第一種電気工事士 学科試験の「配電理論及び配線設計」「電気工事の施工方法」の要点を、電気設備技術基準の解釈・電技省令の条文で整理します。配電方式と電圧降下、力率改善コンデンサの容量計算、高圧受電設備の機器、接地工事(A種〜D種)、高圧屋内配線の施設方法をまとめます。
結論:第一種電気工事士の学科試験の「配電理論及び配線設計」「電気工事の施工方法」では、配電方式と電圧降下・力率改善の計算、高圧受電設備の機器の役割、接地工事(A種〜D種)、高圧屋内配線の施設方法が基本になります。計算は公式の意味から、数値は電気設備技術基準の解釈・電技省令の条文で確認できるので、条文に沿って整理しましょう。
第一種電気工事士は、最大電力500キロワット未満の自家用電気工作物の電気工事の作業に従事するための資格で、学科試験の科目には、第二種の範囲に加えて、受電設備や自家用電気工作物に関する内容が含まれます(出典:電気技術者試験センター 第一種電気工事士の試験概要)。本記事では、配電理論と施工方法の要点を、条文に沿って整理します。
電気設備技術基準の解釈 接地工事の接地抵抗値:A種10Ω以下、C種10Ω以下、D種100Ω以下(C種・D種は、低圧電路で地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは500Ω以下)。B種は変圧器の1線地絡電流Igに応じた値(第17条)。最終確認日:2026-10-02。出典:経済産業省 電気設備技術基準の解釈。
1. 配電理論・配線設計
1.1 配電方式
低圧の配電方式には、次のようなものがあります。
| 配電方式 | 特徴 |
|---|---|
| 単相2線式 | 2本の電線で単相の電力を送る |
| 単相3線式 | 3本の電線で、100Vと200Vの2種類の電圧が取り出せる(一般の住宅で使われる) |
| 三相3線式 | 3本の電線で三相の電力を送る。電動機などの動力に使う |
| 三相4線式 | 3本の電線に中性線を加えた方式 |
1.2 電圧降下の計算
線路の抵抗をR、リアクタンスをX、負荷電流をI、力率をcosθとすると、電圧降下は次の式で求めます。
- 単相2線式:e=2I(R cosθ+X sinθ)
- 三相3線式:e=√3 I(R cosθ+X sinθ)
抵抗だけを考える場合(力率1)は、単相2線式がe=2IR、三相3線式がe=√3 IRです。単相2線式の電圧降下は単相2線式配電線路の線間電圧を求める問題で練習できます。
1.3 力率改善コンデンサの容量
電動機などの誘導性負荷には、コンデンサを並列に接続して力率を改善します。必要なコンデンサの容量は、負荷の有効電力をP、改善前の力率角をθ1、改善後の力率角をθ2として、次の式で求めます。
Q=P(tanθ1−tanθ2)
例:有効電力100kWの負荷の力率を0.8から0.95に改善する場合
→ tanθ1=0.75、tanθ2≒0.33 なので、Q=100×(0.75−0.33)≒42kvar
力率改善の考え方は力率改善をわかりやすくで詳しく解説しています。コンデンサ容量の計算は高圧進相コンデンサの容量を求める問題、力率改善後の線路損失はコンデンサ設置後の線路損失を求める問題で練習できます。
2. 高圧受電設備の機器と役割
自家用電気工作物の高圧受電設備に使われる主な機器と、役割の概要は次のとおりです。
| 機器 | 役割の概要 |
|---|---|
| 柱上気中開閉器(PAS) | 受電点に取り付ける開閉器。地絡継電器と組み合わせたものもある |
| 真空遮断器(VCB) | 事故電流を遮断する遮断器 |
| 負荷開閉器(LBS) | 負荷電流を開閉する開閉器 |
| 変圧器 | 高圧を低圧に変成する |
| 変流器(CT)・計器用変圧器(VT) | 大きな電流・電圧を、計器や継電器で扱える大きさに変換する |
| 避雷器(LA) | 雷などによる異常電圧から機器を保護する |
| 進相コンデンサ(SC) | 力率を改善する |
配線図の問題では、これらの図記号と機器名の対応が問われます。各機器の定格や接続順序は、問題や教材の図で確認してください。変圧器の結線は三相変圧器の結線図で整理しています。
3. 接地工事
3.1 接地工事の種類と接地抵抗値(解釈第17条)
| 種類 | 接地抵抗値 | 接地線 |
|---|---|---|
| A種接地工事 | 10Ω以下 | 引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線 |
| B種接地工事 | 変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流Igに応じた値(150/Ig・300/Ig・600/Ig) | 17-3表による |
| C種接地工事 | 10Ω以下(低圧電路で、0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは500Ω以下) | 引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径1.6mm以上の軟銅線 |
| D種接地工事 | 100Ω以下(同じく、0.5秒以内に自動的に遮断する装置を施設するときは500Ω以下) | C種と同じ |
3.2 機械器具の金属製外箱等の接地(解釈第29条)
| 機械器具の使用電圧 | 接地工事 |
|---|---|
| 低圧で300V以下 | D種接地工事 |
| 低圧で300V超過 | C種接地工事 |
| 高圧又は特別高圧 | A種接地工事 |
ただし、第29条第2項に、接地工事を省略できる場合(交流の対地電圧が150V以下の機械器具を乾燥した場所に施設する場合、水気のある場所以外で定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型の漏電遮断器を施設する場合など)が列挙されています。適用の考え方は人が触れるおそれがある場所の金属製外箱等の接地工事の問題で確認できます。
4. 絶縁抵抗・絶縁耐力
4.1 低圧電路の絶縁抵抗値(電技省令第58条)
| 電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|
| 300V以下で、対地電圧が150V以下の場合 | 0.1MΩ以上 |
| 300V以下で、その他の場合 | 0.2MΩ以上 |
| 300Vを超えるもの | 0.4MΩ以上 |
300V超かどうかは使用電圧、0.1MΩか0.2MΩかは対地電圧で判断します。出典:e-Gov法令検索 電気設備に関する技術基準を定める省令。
4.2 高圧電路の絶縁耐力試験
試験電圧の求め方(最大使用電圧に応じた係数)や計算例は、自家用電気工作物の検査方法にまとめています。
5. 高圧屋内配線(解釈第168条)
高圧屋内配線は、次のいずれかの工事で施設します。
- がいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る)
- ケーブル工事
がいし引き工事の場合の主な規定は、次のとおりです。
- 接触防護措置を施す
- 電線の支持点間の距離は6m以下(造営材の面に沿って取り付ける場合は2m以下)
- 電線相互の間隔は8cm以上、電線と造営材との離隔距離は5cm以上
- 高圧屋内配線は、低圧屋内配線と容易に区別できるように施設する
ケーブル工事の場合は、管その他のケーブルを収める防護装置の金属製部分、金属製の電線接続箱及びケーブルの被覆に使用する金属体に、A種接地工事を施します(接触防護措置を施す場合はD種接地工事によることができる)。
出典:経済産業省 電気設備技術基準の解釈(第168条)。
6. 学習の進め方
1. 配電方式・電圧降下・力率改善の公式を、手で解いて身につける
2. 高圧受電設備の機器と図記号を、配線図とセットで覚える
3. 接地工事の種類と抵抗値、適用条件(解釈第17条・第29条)を一覧にする
4. 低圧の絶縁抵抗値と、高圧の絶縁耐力試験の違いを整理する
第二種電気工事士の知識がある方は、基礎理論や低圧の配線の部分を復習にとどめ、高圧に関する内容に時間を使う進め方もできます。必要な学習時間は、電気技術者試験センターが公表していません。
7. 問題演習で身につける
試験センター非提携:本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。本サイトの問題は、電気技術者試験センターが公表した過去の試験問題(各問に出典を明記)で構成しています。
本サイトでは、配電理論・工事方法・機器配線などの問題を分野別に解くことができ、各問に3段階の解説(初級・標準・上級)が付いています。
配電理論の問題集を見る / 工事方法の問題集を見る / 演習モードで実力チェック
8. まとめ
- 電圧降下と力率改善コンデンサの容量は、公式の意味から理解する
- 高圧受電設備は、機器の役割と図記号をセットで覚える
- 接地工事は、解釈第17条(抵抗値・接地線)と第29条(適用範囲)で確認する
- 高圧屋内配線は、がいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所)又はケーブル工事(解釈第168条)
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よくある質問
Q配電理論は、第二種の範囲と何が違いますか?
電気技術者試験センターの試験概要では、第一種電気工事士の学科試験の科目に「配電理論及び配線設計」「電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備」が示されています。第一種の対象は自家用電気工作物(最大電力500キロワット未満の需要設備)で、高圧の受電設備に関する内容が加わります。出典:電気技術者試験センター 第一種電気工事士の試験概要、電気工事士の資格概要。
Q力率改善コンデンサの容量はどう計算しますか?
負荷の有効電力をP、改善前の力率角をθ1、改善後の力率角をθ2とすると、必要なコンデンサの容量は Q=P(tanθ1−tanθ2)で求めます。たとえば、有効電力100kWの負荷の力率を0.8から0.95に改善する場合、tanθ1=0.75、tanθ2≒0.33なので、Q=100×(0.75−0.33)≒42kvarです。
Q接地工事の接地抵抗値は、どう覚えればよいですか?
電気設備技術基準の解釈第17条で、A種接地工事は10Ω以下、C種接地工事は10Ω以下、D種接地工事は100Ω以下(C種・D種は、低圧電路で地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは500Ω以下)と定められています。B種接地工事は、変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流Igに応じた値(150/Ig・300/Ig・600/Ig)です。出典:経済産業省 電気設備技術基準の解釈。
Q機械器具の金属製外箱には、どの接地工事を施しますか?
電気設備技術基準の解釈第29条第1項で、機械器具の使用電圧が低圧で300V以下ならD種接地工事、低圧で300V超過ならC種接地工事、高圧又は特別高圧ならA種接地工事を施すと定められています。ただし、第2項に、乾燥した場所に施設する場合など、接地工事を省略できる場合が列挙されています。出典:電気設備技術基準の解釈。
Q高圧屋内配線は、どのような工事で施設しますか?
電気設備技術基準の解釈第168条で、高圧屋内配線は、がいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る)又はケーブル工事のいずれかにより施設すると定められています。がいし引き工事の場合は、電線相互の間隔8cm以上、電線と造営材との離隔距離5cm以上などの規定があります。出典:電気設備技術基準の解釈。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月2日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
