第3章 主な医薬品とその作用44主な医薬品とその作用(皮膚に用いる薬・にきび用薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問44:主な医薬品とその作用(皮膚に用いる薬・にきび用薬)

にきびや皮膚の化膿症状に用いられる薬の成分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • イオウは角質を軟化・溶解させる作用と、皮脂分泌を抑制する作用を持ち、主として外用薬として使用されるが、妊婦への使用は全身吸収による影響を考慮して特に注意が必要とされている。
  • レゾルシン(レソルシノール)は角質を溶解・剥離させる作用があり、にきびの外用薬として使用されるが、強い皮膚刺激性があるため、目や口腔粘膜への接触は避ける必要がある。正答
  • サリチル酸は角質を軟化・剥離させる作用を持つが、にきびへの効果は限定的であり、主としてたこや魚の目(鶏眼)の治療に使用され、皮膚に塗布した場合でも全身吸収は起こらない。
  • にきび外用薬に配合される塩化ベンザルコニウムや塩酸クロルヘキシジンは、にきびの原因菌(アクネ菌等)に対する選択的な抗菌作用を持ち、他の常在菌には影響を与えない。
  • イオウとレゾルシンを同時に配合した製剤では、2成分が複合することでイオウ単独よりも角質溶解・殺菌効果が増強され、にきびの治療薬として広く使用されている。
正答:レゾルシン(レソルシノール)は角質を溶解・剥離させる作用があり、にきびの外用薬として使用されるが、強い皮膚刺激性があるため、目や口腔粘膜への接触は避ける必要がある。

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正答はイです。

レゾルシン(レソルシノール)は角質を溶解・剥離する成分で、にきびの外用薬に使用されます。皮膚刺激性があるため、目や口腔粘膜への接触を避ける必要があるという記述は正しい内容です。

ア・ウ・エ・オの誤りの要点:

  • アの「妊婦に特に注意が必要」という点はそこまで強調されていない場合が多く、「全身吸収による影響」は限定的
  • ウの「全身吸収は起こらない」は誤り。サリチル酸は大量・広範囲塗布で経皮吸収が起こる
  • エの「選択的な抗菌作用で常在菌に影響なし」は誤り。塩化ベンザルコニウム等は広域の殺菌成分
  • オの「イオウ+レゾルシンの同時配合で効果増強」は誤り。同時配合すると皮膚刺激が増す場合があり、相乗効果が常に得られるわけではない
標準試験対策の基準レベル

にきび・皮膚化膿用薬の主な成分まとめ:

| 成分 | 主な作用 | 主な注意点 |

|---|---|---|

| イオウ | 角質軟化・溶解・抗菌・抗真菌(手引き準拠) | 他の角質溶解成分と組み合わせると刺激増強 |

| レゾルシン | 角質溶解・剥離・殺菌 | 皮膚刺激性・目や粘膜への接触禁忌 |

| サリチル酸 | 角質溶解・剥離(高濃度)・弱い抗菌 | 広範囲・大量塗布で経皮吸収→全身影響の可能性 |

| 塩化ベンザルコニウム | 広域殺菌(第四級アンモニウム塩) | 常在菌にも影響(選択性なし) |

| クロルヘキシジン | 広域殺菌 | 皮膚刺激・アレルギー(まれに重篤) |

| イソプロピルメチルフェノール(IPMP) | 殺菌・抗炎症 | 皮膚刺激は比較的少ない |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): イオウ外用薬は一般的に局所作用が主体で、妊婦への禁忌・特別な注意を強調している記述は手引きの記載を超えています。「妊婦への使用に特に注意が必要」とする根拠が手引きに明記されているかを確認する必要があります。むしろイオウは皮膚への刺激性と他成分との組み合わせによる増強作用が主要な注意点です。
  • イ(正): レゾルシン(レソルシノール)は角質を溶解・剥離させる化学的剥離剤で、にきびの毛穴詰まり(面皰)の解消に使われます。刺激性が強く、目に入ると刺激・角膜障害のリスクがあり、口腔粘膜への接触も避けます。
  • ウ(誤): サリチル酸は大量・広範囲の塗布(特にサリチル酸ワセリン高濃度製剤等)では経皮吸収が起こり、体内でサリチル酸血中濃度が上昇します。サリチル酸中毒(耳鳴り・頭痛・過呼吸)の報告があります。特に小児・広範囲塗布では注意が必要です。「全身吸収は起こらない」は誤りです。
  • エ(誤): 塩化ベンザルコニウムや塩酸クロルヘキシジンは「広域殺菌剤」であり、アクネ菌(Cutibacterium acnes)を含む多種の細菌・一部の真菌にも作用します。「常在菌に影響を与えない」は誤りで、常在菌叢にも影響を与えます。
  • オ(誤): イオウとレゾルシンの同時配合は、どちらも角質溶解・殺菌作用を持つため、皮膚刺激が増強されることがあります。「常に相乗効果で治療に有利」とはいえず、配合割合と使用状況に依存します。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【アクネ菌(Cutibacterium acnes)とにきびの病態生理】

アクネ菌は以前Propionibacterium acnesとして分類されていましたが、現在はCutibacterium acnesに改名されています。正常皮膚の常在菌として毛包脂腺に生息し、通常は無害ですが、以下の条件でにきびを形成します:

にきび形成のカスケード:

1. 性ホルモン(アンドロゲン)↑→皮脂腺の活性化→皮脂分泌↑

2. 毛穴の角質(主にコルネオサイト)の角化異常→毛穴詰まり(微小面皰形成)

3. 嫌気的環境(酸素が少ない状態)でアクネ菌が増殖→脂肪酸・プロピオン酸を産生

4. 遊離脂肪酸→毛包壁・周囲組織への炎症誘発(IL-1α・IL-8・TNF-α↑)

5. 白血球浸潤→膿疱・炎症性にきびへ進展

OTC外用薬が作用する標的:

  • 角質溶解(サリチル酸・イオウ・レゾルシン): 毛穴詰まりの解消(step2)
  • 皮脂抑制(イオウ): 皮脂分泌量低下(step1の一部)
  • 殺菌(塩化ベンザルコニウム・イソプロピルメチルフェノール等): アクネ菌増殖抑制(step3)

【イオウの化学的特性と作用機序の詳細】

イオウ(Sulfur、元素記号S)は外用皮膚科薬として長年使用されてきた成分です。

作用機序:

1. 角質軟化・溶解作用: イオウが皮膚のケラチン(タンパク質)のS-S結合(ジスルフィド結合)に作用し角質を軟化させる(手引きで「角質成分を変質させることにより、角質軟化作用を示す」とされる中心的作用)

2. 抗菌・抗真菌作用: 手引きでも「抗菌・抗真菌作用も期待され、にきび用薬等に配合されている場合がある」とされる

3. 皮脂分泌の調整: 皮脂を吸着・除去する補助的作用。なお詳細な皮脂腺への分子機序は手引きには記載されておらず、試験範囲外

他の角質溶解成分との相互作用:

  • レゾルシンとの同時使用: どちらも酸化還元反応に関与するため、皮膚上での反応が複雑化→刺激増強・皮膚色素変化(褐色化)のリスク
  • サリチル酸との同時使用: サリチル酸はイオウの角質溶解を助けるが、皮膚刺激の相加的増加に注意

【サリチル酸の経皮吸収と毒性リスク】

サリチル酸(2-Hydroxybenzoic acid)は外用薬に広く使用されますが、吸収リスクを理解することが重要です。

経皮吸収に影響する要因:

| 要因 | 影響 | 高リスク状況 |

|---|---|---|

| 濃度 | 高濃度ほど吸収↑ | サリチル酸10%以上の製剤 |

| 塗布面積 | 広面積ほど吸収↑ | 体幹・四肢広範囲に使用 |

| 皮膚の状態 | 傷・炎症で吸収↑ | 傷口・湿疹・乾癬への塗布 |

| 年齢 | 小児・乳幼児は体重あたりの皮膚面積大→吸収率高い | 乳幼児への使用 |

| 密封包帯 | 密封(ODT)で吸収↑ | サランラップ等で巻いた場合 |

サリチル酸中毒の症状(サリチル酸塩中毒と同様):

  • 軽症: 耳鳴り・難聴・頭痛・めまい
  • 中等症: 嘔吐・過呼吸(代謝性アシドーシス+呼吸性アルカローシスの混合)
  • 重症: 痙攣・肺浮腫・高熱

妊婦への注意(補足): サリチル酸はNSAID類縁の成分であり、一般に通常の外用(少量・限局塗布)で問題になることは少ないものの、広範囲・大量・密封下での外用では経皮吸収が増えうるため、妊娠中の使用は医師・薬剤師に相談するのが無難です。なお手引き第3章は「サリチル酸=角質軟化+抗菌・抗真菌・抗炎症」を中心に記載しており、「妊婦に禁忌」と明示してはいません。本問の正答判定(ウの誤り=サリチル酸は全身吸収が起こらない、は誤り)には妊婦の禁忌程度は影響しません。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答イは妥当(一意)。レゾルシン=角質溶解・剥離・皮膚刺激性(目/口腔粘膜接触回避)は手引き準拠で正。サリチル酸は手引きで「角質軟化+抗菌・抗真菌・抗炎症」とされ大量・広範囲塗布で経皮吸収が起こりうる→ウ(全身吸収は起こらない)は誤りで正答イ成立。塩化ベンザルコニウム/クロルヘキシジン=広域殺菌(選択性なし)、イオウ+レゾルシン同時配合の相乗増強断定も誤り。イオウの皮脂分泌抑制の分子機序断定とサリチル酸妊婦禁忌の断定は手引き範囲外のため手引き準拠の表現に緩和。 -->

【塩化ベンザルコニウムの常在菌への影響:登録販売者の説明ポイント】

塩化ベンザルコニウム(BAK)は第四級アンモニウム塩系の広域殺菌剤です。

作用機序: 細菌の細胞膜(リン脂質二重層)に挿入→膜の完全性を破壊→細胞内容物の漏出→殺菌

常在菌への影響:

  • 黄色ブドウ球菌・アクネ菌・大腸菌等の病原性細菌だけでなく、皮膚正常常在菌(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌・Cutibacterium granulosum等)にも作用
  • 長期・過剰使用で常在菌叢が乱れ、かえって病原菌が定着しやすい環境になる可能性

「選択性があるから常在菌は安全」と誤解する顧客への説明:

「このような殺菌成分は細菌全般に作用するため、アクネ菌だけを選んで殺すことはできません。ご使用は指示通りの量・範囲に留め、改善しない場合は皮膚科への受診をお勧めします。」

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第10節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第10節「皮膚に用いる薬(にきび用薬等)」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

にきび・皮膚化膿用薬=イオウ/レゾルシン/サリチル酸・抗菌成分頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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