社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働一般常識 問5|労働施策総合推進法のパワーハラスメント防止措置義務・30条の2〜30条の6

問題

社労士 | 労働一般常識 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)における職場のパワーハラスメント防止に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウ(正しい記述)です。

労働施策総合推進法第30条の2第2項は、労働者がパワーハラスメントについて相談したこと、または相談への対応に協力して事実を述べたことを理由に、事業主が当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止しています。相談したこと自体を理由に不利な扱いをされる不安があると、労働者は相談をためらってしまうため、この禁止規定は制度の実効性を担保する重要な条文です。

アは誤りで、事業主の雇用管理上の措置義務(30条の2第1項)は「努めなければならない」ではなく「講じなければならない」という義務規定です。イは誤りで、条文に規模要件はなく、中小事業主を含むすべての事業主が対象です。エは誤りで、研修等の努力(30条の3)はあくまで努力義務で、是正命令の規定はありません。オは誤りで、労働者からの申立てでも援助を求めることができます。

労働施策総合推進法のパワハラ防止規定(条文どおりの整理):

条文内容義務の性質
第30条の2第1項雇用管理上必要な措置(相談体制の整備等)義務(「講じなければならない」)
第30条の2第2項相談・協力を理由とする不利益取扱いの禁止義務(禁止規定)
第30条の3事業主・労働者・国の関心と理解を深めるための措置(研修等)努力義務(「努めなければならない」)
第30条の5紛争の解決の援助(都道府県労働局長による助言・指導・勧告)当事者の双方又は一方からの求めで発動

各選択肢の正誤:

  • ア(誤): 30条の2第1項は義務規定。「努めなければならない」は30条の3の責務規定の文言との混同。
  • イ(誤): 30条の2第1項に規模要件の定めはない。中小事業主を努力義務とした改正法附則3条の経過措置はすでに終わっている。
  • ウ(正): 30条の2第2項どおり。
  • エ(誤): 30条の3は「努めなければならない」(努力義務)。是正命令の規定は条文上ない。
  • オ(誤): 30条の5第1項は「当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合」と規定し、労働者側からの申立ても対象。

30条の2の措置義務と30条の3の責務規定の見分け方: 「講じなければならない」=義務、「努めなければならない」=努力義務。この文言の違いを条文ごとに正確に区別することが労一の条文問題では重要です。

【パワーハラスメント防止規定が創設された経緯】

労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)へのパワーハラスメント防止規定(30条の2〜30条の8)の追加は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」により行われました。それまでは、セクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法)・妊娠出産等に関するハラスメント(均等法・育介法)と異なり、パワーハラスメントについて事業主に措置を義務づける法律上の規定がありませんでした。

同法の附則3条は、中小事業主について、公布の日から3年を超えない範囲内で政令で定める日までの間、30条の2第1項の「講じなければ」を「講じるように努めなければ」と読み替える経過措置を置いていました。この経過措置はすでに終わっており、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点ではすべての事業主に措置義務が及んでいます。

【30条の2第1項の「雇用管理上必要な措置」の内容】

30条の2第1項は「労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と定めており、具体的な措置の内容は同条第3項に基づき厚生労働大臣が定める指針(パワハラ指針)で示されます。典型的には、相談窓口の設置、相談対応マニュアルの整備、事実関係の迅速かつ正確な確認、行為者・被害者への適正な措置、再発防止策の実施等が求められます。

【30条の2第2項の不利益取扱い禁止の射程】

30条の2第2項が禁止する不利益取扱いは、「労働者が相談を行ったこと」または「事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたこと」を理由とするものです。相談した労働者本人だけでなく、事実関係の調査に協力した第三者(目撃者等)への不利益取扱いも禁止対象に含まれる点が重要です。

【30条の3の努力義務と国・事業主・労働者それぞれの責務】

30条の3は、パワーハラスメントに起因する問題(優越的言動問題)への理解を深めるための努力義務を、国(広報・啓発活動)、事業主(研修の実施等・国の措置への協力)、事業主個人(役員も含む)、労働者(他の労働者への言動への注意)のそれぞれに課しています。これらはいずれも「努めなければならない」という努力義務であり、30条の2の措置義務・不利益取扱い禁止のような法的義務とは性質が異なります。

【30条の5の紛争解決援助と社労士の関与】

30条の2第1項・第2項に関する労働者と事業主の紛争には、個別労働関係紛争解決促進法の助言・指導(4条)とあっせん(5条)は適用されず(30条の4)、この法律独自の手続によります。30条の5に基づく都道府県労働局長の助言・指導・勧告は、当事者の双方又は一方から援助を求められた場合に行われる行政ADR(裁判外紛争解決手続)で、さらに当事者の双方又は一方から調停の申請があり、紛争の解決のために必要があると認めるときは、都道府県労働局長は紛争調整委員会に調停を行わせます(30条の6)。援助を求めたこと・調停を申請したことを理由とする不利益取扱いも禁止されています(30条の5第2項・30条の6第2項による30条の2第2項の準用)。社会保険労務士法第2条第1項第1号の4は、この30条の6第1項の調停の手続について、特定社会保険労務士が紛争の当事者を代理できると定めています。事業主側では、就業規則へのハラスメント防止規定の整備、相談窓口の設置・運用支援が社労士の典型的な業務です。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働施策総合推進法第30条の2(雇用管理上の措置等・第1項は義務規定「講じなければならない」・第2項は不利益取扱いの禁止)・第30条の3(国・事業主・労働者の責務・努力義務)・第30条の5(紛争の解決の援助) 一次ソース: e-Gov 法令API v2 `law_data/341AC0000000132`(労働施策総合推進法)を2026-09-30に取得し、30条の2・30条の3・30条の5の条文全文で正誤を確認した。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。