全対策(添付文書の「相談すること」)

一般用医薬品の添付文書における「相談すること」の記載に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 「緑内障の診断を受けた人」への相談指示は、抗コリン作用を有する成分(ロートエキス・スコポラミン臭化水素酸塩水和物等)を含む製品に記載される。これは抗コリン作用が眼房水の排出を抑制して眼圧を上昇させるおそれがあるためである。
  • 交感神経刺激薬(アドレナリン作動薬)であるプソイドエフェドリン塩酸塩は、心臓病・高血圧・糖尿病の患者が使用すると症状を悪化させるおそれがあるため、これらの基礎疾患を有する者は「相談すること」が記載される。
  • メチルエフェドリン塩酸塩を含む鎮咳去痰薬は、「高血圧の診断を受けた人」への相談指示が記載されるが、糖尿病の患者については血糖に影響しないため「相談すること」に該当しない。正答
  • カフェインは中枢興奮薬として心臓に対する刺激作用があり、「心臓病の診断を受けた人」が多量に使用した場合に症状を悪化させるおそれがあるため、該当製品に「相談すること」が記載される。
  • グリチルリチン酸を比較的多く含む製品は、偽アルドステロン症を引き起こして血圧を上昇させるおそれがあるため、「高血圧の診断を受けた人」は「相談すること」が記載される。
正答:メチルエフェドリン塩酸塩を含む鎮咳去痰薬は、「高血圧の診断を受けた人」への相談指示が記載されるが、糖尿病の患者については血糖に影響しないため「相談すること」に該当しない。

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正答(誤っている選択肢)はウです。

メチルエフェドリン塩酸塩は交感神経刺激(アドレナリン作動)作用を有します。交感神経刺激は血糖値を上昇させるおそれがあるため、糖尿病の患者にも「相談すること」が記載されます。ウの「糖尿病の患者については血糖に影響しない」という記述が誤りです。

ア・イ・エ・オはいずれも正しい内容です。抗コリン薬は緑内障患者の眼圧を上昇させるリスクがあり、交感神経刺激薬(プソイドエフェドリン・メチルエフェドリン等)は高血圧・心臓病・糖尿病患者で注意が必要、カフェインは心臓刺激作用、グリチルリチン酸は偽アルドステロン症による血圧上昇リスクがあります。いずれも機序から判断できる組み合わせとして覚えましょう。

標準試験対策の基準レベル

基礎疾患×注意が必要な主な成分の対応表:

| 基礎疾患 | 主な該当成分 | 理由(機序) |

|---|---|---|

| 緑内障 | ロートエキス、スコポラミン臭化水素酸塩水和物、ジフェンヒドラミン塩酸塩等(抗コリン作用を持つ成分全般) | 抗コリン作用→毛様体筋弛緩→眼房水排出障害→眼圧上昇 |

| 高血圧 | プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、アドレナリン作動薬全般、グリチルリチン酸(偽アルドステロン症) | 血管収縮・心拍増加・水分貯留→血圧上昇 |

| 心臓病 | プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、カフェイン | 心筋への直接刺激・頻脈誘発→心臓負荷増大 |

| 糖尿病 | プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩 | 交感神経刺激→肝臓でのグリコーゲン分解促進→血糖上昇 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 抗コリン作用による眼圧上昇メカニズムの記述は正確です。毛様体筋の弛緩により隅角が狭くなり眼房水の排出が阻害されます。特に閉塞隅角緑内障が悪化しやすい。
  • イ(正): プソイドエフェドリン塩酸塩はエフェドリン類の交感神経刺激薬で、高血圧・心臓病・糖尿病いずれにも悪影響を及ぼすおそれがあります。鼻炎薬や鼻づまり解消薬に含まれることが多く、要注意成分の代表例です。
  • ウ(誤): メチルエフェドリン塩酸塩も交感神経刺激作用を有し、グリコーゲン分解促進・インスリン分泌抑制等により血糖値を上昇させるおそれがあります。「糖尿病に影響しない」は誤りで、糖尿病患者も「相談すること」の対象となります。
  • エ(正): カフェインは心臓の収縮力を高め(強心作用)、心拍数を増加させます。心臓病患者では不整脈・狭心症発作等を誘発するリスクがあります。
  • オ(正): グリチルリチン酸は腸管でグリチルレチン酸に変換後、腎臓でのアルドステロン様作用(水分・ナトリウム貯留、カリウム排泄)を示し血圧を上昇させます。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【基礎疾患×成分の相互作用を機序から体系的に理解する】

登録販売者試験において「相談すること」の組み合わせ問題が頻出です。単に暗記するのではなく、薬理学的機序から理解することで、組み合わせを論理的に導き出せます。

1. 抗コリン作用と緑内障のメカニズム

緑内障は眼圧の上昇により視神経が障害される疾患です。眼圧は眼房水(毛様体で産生→シュレム管から排出)のバランスで決まります。

抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)は毛様体筋と虹彩括約筋を弛緩させます。この結果:

  • 虹彩が散瞳(瞳孔散大)→隅角が物理的に狭くなる
  • 眼房水の排出路(シュレム管への流出)が障害される
  • 眼圧が上昇→視神経への負荷増大

特に「閉塞隅角緑内障(急性)」は抗コリン薬で劇的に悪化し、失明に至るリスクがあります。一方「開放隅角緑内障」では影響が相対的に小さいですが、いずれも「相談すること」の対象とするのが安全管理の原則です。

2. 交感神経刺激薬(アドレナリン作動薬)と高血圧・糖尿病の機序

エフェドリン類(メチルエフェドリン・プソイドエフェドリン等)はアドレナリン受容体(α・β両方)を刺激します。

  • 血圧への影響: α1刺激→末梢血管収縮→末梢抵抗上昇→血圧上昇。β1刺激→心拍数増加・心拍出量増加→血圧上昇
  • 糖尿病への影響: β2刺激→肝グリコーゲン分解(グルカゴン様作用)→血糖上昇。またアドレナリン系の亢進はインスリン分泌を一部抑制します
  • 心臓への影響: β1刺激→頻脈・収縮力増大→心臓の酸素需要増加→狭心症・不整脈のリスク

この三臓器(心・血管・膵臓)への同時影響が、高血圧・心臓病・糖尿病の3疾患すべてを「相談すること」の対象にする理由です。

3. グリチルリチン酸の偽アルドステロン症

グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)の主成分で、多くの漢方処方やOTC薬に含まれます。体内でグリチルレチン酸に代謝され、腎臓の11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(11β-HSD2)を阻害します。

この酵素は通常コルチゾール(糖質コルチコイド)をコルチゾン(不活性型)に変換して鉱質コルチコイド受容体を保護していますが、阻害されると:

  • コルチゾールが鉱質コルチコイド受容体を過剰刺激
  • ナトリウム・水分の貯留、カリウムの排泄亢進
  • 血圧上昇・浮腫・低カリウム血症(筋力低下・脱力感)

これが「偽アルドステロン症」です。グリチルリチン酸を40mg/日以上の大量摂取で発症リスクが高まります。高血圧患者・利尿薬服用者では特に注意が必要です。

4. 登録販売者の実務的対応

「相談すること」の記載がある基礎疾患を持つ顧客への対応フロー:

1. OTC薬販売時の必須確認: 「現在、緑内障・高血圧・心臓病・糖尿病等の治療を受けていますか?」

2. 基礎疾患ありの場合: 「この薬には○○という成分が含まれており、お持ちの疾患に影響する可能性があります。かかりつけ医・薬剤師にご確認いただくことをお勧めします」

3. 緊急性の判断: 基礎疾患の治療薬(降圧薬・抗糖尿病薬・抗緑内障薬等)との相互作用も考慮し、必要に応じて受診勧奨

試験対策ポイント(成分×疾患の覚え方):

  • 抗コリン薬 → 緑内障(「目が詰まる」→眼圧上昇)
  • 交感神経刺激薬(エフェドリン類) → 高血圧・心臓病・糖尿病(3セット)
  • カフェイン → 心臓病(心臓を刺激)
  • グリチルリチン酸 → 高血圧(偽アルドステロン症)

これらの組み合わせは「相談すること」の最頻出パターンであり、機序とセットで覚えることが合格への近道です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 「相談すること」別表の基礎疾患×成分の対応(抗コリン薬×緑内障、プソイド/メチルエフェドリン等のアドレナリン作動成分×高血圧・心臓病・糖尿病、カフェイン×心臓病、グリチルリチン酸×高血圧)を手引き第5章別表で確認。メチルエフェドリンが糖尿病の「相談すること」対象である点(選択肢ウが誤り=正答)も正確。修正不要。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第1節「添付文書等への記載事項」(使用上の注意「相談すること」別表関連) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

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「相談すること」別表=基礎疾患(緑内障/心臓病/高血圧/糖尿病頻出度A

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