登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問123:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)および薏苡仁湯(よくいにんとう)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア桂枝加朮附湯は体力が中等度以上の人の関節痛・神経痛に用いられ、マオウを含む処方である。
- イ薏苡仁湯はマオウを含まない処方であり、体力虚弱で冷えが強い人の関節痛にのみ用いられる。
- ウ桂枝加朮附湯はブシ(附子)を含む処方であり、口・舌・四肢のしびれが副作用として現れることがある。正答
- エ薏苡仁湯はダイオウを含む処方であり、関節痛を伴う実証の便秘に有効である。
- オ桂枝加朮附湯と薏苡仁湯はどちらも体力虚弱な人にのみ使用でき、実証の患者には禁忌である。
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正答はウです。
桂枝加朮附湯はブシ(附子)を含む処方です。ブシの主成分アコニチンは毒性を持ち、口・舌・四肢のしびれが副作用として現れることがあります。これが現れた場合は直ちに服用を中止して医師・薬剤師に相談します。
誤りの選択肢の確認です。
- ア:桂枝加朮附湯は体力「虚弱」向けの処方です。マオウも含みません。
- イ:薏苡仁湯はマオウを含む処方であり「マオウを含まない」は誤り。また体力中等度向けで関節の腫れ・痛み・いぼ・肌荒れに使うため「体力虚弱の人にのみ」も誤り。
- エ:薏苡仁湯にダイオウは含まれません。
- オ:桂枝加朮附湯は虚弱向け、薏苡仁湯は中等度向けで、「どちらも虚弱のみ」は誤り。
語呂:「桂枝加朮附湯はブシ入り→しびれに注意、虚弱な関節痛向け」
桂枝加朮附湯 vs 薏苡仁湯:関節痛系処方の比較
| 項目 | 桂枝加朮附湯 | 薏苡仁湯 |
|---|---|---|
| 体力(証) | 虚弱〜中等度以下 | 中等度 |
| 主な適応 | 関節痛・神経痛・冷えが強い関節炎 | 関節の腫れや痛み・いぼ・肌荒れ |
| ブシ(附子)含有 | あり | なし |
| マオウ含有 | なし | あり |
| ダイオウ含有 | なし | なし |
| カンゾウ含有 | あり | あり |
| 特徴 | 冷え・疼痛(陽虚)→ブシで温め鎮痛 | 炎症・腫れ(湿痺)→ヨクイニンで水分代謝改善 |
ブシ(附子)含有処方の注意:
ブシ(附子・トリカブトの根を加工)を含む処方では:
- 服用後に口・舌・手足のしびれ・心悸亢進が現れたら即中止・医師相談
- 心疾患のある人には慎重使用
- 加工(炮附子)により毒性は低減されているが個体差あり
ヨクイニン(薏苡仁)のいぼ・肌荒れへの効果:
薏苡仁湯の「薏苡仁(ヨクイニン・ハトムギの種子)」には抗ウイルス・美肌作用があるとされ、いぼ(尋常性疣贅)や肌荒れへの効果が期待される。ヨクイニン単独の製品も市販されている(ch3既存の類似論点と重複しないよう注意:本問は薏苡仁湯処方として出題)。
各選択肢の正誤:
- ア(誤):桂枝加朮附湯は「虚弱〜中等度以下」向け。マオウも含まない。
- イ(誤):薏苡仁湯はマオウを含む処方であり「マオウを含まない」は誤り。体力中等度向けで関節の腫れ・痛み・いぼ・肌荒れに使うため「体力虚弱の人にのみ」も誤り。
- ウ(正):桂枝加朮附湯はブシを含み、しびれの副作用があることは正しい。
- エ(誤):薏苡仁湯にダイオウは含まれない。
- オ(誤):桂枝加朮附湯は虚弱向けだが薏苡仁湯は中等度向けで「どちらも虚弱のみ」は誤り。
【桂枝加朮附湯の生薬組成と「陽虚・寒湿痺」の病態】
桂枝加朮附湯は桂枝湯にビャクジュツ(白朮)とブシ(附子)を加えた処方。「寒湿痺(かんしつひ)」→冷えと湿によって関節・神経が阻まれた(痛みが生じた)病態に対応する。
| 生薬 | カテゴリ | 主な薬理作用 |
|---|---|---|
| ケイヒ(桂皮) | 温裏・解表 | 体を温め、寒邪(冷え)を散らす |
| シャクヤク(芍薬) | 鎮痙・鎮痛 | 筋緊張緩和・疼痛緩和 |
| ショウキョウ(生姜) | 温熱・制吐 | 胃腸を温め血行促進 |
| タイソウ(大棗) | 補脾・調和 | 胃腸を補い各生薬を調和 |
| カンゾウ(甘草) | 鎮痙・調和 | シャクヤクとともに鎮痙(芍薬甘草)。偽アルドステロン症注意 |
| ビャクジュツ(白朮) | 健脾燥湿 | 余分な湿気(水滞)を除去し関節の腫れを軽減 |
| ブシ(附子・炮附子) | 温陽散寒・鎮痛 | 強力な鎮痛・温熱作用。陽虚(体の温める力の不足)を補う |
ブシのアコニチン系アルカロイドは末梢神経のVGSCを介して鎮痛作用を発揮するが、過量ではしびれ・不整脈リスクがある。炮製(加工)によってアコニチン→低毒性のベンゾイルアコニン・アコニンに変換されているが、個体差による吸収のばらつきがある。
薏苡仁湯の生薬組成と「湿痺・熱痺」への対応:
| 生薬 | カテゴリ | 主な薬理作用 |
|---|---|---|
| マオウ(麻黄) | 解表・宣肺 | 発汗・炎症性浮腫の軽減。高血圧・心疾患注意 |
| ビャクジュツ(白朮) | 健脾燥湿 | 湿を取る・関節の腫れを軽減 |
| ヨクイニン(薏苡仁) | 利水除湿・排膿 | ハトムギの種子。利水・消炎・いぼ除去(コイクノリドの抗ウイルス作用) |
| トウキ(当帰) | 補血・活血 | 血を補い血行を改善。関節炎の慢性化防止 |
| シャクヤク(芍薬) | 鎮痙・鎮痛 | 関節周囲筋の緊張緩和 |
| センキュウ(川芎) | 活血・鎮痛 | 血行促進・鎮痛 |
| ビャクシ(白芷) | 解表・止痛 | 表在性の痛み(神経痛)を緩和 |
| カンゾウ(甘草) | 調和 | 調和役 |
薏苡仁湯はマオウを含むため(桂枝加朮附湯はマオウなし)、使用対象の体力が中等度にシフトし、高血圧・心疾患・排尿困難への注意が必要。一方でブシを含まないためアコニチン系のしびれリスクはない。
関節・神経痛系漢方処方の横断比較:
| 処方 | 証 | ブシ | マオウ | 主な適応 |
|---|---|---|---|---|
| 桂枝加朮附湯 | 虚弱〜中等度以下 | あり | なし | 冷え・陽虚の関節痛・神経痛 |
| 薏苡仁湯 | 中等度 | なし | あり | 炎症・腫れの関節痛・いぼ |
| 麻杏薏甘湯 | 中等度 | なし | あり | 関節痛・筋肉痛・いぼ(薏苡仁湯の簡略版) |
| 越婢加朮湯 | 実証 | なし | あり | 急性の関節炎・浮腫・汗が多い |
| 防己黄耆湯 | 虚弱 | なし | なし | むくみやすい・関節の水腫 |
ブシ含有処方の登録販売者実務対応:
桂枝加朮附湯を販売する際の確認事項:
1. 服用開始後にしびれ・動悸が出たら即中止・相談を伝える
2. 心臓疾患(不整脈等)のある人への注意確認
3. カンゾウ含有のため他の漢方薬との重複確認
ブシ含有処方の添付文書では「次の症状が現れたら使用を中止すること:口・舌・手足のしびれ・動悸」が必ず記載されており、これが試験での出題ポイントになる。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 一次ソースで構成を突合。①桂枝加朮附湯=ケイヒ/シャクヤク/タイソウ/カンゾウ/ショウキョウ/ソウジュツ(ビャクジュツ)/ブシ=カンゾウあり・ブシあり・マオウなし。②薏苡仁湯=ヨクイニン/ソウジュツ/トウキ/マオウ/ケイヒ/シャクヤク/カンゾウ=カンゾウあり・マオウあり(ツムラ52番)。③麻杏薏甘湯=マオウ/キョウニン/ヨクイニン/カンゾウ=カンゾウあり・マオウあり(ツムラ78番)。3処方ともカンゾウ含有で解説の段差表は正。正答ウ(桂枝加朮附湯はブシ含有でしびれの副作用)は正。二重正答防止のため選択肢イを「薏苡仁湯はマオウを含まない/体力虚弱のみ」の誤りに改変し正答をウに一意化。出典:ツムラ各製剤 医療用添付文書。 -->
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。