問題
塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)に関する安全対策の経緯について、次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬等に配合されていました。2000年に米国で出血性脳卒中との関連が報告され、FDAが自主的な販売中止を要請しました。日本では直ちに販売を中止する必要はないとして注意喚起を行っていましたが、2003年8月までに国内で脳出血等の副作用症例が複数報告されたため、使用上の注意の改訂、情報提供の徹底とともに、プソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等への速やかな切替えが指示されました。
アは誤りで、鎮痛解熱薬ではなく、問題は脳出血等です。ウは誤りで、日本独自の先行判断ではありません。エは誤りで、日本では直ちに販売を中止する必要はないとされました。オは誤りで、PSEは高血圧・心臓病の診断を受けた人は「使用しないこと」とされています。
PPA→PSE切り替えの経緯:
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 〜2000年 | PPAが日本では鼻炎用内服薬・鎮咳去痰薬・かぜ薬等に配合(日本では食欲抑制剤として承認されていない) |
| 2000年(平成12年) | 5月に米国で、女性が食欲抑制剤(日本での配合量よりも高用量)として使用した場合に出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いとの報告がなされ、米国FDAから米国内でのPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請された |
| 2000年(平成12年)11月 | 日本では、直ちに販売を中止する必要はないものとして、心臓病の人や脳出血の既往がある人等は使用しないよう注意喚起 |
| 2003年(平成15年)8月まで | PPAが配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告され、その多くが用法・用量の範囲を超えた使用又は禁忌とされている高血圧症患者の使用によるものであった |
| その後 | 厚生労働省から関係製薬企業等に対し、使用上の注意の改訂、情報提供の徹底等とともに、代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等への速やかな切替えを指示 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): PPAは鼻充血や結膜充血を除去し、鼻づまり等の症状の緩和を目的として、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬等に配合されていました。問題となったのは消化管の副作用ではなく、出血性脳卒中・脳出血等です。
- イ(正): 手引きの記述どおりです。米国での販売中止要請の後、国内で脳出血等の副作用症例が複数報告されたため、使用上の注意の改訂、情報提供の徹底等とともに、PSE等への速やかな切替えが指示されました。
- ウ(誤): 日本では米国の要請後に注意喚起を行い、その後国内の副作用症例を受けて切替えが指示されたものであり、「日本独自の先行判断」ではありません。
- エ(誤): 日本では食欲抑制剤として承認されていないことなどから、2000年11月の時点では、直ちに販売を中止する必要はないものとして、心臓病の人や脳出血の既往がある人等は使用しないよう注意喚起が行われました。
- オ(誤): プソイドエフェドリン塩酸塩は、使用上の注意「してはいけないこと」で、心臓病(徐脈又は頻脈を引き起こし、心臓病の症状を悪化させるおそれ)や高血圧(交感神経興奮作用により血圧を上昇させ、高血圧を悪化させるおそれ)の診断を受けた人は使用しないこととされています。
【PPA→PSE切り替えの経緯と、代替成分PSEの使用上の注意】
1. PPAの用途と米国での問題
塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻充血や結膜充血を除去し、鼻づまり等の症状の緩和を目的として、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬等に配合されていました。
2000年5月、米国において、女性が食欲抑制剤(日本での鼻炎用内服薬等における配合量よりも高用量)として使用した場合に、出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いとの報告がなされ、米国食品医薬品庁(FDA)から、米国内におけるPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請されました。
2. 日本での対応の2段階
- 第1段階(2000年11月): 日本では食欲抑制剤として承認されていないことなどから、直ちに販売を中止する必要はないものとして、心臓病の人や脳出血の既往がある人等は使用しないよう注意喚起を行った
- 第2段階(2003年8月までの症例報告を受けて): PPAが配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告された。それらの多くは、用法・用量の範囲を超えた使用、又は禁忌とされている高血圧症患者の使用によるものであった(これらの症例は、いずれも回復又は軽快している)。そのため、厚生労働省から関係製薬企業等に対して、使用上の注意の改訂、情報提供の徹底等を行うとともに、代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等への速やかな切替えにつき指示がなされた
用法・用量を超えた使用や禁忌の患者での使用が多かったという点は、販売時の情報提供と使用上の注意の確認が重要であることを示しています。
3. 代替成分PSEの注意点(第3章Ⅶ・別表5-1)
PSEはアドレナリン作動成分で、交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させ、鼻粘膜の充血や腫れを和らげます。手引きでは次の点が示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 中枢神経系への作用 | 他のアドレナリン作動成分に比べて中枢神経系に対する作用が強く、副作用として不眠や神経過敏が現れることがある |
| 使用を避ける人 | 心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人、前立腺肥大による排尿困難の症状がある人 |
| 「してはいけないこと」の理由(例) | 心臓病:徐脈又は頻脈を引き起こし、心臓病の症状を悪化させるおそれ/高血圧:交感神経興奮作用により血圧を上昇させ、高血圧を悪化させるおそれ/前立腺肥大による排尿困難:交感神経刺激作用により、尿の貯留・尿閉を生じるおそれ |
| 相互作用 | セレギリン塩酸塩等のモノアミン酸化酵素阻害剤で治療を受けている人では、体内でのPSEの代謝が妨げられて、副作用が現れやすくなるおそれ |
| 濫用防止 | PSEを有効成分として含有する製剤は指定濫用防止医薬品に指定されている |
PPAからPSEへの切替えで安全性の問題がなくなったわけではなく、PSEにも明確な使用制限がある点を押さえておきます。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章Ⅳ「一般用医薬品に関する主な安全対策」(塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)の安全対策実例の関連記述)・第3章Ⅶ「内服アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む。)」・別表5-1(プソイドエフェドリン塩酸塩) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

