第5章 医薬品の適正使用・安全対策60医薬品の適正使用・安全対策(医薬品副作用被害救済制度・給付種類・給付水準・支給の流れ)

登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問60:医薬品の適正使用・安全対策(医薬品副作用被害救済制度・給付種類・給付水準・支給の流れ)

医薬品副作用被害救済制度の給付に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 医薬品副作用被害救済制度における「医療費」の給付は、副作用による疾病の治療のために必要な医療費の全額が支給される。
  • 「障害年金」は、副作用によって生じた身体的障害が一定の等級(障害等級)に達した場合に請求でき、年齢に関係なく給付される年金形式の給付である。
  • 「遺族年金」は、副作用による死亡から10年以内であればいつでも請求でき、10年を経過するまで時効は成立しない。
  • 救済制度の給付の可否は、PMDAが副作用との因果関係・医薬品の適正使用の有無等を審査した後、厚生労働大臣が最終的に判定する。正答
  • 救済給付の請求書類には、必ず担当医師の作成した診断書を添付しなければならない。
正答:救済制度の給付の可否は、PMDAが副作用との因果関係・医薬品の適正使用の有無等を審査した後、厚生労働大臣が最終的に判定する。

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正答はエです。

医薬品副作用被害救済制度では、PMDAが副作用の因果関係・適正使用の有無等を専門的に調査・審査します。その調査結果をもとに、厚生労働大臣が給付の可否を最終的に判定します。

給付の主な種類と受給対象:

  • 医療費: 副作用による疾病の治療に要した費用(健康保険等の給付を除いた自己負担分)
  • 医療手当: 医療を受けるために要した費用(入院・通院の負担を補う定額支給)
  • 障害年金: 18歳以上の本人に一定以上の障害(障害等級1・2級相当)が残った場合の年金給付
  • 障害児養育年金: 18歳未満の障害児(障害等級1・2級相当)を養育する者への給付
  • 遺族年金: 生計維持者が死亡した場合の遺族への年金給付(最長10年)
  • 遺族一時金: 遺族年金の受給者がいない場合等の一時金給付
  • 葬祭料: 葬祭を行った者への定額給付

※請求期限(時効)は、医療費・医療手当は5年以内、遺族年金・遺族一時金・葬祭料は死亡から5年以内ですが、障害年金・障害児養育年金には請求期限がありません(時効なし)

ア(全額ではなく自己負担分等)・イ(年齢等の条件あり)・ウ(時効は5年だが正確な記述か要確認)・オ(医師の診断書は必要だが「必ず」か等を確認)が誤りです。

標準試験対策の基準レベル

医薬品副作用被害救済制度の給付種類と水準の一覧:

| 給付の種類 | 給付対象 | 給付水準の目安 | 請求期限 |

|---|---|---|---|

| 医療費 | 副作用による疾病の治療費(自己負担分) | 健康保険等で給付される額を除いた自己負担相当額 | 医療費の支払いから5年以内 |

| 医療手当 | 副作用の治療のための通院・入院に伴う費用 | 定額(月額) | 請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内 |

| 障害年金 | 18歳以上で一定以上の障害(障害等級1・2級相当)が残った者本人 | 障害等級に応じた年額 | 請求期限なし(時効なし) |

| 障害児養育年金 | 18歳未満で一定以上の障害がある者を養育する者 | 養育対象の障害等級に応じた年額 | 請求期限なし(時効なし) |

| 遺族年金 | 副作用による死亡者の遺族(生計維持者が死亡) | 年額・最長10年 | 死亡から5年以内 |

| 遺族一時金 | 遺族年金の受給資格がない場合等 | 定額 | 死亡から5年以内 |

| 葬祭料 | 葬祭を行った者 | 定額 | 死亡から5年以内 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 医療費の給付は治療費の「全額」ではなく、「健康保険等の給付対象となる医療費のうち自己負担分(一部負担金等)が給付対象」とされています。保険が適用されない費用・差額ベッド代等の扱いについては制度の規定があります。「全額が支給される」は誤りです。
  • イ(誤・部分的): 障害年金の給付要件には年齢に関する規定があります(手引きの規定に従う必要があります)。また障害等級(政令で定める程度の障害)に達する必要があります。「年齢に関係なく」という記述は正確ではありません(18歳未満は障害年金ではなく障害児養育年金の対象となる等)。
  • ウ(誤): 遺族年金の請求期限(時効)は「死亡のときから5年以内」です。「10年以内」「10年まで時効が成立しない」は誤りです。なお障害年金・障害児養育年金には請求期限(時効)がない点と混同しないよう注意が必要です(給付の種類によって時効の有無・年数が異なる)。
  • エ(正): 給付の可否の判定プロセス:(1)被害者がPMDAに請求書類を提出→(2)PMDAが調査・審査(医薬品との因果関係・適正使用の有無・副作用の程度等の専門的判断)→(3)厚生労働大臣が最終的に給付可否を判定→(4)PMDAが支給(不支給)通知。このプロセスの記述が正しいです。
  • オ(誤・部分的): 請求書類には医師の診断書が通常必要ですが、「必ず医師が作成した診断書」が必要かどうかは給付種類によって異なります。また制度の詳細な書類要件は給付種類ごとに規定されており、一概に「必ず担当医師の診断書が必要」とは言い切れません。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【医薬品副作用被害救済制度の設計思想・給付水準・請求フローを制度論から体系化する】

医薬品副作用被害救済制度は、適正に使用したにもかかわらず副作用で健康被害を受けた患者を救済するという日本独自の制度設計を持ちます。その理念・仕組み・限界を深く理解することが、登録販売者として購入者への情報提供に役立ちます。

1. 制度の理念:「過失なき被害者の迅速な救済」

制度創設の背景(昭和55年制定):

  • 1970年代のスモン訴訟(キノホルム配合整腸剤による脊髄炎)等の薬害事件
  • 被害者が訴訟で救済を求めるには年単位の時間と費用がかかる問題
  • 「医薬品は正しく使っても副作用が生じることがある」という認識が社会的に確立

制度の3原則:

1. 過失責任不問: 製造販売業者に過失があるかどうかを問わない(無過失補償)

2. 迅速な救済: 訴訟より速く(通常判定まで6〜12ヶ月程度)

3. 公平な負担: 製造販売業者が拠出する「拠出金」で制度を維持

この「無過失補償」の概念は、訴訟(損害賠償)とは根本的に異なります。訴訟では製造販売業者の「製造物責任(PL)」を問うため過失・欠陥の証明が必要ですが、救済制度では因果関係と適正使用の確認のみで給付判定されます。

2. 給付水準の設計:社会保障制度との関係

医療費の給付水準(詳細):

  • 対象:薬機法で承認された医薬品(一般用医薬品・要指導医薬品・医療用医薬品)の「使用上の注意に従った適正な使用」による副作用
  • 給付内容:健康保険の自己負担部分(3割等)に相当する医療費
  • 限度:政令で定める額
  • ポイント:保険適用外の医療費(先進医療・差額ベッド代等)は給付対象外

医療手当の給付水準:

  • 定額(月額で規定される)で入院・外来別に設定
  • 健康保険の傷病手当金と類似した性格

障害年金の設計:

  • 障害等級1級・2級相当の重篤な後遺症(日常生活に著しい制限)が対象
  • 障害の程度に応じた年額が政令で定められる
  • 労災保険の障害補償年金・国民年金の障害年金に相当する制度を補完する性格

3. 請求から支給までの実際のフロー

ステップ1:被害の発生と初期対応

  • 副作用が疑われる症状発生 → 医療機関を受診
  • 主治医(かかりつけ医・専門医)へ「市販薬(または処方薬)との関係の可能性」を相談
  • 診断書・治療記録の作成を医師に依頼

ステップ2:請求書類の準備

  • PMDA(または都道府県等の窓口)から請求書類を入手
  • 必要書類の例:

- 副作用被害救済給付請求書

- 医師の診断書(副作用の症状・治療内容・機能障害の程度等)

- 販売証明書(使用した医薬品を購入したことの証明:レシート・領収書等)

- 医療費(領収書のコピー等)

ステップ3:PMDAへ請求書類の提出

ステップ4:PMDAによる調査・審査

  • PMDAが請求内容を調査(副作用の因果関係・医薬品の種類・適正使用の有無等)
  • 必要に応じて厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会」の専門委員への意見照会

ステップ5:厚生労働大臣による判定

  • PMDAの調査結果をもとに、厚生労働大臣が給付・不支給を判定
  • 判定結果をPMDAが請求者に通知

ステップ6:給付の支給(または不支給通知)

  • 給付決定の場合:PMDAから被害者の指定口座へ支給
  • 不支給の場合:不支給の理由を通知(不服申立ての案内も行われる)

4. 請求期限(時効)の管理

各給付種類の請求期限(時効)は概ね「副作用の健康被害が生じた日(または費用を支払った日)から5年以内」が基本とされています(給付種類によって起算点が異なる)。

時効管理の実務上の重要性:

  • 被害者が制度を知らずに時効が成立する事例がある
  • 登録販売者は「副作用が疑われる購入者」に制度の存在を案内する義務(「こういう制度があります」と伝える)
  • PMDAの相談窓口(0120-149-931)や厚生労働省の窓口への問い合わせを勧める

5. 制度の限界と対象外ケース(次問ch5_61への接続)

救済制度には適用除外がある(ch5_61で詳述):

  • 殺虫剤・殺鼠剤による被害
  • 医薬品の「適正使用」に反した場合の被害(過量服用・禁忌者への使用等)
  • 一般的な副作用ではなく「その医薬品に特有の製造上の問題」による被害(製造物責任の範疇)
  • 軽微な副作用(入院を要しない程度の一過性の症状)

これらの対象外ケースを理解することで、購入者への「この制度は使えそうか?」という初期の案内精度が上がります。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): PMDA一次ソースで確認。(1)医療費=健康保険等による給付を除いた自己負担分(全額ではない)→選択肢アは誤りで確定(正答エ)。(2)障害年金は18歳以上の本人、障害児養育年金は18歳未満を養育する者→選択肢イ「年齢に関係なく」は誤りで確定。(3)請求期限はstandard表を修正:障害年金・障害児養育年金は時効なし、医療費/医療手当/遺族関係は5年以内。選択肢ウ「遺族年金は死亡から5年以内」は正しい記述で、設問の正答はエ(給付可否はPMDA調査→厚労大臣判定)。正答エで確定。出典: PMDA「給付の種類と給付額」「請求期限」。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第4節「医薬品の副作用等による健康被害の救済」(給付種類・給付水準・請求手続き) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

救済制度の給付額・給付水準と請求から支給までの流れの細目頻出度B

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