問題
労働安全衛生法第55条および安衛令第16条第1項が規定する「製造等が禁止されている有害物」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正しいのはエです。製造等が禁止されている有害物(安衛令第16条第1項各号)であっても、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、あらかじめ都道府県労働局長の許可を受け、厚生労働大臣が定める基準に従って製造・使用するときは、禁止の対象外となります(安衛法第55条ただし書・安衛令第16条第2項)。
各誤りの要点: ア→黄りんマッチも第55条ただし書の対象で、試験研究のためなら要件を満たせば製造・輸入・使用できる。イ→石綿でも分析用の試料などは除かれており、「解体工具の輸入が例外」という規定は存在しない。ウ→ベンジジン及びその塩は安衛令第16条第1項第2号の製造禁止物質。オ→4-アミノジフェニル及びその塩は安衛令第16条第1項第3号の製造禁止物質。
製造禁止物質(安衛令第16条第1項各号)の主要物質:
| 号 | 物 |
|---|---|
| 第1号 | 黄りんマッチ |
| 第2号 | ベンジジン及びその塩 |
| 第3号 | 4-アミノジフェニル及びその塩 |
| 第4号 | 石綿(分析のための試料の用に供される石綿など、厚生労働省令で定めるものを除く) |
| 第5号 | 4-ニトロジフェニル及びその塩 |
| 第6号 | ビス(クロロメチル)エーテル |
| 第7号 | ベータ-ナフチルアミン及びその塩 |
| 第8号 | ベンゼンを含有するゴムのりで、ベンゼンの容量が溶剤(希釈剤を含む)の5%を超えるもの |
| 第9号 | 第2号・第3号・第5号〜第7号の物を重量の1%を超えて含有し、又は石綿を重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物 |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 安衛法第55条ただし書は、第55条の物すべてについて、試験研究のため製造・輸入・使用する場合で政令の要件に該当するときを禁止の対象外としています。黄りんマッチだけを除く規定はありません。
- イ(誤): 石綿については、分析のための試料の用に供される石綿などが除かれていますが(安衛令第16条第1項第4号)、「解体工具の輸入」を例外とする規定はありません。
- ウ(誤): ベンジジン及びその塩は安衛令第16条第1項第2号の製造禁止物質であり、染料の中間体として製造を認める規定はありません。
- エ(正): 安衛法第55条ただし書と、その要件を定める安衛令第16条第2項(第1号=あらかじめ都道府県労働局長の許可、第2号=厚生労働大臣が定める基準に従って製造・使用)のとおりです。
- オ(誤): 4-アミノジフェニル及びその塩は安衛令第16条第1項第3号の製造禁止物質です。製造許可物質(安衛法第56条・安衛令第17条・別表第3第1号の第1類物質)ではありません。
【理論的背景】
安衛法第55条は、黄りんマッチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で政令で定めるものについて、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用することを禁止しています。これに対し安衛法第56条は、ジクロルベンジジン等の物を製造しようとする者に、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受けることを求める「製造許可」の制度です。前者は原則禁止、後者は許可を受ければ製造できる、という点で規制の強さが異なります。
製造禁止制度の構造:
- 安衛法第55条本文: 安衛令第16条第1項各号の物の製造・輸入・譲渡・提供・使用の禁止
- 安衛法第55条ただし書: 試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは禁止の対象外
- 安衛令第16条第2項(ただし書の要件): ①製造・輸入・使用について、あらかじめ都道府県労働局長の許可を受けること(輸入割当てを受けるべき物の輸入は、輸入割当てを受けたことを証する書面を提出)②厚生労働大臣が定める基準に従って製造し、又は使用すること
- 罰則: 第55条に違反したときは、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(安衛法第116条)
試験研究の例外で「許可をする者」は、製造禁止(第55条)では都道府県労働局長、製造許可(第56条)では厚生労働大臣です。両者を取り違えないことが、この問題の要点です。
【実務・条文構造】
安衛令第16条第1項各号(製造等禁止物質):
第1号: 黄りんマッチ
第2号: ベンジジン及びその塩
第3号: 4-アミノジフェニル及びその塩
第4号: 石綿(石綿の分析のための試料の用に供される石綿、石綿の使用状況の調査に関する知識又は技能の習得のための教育の用に供される石綿、これらの原料又は材料として使用される石綿で、厚生労働省令で定めるものを除く)
第5号: 4-ニトロジフェニル及びその塩
第6号: ビス(クロロメチル)エーテル
第7号: ベータ-ナフチルアミン及びその塩
第8号: ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む)の5%を超えるもの
第9号: 第2号、第3号若しくは第5号から第7号までの物をその重量の1%を超えて含有し、又は石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物
製造禁止と製造許可の比較(試験重要):
| 制度 | 根拠 | 取扱い | 試験研究・許可 |
|---|---|---|---|
| 製造禁止 | 安衛法第55条・安衛令第16条第1項各号 | 製造・輸入・譲渡・提供・使用の禁止 | 試験研究のための製造・輸入・使用は、都道府県労働局長の許可+厚生労働大臣が定める基準(令第16条第2項) |
| 製造許可 | 安衛法第56条・安衛令第17条(別表第3第1号の第1類物質及び石綿分析用試料等) | あらかじめ厚生労働大臣の許可を受けて製造 | - |
製造許可物質との具体的な違い:
- ジクロルベンジジン及びその塩(安衛令別表第3第1号の第1類物質)→ 厚生労働大臣の許可を受けて製造
- ベンジジン及びその塩(安衛令第16条第1項第2号)→ 製造等禁止。試験研究のためなら都道府県労働局長の許可等の要件を満たして製造・輸入・使用
【試験での位置づけ】
製造禁止物質の問題では「どの物が安衛令第16条第1項の禁止物質か(ベンジジン・4-アミノジフェニル・石綿等)」「製造許可物質(第1類物質:ジクロルベンジジン等)との区別」「試験研究のための例外の要件(都道府県労働局長の許可・厚生労働大臣が定める基準)」が問われます。許可権者を「厚生労働大臣」とする記述は、第56条の製造許可と混同した誤りです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 第55条ただし書は物を限定していないため、黄りんマッチも、試験研究のために令第16条第2項の要件を満たせば製造・輸入・使用が可能です。
- イ: 石綿の除外は、分析のための試料の用に供される石綿や、使用状況の調査に関する教育の用に供される石綿などで、厚生労働省令で定めるものに限られます(安衛令第16条第1項第4号)。
- ウ: ベンジジン及びその塩は第2号の禁止物質で、さらにこれを重量の1%を超えて含有する製剤その他の物も第9号で禁止されています。
- エ: 許可は「あらかじめ」受ける必要があり、許可に加えて厚生労働大臣が定める基準に従うことも要件です(安衛令第16条第2項第1号・第2号)。
- オ: 4-アミノジフェニル及びその塩は第3号の禁止物質です。名称の似た物質が別表第3第1号(第1類物質)に並んでいるため、どちらの条文に掲げられているかで判断しましょう。
【根拠法令】労働安全衛生法第55条(製造等の禁止・ただし書)・第56条(製造の許可)・第116条(罰則)、労働安全衛生法施行令第16条第1項(禁止物質を各号に直接列挙。別表は用いない)・第2項(試験研究の要件:都道府県労働局長の許可・厚生労働大臣が定める基準)・第17条(製造の許可を受けるべき有害物)
【補足】製造禁止物質でも試験研究のためなら「あらかじめ都道府県労働局長の許可」+「厚生労働大臣が定める基準」で例外。製造許可(第56条)の許可権者は厚生労働大臣。4-アミノジフェニルは製造許可物質(第1類)ではなく製造禁止物質。
- 労働安全衛生法第55条・第56条・第116条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第16条・第17条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第55条(製造等の禁止)・同条ただし書(試験研究のため製造・輸入・使用する場合で政令で定める要件に該当するとき)、労働安全衛生法施行令第16条第1項(禁止物質を各号に列挙。黄りんマッチ・ベンジジン・4-アミノジフェニル・石綿・4-ニトロジフェニル等)・第2項(ただし書の要件:都道府県労働局長の許可・厚生労働大臣が定める基準に従った製造・使用)。※製造禁止物質は安衛令第16条第1項の各号に直接列挙されており「別表」は用いない。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

