第5章 医薬品の適正使用・安全対策13医薬品の適正使用・安全対策(添付文書の「してはいけないこと」・「相談すること」)

登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問13:医薬品の適正使用・安全対策(添付文書の「してはいけないこと」・「相談すること」)

一般用医薬品の添付文書における「飲み合わせ」「併用」に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 「服用中は飲酒を避けること(アルコールを摂取しないこと)」が記載される背景には、アルコールが中枢神経抑制作用を有し、催眠鎮静薬・抗ヒスタミン薬等の中枢抑制成分と相加的に作用して過度の鎮静・呼吸抑制を生じるリスクがある。
  • 鎮痛解熱薬(アスピリン等のNSAIDs)は、他の鎮痛解熱薬との併用について「してはいけないこと」に記載され、同種の作用を有する医薬品を重複して使用することによる副作用増強(消化管出血・腎障害等)を避けるためである。
  • カフェインを多量に含む医薬品は、コーヒーや緑茶等のカフェインを含む飲料との飲み合わせについて常に添付文書に明記しなければならず、カフェイン含有量の多寡にかかわらず一律に記載が義務付けられている。正答
  • 漢方薬同士の併用は、同一生薬(カンゾウ・マオウ等)を含む製品を重複服用することで過剰摂取となるリスクがあるため、他の漢方薬を使用している場合は「相談すること」が記載される。
  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害作用を有する医薬品とアドレナリン作動薬との併用は、交感神経の過剰興奮(高血圧クリーゼ・頻脈等)を生じるリスクがあるため、「相談すること」または「してはいけないこと」に記載されることがある。
正答:カフェインを多量に含む医薬品は、コーヒーや緑茶等のカフェインを含む飲料との飲み合わせについて常に添付文書に明記しなければならず、カフェイン含有量の多寡にかかわらず一律に記載が義務付けられている。

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正答(誤っている選択肢)はウです。

カフェイン含有医薬品とコーヒー等の飲み合わせ記載は、カフェイン含有量が多い製品や目的(眠気防止・強壮等)において問題になります。「含有量の多寡にかかわらず一律に義務付けられている」という記述が誤りです。カフェイン含有量が少ない場合や、かぜ薬等の配合成分として少量含まれる場合にまで一律に記載が義務付けられているわけではありません。

ア・イ・エ・オはいずれも正しい内容です。アルコールは中枢抑制成分を増強し、鎮痛薬の重複使用は消化管出血等のリスクを高め、漢方薬の重複服用は同一生薬の過剰摂取につながり、MAO阻害薬とアドレナリン作動薬の組み合わせは交感神経過剰興奮を引き起こします。

標準試験対策の基準レベル

添付文書における飲み合わせ・併用注意の主なパターン:

| 記載区分 | 組み合わせの例 | リスク |

|---|---|---|

| してはいけないこと | 鎮痛解熱薬×他の鎮痛解熱薬の重複使用 | 副作用(消化管出血・腎障害)の増強 |

| してはいけないこと | 抗ヒスタミン薬含有製品×アルコール | 中枢抑制の相加→過度の鎮静 |

| 相談すること | 漢方薬×他の漢方薬(同一生薬含有) | カンゾウ・マオウ等の過剰摂取 |

| 相談すること | MAO阻害薬×アドレナリン作動薬 | 高血圧クリーゼ・頻脈 |

| 相談すること | 抗凝固薬×アスピリン等 | 出血リスクの増大 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): アルコールはGABA系受容体に作用し中枢抑制を増強します。抗ヒスタミン薬・催眠補助薬・コデイン等の中枢抑制成分との組み合わせで過度の鎮静・呼吸抑制が生じるリスクがあります。「服用中は飲酒を避けること」は、これらを含む製品の「してはいけないこと」に記載されます。
  • イ(正): 鎮痛解熱薬(NSAIDs)の重複使用は、消化管粘膜のプロスタグランジン合成阻害が増強され、消化管出血・潰瘍のリスクが高まります。また腎血流量の減少による腎障害も懸念されます。「してはいけないこと」での記載が適切です。
  • ウ(誤): カフェイン含有量の多寡にかかわらず一律に記載義務がある、という記述は誤りです。記載の有無は製品のカフェイン含有量・目的(眠気防止薬等で多量配合する場合等)に応じて判断されます。
  • エ(正): カンゾウ(グリチルリチン酸)・マオウ(エフェドリン類)等は複数の漢方製品に含まれます。重複服用により1日摂取量が適正範囲を超え、偽アルドステロン症・交感神経刺激症状等の副作用が増強するリスクがあります。
  • オ(正): MAO阻害薬はモノアミン(ノルアドレナリン・ドーパミン等)の分解を阻害します。アドレナリン作動薬との併用でノルアドレナリンが蓄積し交感神経が過剰に興奮します。OTC薬では精神科疾患治療薬との相互作用として重要です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【飲み合わせ・薬物相互作用の機序を体系的に理解する】

薬物相互作用は「薬力学的相互作用」と「薬物動態学的相互作用」の2種類に大別されます。添付文書の飲み合わせ記載を機序から理解することで、応用問題にも対応できます。

1. 薬力学的相互作用(作用の足し算・掛け算)

同じ受容体・同じ作用機序を持つ薬物が重なると効果・副作用が増強されます。

  • 中枢抑制の相加: アルコール+抗ヒスタミン薬+催眠補助薬+コデイン等が重なると、中枢抑制(GABA系・オピオイド系)が相加的に増強。最悪の場合、呼吸中枢の抑制→呼吸停止のリスク
  • NSAIDsの重複: プロスタグランジン合成阻害(COX阻害)が過剰→消化管粘膜保護機能の喪失→消化管出血。腎臓でのプロスタグランジン減少→糸球体輸入細動脈収縮→腎血流減少→急性腎障害
  • 交感神経刺激の増強: アドレナリン作動薬の重複(エフェドリン+プソイドエフェドリン等)→高血圧・不整脈

2. 薬物動態学的相互作用(代謝・排泄の変化)

一方の薬物が他方の代謝・吸収・排泄を変化させます。

  • CYP3A4阻害: グレープフルーツジュース(フラノクマリン類)はCYP3A4を阻害し、同経路で代謝される薬物の血中濃度を上昇させます。OTC薬では影響が少ない場合が多いですが、市販の一部抗ヒスタミン薬等では注意が必要
  • MAO阻害薬との相互作用: MAO(モノアミン酸化酵素)はノルアドレナリン・ドーパミン・セロトニン等の不活化酵素。MAO阻害薬(うつ病治療薬として使用)服用中にアドレナリン作動薬(エフェドリン類)を服用すると、ノルアドレナリンの分解が阻害されて蓄積→高血圧クリーゼ(拡張期血圧120mmHg以上の急激な上昇)→脳卒中・心不全のリスク

3. 漢方薬の重複成分問題

漢方薬の組み合わせ問題は「生薬の重複」が鍵です。

| 生薬 | 主な成分 | 重複リスク | 代表的な含有漢方方剤 |

|---|---|---|---|

| カンゾウ | グリチルリチン酸 | 偽アルドステロン症・低カリウム血症 | 葛根湯・麦門冬湯・防風通聖散等多数 |

| マオウ | エフェドリン類 | 交感神経刺激の増強・高血圧・不整脈 | 葛根湯・麻黄湯・小青竜湯等 |

| ダイオウ | センノシド等アントラキノン誘導体 | 下痢・電解質異常 | 防風通聖散・大黄甘草湯等 |

漢方薬は「自然だから安全」と思い込む消費者が多く、複数の漢方薬を組み合わせて服用するケースがあります。登録販売者は「他に漢方薬を服用していますか?」と積極的に確認することが重要です。

4. アルコールとの飲み合わせの詳細

アルコール(エタノール)は薬物動態・薬力学の両面で多くの薬物と相互作用します。

  • 薬力学的: 中枢神経抑制成分(バルビツレート・ベンゾジアゼピン系・抗ヒスタミン薬・オピオイド等)との相加抑制
  • 薬物動態学的: 急性アルコール摂取はCYP2E1以外を一時的に阻害(多くの薬物の代謝を遅延→血中濃度上昇)。慢性アルコール摂取はCYP2E1・2B6等を誘導(一部薬物の代謝加速→効果減弱、また活性代謝物が増加→肝毒性増強 例:アセトアミノフェンとエタノール)
  • 特にアセトアミノフェンとの注意: 慢性飲酒者でのアセトアミノフェン大量服用は、CYP2E1誘導によりN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI:肝毒性代謝物)の産生が増加し重篤な肝障害を起こすリスクがあります

5. 登録販売者の販売時確認ポイント

  • 「現在服用している薬・サプリメント・漢方薬はありますか?」
  • 「飲酒の習慣はありますか?(特に鎮静系OTC薬販売時)」
  • 複数のOTC薬を購入しようとしている顧客:同一成分・同一作用機序の重複がないか確認

これらの確認は「飲み合わせによる健康被害の防止」という登録販売者の本質的義務の実践です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 飲酒×中枢抑制成分、鎮痛解熱薬の重複(消化管出血等)、漢方の同一生薬(カンゾウ・マオウ)重複、MAO阻害薬×アドレナリン作動薬の各注意は手引きの記載と整合。選択肢ウ(カフェイン含有量の多寡にかかわらず一律記載義務=誤り)が正答で整合。修正不要。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第1節「添付文書等への記載事項」(使用上の注意の「飲み合わせ・併用薬」関連記載) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

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