問題
特定化学物質障害予防規則(特化則)における第1類物質(製造許可物質)の製造許可に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはエです。第1類物質の製造許可は都道府県労働局長ではなく厚生労働大臣に申請します(安衛法第56条第1項)。
なお製造禁止物質の試験研究のための製造等の許可は都道府県労働局長ですが、第1類物質の製造許可は厚生労働大臣です。申請書は、製造する場所を管轄する労働基準監督署長を経由して厚生労働大臣に提出します(特化則第49条第1項)。
各正しい記述の確認: ア→物ごと・プラントごとに大臣許可が必要(特化則第48条)。イ→ジクロルベンジジン等の製造設備は密閉式構造が許可基準(特化則第50条)。ウ→ジクロロベンジジンとアルファ-ナフチルアミンはいずれも第1類物質に該当。オ→第1類・第2類物質を取り扱う作業には作業主任者の選任が必要。
特化則第1類物質(製造許可が必要)の一覧(安衛令別表第3第1号・全7物質):
| 番号 | 物質名 |
|---|---|
| 1 | ジクロルベンジジンおよびその塩 |
| 2 | アルファ-ナフチルアミンおよびその塩 |
| 3 | 塩素化ビフェニル(別名PCB) |
| 4 | オルト-トリジンおよびその塩 |
| 5 | ジアニシジンおよびその塩 |
| 6 | ベリリウムおよびその化合物 |
| 7 | ベンゾトリクロリド |
※安衛令別表第3第1号は、上記7物質に加えて8として「1から6までの物を重量の1%を超えて、または7の物を0.5%を超えて含有する製剤その他の物」を掲げる(含有製剤を含めて規制対象とする)。純物質としては7物質。
製造許可制度の核心(各選択肢の正誤と根拠):
- ア(正): 安衛法第56条第1項により「あらかじめ」厚生労働大臣の許可が必要で、許可は第1類物質ごとに、かつ製造するプラントごとに行われます(特化則第48条)。
- イ(正): 特化則第50条第1項第2号により、ジクロルベンジジン等を製造する設備は密閉式の構造とすることが製造許可の基準です(ベリリウム等は第50条の2で「密閉式の構造」または「上方、下方及び側方に覆い等」を設けたもの)。
- ウ(正): ジクロロベンジジン・アルファ-ナフチルアミンはいずれも安衛令別表第3第1号に掲載された第1類物質です。ベンジジン(製造禁止物質)と類似した名称ですが第1類物質です。
- エ(誤): 製造許可は「厚生労働大臣」への申請が必要です(安衛法第56条第1項)。申請書は所轄労働基準監督署長を経由して厚生労働大臣に提出します(特化則第49条第1項)。都道府県労働局長への申請は誤りです。
- オ(正): 特化則第27条・安衛令第6条第18号により、第1類・第2類物質を製造または取り扱う作業には特定化学物質作業主任者の選任が義務付けられています(第3類物質も対象。試験研究のため取り扱う作業等は除く)。
【理論的背景】
安衛法第56条の製造許可制度は、「労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物」(第1類物質)の製造について、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受けさせる仕組みです。製造禁止(第55条)との違いは「許可を受ければ製造できる点」であり、製造設備・作業方法等が基準に適合する事業者に限って製造を認める許可制度です。
製造許可制度の骨格(安衛法第56条):
- 審査: 厚生労働大臣は、製造設備、作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ許可をしてはならない(第2項)
- 許可後の義務: 製造者は製造設備を基準に適合するよう維持し(第3項)、基準に適合する作業方法に従って製造しなければならない(第4項)
- 行政処分: 基準不適合なら設備の修理・改造・移転等を命ずることができ(第5項)、法令違反の場合は許可を取り消すことができる(第6項)
【実務・条文構造】
製造許可の手続き(特化則第48条・第49条):
1. 許可の単位: 第1類物質ごとに、かつ、当該物を製造するプラントごと(第48条)
2. 申請: 様式第5号の申請書に摘要書(様式第6号)を添えて、製造する場所を管轄する労働基準監督署長を経由して厚生労働大臣に提出(第49条第1項)
3. 許可証の交付: 厚生労働大臣が許可証(様式第7号)を交付(第49条第2項)
4. 許可証の再交付・書替え: 滅失・損傷時は再交付、氏名(名称)変更時は書替えを、労働基準監督署長経由で厚生労働大臣に申請(第49条第3項・第4項)
製造許可の基準(特化則第50条)の主な内容(ジクロルベンジジン等):
- 製造設備を設置し、または取り扱う作業場所は他の作業場所と隔離し、床・壁は不浸透性の材料で造る(第1項第1号)
- 製造設備は密閉式の構造とし、原材料等の送給・移送・運搬は労働者の身体に直接接触しない方法で行う(第1項第2号)
- 試験研究のための製造では、密閉式が作業の性質上著しく困難な場合にドラフトチェンバー内部に設備を設けることが認められる(第2項第1号)
- ベリリウム等は第50条の2に別の基準(密閉式または上方・下方・側方の覆い等)がある
特定化学物質作業主任者の職務(特化則第28条):
1. 労働者が特定化学物質により汚染され、または吸入しないように作業の方法を決定し、労働者を指揮すること
2. 局所排気装置・プッシュプル型換気装置・除じん装置・排ガス処理装置・排液処理装置等を1月を超えない期間ごとに点検すること
3. 保護具の使用状況を監視すること
4. タンク内部での特別有機溶剤業務について所定の措置が講じられていることを確認すること
第1類・第2類・第3類と製造禁止物質の規制強度の比較:
| 区分 | 根拠 | 製造の可否 | 主任者選任 |
|---|---|---|---|
| 製造禁止 | 安衛法55条・安衛令16条第1項各号 | 原則禁止(試験研究は都道府県労働局長の許可) | N/A |
| 第1類(製造許可) | 安衛法56条・別表第3第1号 | 大臣許可があれば可 | 必要 |
| 第2類(管理物質) | 特化則・安衛令別表第3第2号 | 要件を満たせば可 | 必要 |
| 第3類(漏洩危険) | 特化則・安衛令別表第3第3号 | 要件を満たせば可 | 必要 |
【試験での位置づけ】
第1類物質の問題では「許可権者は厚生労働大臣(都道府県局長ではない)」「物ごと・プラントごとの許可」「密閉式構造が許可基準」の3点が頻出です。また「ジクロロベンジジン(第1類)」と「ベンジジン(製造禁止)」の区別は物質名が類似しているため混同しやすい重要論点です。ベリリウムが第1類物質(製造許可必要)である点も出題されます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 許可は「第1類物質ごとに、かつ、当該物を製造するプラントごとに」行われます(特化則第48条)。同一事業者が複数のプラントで製造する場合は、それぞれについて許可が必要です。
- イ: 密閉式の構造に加え、原材料等の送給・移送・運搬を労働者の身体に直接接触しない方法で行うこと(特化則第50条第1項第2号)、作業場所の隔離と不浸透性の床・壁(同項第1号)も許可基準です。許可を受けた製造者は、製造設備をこの基準に適合するよう維持しなければなりません(安衛法第56条第3項)。
- ウ: ジクロロベンジジンとベンジジンの区別は、「ジクロロ置換=第1類・未置換=製造禁止」というパターンです。同様にオルト-トリジンも第1類物質であり、名称が似た製造禁止物質(ベンジジン等)との区別が試験で問われます。
- エ: 申請書は製造する場所を管轄する労働基準監督署長を経由して厚生労働大臣に提出し、許可証も厚生労働大臣が交付します(特化則第49条)。一方、製造禁止物質を試験研究のため製造・輸入・使用する場合の許可は都道府県労働局長です(安衛令第16条第2項第1号)。許可権者の違いが論点になります。
【根拠法令】労働安全衛生法第56条(製造許可・厚生労働大臣許可)、労働安全衛生法施行令第6条第18号・第17条・別表第3第1号(第1類物質の列挙)、特定化学物質障害予防規則第27条(作業主任者の選任)・第28条(作業主任者の職務)・第48条・第49条(許可の単位・手続)・第50条(製造許可の基準)
【補足】第1類物質の製造許可は「厚生労働大臣」(都道府県局長ではない)。物ごと・プラントごとに許可が必要。ジクロルベンジジン等の製造設備は密閉式構造が許可基準。作業主任者選任は第1類・第2類が必要(第3類物質も対象。試験研究のため取り扱う作業等は除く)。
- 特定化学物質障害予防規則第49条・第48条・第50条・第27条・第28条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法第56条・第55条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第6条・第16条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第56条第1項(製造の許可・厚生労働大臣許可)、労働安全衛生令第17条・別表第3第1号(第1類物質の列挙)、安衛令第6条第18号(作業主任者を選任すべき作業)、特定化学物質障害予防規則第27条(作業主任者の選任)・第48条(物ごと・プラントごとの許可)・第49条(許可手続)・第50条(製造許可の基準)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

