第3章 主な医薬品とその作用110主な医薬品とその作用(外皮用薬・抗菌成分)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問110:主な医薬品とその作用(外皮用薬・抗菌成分)

外皮用薬に配合される抗菌成分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • スルファジアジン等のサルファ剤(スルホンアミド系合成抗菌薬)は、細菌の葉酸合成を阻害することで抗菌作用を発揮し、軽度の皮膚感染(とびひ・化膿)の補助的な外用に使用される。
  • バシトラシンはグラム陽性菌に対して抗菌作用を持つポリペプチド系抗菌成分であり、細菌の細胞壁合成(ペプチドグリカン合成の最終段階)を阻害する。
  • フラジオマイシン硫酸塩はアミノグリコシド系抗菌成分であり、細菌の30Sリボソームに結合してタンパク質合成を阻害し、グラム陰性菌・グラム陽性菌の両方に効果がある。
  • サルファ剤を含む外皮用薬は、スルホンアミドアレルギーのある人にも安全に使用できる。なぜなら外用では全身吸収が少なく、アレルギー反応は起こらないためである。正答
  • 外用抗菌成分は、傷口や皮膚感染の一次的な処置に用いられるものであり、発熱・リンパ節腫脹を伴う重篤な皮膚感染が疑われる場合は受診を勧奨する必要がある。
正答:サルファ剤を含む外皮用薬は、スルホンアミドアレルギーのある人にも安全に使用できる。なぜなら外用では全身吸収が少なく、アレルギー反応は起こらないためである。

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正答はエ(誤っているもの)です。

サルファ剤(スルホンアミド系)に対してアレルギー体質がある人は、外用薬であっても皮膚から一定量が吸収されてアレルギー反応(接触皮膚炎・過敏症)を起こすおそれがあります。「外用では安全」とする記述は誤りです。スルホンアミドアレルギーの既往がある人は使用前に医師・薬剤師に相談することが必要です。

正しい記述のポイント:

  • ア(正): サルファ剤=葉酸合成阻害。軽度皮膚感染の外用補助に使用可。
  • イ(正): バシトラシン=ポリペプチド系・細胞壁合成阻害・グラム陽性菌。
  • ウ(正): フラジオマイシン=アミノグリコシド系・30Sリボソーム結合・タンパク合成阻害。
  • オ(正): 重篤感染は受診勧奨。外用抗菌薬は一次的処置に限定。
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外用抗菌成分の分類と特性比較:

| 成分名 | 分類 | 作用機序 | 抗菌スペクトル | 特記事項 |

|---|---|---|---|---|

| サルファ剤(スルファジアジン等) | スルホンアミド系合成抗菌薬 | 葉酸合成(DHPS)阻害→細菌の核酸合成阻害 | グラム陽性・一部陰性 | 磺胺アレルギー注意・耐性菌増加 |

| バシトラシン | ポリペプチド系(環状ペプチド) | 細胞壁ペプチドグリカン合成阻害(脂質運搬体サイクル阻害) | 主にグラム陽性菌 | 腎毒性のため内服不可・外用限定 |

| フラジオマイシン硫酸塩 | アミノグリコシド系 | 30Sリボソームへの不可逆的結合→誤読→タンパク合成阻害 | グラム陽性・グラム陰性両方 | 耳毒性があり点耳薬は注意。外用では吸収少ない |

| クロラムフェニコール | フェニコール系 | 50Sリボソームへの結合→ペプチジルトランスフェラーゼ阻害 | 広域 | 骨髄抑制(内服・注射)。外用限定で安全性高い |

各選択肢の解説:

  • ア(正): サルファ剤(スルホンアミド系)はジヒドロ葉酸合成酵素(DHPS)を競合的に阻害します。葉酸は細菌のDNA合成に必須な補酵素の前駆体であり、ヒトは食事から葉酸を摂取するため(自己合成しない)、サルファ剤は細菌に選択毒性を示します。外皮用薬では軽度の細菌感染(とびひ・化膿性皮膚炎の一次処置)に補助的に使われます。
  • イ(正): バシトラシンは細菌の細胞壁ペプチドグリカン合成に必要な脂質運搬体(ウンデカプレニルピロリン酸)の再生サイクルを阻害し、細胞壁形成を妨げます。主にグラム陽性菌(黄色ブドウ球菌・連鎖球菌等)に有効で、グラム陰性菌には外膜のバリアにより効きにくいです。腎毒性が強いため内服・注射での使用は困難で、外用専用の抗菌成分として配合されています。
  • ウ(正): フラジオマイシン硫酸塩はネオマイシン系のアミノグリコシド抗菌成分で、細菌の30Sリボソームに不可逆的に結合してmRNAの読み誤り(誤読)を起こし、タンパク質合成を阻害します。グラム陰性菌(大腸菌・緑膿菌等)・グラム陽性菌の両方に効果があり、広域スペクトル外用抗菌成分として傷・化膿の処置に用いられます。
  • エ(誤): サルファ剤はスルホンアミド系化合物であり、この化合物群に対してアレルギー体質を持つ人では、外用でも皮膚から吸収された成分が接触皮膚炎・アレルギー反応を起こすことがあります。「外用では安全」という記述は誤りです。スルホンアミドアレルギーの既往歴がある購入者には、使用前に医師・薬剤師への相談を促す必要があります。
  • オ(正): 外用抗菌成分(サルファ剤・バシトラシン・フラジオマイシン等)は軽度の表在性感染(とびひ・擦り傷の化膿・皮膚の細菌感染の一次的抑制)に用いるものです。発熱・強い腫脹・リンパ節腫脹・患部の急速な拡大(蜂窩織炎疑い)等がある場合は、内服抗菌薬または入院治療が必要な重篤感染の可能性があり、必ず受診勧奨が必要です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【外用抗菌成分の作用機序・耐性問題・とびひ(伝染性膿痂疹)の病態と受診判断の深掘り】

抗菌成分の作用標的の整理(作用機序4分類):

細菌への攻撃標的と外用成分の対応:

| 攻撃標的 | 代表的な抗菌薬 | 外用使用例 |

|---|---|---|

| 細胞壁合成 | バシトラシン・ペニシリン系・セファロスポリン系 | バシトラシン(外用)。ペニシリン系・セファ系は外用なし |

| 細胞膜 | ポリミキシンB | 外用に配合(バシトラシン合剤等) |

| タンパク合成(30S) | アミノグリコシド系(フラジオマイシン等) | フラジオマイシン外用 |

| 核酸合成前駆体 | サルファ剤(葉酸合成阻害) | スルファジアジン外用 |

バシトラシンの腎毒性と外用限定の理由:

バシトラシンは1940年代に開発されたポリペプチド系抗菌薬です。

  • 内服・注射では腎尿細管毒性(近位尿細管細胞への直接毒性)が強く、現在は臨床での内服使用はほぼ廃止
  • 外用では皮膚からの全身吸収が少ないため、局所での抗菌効果を発揮しつつ全身毒性のリスクを最小化

細胞壁阻害の機序詳細:

  • 細菌の細胞壁ペプチドグリカン合成の最終段階には「脂質運搬体(Undecaprenyl-PP)」が必要
  • バシトラシンはUndecaprenyl-PPのピロリン酸型(脱リン酸化された後の再生サイクル)を阻害
  • 脂質運搬体が枯渇→ペプチドグリカン合成が停止→細胞壁欠損→浸透圧による細胞溶解

フラジオマイシンのアミノグリコシド系特有の注意点:

アミノグリコシド系抗菌薬全般の特性(フラジオマイシン含む):

  • 耳毒性:内耳有毛細胞の不可逆的障害→難聴・前庭障害

- 外用では通常問題なし

- ただし点耳薬としての使用では中耳・内耳への直接到達があり得るため、鼓膜穿孔がある場合は特に慎重

  • 腎毒性:腎尿細管細胞の直接毒性(内服・注射で問題、外用では少ない)
  • 不可逆的結合:リボソームへの結合が不可逆的であるため、分裂中の細菌・分裂後の細菌両方を殺菌

フラジオマイシンの外用での適用:

  • とびひ(伝染性膿痂疹)・化膿性皮膚炎の補助的処置
  • 傷口の細菌感染予防
  • 注意:長期連用での耐性菌出現・接触性皮膚炎のリスク

とびひ(伝染性膿痂疹:Impetigo contagiosa)の病態と外用抗菌薬の位置づけ:

病原菌:

  • 水疱性膿痂疹:黄色ブドウ球菌(表皮剥脱毒素産生株)
  • 痂皮性膿痂疹(かさぶたができるタイプ):溶血性連鎖球菌(A群レンサ球菌)・または混合感染

感染経路:

  • 虫刺され・あせも・湿疹・小さな傷口から細菌が侵入
  • 引っかき動作で広がる(掻痒→掻破→播種)
  • 学校・保育所での集団感染

重症度による対応の分岐:

1. 軽症(局所に限局・全身症状なし): 市販外用抗菌薬(フラジオマイシン・バシトラシン等)+清潔保持で対処可

2. 中等症(患部が広がる・複数箇所): 皮膚科受診推奨・内服抗菌薬(セファレキシン等)が有効

3. 重症(発熱・リンパ節腫脹・全身状態悪化): 緊急受診・入院加療の可能性

サルファ剤の歴史的背景と現在の位置づけ:

スルホンアミド系(サルファ剤)は1930年代に開発された最初の合成抗菌薬で、歴史的には感染症治療に革命をもたらしました。

現在の外皮用薬でのサルファ剤:

  • 耐性菌が増加したため内服での感染症治療としての使用は減少
  • 外用では局所でのある程度の抗菌作用は保たれており、一部の外皮用薬に配合
  • スルホンアミドアレルギーは比較的多く見られる(推定で一般人口の2〜3%)

登録販売者の実務:外用抗菌成分製品販売時の確認事項:

購入者確認のチェックリスト:

1. アレルギー歴: サルファ剤・スルホンアミド含有薬(ある種の利尿薬・糖尿病薬等もスルホンアミド構造を持つ)でのアレルギー歴→サルファ剤外用薬は避ける

2. 使用対象の年齢: 乳幼児へのフラジオマイシン含有薬は長期大量使用に注意

3. 症状の重篤度の評価: 発熱・リンパ節腫脹・急速な悪化→即座に受診勧奨

4. 糖尿病の有無: 糖尿病患者の皮膚感染は重症化しやすい→受診勧奨を積極的に

5. 持続期間の確認: 5〜7日使用しても改善しない場合→受診勧奨(外用抗菌薬のみでは不十分な可能性)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第13節「外皮用薬」(抗菌成分) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

抗菌外用成分(サルファ剤/バシトラシン/フラジオマイシン頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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