第3章 主な医薬品とその作用122主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問122:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

五苓散(ごれいさん)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 五苓散は体力に関わらず広く用いられ、のどの渇き・尿量減少・浮腫・吐き下し(嘔吐と下痢が同時に起こる)に使われる。
  • 五苓散はカンゾウを含まない処方であり、偽アルドステロン症のリスクが低い。
  • 五苓散にはダイオウが含まれており、水分代謝異常に伴う便秘にも対応できる。正答
  • 五苓散の「五苓」は含まれる5つの生薬(タクシャ・ブクリョウ・チョレイ・ビャクジュツ・ケイヒ)を指すとも解釈される。
  • 五苓散は「水滞(水の巡りが悪い)」の漢方処方で、二日酔い・乗り物酔い・頭痛にも用いられる。
正答:五苓散にはダイオウが含まれており、水分代謝異常に伴う便秘にも対応できる。

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正答はウです。

五苓散にダイオウは含まれません。五苓散は「水滞(水の代謝異常)」を治す利水剤であり、ダイオウが入る大黄系処方(便秘の実証処方)とは全く別の系統です。

五苓散の5生薬:タクシャ・ブクリョウ・チョレイ・ビャクジュツ・ケイヒ(桂皮)がポイントです。カンゾウも含まれないため、偽アルドステロン症のリスクがない点も特徴です。

症状の覚え方:「のどが渇くのに尿が出ない・むくむ・吐き下し」→五苓散。二日酔い・乗り物酔いの水分代謝乱れにも使います。

語呂:「五苓散はのどが渇くのに尿が出ない水滞の処方、ダイオウなし」

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五苓散の特徴まとめ:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 体力(証) | 体力に関わらず(虚弱でも実証でも使用可) |

| 主な適応 | のどの渇き・尿量減少・浮腫・嘔吐・下痢・二日酔い・乗り物酔い・頭痛 |

| 5生薬の構成 | タクシャ(沢瀉)・ブクリョウ(茯苓)・チョレイ(猪苓)・ビャクジュツ(白朮)・ケイヒ(桂皮) |

| カンゾウ含有 | なし |

| ダイオウ含有 | なし |

| マオウ含有 | なし |

| 漢方カテゴリ | 利水剤(水の代謝を整える処方群) |

| 病態 | 水滞(水が必要なところにない・不必要なところに溜まる) |

「水滞」の概念:

五苓散の適応は「水滞(すいたい)」。中医学での水の巡りが乱れた状態で、以下の逆説的な症状が特徴:

  • のどが渇くのに(脱水のサイン)尿が出ない(腎・膀胱の処理機能低下)
  • 体内に余分な水分が溜まっているのに(浮腫・嘔吐・下痢)正しく循環しない

利水作用の応用(二日酔い・乗り物酔いへの使用):

アルコール摂取後の「口が渇く・頭痛・むかつき」も水分代謝の乱れが一因。五苓散が二日酔いに有効なのは利水作用で水分代謝を正常化するため。乗り物酔いの「吐き気・めまい・浮腫感」も同様。

各選択肢の正誤:

  • ア(正):体力に関わらず使用でき、口渇・尿減少・浮腫・嘔吐下痢に適する処方として正しい。
  • イ(正):カンゾウを含まないため偽アルドステロン症のリスクが低い(事実として正しい)。
  • ウ(誤・正答):五苓散にダイオウは含まれない。5生薬はタクシャ・ブクリョウ・チョレイ・ビャクジュツ・ケイヒ。
  • エ(正):五苓散の5生薬の解釈として正しい(諸説あるが選択肢内容は正確)。
  • オ(正):水滞の処方で二日酔い・乗り物酔い・頭痛に用いるのは正しい。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【五苓散の5生薬の薬理と「利水」のメカニズム】

五苓散は傷寒論に収載される古典処方で、現代においても急性胃腸炎・二日酔い・小児の嘔吐下痢症など幅広く使われる。

| 生薬 | 薬理作用 | 現代薬理の接点 |

|---|---|---|

| タクシャ(沢瀉) | 利水渗湿(水を排出し湿を除く)・清熱 | アリスモール等による利尿作用。腎尿細管での水・Na再吸収抑制 |

| ブクリョウ(茯苓) | 利水・健脾・安神 | 多糖体パキマン(β-グルカン)による免疫調整。利尿・鎮静 |

| チョレイ(猪苓) | 利水渗湿(タクシャより利尿作用が強い) | エルゴステロール誘導体による抗腫瘍・免疫調整・利尿 |

| ビャクジュツ(白朮) | 健脾燥湿(脾胃を強め余分な湿を取る) | 精油成分(アトラクチロン等)による消化促進・利尿 |

| ケイヒ(桂皮) | 温陽利水(陽気を温めて水の代謝を促進) | 血管拡張による腎血流増加→糸球体濾過率の改善 |

「利水」の機序:五苓散は「膀胱・腎の気化機能(水の気化と排出)」を改善するとされる。ケイヒの「温陽(陽気を温める)」により腎・膀胱の機能を賦活し、タクシャ・チョレイ・ブクリョウの「渗湿利水」で過剰な水分を排出する。結果として「口渇があるのに尿が出ない」→「適切に排尿される・むくみが解消される」という方向に整える。

五苓散と猪苓湯(ちょれいとう)の違い(試験頻出の混同ポイント):

| 項目 | 五苓散 | 猪苓湯 |

|---|---|---|

| 体力 | 体力に関わらず | 体力に関わらず |

| 主な適応 | 口渇・浮腫・嘔吐下痢・二日酔い | 尿が出にくい・残尿感・排尿痛・血尿 |

| 共通生薬 | タクシャ・ブクリョウ・チョレイ | タクシャ・ブクリョウ・チョレイ |

| 違い | ビャクジュツ+ケイヒ(温陽) | アキョウ(止血)+タルク(清熱利湿) |

| 特徴 | 水分代謝全体の調整・嘔吐下痢に有効 | 泌尿器系(膀胱炎様)の排尿障害・血尿に有効 |

五苓散と猪苓湯は共通の生薬(タクシャ・ブクリョウ・チョレイ)を含むが、五苓散はケイヒ(温性)・ビャクジュツ(健脾)で全身の水代謝を整え、猪苓湯はアキョウ(止血)・タルク(清熱)で下部尿路の炎症・出血を治す点が異なる。

五苓散が「体力に関わらず使用できる」理由:

利水剤は体力(虚実)の概念よりも「水の代謝状態(水滞の有無)」で適応が決まる。口渇・尿量減少・浮腫という「水滞のサイン」があれば体力虚弱な人にも体力のある人にも適応できる。この点が大柴胡湯(実証のみ)・小建中湯(虚証のみ)等と大きく異なる。

二日酔いへの応用と現代医学的理解:

アルコール摂取後の症状:

1. アセトアルデヒド毒性→頭痛・吐き気

2. 利尿作用による脱水→口渇

3. 腎・肝での水分処理異常→むくみ・吐き気

五苓散の利水作用がアルコール代謝産物の排出(腎血流改善)と水分代謝の正常化(タクシャ・チョレイの利尿)を助けることで二日酔い症状を緩和する。実際に日本では「二日酔いの漢方」として市販薬に含まれている。

カンゾウ・ダイオウ・マオウを含まない点の重要性:

五苓散はこれら3つの注意成分をすべて含まないため:

  • 高血圧・心疾患:マオウなし→動悸・血圧上昇リスクなし
  • カンゾウ重複:偽アルドステロン症リスクなし
  • 妊婦:ダイオウなし→流早産リスクなし(ただし妊婦への漢方全般は医師確認推奨)
  • 高齢者:副作用リスクが比較的低い

これらの理由から、五苓散は幅広い患者層に使いやすい利水処方として位置づけられる。ただし体液・電解質の問題がある患者(透析患者・重篤な腎疾患)では医師への確認が必要。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

排尿・むくみの漢方・五苓散の証と利水剤頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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