登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問24:医薬品の適正使用・安全対策(医薬品PLセンター)
医薬品PLセンターに関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア医薬品PLセンターは、消費者が医薬品または医薬部外品に関する被害についての相談・調停を行うための機関であり、裁判によらずに紛争を解決する裁判外紛争処理(ADR)の機能を担う。
- イ医薬品PLセンターは、製造販売業者(メーカー)との交渉窓口としての役割を果たし、消費者と製造販売業者との間のトラブル解決を仲介する。
- ウ医薬品PLセンターへの相談は、医薬品副作用被害救済制度での救済を既に受けた場合でも、別途申し立てることができ、両制度の利用は相互に排除されない。
- エ医薬品PLセンターに相談できる対象は、処方箋医薬品(医療用医薬品)のみであり、一般用医薬品・医薬部外品による被害の相談は受け付けていない。正答
- オ医薬品PLセンターが解決を仲介するのは主として、製造販売業者に過失・製品の欠陥があることが疑われるケースであり、医薬品副作用被害救済制度が対象とする「欠陥のない医薬品の適正使用による副作用被害」とは異なる類型の被害が対象となりうる。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠も明記。
正答(誤っている選択肢)はエです。
医薬品PLセンターへの相談対象は処方箋医薬品(医療用医薬品)のみではなく、一般用医薬品や医薬部外品による被害の相談も受け付けています。「医療用医薬品のみ」という記述が誤りです。
ア・イ・ウ・オはいずれも正しい内容です。医薬品PLセンターは裁判外紛争処理(ADR)機能を持ち、製造販売業者との交渉を仲介し、副作用被害救済制度と並行して利用でき、主に製品の欠陥・過失が疑われるケースを対象とします。
医薬品PLセンターと医薬品副作用被害救済制度は「対象となる被害の類型が異なる別制度」として機能しており、両者の違いと役割分担を理解することが重要です。
医薬品PLセンターと副作用被害救済制度の比較:
| 比較項目 | 医薬品PLセンター | 医薬品副作用被害救済制度 |
|---|---|---|
| 主な対象被害 | 製造販売業者の過失・製品の欠陥(PL法上の問題)が疑われる被害 | 欠陥のない承認済み医薬品の適正使用による副作用被害 |
| 解決方法 | 相談・あっせん(ADR)→裁判外での解決 | 給付金の支給(行政的補償) |
| 運営主体 | 日本製薬団体連合会(日薬連) | PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構) |
| 対象製品 | ヒト用の医薬品・医薬部外品(医療用・一般用を含む。化粧品は対象外) | 承認済みの医薬品 |
| 強制力 | なし(あくまで相談・あっせん) | 行政による判定(拘束力あり) |
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 運営主体を「JAPIC等」→「日本製薬団体連合会(日薬連)」に修正(PL法施行と同時の平成7年7月開設)。対象製品を「ヒト用の医薬品・医薬部外品(医療用・一般用を含む。化粧品は対象外)」に正確化。 -->
各選択肢の解説:
- ア(正): 医薬品PLセンターは消費者が医薬品等に関する被害のトラブルについて、裁判によらずに解決を図るADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決)機関です。相談・調停の機能を担います。
- イ(正): 消費者と製造販売業者(メーカー)の間のトラブルを第三者的立場で仲介します。消費者が製造販売業者と直接交渉するより、専門的な仲介機関を通じることで解決が円滑になる場合があります。
- ウ(正): 医薬品副作用被害救済制度とPLセンターへの申し立ては排他的ではなく、両方を利用することができます。対象となる被害の性格・目的によって使い分けが可能です。
- エ(誤): 医薬品PLセンターは医療用医薬品のみを対象とするのではなく、一般用医薬品・医薬部外品も含む幅広い被害の相談を受け付けています。
- オ(正): 副作用被害救済制度が「欠陥のない製品の適正使用による副作用」を対象とするのに対し、PLセンターは製造販売業者の過失・製品の欠陥が疑われるケースに対するADRとして機能します。両者は補完的な関係にあります。
【医薬品PLセンターのADR機能・PL法との関係・消費者保護の実際】
1. PL法(製造物責任法)の概要と医薬品への適用
PL法(1994年制定・1995年7月施行)は、製造物の欠陥により消費者が生命・身体・財産に損害を受けた場合に、製造業者が無過失責任(過失がなくても責任を負う)を負う制度です。
医薬品への適用:
- 医薬品は「製造物」に該当し、PL法の対象
- 医薬品の「欠陥」には:製造上の欠陥(製造プロセスの問題)・設計上の欠陥・指示警告上の欠陥(添付文書の警告不足等)が含まれる
- ただし、医薬品の副作用は承認審査時に評価された既知の範囲内であれば「欠陥」に当たらないとも解されうる(「開発危険の抗弁」)
PL法で損害賠償を求める場合の課題:
- 欠陥の立証責任は原告(被害者)側にある→専門的な技術的立証が困難
- 因果関係の証明→医薬品と被害の直接的な因果関係の立証が難しい
- 訴訟には費用・時間・精神的負担が大きい
これらの課題から、裁判外での解決を図るADRとしての医薬品PLセンターが設立されました。
2. ADR(裁判外紛争解決)の意義
ADR(Alternative Dispute Resolution)は、裁判以外の紛争解決手段の総称です。主な手段:
- 調停(Mediation): 第三者(調停人)が当事者間の合意形成を支援
- 仲裁(Arbitration): 仲裁人が拘束力のある裁定を下す
- 斡旋(Conciliation): 調停より穏やかな形での合意形成支援
医薬品PLセンターは主に「調停・仲介」機能を担います。
ADRのメリット:
- 迅速性: 訴訟の数年〜十数年に対し、数ヶ月〜1年程度での解決が可能
- 費用の軽減: 弁護士費用・訴訟費用が大幅に削減
- 専門性: 医薬品の専門的知識を持つ調停人が関与
- 非公開性: プライバシーが保護される(訴訟は原則公開)
- 関係維持: 当事者間の合意を基本とするため、関係の修復が可能
3. 医薬品PLセンターの歴史と役割
PL法施行(1995年7月)に合わせて、日本製薬団体連合会(日薬連)が医薬品・医薬部外品関連の苦情・被害を専門に扱うADR機関として「医薬品PLセンター」を開設しました。
主な機能:
- 被害者からの相談受付: 医薬品・医薬部外品による被害についての初期相談
- 情報提供: 適切な解決手段(PLセンターの利用・副作用救済制度への申請・訴訟等)の案内
- 調停・仲介: 消費者と製造販売業者の間の交渉・合意形成の支援
- 記録の集積: 相談・紛争事例の蓄積→安全対策情報として活用
対象範囲:日本製薬団体連合会の加盟団体会員等が製造・販売するヒト用の医薬品・医薬部外品(医療用医薬品・一般用医薬品の双方を含む)。化粧品は対象外です。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 対象範囲をヒト用医薬品・医薬部外品(医療用・一般用を含む。化粧品は対象外)と確定。 -->
4. 副作用被害救済制度・PLセンター・訴訟の使い分け
被害者が選択できる救済手段の比較:
| 手段 | 適切なケース | 特徴 |
|---|---|---|
| 医薬品副作用被害救済制度 | 欠陥なし・適正使用・承認済み医薬品による副作用 | 因果関係確定不要・迅速・行政補償 |
| 医薬品PLセンター | 製品の欠陥・説明不足・製造販売業者の過失が疑われる | ADR・費用抑制・非公開 |
| PL訴訟(民事裁判) | 欠陥・過失が明白で損害額が大きい場合 | 拘束力ある判決・時間・費用大 |
| 医療過誤訴訟 | 医師・薬剤師等の処方・調剤ミス | 医療機関の責任追及 |
5. 登録販売者の実務的役割
顧客から「薬を飲んで具合が悪くなった。どこに相談すればいいか?」と問われた場合:
1. 緊急性の確認: 重篤な症状なら即座に受診勧奨
2. 状況の把握: 医薬品の種類・使用方法の確認(適正使用か否か)
3. 相談窓口の案内:
- 副作用被害救済制度(PMDA:0120-149-931)
- 医薬品PLセンター(消費者としての相談窓口)
- かかりつけの薬剤師・医師
4. 記録の提供: 購入した医薬品の記録(購入日・ロット番号等)を提供
これらの適切な案内が、被害を受けた顧客の正当な救済を実現するために不可欠です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第3節「医薬品の副作用等による健康被害の救済」(医薬品PLセンター関連記述) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。