問題
一般用医薬品の添付文書における「してはいけないこと」の「次の症状がある人」・「長期連用しないこと」の記載に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
グリチルリチン酸(甘草・カンゾウの主成分)を比較的大量に含む製品では、長期連用により偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇・低カリウム血症)を引き起こすリスクが高まります。そのため「長期連用しないこと」が添付文書に記載されます。
ア(誤): ステロイド外用薬は長期使用により皮膚萎縮・毛細血管拡張・感染症リスクが増加するため「長期連用しないこと」と記載されます。ウ(誤): アルミニウム含有制酸薬は透析患者でアルミニウム骨症・透析脳症のリスクがあり「してはいけないこと」に記載されます。エ(誤): センナ・センノシド含有瀉下剤にも「長期連用しないこと」「大量に使用(服用)しないこと」の記載があります。オ(誤): インドメタシン等NSAIDsの外用薬にも使用制限の記載があります。
「してはいけないこと」において長期連用・継続使用を避けるべき主な成分の別表:
| 成分・製品 | 連用回避の理由 | 記載の典型例 |
|---|---|---|
| ステロイド外用薬(副腎皮質ステロイド) | 皮膚萎縮・毛細血管拡張・副腎皮質抑制・感染症リスク | 「長期連用しないこと」 |
| グリチルリチン酸含有製品(大量・漢方製剤等) | 偽アルドステロン症(低K血症・血圧上昇・むくみ) | 「長期連用しないこと」 |
| センナ・センノシド・ダイオウ(瀉下薬) | 腸管刺激への耐性形成・腸管運動の低下(怠性便秘) | 「大量に使用(服用)しないこと」(瀉下剤は「長期連用しないこと」) |
| 制酸薬(アルミニウム含有) | 透析患者でアルミニウム蓄積→アルミニウム骨症・透析脳症 | 「次の人は使用しないこと:透析療法を受けている人」 |
| インドメタシン外用薬 | 長期大量使用での全身性副作用(腎機能低下等) | 「長期連用しないこと」 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): ステロイド外用薬は強い抗炎症作用を持ちますが、長期連用により皮膚菲薄化(皮膚萎縮)・毛細血管の脆弱化(毛細血管拡張)・ニキビ様皮疹・感染症の悪化・副腎皮質機能の抑制が生じます。「長期連用しないこと」の記載があります。
- イ(正): グリチルリチン酸は腎臓で11β-HSD2を阻害し、コルチゾールが鉱質コルチコイド受容体を過剰刺激します。その結果、Na・水分貯留とK排泄が促進され、偽アルドステロン症が発症します。毎日のように服用する漢方製剤(葛根湯等のカンゾウ含有処方)を長期継続する場合に注意が必要です。
- ウ(誤): アルミニウムは腎臓から排泄されますが、透析患者では腎排泄ができないためアルミニウムが体内(骨・脳)に蓄積します。アルミニウム骨症(骨の脆弱化)・透析脳症(脳機能障害)を引き起こすおそれがあり、透析患者はアルミニウム含有制酸薬の「してはいけないこと」対象です。
- エ(誤): センナ・センノシドの長期連用は大腸の蠕動運動の自律性を低下させ、薬がないと排便できない「怠性便秘」を招くリスクがあります。「長期連用しないこと」等の記載があります。
- オ(誤): インドメタシンなど一部のNSAIDs外用薬にも使用上の制限や注意記載があります。外用薬であっても経皮吸収により全身作用が生じる可能性があります。
【長期連用回避成分の薬理学的理由と「怠性」「耐性」「副腎抑制」の機序】
添付文書に「長期連用しないこと」「連用しないこと」と記載される成分群は、単に副作用が強いだけでなく、「長期使用によって特有のリスクが増大する」という共通した薬理学的背景があります。それぞれの機序を正確に理解することが重要です。
1. ステロイド外用薬の長期連用リスク
副腎皮質ステロイド(コルチコステロイド)は糖質コルチコイド受容体(GR)を介して抗炎症・免疫抑制作用を発揮します。長期外用による問題点:
局所的影響:
- 皮膚萎縮(菲薄化): フィブロブラスト(線維芽細胞)の増殖抑制→コラーゲン産生低下→皮膚が薄く脆弱化
- 毛細血管拡張(telangiectasia): 血管壁の支持組織(コラーゲン)減少→毛細血管が拡張し赤ら顔(紅斑)
- ニキビ様皮疹・多毛: 毛包への影響
- 感染症悪化: 免疫抑制により細菌・真菌感染が増悪(皮膚カンジダ症等)
全身的影響(大量・長期外用時):
- 視床下部-下垂体-副腎皮質軸(HPA軸)の抑制: 長期外用での全身吸収により内因性コルチゾール産生が抑制され、突然中止すると「副腎クリーゼ(急性副腎不全)」のリスクが生じる
2. グリチルリチン酸の偽アルドステロン症
グリチルリチン酸→腸内細菌→グリチルレチン酸→腎臓で11β-HSD2阻害→コルチゾールが鉱質コルチコイド受容体(MR)を過剰刺激→Na・水貯留+K排泄→偽アルドステロン症。
発症の特徴的な症状(試験頻出):
- 低カリウム血症: 四肢脱力・筋力低下・筋肉痛・こむらがえり
- 高血圧: 水・Naの貯留による血圧上昇
- 浮腫(むくみ): 細胞外液増加による組織浮腫
手引き上、1日用量がグリチルリチン酸として40mg以上、又はカンゾウ(甘草)として1g以上を含有する製品のうち短期間の服用に限られる漢方生薬製剤は「短期間の服用にとどめ、連用しないこと」とされ、むくみ・心臓病・腎臓病・高血圧のある人および高齢者は「相談すること」の対象です。カンゾウを含む漢方製剤(芍薬甘草湯・葛根湯・麻黄湯等多数)を複数同時服用したり長期継続する場合は、グリチルリチン酸・カンゾウの重複による過量に特に注意が必要です。
3. センナ・センノシドの怠性便秘形成
センノシドは腸内細菌によりレインアンスロン(活性代謝物)に変換され、大腸粘膜のミエンテリー神経叢(腸管神経叢)を刺激して蠕動運動を促進します。
長期連用の問題:
- 腸管神経叢の持続的刺激→腸管神経の「疲弊」→自律的な蠕動運動能力の低下
- 薬剤依存性便秘(怠性便秘)の形成:薬がないと排便できない状態
- 慢性的な大腸色素沈着(偽メラノーシス・大腸メラノーシス):大腸黒皮症
- さらに重篤な場合:大腸の機能的麻痺・イレウスに至るリスク
なお長期過剰摂取による腸間膜静脈硬化症(主にサンシシ含有漢方の問題)とは異なる機序です。
4. アルミニウム含有制酸薬と透析患者のリスク
水酸化アルミニウムゲル等の制酸成分は、通常は腸管からほとんど吸収されず(吸収率低い)、腎臓から排泄されます。しかし慢性腎不全や透析患者では腎排泄が不可能なため、アルミニウムが骨・脳・肝臓などに蓄積します。
- アルミニウム骨症(骨軟化症): アルミニウムがカルシウムに置き換わり骨強度が低下。病的骨折のリスク。
- 透析脳症(アルミニウム脳症): 脳にアルミニウムが蓄積し言語障害・認知機能低下・痙攣が出現。かつて透析液のアルミニウム汚染でも発生した。
これらの重篤な有害事象を防ぐため、透析患者は添付文書「してはいけないこと」の「次の人は使用(服用)しないこと」に記載されます。
5. 登録販売者の長期連用回避の実践的対応
購入者への情報提供のポイント:
- リピート購入客への確認:「前回のご購入からどのくらいになりますか?この薬を継続して使われていますか?」
- 長期連用者への受診勧奨:「この薬は長期間の連続使用がすすめられていません。症状が続いているようでしたら、医療機関での診察をお勧めします」
- 複数の漢方製剤を使っている顧客へのカンゾウ重複確認:「現在服用中の漢方があれば教えていただけますか。同じ成分が重複することがあります」
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章Ⅰ-1)「添付文書の読み方」・別表5-1(使用上の注意「してはいけないこと」症状悪化・連用回避別表) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

