登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問39:主な医薬品とその作用(眼科用薬)
一般用医薬品の点眼薬(眼科用薬)の成分と使用目的に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アスルファメトキサゾールは抗ヒスタミン成分であり、アレルギー性結膜炎の痒みを抑えるために配合される。
- イ人工涙液は涙液の成分に近い組成で作られており、ドライアイや目の疲れに伴う乾燥感の緩和を目的として用いられるが、1回使い切りタイプは防腐剤(ベンザルコニウム塩化物等)を含まないものが多いため、コンタクトレンズ装着中でも使用できる場合がある。正答
- ウクロモグリク酸ナトリウムはアレルギー症状を直接抑制する抗ヒスタミン成分であり、症状が出た直後に使用するほど効果が高い。
- エスルファメトキサゾールは抗真菌成分であり、カビによる目の感染症(真菌性角膜炎等)に効果を示す。
- オ一般用眼科用薬に含まれる抗菌成分は、細菌性結膜炎等の治療を目的とするが、症状が2〜3日で改善しない場合でも、自己判断で継続使用してよい。
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正答はイです。
人工涙液は涙液に近い成分で作られており、ドライアイ・乾燥感の緩和に使われます。1回使い切りタイプは防腐剤を含まない(または少ない)ものが多く、コンタクトレンズ装着中でも使用できる場合があります。
アは誤りです。スルファメトキサゾールはサルファ剤(抗菌成分)であり、抗ヒスタミン成分ではありません。ウはクロモグリク酸ナトリウムが「抗ヒスタミン成分」とある点が誤りです。クロモグリク酸ナトリウムはマスト細胞の脱顆粒を抑える抗アレルギー成分(肥満細胞安定化薬)で、症状が出る前から使用することで効果を発揮します。エはスルファメトキサゾールは「抗菌成分(サルファ剤)」であり、抗真菌成分ではありません。オは改善しない場合は受診を勧奨すべきで「自己判断で継続」は誤りです。
眼科用薬の主な成分カテゴリーまとめ:
| カテゴリー | 代表成分 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 抗菌(サルファ剤) | スルファメトキサゾール | 結膜炎・ものもらい等の細菌感染 |
| 抗アレルギー(肥満細胞安定化) | クロモグリク酸ナトリウム | 花粉症・アレルギー性結膜炎の予防的使用 |
| 抗ヒスタミン | ケトチフェンフマル酸塩・レボカバスチン | アレルギー性結膜炎の痒み・充血 |
| 人工涙液 | 精製ヒアルロン酸Na・メチルセルロース等 | ドライアイ・乾燥感緩和 |
| 充血除去 | ナファゾリン塩酸塩・テトラヒドロゾリン | 充血・目の疲れ |
| 収れん | 硫酸亜鉛 | 炎症に伴う充血・目やに |
各選択肢の解説:
- ア(誤): スルファメトキサゾールはサルファ剤(細菌の葉酸合成を阻害する抗菌成分)です。アレルギー性結膜炎の痒みを抑えるのは抗ヒスタミン成分(ケトチフェン等)やクロモグリク酸ナトリウムです。
- イ(正): 人工涙液の1回使い切りタイプは防腐剤不使用または低濃度のため、ソフトコンタクトレンズ装着中でも使用できる製品があります。一方、多回用ボトルは防腐剤(ベンザルコニウム塩化物等)を含むためコンタクト装着中の使用は一般に避けます。
- ウ(誤): クロモグリク酸ナトリウムは肥満細胞(マスト細胞)の脱顆粒(ヒスタミン・ロイコトリエン等の放出)を抑制する抗アレルギー成分です。症状が出た後ではなく、症状が出る前(花粉飛散前等)から継続的に使用することで予防的効果を発揮します。
- エ(誤): スルファメトキサゾールはサルファ剤(抗菌)であり、真菌に対する作用はありません。抗真菌点眼薬は一般用医薬品にはなく、医療用医薬品の範囲です。
- オ(誤): 点眼の抗菌成分を2〜3日使用しても改善しない場合は、重症化・別疾患・薬剤耐性菌などが疑われるため、自己判断での継続は禁物です。眼科受診を勧奨します。
【スルファメトキサゾール(サルファ剤)の作用機序と限界】
スルファメトキサゾールはスルフォンアミド系合成抗菌薬(サルファ剤)の代表成分です。細菌がp-アミノ安息香酸(PABA)から葉酸を合成する経路(ジヒドロプテロイン酸合成酵素)を競合阻害することで葉酸合成を妨げ、細菌の増殖を抑制します(静菌的作用)。
限界として押さえるべき点:
1. ウイルス・真菌・原虫には無効: 細菌の葉酸合成経路を標的とするため、葉酸を食物から摂取するウイルス・真菌・原虫には作用しません。ウイルス性結膜炎(アデノウイルス等)にはサルファ剤の効果は期待できません。
2. 一般用医薬品の抗菌点眼薬は補助的役割: 処方抗生物質(フルオロキノロン系等)と異なり、重症感染症には対応できません。
3. 改善しない場合は受診: 2〜3日で改善しない、または悪化する場合は角膜潰瘍・重篤な細菌感染・クラミジア感染等が疑われるため医療機関への紹介が必須です。
【クロモグリク酸ナトリウムの薬理と使用タイミング】
クロモグリク酸ナトリウム(DSCG: Disodium Cromoglycate)は「マスト細胞安定化薬」に分類されます。
作用機序:
1. マスト細胞膜上のCl⁻チャネルを安定化(細胞膜の脱分極を抑制)
2. Ca²⁺流入を阻害→マスト細胞の脱顆粒(ヒスタミン・ロイコトリエンC₄/D₄、プロスタグランジン放出)を抑制
3. 結果として即時型・遅発型アレルギー反応の両方を軽減
使用タイミングが重要な理由: DSCGはマスト細胞が脱顆粒する前に作用します。脱顆粒後のヒスタミンは除去できないため、既に症状が出た後では効果が限定的です。花粉症では「花粉飛散開始2週間前から使用開始」が推奨されます。症状が出てからの使用では、速効性の抗ヒスタミン点眼薬(ケトチフェン等)の方が即効性があります。
【コンタクトレンズと点眼薬の相性:登録販売者の実務ポイント】
コンタクトレンズ装着中の点眼薬使用で問題になるのは主に防腐剤です。
| 防腐剤 | ソフトCL影響 | 理由 |
|---|---|---|
| ベンザルコニウム塩化物(BAK) | 要注意(蓄積) | ソフトCLに吸着・濃縮→角膜障害リスク |
| クロルヘキシジン | 要注意 | 同様の吸着問題 |
| ホウ酸/ソルビン酸カリウム | 比較的低リスク | 吸着率が低い |
| 無防腐剤(1回使い切り) | 問題少ない | 蓄積しない |
登録販売者がコンタクトレンズ使用者に対して確認・説明すべき事項:
1. 「ハードCLかソフトCLか」→ソフトCLは防腐剤蓄積リスクが高い
2. 「使い捨てか長期装用か」→使い捨ての場合も防腐剤入りは原則外してから使用
3. 製品の外箱・添付文書で「コンタクトレンズを外してから使用してください」の記載を確認させる
4. 1回使い切りタイプで「コンタクトレンズ装着中にも使用できます」と明記されたものを選ぶ
【一般用眼科用薬における受診勧奨のタイミング】
登録販売者は以下の場合に早期受診を促す必要があります:
- 急激な視力低下・視野欠損
- 強い眼痛(頭痛を伴う場合は緑内障発作の可能性)
- 点眼薬使用2〜3日で改善しない結膜炎
- 眼分泌物が著しく多い・膿性(クラミジア感染等)
- 外傷後の充血・眼内異物感
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答イは妥当(一意)。手引き第3章「眼科用薬」で、1回使い切りタイプの点眼薬は防腐剤を含まないものが多く、ソフトコンタクトレンズ装着時にも使用できる製品がある旨に整合。スルファメトキサゾール=サルファ剤(抗菌・抗ヒスタミンでも抗真菌でもない)、クロモグリク酸Na=抗アレルギー(マスト細胞安定化・予防的使用)も手引き準拠で正。「場合がある」と限定表現のため事実誤認なし。修正不要。 -->
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第13節
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第13節「眼科用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。