問題
図のように,三相3線式高圧配電線路の末端に,負荷容量100kV・A(遅れ力率0.8)の負荷Aと,負荷容量50kV・A(遅れ力率0.6)の負荷Bに受電している需要家がある。需要家全体の合成力率(受電端における力率)を1にするために必要な力率改善用コンデンサ設備の容量[kvar]は。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
力率を1にするには、負荷が使っている遅れの無効電力を、コンデンサで全部打ち消せばよいことになります。負荷Aの無効電力は、100kV・A×sinθ(力率0.8のときsinθ=0.6)=60kvarです。負荷Bの無効電力は、50kV・A×sinθ(力率0.6のときsinθ=0.8)=40kvarです。合計は60+40=100kvarなので、100kvarのコンデンサが必要です。正答はウです。
皮相電力(kV・A)は単純に足せないので、有効電力と無効電力に分けて考えます。
①負荷A(100kV・A、力率0.8):有効電力 100×0.8=80kW、無効電力 100×0.6=60kvar(sinθ=√(1−0.8²)=0.6)
②負荷B(50kV・A、力率0.6):有効電力 50×0.6=30kW、無効電力 50×0.8=40kvar(sinθ=√(1−0.6²)=0.8)
③需要家全体:有効電力 80+30=110kW、無効電力 60+40=100kvar(遅れ)
④力率を1にするには、無効電力を0にする必要があるので、コンデンサ容量は100kvarです。
誤りやすい点:40kvar(ア)は負荷Bだけ、60kvar(イ)は負荷Aだけの無効電力です。110(エ)は有効電力の合計(kW)で、無効電力ではありません。正答はウです。
本問は、力率の異なる複数の負荷を合成し、力率改善に必要なコンデンサ容量を求める計算です。
【合成の基本】力率の異なる負荷の皮相電力は、向きの異なるベクトルなので算術的に足せません(100+50=150kV・Aにはならない)。有効電力Pと無効電力Qをそれぞれ足してから合成します。
P=80+30=110kW、Q=60+40=100kvar
改善前の皮相電力 S=√(110²+100²)=√22100≒148.7kV・A
改善前の合成力率 cosθ=110/148.7≒0.74(遅れ)
【力率を1にする条件】コンデンサは有効電力を変えず、進みの無効電力だけを供給します。受電端の無効電力を0にするには、QC=Q=100kvar。このとき皮相電力は有効電力と等しい110kV・Aまで下がり、受電端の電流は約0.74倍になります。配電線の損失は電流の2乗に比例するので、約0.55倍に減ります。
【実務の考え方】実際の受電設備では、力率をちょうど1にすると、負荷が軽くなったときにコンデンサの容量が余って進み力率になり、受電端の電圧上昇などを招きます。そのため目標は1より少し低い遅れ力率とし、負荷の変動に合わせてコンデンサを開閉します。本問の「力率を1にする」は計算上の条件として、合成無効電力をそのまま答えればよい形です。
【類題】「力率を0.93程度にする」のように目標が1でない型では、QC=Q−P×tanθ2 で求めます(tanθ2は問題文で与えられることが多い)。有効電力と無効電力を分けて計算するという手順は、どの型でも共通です。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度(午前) 第一種電気工事士 学科試験 問9(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-14)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


