労働安全衛生法3労働安全衛生法

社労士 労働安全衛生法 問3:労働安全衛生法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07

労働安全衛生法に基づく健康診断に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 使用者は、常時使用する労働者に対して、雇入れの際および当該事業場において業務に就かせる場合に、医師による健康診断(雇入時健康診断)を行わなければならないが、雇入れの直前3か月以内に医師による健康診断を受け、その結果を証明する書面を提出した場合は、当該健康診断の項目について省略することができる。
  • 一般定期健康診断は、常時使用する労働者に対して1年以内ごとに1回実施しなければならない。深夜業を含む業務等の特定業務従事者については、同様に1年以内ごとに1回実施すれば足りる。
  • 特殊健康診断とは、塵肺・じん肺・有機溶剤中毒等の有害業務に従事する労働者に対して実施が義務付けられる健康診断であり、その実施頻度は業務の種類によらず一般に6か月以内ごとに1回とされている。
  • 使用者は、法定の健康診断の結果を記載した健康診断個人票を5年間保存しなければならないが、この保存期間は雇入時健康診断・一般定期健康診断・特殊健康診断のいずれも同一である。
  • 使用者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者については、医師の意見を聴いたうえで、必要があると認めるときは当該労働者の実情を考慮して就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければならない。正答
正答:使用者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者については、医師の意見を聴いたうえで、必要があると認めるときは当該労働者の実情を考慮して就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければならない。

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正答はオ(正しい記述)です。

使用者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について医師の意見を聴いたうえで、必要があると認めるときは就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の措置を講じる義務があります(労基法第66条の5第1項)。これは「聴かなければならない」「措置を講じなければならない」という強制的な義務規定です。

アは誤りで、雇入時健康診断は雇入れ前3か月以内に医師による健康診断を受け書面提出した場合にその項目を省略できますが(安衛規則第43条ただし書)、設問の「雇入れの際および当該事業場において業務に就かせる場合に」という記述は定期健康診断的な表現が混入しており不正確です。イは誤りで、特定業務従事者(深夜業を含む業務等)は6か月以内ごとに1回実施が必要です(1年に1回では足りません)。ウは誤りで、特殊健康診断の頻度は業務の種類によって異なります(有機溶剤・特化物・鉛等は6か月ごと、じん肺は管理区分により1〜3年ごと)。エは誤りで、特殊健康診断の個人票は業務によって保存期間が異なり、特定化学物質(特別管理物質)・電離放射線は30年、じん肺は7年等の例外があるため、一律5年ではありません。

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健康診断の種類と実施義務 一覧(令和8年度試験必須):

| 種類 | 対象者 | 実施頻度 | 個人票保存期間 |

|---|---|---|---|

| 雇入時健康診断 | 常時使用する労働者(雇入れ時) | 雇入れ時1回(直前3か月以内の受診結果で省略可) | 5年 |

| 定期健康診断(一般) | 常時使用する労働者 | 1年以内ごとに1回 | 5年 |

| 特定業務従事者健康診断 | 深夜業・有害業務等の従事者 | 6か月以内ごとに1回 | 5年 |

| 特殊健康診断(有機溶剤・鉛・四アルキル鉛・一般の特化物等) | 有害業務従事者 | 6か月以内ごとに1回 | 5年 |

| 特殊健康診断(特定化学物質のうち特別管理物質) | 特別管理物質取扱業務従事者 | 6か月以内ごとに1回 | 30年 |

| 特殊健康診断(電離放射線) | 放射線業務従事者 | 6か月以内ごとに1回 | 30年 |

| 特殊健康診断(じん肺) | 粉じん作業従事者 | 管理区分により1年・3年以内ごとに1回 | 7年 |

| 海外派遣労働者健康診断 | 6か月以上海外派遣する労働者 | 派遣前・帰国後 | 5年 |

| 給食従業員健康診断 | 事業場の給食業務従事者 | 雇入時・配置転換時 | 5年 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 雇入時健康診断の省略規定は、安衛規則第43条ただし書に「医師による健康診断を受けた後3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目について、この限りでない」と規定されている。「雇入れの際および当該事業場において業務に就かせる場合に」という表現は、雇入時健診と他の健診(配置転換時等)を混同させる不正確な記述。
  • イ(誤): 特定業務従事者(深夜業・多量の高温・放射線業務等)は6か月以内ごとに1回(安衛規則第45条)。「1年以内に1回」は一般定期の頻度であり誤り。頻出の落とし穴。
  • ウ(誤): 特殊健康診断の頻度は業務の種類によって異なる。じん肺は管理区分1なら3年以内に1回・管理区分2・3は1年以内に1回等、業種別の頻度が定められており「一律6か月」は誤り。
  • エ(誤): 個人票の保存期間は種類によって異なる。一般健診・特定業務・有機溶剤・鉛等は5年だが、特定化学物質(特別管理物質)・電離放射線は30年、じん肺は7年の例外がある。「いずれも同一(5年)」は誤り。
  • オ(正): 異常所見ありの労働者への医師意見聴取義務(第66条の4)と就業上措置義務(第66条の5)の両方を正確に述べている。
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【健康診断制度の立法趣旨と「一次予防・二次予防」の位置付け】

健康診断制度は、職業性疾病および生活習慣病の早期発見・早期治療を目的とする「二次予防」措置として設計されています。使用者が健診を実施し、異常所見者に対して就業措置を講じることで、疾病の悪化・長期療養・労働災害を防ぐという連鎖が法制度の根幹です。近年は「ヘルスケアから疾病管理へ」という方向で、産業医との連携・健康診断後の措置管理の義務化が強化されています。

【雇入時健康診断の「省略」規定の正確な理解】

雇入時健康診断(安衛規則第43条)は「雇い入れるとき」に実施することが原則ですが、次の場合に健診項目の省略が認められます:

  • 医師による健康診断を受けた後3月を経過しない者を雇い入れる場合において
  • その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出した場合

ここでの「3月を経過しない」は、雇入れ時から遡って3か月以内に受診した健診結果(書面)が提出されたことを意味します。省略できるのは証明書が提出された「項目のみ」であり、健康診断全体を省略できるわけではありません。

【特定業務従事者の「6か月以内ごとに1回」(安衛規則第45条)】

特定業務(深夜業・多量の高温または低温物体取扱業務・放射線業務・特定化学物質業務等の13種類)に常時従事する労働者は、一般定期健診(年1回)に加えて6か月以内ごとに年2回の健診が義務付けられます。ただし特定業務従事者健診の項目のうち、医師が不要と認める項目は省略可能です。この「1年以内ごとに1回」(一般)と「6か月以内ごとに1回」(特定業務)の区別は社労士試験の最頻出論点の一つです。

【じん肺健診の特殊性(保存期間・管理区分別頻度・行政機関への報告)】

じん肺は粉じん作業(採掘・ずい道工事・研磨等)に起因する職業性疾病で、じん肺法(じん肺法・1960年制定)により特別の管理体制が定められています:

  • 健診頻度: 管理区分1(所見なし・粉じん作業従事者): 3年以内ごとに1回、管理区分2・3(所見あり): 1年以内ごとに1回(じん肺法第8条)
  • じん肺健康診断個人票の保存期間: 事業者は当該記録を7年間保存(じん肺法第17条)
  • その他特殊健診の長期保存例: 特定化学物質(特別管理物質を製造または取り扱う業務)の健診個人票は30年間(特化則第40条第2項)、電離放射線健診個人票も30年間(電離則第57条)

この「じん肺の健診頻度・保存期間の特殊性」が一般健診との比較問題として出題されます。

【健康診断後の流れ(医師意見聴取〜就業措置〜記録保存の連鎖)】

健康診断後の使用者の義務は、条文上明確に段階化されています:

1. 健診結果の本人への通知(第66条の6): 健診を行った医師等から労働者本人へ通知(使用者経由でも可)

2. 医師の意見聴取(第66条の4): 異常所見ありの場合、使用者は医師または歯科医師の意見を聴く(義務)

3. 就業上の措置(第66条の5): 医師の意見を踏まえ、必要と認めるときは就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の措置を講じる(義務)

4. 健康診断個人票の作成・保存(第66条の3): 健診の都度、個人票を作成し5年間保存(種類により異なる)

5. 定期健診結果報告書(規則第52条): 常時50人以上の事業場は、定期健診実施後に遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告義務

この連鎖を「通知→聴取→措置→記録→報告」として整理することが高得点への鍵です。

【上位接続:健康診断情報の取扱いとプライバシー保護】

産業医が保有する健康診断情報は要配慮個人情報(個人情報保護法)に該当するため、事業者・産業医・健保組合等の間での情報共有には厳格なルールが適用されます。「コラボヘルス(保険者と事業者が連携して従業員の健康増進を行う取組み)」が推進される中、健診情報の保険者(健保組合・協会けんぽ)への提供は、労働者の同意を前提とした運用が求められています。社労士試験ではこの健診情報管理の法的枠組みが今後の出題候補として注視されます。

根拠: 労働安全衛生法第66条〜第66条の10、労働安全衛生規則第43〜52条、じん肺法第7〜18条、特定化学物質障害予防規則第40条、電離放射線障害防止規則第57条。

<!-- 監修確定 2026-06-07(legal-reviser): 結果=表記是正/正答変更なし。beginner/standard/advancedで誤記載「じん肺30年・有機溶剤7年」を是正→正しくは「特化物(特別管理物質)・電離放射線30年、じん肺7年、有機溶剤等5年」。アの解説を安衛規則第43条ただし書「3月を経過しない者」の正確な文言に変更。正答オ(異常所見者への医師意見聴取・就業措置義務:安衛法第66条の4・第66条の5)は条文どおりで維持。参照=安衛法第66条の3〜5、安衛規則第43条・第45条、じん肺法第8条・第17条、特化則第40条、電離則第57条 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第66条(健康診断)、第66条の3(健康診断の記録)、第66条の4(健康診断の結果についての医師等の意見聴取)、第66条の5(健康診断実施後の措置)、労働安全衛生規則第43〜50条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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