問題
一般用医薬品の添付文書における使用上の注意のうち、排尿困難・前立腺肥大症に関する次のa〜eの記述について、正しいものの組み合わせはどれか。 a. ロートエキス(ロートコンの抽出物)は、排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、尿の貯留を来すおそれがあるため、排尿困難の症状がある人の「相談すること」に記載される。 b. 抗コリン成分は前立腺肥大症に伴う尿道括約筋の弛緩を引き起こし、尿失禁を助長させるリスクがあるため「相談すること」に記載される。 c. ジフェンヒドラミン塩酸塩等の抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑える作用以外に抗コリン作用も示すため、排尿困難の症状がある人、特に前立腺肥大症を伴っている人が使用すると、尿の貯留や尿閉を引き起こすおそれがある。 d. プソイドエフェドリン塩酸塩は、交感神経刺激作用により尿の貯留・尿閉を生じるおそれがあるため、「前立腺肥大による排尿困難」の症状がある人は「してはいけないこと」の対象とされている。 e. スコポラミン臭化水素酸塩水和物は抗コリン作用が弱いため、前立腺肥大症や排尿困難を持つ患者でも「相談すること」には該当しない。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(a・c・d)です。
- a(正): ロートエキスは別表5-2の「排尿困難」に挙げられ、排尿筋の弛緩と括約筋の収縮により尿の貯留を来すおそれがあるため「相談すること」に記載されます。
- b(誤): 別表5-2の理由は「排尿筋の弛緩と括約筋の収縮」による尿の貯留です。括約筋が「弛緩」して尿失禁を助長するのではありません。
- c(正): 抗ヒスタミン成分は抗コリン作用も示し、前立腺肥大症を伴っている場合には尿閉を引き起こすおそれがあります。
- d(正): プソイドエフェドリン塩酸塩は「前立腺肥大による排尿困難」の人は使用しないこと(「してはいけないこと」)とされています。
- e(誤): スコポラミン臭化水素酸塩水和物は別表5-2の「排尿困難」に挙げられた抗コリン成分です。
排尿困難・前立腺肥大症に関係する使用上の注意(別表5-1・5-2):
| 区分 | 記載 | 主な成分 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 相談すること(別表5-2) | 「次の症状がある人」排尿困難 | ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン成分、ジフェニドール塩酸塩、構成生薬としてマオウを含む漢方処方製剤、スコポラミン臭化水素酸塩水和物・メチルオクタトロピン臭化物・イソプロパミドヨウ化物等の抗コリン成分、ロートエキス | 排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、尿の貯留を来すおそれがあるため。特に、前立腺肥大症を伴っている場合には、尿閉を引き起こすおそれがあるため |
| してはいけないこと(別表5-1) | 「次の症状がある人」前立腺肥大による排尿困難 | プソイドエフェドリン塩酸塩 | 交感神経刺激作用により、尿の貯留・尿閉を生じるおそれがあるため |
各記述の解説:
- a(正): ロートエキスはロートコン(ナス科のハシリドコロ等の根茎及び根を基原とする生薬)の抽出物で、スコポラミンを含みます。別表5-2の「排尿困難」に挙げられています。
- b(誤): 別表5-2の理由は「排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、尿の貯留を来す」です。「括約筋の弛緩」「尿失禁を助長」は理由が逆になっています。
- c(正): 手引きは、抗ヒスタミン成分はヒスタミンの働きを抑える作用以外に抗コリン作用も示すため、排尿困難や口渇、便秘等の副作用が現れることがあり、排尿困難の症状がある人では症状の悪化を招くおそれがあるとしています。別表5-2でも、前立腺肥大症を伴っている場合には尿閉を引き起こすおそれがあるとされています。
- d(正): プソイドエフェドリン塩酸塩は、別表5-1で「前立腺肥大による排尿困難」の症状がある人は使用しないこととされ、理由は「交感神経刺激作用により、尿の貯留・尿閉を生じるおそれがあるため」です。「相談すること」ではなく「してはいけないこと」の対象である点に注意します。
- e(誤): スコポラミン臭化水素酸塩水和物は、別表5-2の「排尿困難」に挙げられた抗コリン成分です。「該当しない」は誤りです。
組合せは、正しい記述 a・c・d をすべて含み、誤った記述(b・e)を含まないイだけです。
【排尿の仕組みから、抗コリン成分・抗ヒスタミン成分・プソイドエフェドリンの注意を整理する】
1. 排尿の仕組み(第2章)
- 膀胱は尿を一時的に溜める袋状の器官で、尿が溜まってくると刺激が脳に伝わって尿意が生じる
- 膀胱の出口にある膀胱括約筋が緩むと、同時に膀胱壁の排尿筋が収縮し、尿が尿道へと押し出される
- 自律神経系の働きとして、膀胱では交感神経系が「排尿筋の弛緩(→排尿抑制)」、副交感神経系が「排尿筋の収縮(→排尿促進)」に働く
- 男性では、膀胱の真下に尿道を取り囲むように前立腺があり、加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫して排尿困難等を生じることがある
2. 副作用としての排尿困難・尿閉(第2章)
副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用すると、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感がある等の症状を生じることがあります。進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになります。これらの症状は前立腺肥大等の基礎疾患がない人でも現れることが知られており、男性に限らず女性においても報告されています。
3. 「相談すること」の排尿困難に挙がる成分(別表5-2)
| 成分群 | 例 |
|---|---|
| 抗ヒスタミン成分 | ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩等 |
| その他 | ジフェニドール塩酸塩、構成生薬としてマオウを含む漢方処方製剤 |
| 抗コリン成分 | スコポラミン臭化水素酸塩水和物、メチルオクタトロピン臭化物、イソプロパミドヨウ化物等 |
| 生薬抽出物 | ロートエキス |
理由は共通で、「排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、尿の貯留を来すおそれがあるため。特に、前立腺肥大症を伴っている場合には、尿閉を引き起こすおそれがあるため」です。抗ヒスタミン成分も、ヒスタミンの働きを抑える作用以外に抗コリン作用を示すため、この欄に含まれます。
4. プソイドエフェドリン塩酸塩は「してはいけないこと」(別表5-1)
プソイドエフェドリン塩酸塩は、「前立腺肥大による排尿困難」の症状がある人は使用しないこととされ、理由は「交感神経刺激作用により、尿の貯留・尿閉を生じるおそれがあるため」です。手引きでは、自律神経系を介した副作用として、めまいや頭痛、排尿困難が現れることがあるとも記載されています。同じ排尿困難でも、抗コリン成分等は「相談すること」、プソイドエフェドリン塩酸塩は「してはいけないこと」と区分が異なる点が出題のポイントです。
5. 登録販売者の販売現場対応
排尿困難の症状がある人や前立腺肥大症の人に対しては、これらの成分を含む製品かどうかを確認し、プソイドエフェドリン塩酸塩を含む製品は使用しないよう、抗コリン成分・抗ヒスタミン成分等を含む製品は使用前に医師等に相談するよう説明します。使用後に尿勢の低下等の兆候が現れたときは使用を中止し、医療機関における処置が必要となる場合もある点も伝えます。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章Ⅰ-1)「添付文書の読み方」・別表5-1・5-2(「してはいけないこと」前立腺肥大による排尿困難/「相談すること」排尿困難)・第3章Ⅰ-5「鎮暈薬(乗物酔い防止薬)」(ロートエキス)・第3章Ⅶ「内服アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む。)」(抗ヒスタミン成分の抗コリン作用) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

