第3章 主な医薬品とその作用118主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問118:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

小建中湯(しょうけんちゅうとう)および桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 小建中湯は体力虚弱な小児に用いられることが多く、腹部に痛みがあり疲れやすい人の体質改善に適する。
  • 桂枝加芍薬湯は体力が中等度以下の人の腹部膨満感・腹痛に適し、過敏性腸症候群様の症状に用いられる。
  • 小建中湯はダイオウを含む処方であり、実証(体力充実)の便秘に有効である。正答
  • 小建中湯と桂枝加芍薬湯はどちらも桂枝湯の加減処方(ベース処方)の系統に属し、カンゾウとシャクヤクを含む。
  • 桂枝加芍薬湯は「桂枝湯にシャクヤクを倍量にした処方」であり、腹部の筋緊張・けいれん性疼痛を緩和する。
正答:小建中湯はダイオウを含む処方であり、実証(体力充実)の便秘に有効である。

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正答はウです。

小建中湯にダイオウは含まれません。小建中湯は体力虚弱な人(特に小児)の腹部症状・体質改善の処方であり、ダイオウが入る処方(大柴胡湯・通導散・三黄瀉心湯など)とは正反対の性格です。「建中(けんちゅう)=中焦(胃腸)を建て直す」という名前が示す通り、体を補うための処方です。

他の選択肢はすべて正しい内容です。

  • ア:小建中湯は小児の虚弱体質・腹痛・疲れやすさに用いる処方として正しい。
  • イ:桂枝加芍薬湯は中等度以下の腹部膨満・腹痛・過敏性腸症候群に使う。
  • エ・オ:桂枝湯系の加減であることは正しい。

語呂:「小建中湯は小児の虚弱腹痛、ダイオウなし」

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小建中湯 vs 桂枝加芍薬湯:建中湯類の比較

| 項目 | 小建中湯 | 桂枝加芍薬湯 |

|---|---|---|

| 体力(証) | 虚弱(虚証) | 中等度以下 |

| 主な適応 | 小児の虚弱体質・腹痛・夜尿症・疲れやすさ | 腹部膨満感・腹痛・下痢・便秘(過敏性腸症候群様) |

| ベース処方 | 桂枝加芍薬湯+膠飴(こうい) | 桂枝湯+シャクヤク増量 |

| ダイオウ含有 | なし | なし |

| カンゾウ含有 | あり | あり |

| マオウ含有 | なし | なし |

| 特徴 | 膠飴(水飴・麦芽糖)が甘みを加え腹部を温め補う | シャクヤク増量により腸の痙攣性収縮を緩和 |

建中湯類の系統(桂枝湯を基本とした加減処方):

```

桂枝湯(ケイヒ・シャクヤク・ショウキョウ・タイソウ・カンゾウ)

↓ シャクヤクを倍量

桂枝加芍薬湯(腹部けいれん・腹満)

↓ 膠飴(こうい)を加える

小建中湯(虚弱体質・腹痛の体質改善)

```

各選択肢の正誤:

  • ア(正):小建中湯は特に小児の虚弱体質・腹痛・疲れやすさ・夜尿症に使われる処方として正しい。
  • イ(正):桂枝加芍薬湯は中等度以下の腹部膨満・腹痛・過敏性腸症候群に適する処方として正しい。
  • ウ(誤・正答):小建中湯はダイオウを含まない虚証の処方。ダイオウ含有・実証・便秘は全て誤り。
  • エ(正):どちらも桂枝湯の系統処方(加減方)でカンゾウ・シャクヤクを含む。
  • オ(正):桂枝加芍薬湯はシャクヤク倍量化で腸の筋緊張緩和を強化した処方として正しい。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【小建中湯の生薬組成と「建中」の概念】

「建中」とは中焦(脾胃=消化器系)を「建て直す」意味。中焦の虚弱(気虚・血虚)により生じる腹痛・冷え・疲労を補い回復させる処方群。

| 生薬 | カテゴリ | 主な薬理作用 |

|---|---|---|

| ケイヒ(桂皮) | 温裏・解表 | 体を温め・腹部の冷えを改善 |

| シャクヤク(芍薬)| 鎮痙・鎮痛 | 平滑筋のけいれんを緩和。腹痛の中心的作用 |

| ショウキョウ(生姜)| 温熱・健胃 | 胃腸を温め食欲改善 |

| タイソウ(大棗) | 補脾・安神 | 胃腸を補い安定させる |

| カンゾウ(甘草) | 調和・鎮痙 | シャクヤクとともに「芍薬甘草湯」の組み合わせで強い鎮痙 |

| 膠飴(こうい) | 補脾・緩急止痛 | 麦芽糖(水飴)。甘みで脾を補い腹痛を緩める。小建中湯の特徴成分 |

膠飴(こうい)は桂枝加芍薬湯を小建中湯に変える重要成分。甘味(甘は脾に入る)で脾胃を補い、腹部の緊張(急)を緩和(止痛)する。現代栄養学的にはブドウ糖・麦芽糖の補給による低血糖様症状の改善も一因として考えられる。

桂枝加芍薬湯のシャクヤク増量の薬理:

通常の桂枝湯ではシャクヤク3gが含まれるが、桂枝加芍薬湯ではシャクヤクが倍量(6g程度)に増量される。シャクヤクの主成分ペオニフロリンは:

1. Ca拮抗様作用→平滑筋弛緩→腸の痙攣性収縮を緩和

2. 中枢神経鎮静→腸の過緊張を抑制

3. 抗炎症→腸粘膜の軽度炎症を緩和

これにより過敏性腸症候群(IBS)の痙攣性腹痛・腹部膨満感・便通異常(下痢・便秘の繰り返し)に有効とされる。芍薬甘草湯(シャクヤク+カンゾウ)が急性の筋肉痛・こむら返りに有効なのも同じメカニズムの延長。

小建中湯の小児適用と「体質改善」の概念:

小建中湯が小児の虚弱体質に使われる理由:

1. 膠飴による甘い味(子どもが服用しやすい)

2. 虚弱体質の小児に多い「腹部症状(腹痛・過敏な腸)」「疲れやすさ」「貧血傾向」「夜尿症」を包括的に改善

3. 刺激性成分(ダイオウ・マオウ等)を含まず安全性が高い

ただし「小児」への漢方は用量調整が必要であり、添付文書の用法用量(年齢・体重に応じた用量)に従う必要がある。

建中湯類とダイオウ含有処方の対比(試験頻出の誤選択肢パターン):

| 処方 | 体力 | ダイオウ | 主な適応 |

|---|---|---|---|

| 小建中湯 | 虚弱 | なし | 小児の虚弱・腹痛・夜尿症 |

| 桂枝加芍薬湯 | 中等度以下 | なし | 腹部膨満・腹痛・IBS様 |

| 大建中湯 | 虚弱 | なし | 腹部の冷え・腸の蠕動低下 |

| 通導散 | 実証 | あり | 便秘・打撲・月経不順 |

| 三黄瀉心湯 | 実証 | あり | 高血圧・便秘・鼻出血 |

| 大柴胡湯 | 実証 | あり | 肥満・便秘・高コレステロール |

試験では「建中湯類=ダイオウを含む」という誤り誘導が頻出。大建中湯(山椒・乾姜・人参・膠飴)も含め、建中湯系にダイオウは含まれない。

カンゾウ・シャクヤクの組み合わせに関する注意(実務への接続):

小建中湯・桂枝加芍薬湯はともにカンゾウ(グリチルリチン酸)を含む。グリチルリチン酸は1日40mgを超えると偽アルドステロン症リスクがある。小建中湯を長期服用している小児の場合、他の漢方薬や医療機関処方の甘草含有製剤との重複に注意が必要。保護者への服用状況確認が実務上重要。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 一次ソースで全構成を突合し誤りなし。①小建中湯=ケイヒ/シャクヤク/タイソウ/カンゾウ/ショウキョウ/コウイ(膠飴)=カンゾウあり・ダイオウなし。②桂枝加芍薬湯=ケイヒ/シャクヤク/タイソウ/カンゾウ/ショウキョウ(桂枝湯のシャクヤク増量)=カンゾウあり・ダイオウなし。③大建中湯=カンキョウ/サンショウ/ニンジン/コウイの4生薬=カンゾウ・ダイオウともになし(ツムラ100番)。建中湯系にダイオウは含まれないとの記述は正。正答ウ(小建中湯はダイオウを含む=誤り)は一意に成立。出典:ツムラ小建中湯/桂枝加芍薬湯/大建中湯 医療用添付文書。 -->

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

腹痛の漢方・小建中湯/桂枝加芍薬湯の証頻出度B

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主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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