衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問46|譲渡提供制限・安衛法55条の対象物と違反効果

問題

衛生管理者 | 関係法令(有害業務) | 第一種

労働安全衛生法における有害物の譲渡・提供制限に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

誤りはエです。安衛法第55条違反(製造禁止物質の無許可製造・輸入等)の罰則は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(安衛法第116条)。「5年以下・500万円以下」という数値は誤りです。

安衛法の罰則体系は複数あり、試験では「いくつかの違反行為に対してどの条文の罰則が適用されるか」が問われます。製造禁止違反は3年以下・300万円以下、第1類物質の無許可製造(第56条第1項違反)は1年以下・100万円以下(第117条)、ラベル表示違反は6月以下・50万円以下(第119条)です。

他の選択肢は全て正しい内容です。特にオのラベル表示義務が「主として一般消費者の生活の用に供するための」容器・包装には適用されない点(第57条第1項ただし書)は重要な例外として覚えておく必要があります。

安衛法の有害物規制における主要な義務と罰則:

規制内容根拠条文違反時の罰則
製造禁止物質の無許可製造・輸入等安衛法第55条・第116条3年以下拘禁刑または300万円以下罰金
第1類物質の無許可製造安衛法第56条第1項・第117条1年以下拘禁刑または100万円以下罰金
ラベル表示義務違反安衛法第57条第1項・第119条第3号6月以下拘禁刑または50万円以下罰金
SDS交付(通知)義務違反安衛法第57条の2第1項罰則規定なし

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 試験研究目的での製造等の許可(都道府県労働局長の許可・安衛令第16条第2項第1号)を受けた場合であっても、製造した禁止物質を他者に譲渡・提供することは禁止されています(安衛法第55条は製造・輸入・譲渡・提供・使用のすべてを禁止対象とし、ただし書で除外されるのは試験研究のための製造・輸入・使用のみです)。
  • イ(正): 安衛法第57条に基づき、ラベル表示義務の対象物質(安衛令別表第9掲載物質等)を容器に入れて譲渡・提供する際は容器へのラベル貼付が義務です。
  • ウ(正): 安衛法第57条の2に基づき、GHS分類対象物質(通知対象物質)を他の事業者に譲渡・提供する際はSDSの交付が義務です(譲渡・提供する時までに通知・安衛則第34条の2の5)。
  • エ(誤): 製造禁止物質の違反の罰則は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です(第116条)。「5年以下・500万円以下」という数値はいずれも誤りです。
  • オ(正): 安衛法第57条のラベル表示義務は労働者保護を目的とした制度であり、「一般消費者の生活の用に供される製品」については表示義務が免除されています(安衛法第57条第1項ただし書「主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない」)。

【理論的背景】

安衛法の有害物規制は「製造禁止→製造許可→ラベル表示・SDS交付」という3段階の規制の濃淡で構成されており、有害性の高さに応じた規制強度が設計されています。譲渡・提供制限は、有害物が適切な管理知識を持たない者の手に渡ることを防ぎ、サプライチェーン全体での化学物質管理を実現するための仕組みです。

安衛法の有害物規制体系の構造:

第55条(最強規制): 製造禁止物質の製造・輸入・譲渡・提供・使用を原則禁止

  • 対象: 安衛令第16条第1項各号(黄りんマッチ・ベンジジン・石綿等)
  • 罰則: 第116条(3年以下・300万円以下)
  • 例外: 試験研究のため製造・輸入・使用する場合で、あらかじめ都道府県労働局長の許可を受け、厚生労働大臣が定める基準に従うとき(安衛令第16条第2項)。譲渡・提供はただし書の対象外

第56条(強規制): 第1類物質(安衛令別表第3第1号)の製造に厚生労働大臣の許可が必要

  • 罰則: 第117条(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
  • 製造設備・作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適合することが許可の条件(第56条第2項)

第57条(中規制): 表示対象物(安衛令第18条)のラベル表示義務

  • 罰則: 第119条第3号(6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)→製造禁止違反より軽い

第57条の2(中規制): 通知対象物のSDS(安全データシート)による通知義務

  • 第1項の通知義務違反そのものには罰則規定がない(第120条第1号が掲げるのは第57条の2第4項)

【実務・条文構造】

ラベル表示(安衛法第57条第1項・安衛則第33条)の表示事項:

1. 名称

2. 人体に及ぼす作用

3. 貯蔵又は取扱い上の注意

4. 表示をする者の氏名(法人は名称)・住所・電話番号(則第33条第1号)

5. 注意喚起語(則第33条第2号)

6. 安定性及び反応性(則第33条第3号)

7. 標章(絵表示)(法第57条第1項第2号)

SDS(安衛法第57条の2第1項・安衛則第34条の2の4)の通知事項:

  • 法第57条の2第1項: 名称/成分及びその含有量/物理的及び化学的性質/人体に及ぼす作用/貯蔵又は取扱い上の注意/流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
  • 則第34条の2の4: 通知を行う者の氏名・住所・電話番号/危険性又は有害性の要約/安定性及び反応性/想定される用途及び当該用途における使用上の注意/適用される法令/その他参考となる事項

ラベルとSDSの適用除外(一般消費者向け製品):

  • 第57条: 容器又は包装のうち「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」は除外(第1項ただし書)
  • 第57条の2: 「主として一般消費者の生活の用に供される製品として」譲渡・提供する場合は除外(第1項ただし書)

【試験での位置づけ】

罰則の数値(製造禁止違反=3年以下・300万円以下)は試験で数値の入れ替えが定番の引っかけです。「5年以下・500万円以下」という架空の数値や、第56条違反の「1年以下・100万円以下」(第117条)との混同が典型例です。また「ラベル・SDS義務は一般消費者向け製品には適用されない」という適用除外も頻出の例外です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 製造禁止物質の試験研究の例外(安衛法第55条ただし書)は「製造し、輸入し、又は使用する場合」に限られ、許可権者は都道府県労働局長です(安衛令第16条第2項第1号)。譲渡・提供はただし書の対象外で許可の仕組みもありません。
  • イ: 表示対象物は安衛令第18条で定められ、別表第9に掲げる物のほか、国が行うGHS分類の結果危険性又は有害性があると区分された物で厚生労働省令で定めるもの等が含まれます。表示事項には標章(絵表示)も含まれます(法第57条第1項第2号)。
  • ウ: SDSの通知は譲渡・提供する時までに行います(継続的・反復的な譲渡で既に通知済みの場合を除く・安衛則第34条の2の5)。文書の交付のほか、記録媒体の交付、ファクシミリ・電子メールの送信、ホームページのアドレス(二次元コード等を含む)の伝達による方法も認められています(安衛則第34条の2の3)。
  • エ: 安衛法の罰則は、第116条(第55条違反:3年以下・300万円以下)、第117条(第56条第1項違反等:1年以下・100万円以下)、第119条(第57条第1項の表示違反等:6月以下・50万円以下)、第120条(50万円以下の罰金)と段階が分かれ、第122条は法人等にも各本条の罰金刑を科す両罰規定です。
  • オ: 適用除外は「主として一般消費者の生活の用に供する」容器・包装(ラベル)や製品(SDS)に限られます。事業者向けに流通する市販製品には表示義務が及びます。

【根拠法令】労働安全衛生法第55条(製造等の禁止・譲渡提供も禁止対象)・第116条(第55条違反の罰則:3年以下拘禁刑または300万円以下罰金)・第56条・第117条(第56条第1項違反:1年以下拘禁刑または100万円以下罰金)・第57条(ラベル表示義務・一般消費者製品は除外)・第57条の2(SDS交付義務)・第119条第3号(ラベル表示義務違反:6月以下拘禁刑または50万円以下罰金)、労働安全衛生法施行令第16条第2項

【補足】製造禁止違反の罰則は「3年以下・300万円以下」(5年・500万円は誤り)。ラベル・SDS義務は一般消費者向け製品に不適用。試験研究許可があっても譲渡・提供禁止。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第55条(製造等の禁止)・第116条(第55条違反の罰則:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)・第57条(ラベル表示)・第57条の2(SDS交付)・第119条第3号(ラベル表示義務違反の罰則:6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、労働安全衛生法施行令第16条第2項(試験研究のための製造等の許可:都道府県労働局長)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。