問題
特定化学物質障害予防規則(特化則)の第2類物質の取扱い・作業環境管理に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはエです。「特別有機溶剤」(クロロホルム・ジクロロメタン等の有機溶剤系特定化学物質)は特化則の第2類物質ですが、事業者が特別有機溶剤業務に労働者を従事させる場合には、有機則の第1章〜第3章、第4章(第19条・第19条の2を除く)及び第7章の規定が準用されます(特化則第38条の8)。「有機則が適用されず特化則のみ」という記述が誤りです。
ア・イ・ウ・オは、それぞれ特化則第36条・第30条と第32条・第28条・第36条の3の内容です。
特別有機溶剤と通常の有機溶剤の規制の違い:
| 区分 | 適用法令 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 通常の有機溶剤 | 有機則 | 有機則の区分ごとの設備・測定・健診等 |
| 特別有機溶剤(クロロホルム等) | 特化則+有機則の一部準用(特化則第38条の8) | 第2類物質としての規制に、有機則の設備・換気装置・管理・保護具の規定が準用される |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): ベンゼン(安衛令別表第三第二号30)を取り扱う屋内作業場では6月以内ごとに1回測定し(特化則第36条第1項)、ベンゼンに係る測定の記録は30年間保存します(同条第3項)。
- イ(正): 局所排気装置等の定期自主検査は1年以内ごとに1回(特化則第30条)、記録は3年間保存(特化則第32条)です。対象装置を定める特化則第29条は、特別有機溶剤等に係るものを除いています。
- ウ(正): 特化則第28条第2号・第3号のとおりです。
- エ(誤): 特別有機溶剤業務には有機則の一部が準用されます(特化則第38条の8)。
- オ(正): 特化則第36条の3第1項(点検と改善措置)・第3項(有効な呼吸用保護具の使用等)のとおりです。
【理論的背景】
特別有機溶剤は、第2類物質のうち安衛令別表第三第二号3の3、11の2、18の2から18の4まで、19の2、19の3、22の2から22の5まで及び33の2に掲げる物です(特化則第2条第1項第3号の2)。具体的には次のとおりです。
- エチルベンゼン(3の3)
- クロロホルム(11の2)
- 四塩化炭素(18の2)
- 1,4-ジオキサン(18の3)
- 1,2-ジクロロエタン(18の4)
- 1,2-ジクロロプロパン(19の2)
- ジクロロメタン(19の3)
- スチレン(22の2)
- 1,1,2,2-テトラクロロエタン(22の3)
- テトラクロロエチレン(22の4)
- トリクロロエチレン(22の5)
- メチルイソブチルケトン(33の2)
これらには、特化則の第2類物質としての規制(作業環境測定の記録の長期保存など)に加えて、特別有機溶剤業務について有機則の設備・換気装置・管理・保護具の規定を準用する形がとられています(特化則第38条の8)。
【実務・条文構造】
有機則の準用(特化則第38条の8):
- 事業者が特別有機溶剤業務に労働者を従事させる場合、有機則の第1章(総則)、第2章(設備)、第3章(換気装置の性能等)、第4章(管理。第19条・第19条の2を除く)及び第7章(保護具)の規定を準用する
- 特別有機溶剤業務とは、屋内作業場等で行うクロロホルム等有機溶剤業務、エチルベンゼン塗装業務、1・2-ジクロロプロパン洗浄・払拭業務をいう(特化則第2条の2第1号)
- 特別有機溶剤業務に係る作業の作業主任者は、有機溶剤作業主任者技能講習の修了者から特定化学物質作業主任者として選任する(特化則第27条第1項)
作業環境測定と記録(特化則第36条):
- 安衛令第21条第7号の作業場について、6月以内ごとに1回、定期に測定
- 記録は原則3年間保存。ただしベンゼン等の物質に係る測定の記録は30年間保存(同条第3項)
特定化学物質作業主任者の職務(特化則第28条):
1. 労働者が特定化学物質により汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること
2. 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他の装置を1月を超えない期間ごとに点検すること
3. 保護具の使用状況を監視すること
4. タンクの内部において特別有機溶剤業務に労働者が従事するときは、準用する有機則第26条の措置が講じられていることを確認すること
第3管理区分に区分された場所の措置(特化則第36条の3):
- 直ちに施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき作業環境を改善するため必要な措置を講じ、第1管理区分又は第2管理区分となるようにする(第1項)
- 措置の効果を確認するため、濃度の測定と評価を行う(第2項)
- 労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、健康診断の実施その他労働者の健康の保持を図るため必要な措置を講ずる(第3項)
【試験での位置づけ】
特別有機溶剤の規制問題では「特化則の第2類物質であり、かつ有機則の一部が準用される(有機則が全く適用されないわけではない)」が最重要ポイントです。また「ベンゼン等の測定記録は30年保存(原則の3年と異なる)」「作業主任者の職務は作業方法の決定・指揮、装置の1月以内ごとの点検、保護具の使用状況の監視」も確認しておきましょう。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 測定の記録の保存期間は原則3年間ですが、特化則第36条第3項に掲げる物(ベンゼンを含む)に係る測定の記録は30年間保存します。
- イ: 定期自主検査の対象装置は特化則第29条各号に掲げるものです。特別有機溶剤等に係る局所排気装置等は同条から除かれ、準用される有機則の規定によって扱われます。
- ウ: 作業主任者の職務には、局所排気装置だけでなく、除じん装置・排ガス処理装置・排液処理装置等の点検も含まれます(特化則第28条第2号)。
- エ: 特別有機溶剤業務以外の業務で特別有機溶剤等を製造し、又は取り扱う業務には、特化則の適用が除外される場合があります(特化則第2条の2第1号)。規制の範囲は業務の種類によって決まる点にも注意が必要です。
- オ: 第3管理区分の場所では、改善措置の効果を確認する測定・評価(第36条の3第2項)まで行う必要があります。
【根拠法令】特定化学物質障害予防規則 第2条・第2条の2・第27条・第28条・第29条・第30条・第32条・第36条・第36条の3・第38条の8、労働安全衛生法施行令 第21条第7号・別表第三
【補足】特別有機溶剤は特化則の第2類物質であり、特別有機溶剤業務には有機則の一部が準用される(有機則が全く適用されないわけではない)。ベンゼン等の作業環境測定記録は30年保存。第3管理区分の場所は直ちに点検・改善し、有効な呼吸用保護具を使用させる。
- 特定化学物質障害予防規則第38条の8・第36条・第30条・第32条・第29条・第28条e-Govで原文を読む
- 有機溶剤中毒予防規則第26条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第21条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 特定化学物質障害予防規則(特化則)第2条(定義:特別有機溶剤)・第2条の2(適用の除外)・第27条・第28条(特定化学物質作業主任者の選任・職務)・第29条〜第32条(定期自主検査・記録)・第36条(測定及びその記録)・第36条の3(評価の結果に基づく措置)・第38条の8(有機則の準用)、労働安全衛生法施行令 第21条第7号・別表第三。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

