関係法令(有害業務)43第一種労働安全衛生法令(安衛法第55条・安衛令第16条第1項各号)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問43:労働安全衛生法令(安衛法第55条・安衛令第16条第1項各号)

労働安全衛生法第55条および安衛令第16条第1項が規定する「製造等が禁止されている有害物」に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 黄りんマッチは製造等が禁止されている有害物に該当するが、試験研究目的であっても製造・輸入・使用ができない。
  • 石綿(アスベスト)は一切の種類・形態にかかわらず製造等が禁止されているが、石綿含有建築材料の解体に使用するための特殊工具の輸入は例外として認められている。
  • ベンジジンおよびその塩は、現在も染料の中間体として一定の条件のもとで製造が認められている。
  • 製造等が禁止されている有害物を試験研究のために製造・輸入しようとする場合は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。正答
  • 4-アミノジフェニルおよびその塩は製造等が禁止されている有害物ではなく、安衛令第17条(別表第3)の製造許可物質(特定化学物質第1類)に分類されている。
正答:製造等が禁止されている有害物を試験研究のために製造・輸入しようとする場合は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

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正しいのはエです。製造等が禁止されている有害物(安衛令第16条第1項各号)であっても、試験研究目的に限り厚生労働大臣の許可を受けることで製造・輸入が認められます(安衛法第55条ただし書き)。

各誤りの要点: ア→試験研究目的なら大臣許可により製造・輸入できる(完全禁止ではない)。イ→石綿は試験研究目的でも事実上ほぼ全面禁止であり「解体工具の輸入が例外」などという規定は存在しない。ウ→ベンジジンおよびその塩は現在も製造等が禁止されており(安衛令第16条第1項に掲載)、「条件付き製造可」ではない。オ→4-アミノジフェニルおよびその塩は特化則第1類(製造許可物質)ではなく、安衛法第55条の製造禁止物質に該当する。

標準試験対策の基準レベル

製造禁止物質(安衛令第16条第1項各号)の主要物質:

| 物質名 | 主な用途(禁止前)| 健康影響 |

|---|---|---|

| 黄りんマッチ | マッチの頭薬 | 骨壊死・肝障害 |

| ベンジジンおよびその塩 | 染料中間体 | 膀胱がん(発がん性確認) |

| 4-アミノジフェニルおよびその塩 | 染料・試薬 | 膀胱がん |

| 4-ニトロジフェニルおよびその塩 | 染料原料 | 膀胱がん |

| ビス(クロロメチル)エーテル | 試薬・中間体 | 肺がん |

| ベータ-ナフチルアミンおよびその塩 | 染料中間体 | 膀胱がん |

| ベンゼンを含有するゴムのり(ベンゼン5%超) | 接着剤 | 白血病(ベンゼン) |

| 石綿(アスベスト)全種 | 断熱材・建築材料等 | 中皮腫・肺がん |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 安衛法第55条ただし書きにより、試験研究目的については「厚生労働大臣の許可」を受けることで例外的に製造・輸入が認められます(「試験研究であっても一切不可」は誤り)。
  • イ(誤): 石綿は試験研究目的での大臣許可以外には例外はなく、「解体工具の輸入」が特別に認められるという規定は存在しません。
  • ウ(誤): ベンジジンおよびその塩は安衛令第16条第1項に掲載された製造禁止物質であり、条件付きで製造が認められる規定はありません。
  • エ(正): 安衛法第55条ただし書きの規定通りです。試験研究目的でも無条件には認められず、厚生労働大臣の許可という行政的コントロールが必要です。
  • オ(誤): 4-アミノジフェニルおよびその塩は製造許可物質(安衛令別表第3第1号・特化則第1類)ではなく、安衛法第55条・安衛令第16条第1項が定める製造禁止物質です。両者の混同は典型的な引っかけです。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

安衛法第55条の製造禁止制度は、科学的に発がん性その他の重大な健康障害が確認された物質を原則的に禁止する最も強力な規制です。製造許可制度(安衛法第56条・特化則第1類)が「許可を受ければ製造できる」のに対し、製造禁止は「原則として一切の製造・輸入・使用等が禁止」であり、規制強度の頂点に位置します。

製造禁止制度の構造:

  • 安衛法第55条本文: 安衛令第16条第1項各号に列挙された物質の製造・輸入・使用・譲渡・提供・貯蔵の禁止
  • 安衛法第55条ただし書き: 試験研究目的に限り厚生労働大臣許可で例外(許可申請書・試験計画・安全管理措置等の提出が必要)
  • 違反した場合: 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(安衛法第116条)

製造禁止物質制度の沿革:

  • 1971年(昭和46年)の安衛法制定当初から基本枠組みは存在
  • 2005年(平成17年): 石綿の全種類・全形態を禁止物質に追加(それまでは一部使用可)
  • 2016年以降: GHS分類の進展とともに、将来的に追加候補物質の検討継続

【実務・条文構造】

安衛令第16条第1項各号(製造等禁止物質・2026年現在):

第1号: 黄りんマッチ

第2号: ベンジジンおよびその塩

第3号: 4-アミノジフェニルおよびその塩

第4号: 石綿(クリソタイル・クロシドライト・アモサイト等の全種類・製品含む。一部の分析用試料等を除く)

第5号: 4-ニトロジフェニルおよびその塩

第6号: ビス(クロロメチル)エーテル

第7号: ベータ-ナフチルアミンおよびその塩

第8号: ベンゼンを含有するゴムのり(ベンゼンの含有割合が溶剤の5%を超えるもの)

第9号: 第2号〜第7号の物をその重量の1%を超えて含有し、または石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物

※β-プロピオラクトン・2-アセチルアミノフルオレン等は製造禁止物質ではなく、別の規制区分(特化則の対象物質等)に属する。製造禁止物質の各号は上記のとおり。

製造禁止と製造許可の比較(試験重要):

| 制度 | 根拠 | 取扱い | 例外 |

|---|---|---|---|

| 製造禁止 | 安衛法55条・安衛令16条第1項各号 | 原則禁止 | 試験研究のみ(大臣許可要) |

| 製造許可 | 安衛法56条・安衛令17条・別表第3第1号 | 許可を受けた場合のみ可 | 許可制・特化則第1類に対応 |

特化則第1類(製造許可物質)との具体的な違い:

  • ジクロロベンジジン(特化則第1類)→ 大臣許可があれば製造可能
  • ベンジジン(製造禁止)→ 試験研究以外は一切不可
  • 同じ「ベンジジン系」でもジクロロ体と非置換体で規制が異なる点は重要

【試験での位置づけ】

製造禁止物質の問題では「石綿は完全禁止(2005年以降・全種類)」「ベンジジン・4-アミノジフェニルは第1類(製造許可)ではなく禁止物質」「試験研究目的は大臣許可で可」の3点が最頻出です。特化則第1類(ジクロロベンジジン等)と製造禁止物質(ベンジジン本体等)の区別は、物質名が類似しており混同しやすいため出題されやすい論点です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 黄りんマッチは明治時代から職業病(壊疽性骨髄炎=「phossy jaw」)の原因として知られており、日本でも大正時代に製造禁止が実現しています。安衛法体系の製造禁止物質の中では最も古い規制対象の一つです。現在では安全マッチが普及しており実務的意義は薄いですが、試験では「禁止物質の例」として毎回登場します。
  • ウ: ベンジジン(benzidine)は強力な膀胱発がん物質であり、世界的に禁止されています。染料産業では過去に広く使用されていた歴史があり、ベンジジン系染料を扱う労働者への職業性膀胱がんが世界各国で報告されています。
  • オ: 4-アミノジフェニル(4-aminodiphenyl, 4-ABP)も強力な膀胱発がん物質です。染料・試薬として使用されていましたが、疫学的な発がん証拠が確認されたため製造禁止に分類されています。特化則第1類に類似した名称の物質(ジクロロベンジジン等)と混同しないことが重要です。

【根拠法令】労働安全衛生法第55条(製造等の禁止・ただし書きの試験研究許可)、労働安全衛生令第16条第1項(禁止物質を各号に直接列挙。別表は用いない)

【補足】製造禁止物質でも試験研究目的なら「厚生労働大臣の許可」で例外。4-アミノジフェニルは製造許可物質(第1類)ではなく製造禁止物質。石綿は2005年以降全面禁止。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第55条(製造等の禁止)・同条ただし書き(試験研究目的の例外・厚生労働大臣の許可)、労働安全衛生令第16条第1項(禁止物質を各号に列挙。黄りんマッチ・ベンジジン・4-アミノジフェニル・石綿・4-ニトロジフェニル等)。※製造禁止物質は安衛令第16条第1項の各号に直接列挙されており「別表」は用いない。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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