登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問121|動悸・精神不安の漢方・柴胡加竜骨牡蛎湯/桂枝加竜骨牡蛎湯の証

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)および桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウです。

柴胡加竜骨牡蛎湯と桂枝加竜骨牡蛎湯は、どちらも「竜骨(リュウコツ)」と「牡蛎(ボレイ)」という動物性の生薬を含む点が共通の特徴です。これら2つの生薬が「精神安定・鎮静」の主役です。

誤りの選択肢のポイントです。

  • ア:柴胡加竜骨牡蛎湯は「体力中等度以上(比較的体力がある)」の人向けです。「虚弱」は誤り。
  • イ:桂枝加竜骨牡蛎湯は「体力中等度以下(虚弱傾向)」の人向けです。「中等度以上」は誤り。
  • エ:柴胡加竜骨牡蛎湯にマオウは含まれません。
  • オ:桂枝加竜骨牡蛎湯にダイオウは含まれません。

語呂:「竜骨牡蛎の2つで鎮静。柴胡加は体力あり、桂枝加は虚弱向け」

柴胡加竜骨牡蛎湯 vs 桂枝加竜骨牡蛎湯:竜骨牡蛎剤の比較

項目柴胡加竜骨牡蛎湯桂枝加竜骨牡蛎湯
体力(証)中等度以上(比較的体力あり)中等度以下(虚弱傾向)
主な適応精神不安・不眠・神経症・高血圧の随伴症状・動悸精神不安・不眠・夢精・遺尿・神経衰弱・ノイローゼ
共通の特徴生薬リュウコツ(竜骨)・ボレイ(牡蛎)ありリュウコツ(竜骨)・ボレイ(牡蛎)あり
マオウ含有なしなし
ダイオウ含有なし(一部処方にあり・注意)なし
カンゾウ含有ありあり
ベース処方柴胡(小柴胡湯系)に竜骨・牡蛎を加える桂枝湯に竜骨・牡蛎を加える

竜骨(リュウコツ)と牡蛎(ボレイ)の薬理:

  • 竜骨(リュウコツ):哺乳類の化石骨。炭酸カルシウム・リン酸カルシウムを主成分。鎮静・収斂・固渋(体液の漏れを止める)作用。
  • 牡蛎(ボレイ):カキの貝殻。炭酸カルシウムを主成分。鎮静・制酸・収斂・軟堅(しこりを和らげる)作用。

両者のカルシウム系ミネラルが神経の興奮を抑え、精神安定・不眠改善に寄与する。

実証 vs 虚証の区別(竜骨牡蛎剤):

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(中等度以上):ストレス・過労による精神的緊張が強い「実証側」の不眠・精神不安
  • 桂枝加竜骨牡蛎湯(中等度以下):体力消耗・神経衰弱による虚弱な「虚証側」の不眠・精神不安

各選択肢の正誤:

  • ア(誤):柴胡加竜骨牡蛎湯は「体力中等度以上」。虚弱向けではない。
  • イ(誤):桂枝加竜骨牡蛎湯は「体力中等度以下(虚弱傾向)」。「中等度以上」は誤り。
  • ウ(正):どちらもリュウコツとボレイを含む動物性生薬が特徴で正しい。
  • エ(誤):柴胡加竜骨牡蛎湯にマオウは含まれない。
  • オ(誤):桂枝加竜骨牡蛎湯にダイオウは含まれない。

【竜骨・牡蛎の伝統的使用と現代薬理研究の接点】

竜骨(リュウコツ)と牡蛎(ボレイ)は漢方の「鎮静安神薬」として傷寒論・金匱要略の時代(2000年以上前)から使われてきた動物性生薬である。

竜骨(化石骨)の成分と薬理:

  • 主成分:炭酸カルシウム(CaCO₃)・リン酸カルシウム(Ca₃(PO₄)₂)・微量の鉄・アルミニウム・マグネシウム
  • 動物実験での報告:鎮静・抗不安・睡眠延長効果(バルビツール酸系との相乗)・抗痙攣作用
  • 現代での解釈:Caイオンの神経興奮抑制・神経伝達物質(GABA系)への間接的影響が示唆

牡蛎(カキ貝殻)の成分と薬理:

  • 主成分:炭酸カルシウム(95%以上)・タウリン・コハク酸・グリコーゲン(加工方法による)
  • 制酸作用:炭酸カルシウムが胃酸を中和→胃部不快感の改善
  • 鎮静・安神:カルシウムとタウリンの神経安定作用
  • 軟堅散結(なんけんさんけつ):しこり・腫れ物を柔らかくする(甲状腺腫等への応用も)

柴胡加竜骨牡蛎湯の生薬構成(柴胡剤として):

生薬グループ主な生薬役割
疏肝・清熱サイコ・オウゴン肝気鬱結・熱を解消。精神的ストレスを緩和
降気・制吐ハンゲ気の逆上(気逆)を鎮める
鎮静・安神リュウコツ・ボレイ精神興奮・不眠・動悸を鎮める
補気ニンジン・タイソウ・カンゾウ気力を補い心身を安定させる
利水ブクリョウ心下の水分代謝を整える
瀉下ダイオウ(一部処方)便秘・熱の解消(処方によって含有あり)
温裏ケイヒ気の流れを改善

柴胡加竜骨牡蛎湯は小柴胡湯をベースにリュウコツ・ボレイを加えた処方。小柴胡湯の間質性肺炎リスク(オウゴン含有)に準じ、インターフェロン製剤との相互作用(間質性肺炎リスク増大)に注意が必要。

桂枝加竜骨牡蛎湯の生薬構成(桂枝湯系として):

生薬役割
ケイヒ(桂皮)解表・温裏・通陽。心臓の気(陽気)を補い安定
シャクヤク(芍薬)鎮痙・収斂。陰気(体液・血)を補い安定
ショウキョウ(生姜)温熱・制吐・健胃
タイソウ(大棗)補脾・安神。心身を安定させる
カンゾウ(甘草)鎮痙・調和
リュウコツ(竜骨)鎮静・収斂・固渋
ボレイ(牡蛎)鎮静・収斂・軟堅

桂枝湯(体力虚弱向けのベース処方)にリュウコツ・ボレイを加えることで、虚弱体質の人の精神不安・遺精・夜尿・不眠を治す処方となっている。「固渋(こじゅう)」の概念が重要:ダイオウ・センナ等の下剤系とは逆に、体内の物質(精・尿)が漏れ出るのを収め止める作用。

鎮静系漢方処方の横断比較(精神不安・不眠):

処方証特徴動物性生薬
桂枝加竜骨牡蛎湯虚弱〜中等度以下虚弱な人の不眠・夢精・遺尿リュウコツ・ボレイ
柴胡加竜骨牡蛎湯中等度以上ストレス・高血圧随伴の不眠リュウコツ・ボレイ
抑肝散虚弱〜中等度神経の興奮・怒りっぽい・認知症周辺症状なし
加味帰脾湯虚弱心身消耗・不眠・貧血・精神不安なし
酸棗仁湯虚弱心身疲労からの不眠・不安感なし

登録販売者として「体力の程度」と「症状の重点(精神的緊張か体力消耗か)」で処方の見当をつけることが実務上重要。竜骨・牡蛎の2生薬が含まれる処方は上記2つのみで、「動物性の鎮静」成分として記憶の軸になる。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ-1「漢方処方製剤」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ-1「漢方処方製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。