登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問125:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)
排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)および治頭瘡一方(じずそういっぽう)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア排膿散及湯は体力に関わらず使用でき、化膿性皮膚疾患(おできや皮膚炎の化膿)に用いられる処方である。
- イ治頭瘡一方は体力中等度以上の小児の頭部皮膚の湿疹・かぶれに用いられる処方である。
- ウ排膿散及湯はダイオウを含む処方であり、化膿による便秘傾向の患者に特に適している。正答
- エ排膿散及湯にはカンゾウが含まれており、他のカンゾウ含有漢方薬との重複投与に注意が必要である。
- オ治頭瘡一方はダイオウを含む処方であり、妊婦・授乳婦には使用できない場合がある。
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正答はウです。
排膿散及湯にダイオウは含まれません。「排膿」の名の通り、化膿した患部の膿を排出させる処方ですが、ダイオウ(大黄)は含まれていません。「化膿=排膿散及湯=ダイオウ含有」という誤ったイメージを持たないようにしましょう。
治頭瘡一方(ジズソウイッポウ)はダイオウを含む処方で、小児の頭部の湿疹・かぶれに使います。ダイオウ含有のため妊婦・授乳婦には注意が必要です(オは正しい内容)。
排膿散及湯はカンゾウを含む(エは正しい)ため、他のカンゾウ含有漢方薬との重複確認が必要です。
排膿散及湯 vs 治頭瘡一方:皮膚化膿・湿疹の漢方比較
| 項目 | 排膿散及湯 | 治頭瘡一方 |
|---|---|---|
| 体力(証) | 体力に関わらず | 中等度以上 |
| 主な適応 | 化膿性皮膚疾患(おでき・皮下膿瘍・扁桃腺炎) | 小児の頭部皮膚の湿疹・かぶれ(乳児湿疹) |
| ダイオウ含有 | なし | あり |
| カンゾウ含有 | あり | あり |
| マオウ含有 | なし | なし |
| 処方の特徴 | 排膿(膿を排出させる)・解毒。術後の感染予防にも | 頭部の「瘡(かさぶた・湿疹)」を治す小児向け処方 |
「排膿」の漢方的概念:
漢方では化膿性疾患に「排膿(膿を排出・外へ出す)」のアプローチを取る。排膿散及湯はキキョウ(桔梗)・シャクヤク(芍薬)・キジツ(枳実)・タイソウ(大棗)・ショウキョウ(生姜)・カンゾウ(甘草)の6生薬からなり、膿のある患部の排出を促進する。ダイオウは含まれない。
治頭瘡一方のダイオウと小児への使用:
治頭瘡一方はダイオウを含むため:
- 妊婦への使用は流早産リスクから禁忌
- 授乳婦への使用は乳児への母乳経由のセンノシド代謝物移行による下痢リスクあり
- 小児向けの処方だが、授乳婦(母親)が服用する場合は注意
各選択肢の正誤:
- ア(正):排膿散及湯は体力に関わらず使用できる化膿性皮膚疾患の処方として正しい。
- イ(正):治頭瘡一方は小児の頭部皮膚の湿疹・かぶれに用いる処方として正しい。
- ウ(誤・正答):排膿散及湯にダイオウは含まれない。「化膿による便秘傾向に特に適している」は誤り。
- エ(正):排膿散及湯はカンゾウを含むため重複注意は正しい。
- オ(正):治頭瘡一方はダイオウを含む処方であり、妊婦・授乳婦への注意は正しい。
【排膿散及湯の生薬組成と「排膿」の現代薬理学的理解】
排膿散及湯(排膿散と排膿湯を組み合わせた処方)の主な生薬と作用:
| 生薬 | 主な薬理作用 |
|---|---|
| キキョウ(桔梗) | 去痰・排膿・抗炎症。サポニン(プラチコジン)が気道・皮膚の分泌物を増加させ排膿を促進 |
| シャクヤク(芍薬) | 鎮痙・鎮痛・抗炎症。患部周囲の筋緊張緩和 |
| キジツ(枳実)| 理気・破気。胸腹部のつかえを除き、気の巡りを改善 |
| タイソウ(大棗) | 補脾・安神・免疫調整 |
| ショウキョウ(生姜) | 温熱・制吐・抗菌 |
| カンゾウ(甘草) | 抗炎症・調和。グリチルリチン酸の抗炎症で患部の炎症を鎮める |
キキョウのサポニン(プラチコジン)は:
1. 気道・皮膚の粘膜分泌を亢進→痰や膿の粘稠度を下げて排出を助ける
2. 直接的な抗菌作用(グラム陽性菌・一部の真菌に対する膜障害)
3. 炎症性サイトカインの産生抑制
4. マクロファージ活性化による自然免疫の増強
これらの作用が「排膿」=化膿した患部から膿を外へ出す効果を支えている。現代の術後感染予防(扁桃腺術後・歯科処置後の腫れ予防)への応用研究もある。
治頭瘡一方の「瘡(かさぶた・湿疹)」と小児皮膚疾患:
治頭瘡一方の「頭瘡」は「頭部の皮膚疾患(かさぶた・膿疱・湿疹)」を指す。小児(特に乳幼児)の乳児湿疹・脂漏性皮膚炎(お頭に生じるかぶれやかさぶた)が典型的な適応。
治頭瘡一方(ツムラ59・約10生薬)の主な構成生薬:レンギョウ(連翹)・ソウジュツ(蒼朮)・センキュウ(川芎)・ボウフウ(防風)・ニンドウ(忍冬)・ケイガイ(荊芥)・カンゾウ(甘草)・コウカ(紅花)・ダイオウ(大黄)。
| 生薬 | 役割 |
|---|---|
| レンギョウ(連翹) | 清熱・解毒・排膿。皮膚の化膿・炎症を鎮める |
| ニンドウ(忍冬) | 清熱解毒・消炎・殺菌。湿疹・かぶれの炎症に対応 |
| ケイガイ(荊芥)・ボウフウ(防風) | 解表・止痒。皮膚の痒みを止め、表の邪を散らす |
| センキュウ(川芎)・コウカ(紅花) | 活血・血行改善。瘀血を除く |
| ソウジュツ(蒼朮) | 健脾燥湿。分泌物(湿)のある皮膚病変に対応 |
| ダイオウ(大黄) | 皮膚の「熱毒(炎症性老廃物)」を便通を通じて排出(清熱) |
| カンゾウ(甘草) | 鎮痛・抗炎症・調和。偽アルドステロン症に注意 |
ダイオウが含まれる理由:小児の皮膚疾患には体内の「熱毒の蓄積」が原因と考えられ、ダイオウで便通を通じて熱毒を排出する設計。分泌物(じくじくした湿疹)のある皮膚炎・湿疹に有効とされ、乳幼児にも用いられる。
にきびの漢方4処方(既存問)との区別:
既存の問題(ch3の既存104問内)でカバーされる「にきび漢方4処方」は:
- 清上防風湯(体力中等度〜実証のにきび)
- 荊芥連翹湯(体力中等度のにきび・鼻炎)
- 黄連解毒湯(体力中等度以上・のぼせ・にきび)
- 十味敗毒湯(体力中等度の皮膚疾患・化膿初期)
治頭瘡一方・排膿散及湯は「にきび4処方」とは別カテゴリ:
- 治頭瘡一方:主に小児の頭部限定
- 排膿散及湯:成人も含む化膿性疾患全般(おでき・皮下膿瘍・扁桃腺炎)
登録販売者実務での使い分けポイント:
化膿性皮膚疾患への対応:
1. 初期(赤くて硬い・まだ膿が出ていない)→十味敗毒湯(既存問で学習済み)
2. 膿が出始めた(本格的な化膿)→排膿散及湯
3. 頭部の小児湿疹・かぶれ→治頭瘡一方
4. 化膿+体力充実+炎症強い→荊芥連翹湯・黄連解毒湯
排膿散及湯の適応対象(体力に関わらず)は、重症感染症ではない一般的な皮膚の化膿性病変が対象。発熱・重篤な感染徴候がある場合は速やかに受診を勧奨する必要がある。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): ①排膿散及湯=キキョウ/カンゾウ/キジツ/シャクヤク/タイソウ/ショウキョウの6生薬・ダイオウ非含有(ツムラ122番)。旧版の生薬リストにあった「エンゴサク(延胡索)」は誤りでキジツ(枳実)に修正。正答ウ(排膿散及湯はダイオウを含む=誤り)は正。②治頭瘡一方=レンギョウ/ソウジュツ/センキュウ/ボウフウ/ニンドウ/ケイガイ/カンゾウ/コウカ/ダイオウ(ツムラ59番)でダイオウ含有・カンゾウも含有。旧版の推定リスト(ジオウ/トウキ/チンカイ)および「カンゾウなし」を実構成に修正。出典:ツムラ排膿散及湯/治頭瘡一方 医療用添付文書。 -->
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。