登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問38|みずむし・たむし薬=抗真菌

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

みずむし・たむし(皮膚糸状菌症)に用いる外用抗真菌薬の成分に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

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解説

正答はア(正しいもの)です。

テルビナフィン塩酸塩はアリルアミン系の抗真菌薬で、真菌の細胞膜成分エルゴステロールの生合成経路(スクアレンエポキシダーゼ)を阻害して、殺菌的に白癬菌を死滅させます。

各選択肢の誤りポイント:

  • イ(誤):イミダゾール系はエルゴステロール合成阻害(ペプチドグリカンは細菌の話で真菌には無関係)
  • ウ(誤):トルナフタートはイミダゾール系ではない(チオカルバメート系)
  • エ(誤):症状が消えても菌は残る→治療を続ける必要がある
  • オ(誤):爪白癬は外用薬のみでは完治しにくい→医師受診推奨

ゴロ:「テルビナフィン=アリルアミン系でスクアレンをブロック」

外用抗真菌薬の作用機序別分類:

分類代表成分作用ターゲット作用の性質
イミダゾール系クロトリマゾール・ミコナゾール硝酸塩・エコナゾール等CYP51(ラノステロール14α-脱メチル化酵素)阻害→エルゴステロール合成阻害主に静菌的
アリルアミン系テルビナフィン塩酸塩スクアレンエポキシダーゼ阻害→エルゴステロール合成阻害(上流)殺菌的
チオカルバメート系トルナフタートスクアレンエポキシダーゼ阻害(テルビナフィンと同酵素)主に静菌的
ポリエン系ナイスタチンエルゴステロールに直接結合→細胞膜穿孔殺菌的(皮膚外用では少用)

各選択肢の解説:

  • イ(誤): イミダゾール系抗真菌薬(クロトリマゾール・ミコナゾール等)は真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの合成を阻害します。ペプチドグリカンは細菌の細胞壁成分であり、真菌はペプチドグリカンを持ちません(真菌の細胞壁はキチン・グルカン)。イミダゾール系は抗菌薬(抗生物質)ではなく抗真菌薬です。
  • ア(正): テルビナフィン塩酸塩は、真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの生合成を妨げる抗真菌成分です(生合成経路の上流にあるスクアレンエポキシダーゼを阻害)。これによりスクアレンが蓄積し、エルゴステロールが欠乏して細胞膜機能障害を起こし、真菌を死滅させます(殺菌的)。手引き(令和8年4月版)でもテルビナフィンは「皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げ、その増殖を抑える」とされ、本肢の趣旨と整合します。
  • ウ(誤): トルナフタートはイミダゾール系ではありません(化学的にはチオカルバミン酸系に分類され、エルゴステロール合成に関わる酵素を阻害しますが効果は緩和とされます)。「CYP51(ラノステロール14α-脱メチル化酵素)の選択的阻害」はイミダゾール系・トリアゾール系の機序であり、トルナフタートをイミダゾール系の一種とする記述は誤りです。手引きでもイミダゾール系成分(オキシコナゾール・クロトリマゾール・ミコナゾール等)とトルナフタートは別の成分として扱われます。
  • エ(誤): 白癬菌(皮膚糸状菌)感染では、症状(かゆみ・紅斑・水疱)が消えても角質層の深部に菌糸・胞子が残存していることがあります。症状消失後も4〜8週間は継続使用することが必要で、早期中止は再発の原因になります。
  • オ(誤): 爪白癬(爪甲白癬)は爪甲という血管のない硬い組織に菌が定着するため、外用薬が菌に届きにくく、外用のみでの完治は極めて困難です。内服抗真菌薬(テルビナフィン・イトラコナゾール等処方薬)が治療の主体で、医師による診察・処方が必要です。市販の外用薬では対応困難であることを明確に伝え、受診勧奨が必要です。

【白癬の病態・皮膚糸状菌の種類と各抗真菌薬の作用機序の深掘り】

白癬(水虫・たむし)の病態:

白癬(Tinea)は皮膚糸状菌(Dermatophyte)による感染症で、主要病原菌:

  • Trichophyton rubrum(赤毛白癬菌):足白癬・爪白癬の主因(日本で最多)
  • Trichophyton mentagrophytes(石膏状白癬菌):足白癬・体部白癬
  • Microsporum canis(犬小胞子菌):頭部・体部白癬(小児に多い)
  • Epidermophyton floccosum:陰部・体部白癬

感染経路と感染部位:

  • 足白癬(みずむし):床・マット・バスマット→足底・趾間
  • 爪白癬:足白癬から拡大・爪甲に侵入
  • 体部白癬(たむし):直接接触・動物からの感染
  • 股部白癬(いんきんたむし):免疫低下・多汗・密着衣服

エルゴステロール生合成経路と各阻害薬の作用点:

真菌のエルゴステロール生合成経路(コレステロール生合成の真菌版):

アセチルCoA → ... → スクアレン

↓ スクアレンエポキシダーゼ(ここを阻害: テルビナフィン・トルナフタート)

スクアレンエポキシド(2,3-オキシドスクアレン)

↓ ラノステロール合成酵素

ラノステロール

↓ ラノステロール14α-脱メチル化酵素(CYP51)(ここを阻害: イミダゾール系・トリアゾール系)

エルゴステロール(真菌細胞膜の必須構成成分)

エルゴステロールはヒトのコレステロールに相当する真菌固有の細胞膜ステロールで、この阻害が選択毒性の根拠(ヒト細胞はコレステロール依存でエルゴステロールを持たない)。

テルビナフィン(アリルアミン系)の選択性と殺菌機序の詳細:

テルビナフィンのスクアレンエポキシダーゼ(Squalene epoxidase: SE)阻害の特徴:

  • ヒトSEより真菌SEへの選択的結合(IC₅₀: 真菌SEに対して30〜100倍強い親和性)
  • スクアレンの蓄積による二重の殺菌機序:

1. エルゴステロール欠乏→細胞膜機能障害

2. スクアレン自体の細胞毒性(疎水性液体が細胞内に蓄積→膜破壊)

殺菌性(Fungicidal)であることの臨床的意義:

  • イミダゾール系(静菌性・Fungistatic)と異なり菌を直接殺す
  • 爪白癬に対してもテルビナフィン内服は有効性が高い(ただし外用は爪への浸透が課題)

イミダゾール系 vs トリアゾール系(CYP51阻害薬の比較):

分類代表薬(外用)CYP51選択性特徴
イミダゾール系クロトリマゾール・ミコナゾール中程度皮膚外用に広く使用。ヒトCYP阻害も一部あり
トリアゾール系フルコナゾール・イトラコナゾール(内服)高い内服薬・全身投与で爪・深在性真菌症に有効

外用イミダゾール系の局所使用では全身性副作用は少ないですが、大量・広範囲・長期使用や粘膜からの吸収では全身移行が起こりえます。

爪白癬の難治性の理由と受診勧奨の根拠:

爪甲(ケラチン硬タンパク)の特性:

  • 無血管・ケラチン密度が高い→外用薬の浸透が極めて困難
  • 爪甲の成長速度:手の爪3mm/月・足の爪1.5mm/月→罹患爪が全部生え変わるのに手6〜12ヶ月・足12〜18ヶ月
  • 浸透性の高い特殊製剤(エフィナコナゾール外用液・アモロルフィン爪用ラッカー等)でも完治率は限られる

爪白癬の治療成功率(参考):

  • 内服テルビナフィン(12週間):完治率約70〜80%(複数のRCTデータ)
  • 外用のみ:完治率はかなり低く、軽症初期を除き単独での根治は困難

登録販売者の対応:

  • 爪白癬が疑われる(爪が白く濁る・厚くなる・もろくなる)場合は医師(皮膚科)への受診を必ず勧奨
  • 市販の外用薬は「すでに医師の診断を受けた足白癬・体部白癬の治療」に適用(爪白癬には不適)
  • 糖尿病・免疫低下状態では白癬が悪化しやすいため特に早期受診を強調
この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅹ-5)「抗真菌作用を有する配合成分」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅹ-5)「抗真菌作用を有する配合成分」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • みずむし・たむし薬=抗真菌(イミダゾール系/テルビナフィン/トルナフタート
  • 頻出度B

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