関係法令(有害業務)41第一種労働安全衛生法令(安衛令第6条・高圧作業規則)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問41:労働安全衛生法令(安衛令第6条・高圧作業規則)

高圧室内作業に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 高圧室内作業主任者は、高圧室内作業主任者免許を受けた者のうちから選任しなければならないが、当該免許は技能講習の修了によって取得する。
  • 高圧室内作業(ゲージ圧力0.1メガパスカル以上の気圧下における潜函工法等の作業)を行う事業者は、当該作業を指揮させるために高圧室内作業主任者を選任しなければならない。正答
  • 高圧室内作業に従事する労働者の1日の作業時間は、気圧の大きさに関わらず最大8時間を超えてはならない。
  • 高圧室内作業への就業前に実施する健康診断において、医師が不適当と認めた者でも、本人が同意すれば当該業務に就かせることができる。
  • 高圧室内作業主任者の職務には、送気の調節のための弁または、コックの操作を担当する者の指揮は含まれない。
正答:高圧室内作業(ゲージ圧力0.1メガパスカル以上の気圧下における潜函工法等の作業)を行う事業者は、当該作業を指揮させるために高圧室内作業主任者を選任しなければならない。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠法令も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

正しいのはイです。ゲージ圧力0.1メガパスカル以上の気圧下で行う高圧室内作業は、安衛令第6条第1号により作業主任者の選任が義務付けられています。

各誤りの要点: ア→高圧室内作業主任者は「技能講習の修了」ではなく免許(国家試験合格)によって取得します(技能講習との重要な違い)。ウ→作業時間制限は気圧の大きさによって異なります(高圧則で詳細規定)。エ→健康診断で不適当と認められた者は就業させることができません(本人同意があっても不可)。オ→送気調節弁等を担当する者の指揮は作業主任者の職務に含まれます(高圧則第11条)。

標準試験対策の基準レベル

高圧室内作業主任者の資格要件と特徴:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 根拠 | 安衛令第6条第1号・高圧則第10条 |

| 資格 | 高圧室内作業主任者免許(都道府県労働局長が交付)|

| 取得方法 | 国家試験(技能講習修了ではない点が他と異なる)|

| 適用対象作業 | ゲージ圧力0.1MPa以上の高圧室内作業(潜函・シールド工法等)|

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 高圧室内作業主任者免許は「技能講習」ではなく「試験(免許試験)」の合格によって取得します。衛生管理者・特定化学物質作業主任者等が技能講習修了で取得できるのと異なり、試験合格が必要です。
  • イ(正): 安衛令第6条第1号により、高圧室内作業(ゲージ圧力0.1MPa以上)には作業主任者の選任が必要です。選任された者は、作業の方法・手順の決定・作業者への指示・設備の異常への措置等を担います。
  • ウ(誤): 高圧室内作業の時間は「気圧に関わらず一律8時間まで」ではありません。気圧(深度)が高いほど体内に溶け込む不活性ガスが増え、安全に減圧するための時間が長くなるため、実作業時間は気圧に応じて制約されます(平成27年4月改正で旧別表の一律の作業時間表は削除され、分圧制限・酸素ばく露量・減圧時間の管理に移行)。
  • エ(誤): 就業制限に係る健康診断で医師が不適当と認めた者を当該業務に就かせることは禁止されており、本人同意の有無にかかわらず就かせることはできません(高圧則第41条)。
  • オ(誤): 高圧則第11条により、作業主任者の職務には「送気の調節のための弁またはコックの操作を担当する者の指揮」が含まれます。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

高圧室内作業(ケーソン工法・シールド工法等)は、地下または水中において大気圧より高い圧力環境で行う作業です。高圧環境では窒素の体内への溶解量が増大し、急激な減圧(浮上)によって窒素ガスが体内で気泡化する「減圧症(潜水病・ケーソン病)」が生じる危険があります。また、高圧下では酸素の分圧も上昇し、酸素中毒(肺・中枢神経の障害)も問題となります。これらの特殊な健康リスクに対応するため、高気圧作業安全衛生規則(高圧則)が制定されています。

高圧室内作業を規制する法体系:

  • 安衛法第14条: 作業主任者の選任義務
  • 安衛令第6条第1号: 高圧室内作業における作業主任者の選任(ゲージ圧力0.1MPa以上)
  • 高気圧作業安全衛生規則(高圧則): 具体的な作業方法・就業制限・健康管理の詳細

【実務・条文構造】

高圧則の主要規制体系:

加圧・減圧・ガス管理(平成27年4月改正後):

  • 作業計画(第12条の2): 加圧・減圧の速度、作業気圧、作業時間等を定めて作業を行う
  • 呼吸用ガスの分圧の制限(第15条): 酸素18〜160kPa(気こう室での減圧時は18〜220kPa)・窒素400kPa以下・炭酸ガス0.5kPa以下
  • 減圧: 旧「標準減圧表(別表)」は削除され、計算により求めた減圧停止圧力・時間に従って減圧する
  • 気こう室(前室)の設置: 急激な圧力変化から労働者を保護

作業時間に関わる管理(平成27年4月改正後):

  • 旧高圧則の「気圧別の作業時間表(別表第2)」は削除された
  • 現在は呼吸用ガスの分圧の制限(第15条)・酸素ばく露量の制限・減圧時間の管理によって体内のガス蓄積を抑える
  • 気圧(深度)が高いほど減圧に要する時間が長くなり、結果として実作業時間が制約される

健康診断・就業禁止(高圧則第38条・第41条):

  • 健康診断(第38条): 雇入れ時・配置替え時・6か月以内ごとに1回
  • 病者の就業禁止(第41条): 医師が必要と認める期間就業させてはならない(本人同意・事業者判断では覆せない)
  • 減圧症・耳管機能障害・呼吸器疾患・循環器疾患等の既往がある者は就業が制限され得る

高圧室内作業主任者の職務(高圧則第11条):

1. 作業の方法と労働者の配置の決定・指揮

2. 加圧・減圧の速度の監視

3. 送気の調節のための弁・コックの操作を担当する者の指揮

4. 作業室・気閘への不必要な労働者の立入禁止

5. 保護具の使用状況の監視

6. 異常を認めた場合の必要措置

【試験での位置づけ】

高圧室内作業の問題では、「免許か技能講習か(免許=国家試験が必要・技能講習修了ではない)」が最頻出の引っかけです。安衛令第6条に列挙される作業主任者が必要な業務の中で、免許取得が必要なのは一部(高圧室内・ガンマ線透過写真撮影等)であり、大半は技能講習修了で取得できます。この区別は試験で繰り返し問われます。また、作業時間制限が「気圧に依存する」ことも重要な知識です。

【発展:2022年以降の化学物質自律管理との接点】

高圧室内作業は化学物質管理の文脈では「物理的有害因子」(高気圧・気圧変動)による健康障害のカテゴリーに分類されます。2022年の安衛法改正で化学物質のリスクアセスメント義務が拡大されましたが、高圧作業は化学物質規制とは別軸で規制されており、高圧則による物理的な作業環境管理(加減圧速度・作業時間・健康診断)が独自に適用されます。第一種衛生管理者は化学的有害因子・物理的有害因子の双方に精通する必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 高圧室内作業主任者免許試験は、安全衛生技術試験協会(JISHA)が実施する国家試験であり、受験資格に「一定の実務経験または学歴・資格」が必要です。技能講習修了者(例: 特定化学物質作業主任者)が自動的に高圧作業主任者になれるわけではありません。
  • ウ: 「1日8時間以内」というルールは一般的な労働時間制限ですが、高圧室内作業では気圧が高くなるほど体内の窒素蓄積量が増えるため、曝露時間を厳格に管理することが減圧症予防の核心です。同じ「8時間」でも0.1MPaの環境と0.5MPaの環境では窒素蓄積量が大きく異なります。
  • エ: 就業制限の健康診断は「強制的な安全弁」として機能します。減圧症は一度発症すると後遺症(関節痛・骨壊死・麻痺等)が残る場合があり、医師の就業不適合判定を本人同意で覆すことはできません。
  • オ: 送気調節弁の操作は、高圧室内の気圧維持・加減圧速度の管理という作業安全の中枢機能です。この操作を担当する者を適切に指揮することは、作業主任者の最重要職務の一つです。

【根拠法令】労働安全衛生令第6条第1号(高圧室内作業の作業主任者)、高気圧作業安全衛生規則第10条(高圧室内作業主任者の選任・免許)・第11条(職務)・第15条(呼吸用ガスの分圧の制限)・第38条(健康診断)・第41条(病者の就業禁止)。※平成27年4月改正で旧別表(気圧別の作業時間表)は削除された。

【補足】高圧室内作業主任者は「技能講習」でなく「免許(試験合格)」が必要。作業時間は気圧に応じて制限(高いほど短時間)。就業禁止判定は絶対的(本人同意不可)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第14条、労働安全衛生令第6条第1号(高圧室内作業の作業主任者の選任)、高気圧作業安全衛生規則(高圧則)第10条(高圧室内作業主任者の選任・免許)、同規則第11条(主任者の職務)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

関連論点

安衛令6条・高圧室内作業の作業主任者頻出度A

関係法令(有害業務)の他の問題

1
特定化学物質障害予防規則(特化則)
2
有機溶剤中毒予防規則(有機則)
3
酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)
4
電離放射線障害防止規則(電離則)
5
粉じん障害防止規則(粉じん則)
6
健康管理手帳・就業制限

科目別に解いて、衛生管理者に合格

関係法令・労働衛生・労働生理を374問。第一種・第二種対応。各問に根拠法令とAI解説(3レベル)付き。