衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問45|有機則の保護具・防毒マスクと有機ガス用の適用

問題

衛生管理者 | 関係法令(有害業務) | 第一種

有機溶剤業務における呼吸用保護具に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはイです。有機則第33条により呼吸用保護具の使用が求められるほか、皮膚から吸収・障害を生じるおそれがある有機溶剤を取り扱う業務では、労働安全衛生規則第594条等に基づき不浸透性の保護衣・保護手袋・保護眼鏡等の使用措置も事業者の義務として求められています。

各誤りの要点: ア→送気マスク・有機ガス用の防毒機能を有するPAPRも使用可能(防毒マスクだけに限られない)。エ→臭いで破過を判断するのは適切でなく、使用限度時間を設定し使用時間を記録します。ウ→酸素欠乏(酸素濃度18%未満)又はそのおそれがある場所では防毒マスク等のろ過式呼吸用保護具を使用させてはなりません(空気呼吸器・エアラインマスク等の給気式を使用)。オ→吸収缶の破過時間は温度・湿度・ガス濃度によって変化するため、環境条件を考慮した使用限度時間の設定が必要です。

有機溶剤業務における呼吸用保護具の種類と使用条件:

保護具の種類区分酸素欠乏のおそれがある場所
有機ガス用防毒マスクろ過式使用させてはならない
有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)ろ過式使用させてはならない
送気マスク(エアラインマスク・ホースマスク)給気式選択できる
空気呼吸器給気式選択できる

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 有機則第33条は「送気マスク、有機ガス用防毒マスク又は有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具」を使用させるよう定めており、防毒マスクに限られません。
  • エ(誤): 着用者の感覚では有毒ガス等の危険性を感知できないおそれがあるため、破過を知るために臭いに頼るのは適切ではありません。温度・湿度・濃度に対して余裕のある使用限度時間をあらかじめ設定し、使用時間記録カード等に使用時間を記録して、使用限度時間を超えて使用しないこととされています(基発0525第3号)。
  • ウ(誤): 酸素欠乏又はそのおそれがある場所ではろ過式呼吸用保護具を使用させてはならず、給気式呼吸用保護具を選択します(基発0525第3号)。防毒マスクは周囲の空気を浄化するだけで酸素を供給しません。
  • イ(正): 有機則第33条(呼吸用保護具)に加え、有害物が皮膚から吸収されるおそれのある業務では安衛則第594条により不浸透性の保護衣・保護手袋・履物・保護眼鏡等を備えなければならず、皮膚等障害化学物質等を取り扱う業務では第594条の2により使用させなければなりません。
  • オ(誤): 有機ガス用吸収缶は、使用する環境の温度又は湿度が高いほど破過時間(吸収缶が除毒能力を喪失するまでの時間)が短くなる傾向があり、沸点の低い物質ほどその傾向が顕著です(基発0525第3号)。環境条件を考慮した選定・管理が必要です。

【理論的背景】

有機溶剤業務での呼吸用保護具(特に防毒マスク)の管理は、選定ミス・使用ミスが有機溶剤中毒や酸欠事故に直結するため、法規制と実務的な技術知識の両方が求められます。防毒マスクは「ろ過式呼吸用保護具」であり、周囲の空気から有害ガスを吸収缶で除去して吸気させる仕組みです。そのため、除去できる化学物質は吸収缶の種類によって限定されており、酸素濃度が不足する環境では使えません。

防毒マスクの吸収缶と破過:

  • 吸収缶の除毒能力には限界があり、除毒能力を喪失するまでの時間を「破過時間」という
  • 破過時間はガスの種類・濃度・温度・湿度によって変化する(温度・湿度が高いほど短くなる傾向)
  • 有機ガス用吸収缶は試験用ガス(シクロヘキサン)と異なる破過時間を示すため、対象物質の破過時間を製造者に問い合わせる(メタノール・ジクロロメタン・二硫化炭素・アセトン等は著しく短い)

送気マスクとの根本的な違い:

  • 防毒マスク: 環境の空気を浄化して使用→酸素欠乏環境では使用不可
  • 送気マスク: 遠隔の清浄な空気をホースで供給→酸欠環境でも使用可
  • この違い(環境空気を浄化する防毒マスク vs 清浄空気を供給する送気マスク)から、酸欠のおそれがある場所では送気マスク・空気呼吸器等が必須であり、防毒マスクの使用は死亡事故に直結します

【実務・条文構造】

有機則・安衛則の保護具規定の主要内容:

呼吸用保護具(有機則第32条・第33条):

  • 第1条第1項第6号ヲの業務や、発散源の密閉設備・換気装置を設けないで行うタンク等の内部における業務等では送気マスクの使用(有機則第32条)
  • 全体換気装置を設けたタンク等の内部における業務等では、送気マスク、有機ガス用防毒マスク又は有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具の使用(有機則第33条)
  • 保護具は同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持(有機則第33条の2)

皮膚・眼への保護具(労働安全衛生規則第594条・第594条の2):

  • 第594条: 皮膚若しくは眼に障害を与える物を取り扱う業務や、有害物が皮膚から吸収されるおそれのある業務では、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を備える
  • 第594条の2: 皮膚等障害化学物質等を製造し、又は取り扱う業務では、不浸透性の保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を使用させる

防毒マスクの選択・使用の実務(基発0525第3号・令和5年5月25日):

  • 作業環境中の有毒ガス等の濃度に対して除毒能力に十分な余裕のある吸収缶を選ぶ(破過曲線図で比較)
  • 濃度・温度・湿度に対して余裕のある使用限度時間をあらかじめ設定し、使用時間記録カード等に使用時間を記録して、使用限度時間を超えて使用しない
  • 面体を着用した直後にシールチェックを行う
  • フィットテスト: 金属アーク溶接等作業を行う作業場所と第三管理区分場所では1年以内ごとに1回実施しなければならず、リスクアセスメントに基づき呼吸用保護具を使用させる事業場でも1年以内ごとに1回行うこととされている

化学物質の自律的管理に関係する保護具の規定:

  • 保護具着用管理責任者の選任(安衛則第12条の6: 化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させるとき)
  • 皮膚等障害化学物質等に対する不浸透性の保護具の使用義務(安衛則第594条の2)

【試験での位置づけ】

保護具問題の頻出論点は「酸素欠乏のおそれがある場所では防毒マスク等のろ過式は使わせない」「皮膚から吸収されるおそれのある業務での保護衣・手袋等」「吸収缶の破過時間は環境条件で変わる(固定値ではない)」の3点です。「酸素欠乏=酸素濃度18%未満」という定義(酸欠則第2条)とセットで押さえましょう。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 有機則は業務の内容によって保護具を使い分けます。送気マスクに限られる業務(第32条)と、送気マスク・有機ガス用防毒マスク・有機ガス用G-PAPRのいずれかを使用させる業務(第33条)があります。
  • エ: 一度使用した吸収缶は、破過曲線図・使用時間記録カード等で十分な除毒能力が残存していることを確認できるものだけ再使用できます。ただしメタノール・二硫化炭素等、破過時間が試験用ガスより著しく短い物質に使用した吸収缶は、吸着した物質が脱着して漏れ出すことがあるため再使用しません(基発0525第3号)。
  • ウ: 酸欠則は「酸素欠乏」を空気中の酸素濃度が18%未満の状態と定義し(第2条第1号)、換気が困難な場合には同時に就業する労働者の人数と同数以上の空気呼吸器等(空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスク)を備えて使用させるよう定めています(第5条の2)。防毒マスクは空気呼吸器等に含まれません。
  • イ: 第594条は保護具を「備える」義務、第594条の2は皮膚等障害化学物質等について保護具を「使用させる」義務です。業務の一部を請負人に請け負わせる場合の周知義務も各条第2項にあります。

【根拠法令】有機溶剤中毒予防規則第32条(送気マスクの使用)・第33条(呼吸用保護具の使用)・第33条の2(保護具の数等)、労働安全衛生規則第594条・第594条の2(皮膚障害等防止用の保護具)・第12条の6(保護具着用管理責任者)、酸素欠乏症等防止規則第2条・第5条の2、基発0525第3号(令和5年5月25日)

【補足】酸素欠乏(18%未満)又はそのおそれがある場所では防毒マスク等のろ過式を使用させない(給気式を使用)。皮膚から吸収されるおそれのある業務では不浸透性の保護衣・手袋等。吸収缶の破過時間は温度・湿度・濃度で変化し、臭いで破過を判断しない。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 有機溶剤中毒予防規則第32条(送気マスクの使用)・第33条(呼吸用保護具の使用)、労働安全衛生規則第594条(皮膚障害等防止用の保護具:不浸透性の保護衣・保護手袋・保護眼鏡等)・第594条の2(皮膚等障害化学物質等の保護具の使用)、防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について(令和5年5月25日 基発0525第3号)、酸素欠乏症等防止規則第2条・第5条の2。※酸素欠乏又はそのおそれがある場所ではろ過式呼吸用保護具(防毒マスク等)を使用させてはならず、給気式呼吸用保護具(空気呼吸器・エアラインマスク等)を選択する(基発0525第3号)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。