問題
婦人薬として使用される漢方処方製剤の「証(適する患者の状態)」に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
桂枝茯苓丸は「比較的体力があり」とされますが、「便秘傾向の人」という条件は誤りです。桂枝茯苓丸の特徴は「のぼせ・下腹部の瘀血(抵抗・圧痛)」であり、便秘については適応の中心的条件ではありません。便秘傾向を持つ「実証(体力のある)」女性の漢方として適するのは桃核承気湯です。
婦人薬の漢方4処方の虚実・特徴を整理すると:
- 当帰芍薬散→虚証(冷え・貧血)
- 加味逍遙散→虚証〜中間(のぼせ+疲れ・精神症状)
- 桂枝茯苓丸→中間〜実証(のぼせ・瘀血)
- 桃核承気湯→実証(強いのぼせ・便秘・瘀血)
暗記ポイント: 「桃核承気湯は婦人薬の4処方で最も実証・便秘に適す」
婦人薬の漢方4処方 比較まとめ:
| 処方名 | 虚実(体力) | 主な特徴/証 | 含有する瀉下薬 |
|---|---|---|---|
| 当帰芍薬散 | 虚証(体力なし) | 冷え・貧血・浮腫・めまい・肩こり | なし(瀉下薬不含) |
| 加味逍遙散 | 虚証〜中間(やや体力なし) | 精神症状(精神不安・不眠)・のぼせ・肩こり・疲れ | なし(ダイオウは含まない) |
| 桂枝茯苓丸 | 中間〜実証(比較的体力あり) | のぼせ・下腹部の瘀血(抵抗・圧痛) | なし |
| 桃核承気湯 | 実証(体力あり) | 強いのぼせ・便秘・下腹部の瘀血・精神不安 | ダイオウ・ボウショウ(瀉下) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 当帰芍薬散は婦人薬漢方の中で最も「虚証(冷え性・貧血・疲れやすい)」に適します。浮腫傾向・月経不順・更年期障害・妊娠中の浮腫にも用いられます。ダイオウを含まず、比較的穏やかな処方です。
- イ(正): 加味逍遙散は精神・神経症状(精神不安・不眠・神経過敏)が前景に立つ更年期症状・月経不順に適します。「のぼせ」と「疲れやすさ」の組み合わせが特徴。加味逍遙散に「便秘傾向」は特徴的な条件ではありません(この点も桃核承気湯との区別点)。
- ウ(誤・正答): 桂枝茯苓丸の証は「比較的体力があり、のぼせ傾向があり、下腹部に抵抗・圧痛(瘀血)がある」ことです。「便秘傾向」は桂枝茯苓丸の中心的適応条件ではなく、便秘が前景に立つ場合は桃核承気湯が選択されます。
- エ(正): 桃核承気湯は婦人薬漢方の中で最も「実証」に適し、強いのぼせ・便秘・下腹部の瘀血(堅い・痛む)・精神的興奮が特徴です。ダイオウ・ボウショウ(芒硝)による強い瀉下作用を持ちます。
- オ(正): 桃核承気湯のダイオウはセンノシドを含み、吸収された成分の一部が乳汁中に移行して乳児に下痢を生じるおそれがあります。手引きでは、構成生薬にダイオウを含む漢方処方製剤について、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避けることとされています。ボウショウ(芒硝:硫酸ナトリウム系)も浸透圧性の瀉下作用を持ちます。
【婦人薬漢方4処方の生薬構成と「瘀血(おけつ)」概念】
漢方の「瘀血」とは気血の循環障害(血の滞り)を意味し、以下の症状として現れます:
- 下腹部の固い抵抗・圧痛(触診で分かる「腹証」)
- 口唇・舌の暗紫色
- 皮膚のあざ・色素沈着
- 月経の暗色・血塊混入・月経痛
4処方はいずれも「瘀血」に対処しますが、虚実の程度と伴う症状が異なります。
当帰芍薬散の生薬構成(6味):
| 生薬 | 作用 |
|---|---|
| 当帰(とうき) | 補血・活血(血虚を補い、血行改善) |
| 芍薬(しゃくやく) | 鎮痛・緩痙・補血 |
| 川芎(せんきゅう) | 活血・鎮痛・頭部への血行改善 |
| 茯苓(ぶくりょう) | 利水・鎮静 |
| 白朮/蒼朮(びゃくじゅつ/そうじゅつ) | 健胃・利水・浮腫改善 |
| 沢瀉(たくしゃ) | 利水・めまい改善 |
「補血(血虚補正)」と「利水(浮腫改善)」を同時に行う特徴があります。妊娠中の浮腫にも使用されることがあります(ただし妊婦への使用は医師相談が原則)。
桂枝茯苓丸の生薬構成(5味):
| 生薬 | 作用 |
|---|---|
| 桂枝(けいし) | 温通(血行を温め通す)・解表 |
| 茯苓(ぶくりょう) | 利水・鎮静 |
| 芍薬(しゃくやく) | 鎮痛・緩痙 |
| 牡丹皮(ぼたんぴ) | 活血・清熱・消炎 |
| 桃仁(とうにん) | 活血・祛瘀(強い瘀血除去)・潤腸 |
牡丹皮・桃仁の組み合わせが「活血祛瘀」の中心で、下腹部の瘀血(固い・圧痛)を散じます。ダイオウを含まないため瀉下作用はなく、「のぼせはあるが便秘ではない、または体力が桃核承気湯ほどではない」場合に選択されます。
桃核承気湯の生薬構成(5味):
| 生薬 | 作用 |
|---|---|
| 桃仁(とうにん) | 活血・祛瘀 |
| 桂枝(けいし) | 温通 |
| 大黄(ダイオウ) | 瀉下・活血・清熱 |
| 芒硝/ボウショウ(ぼうしょう) | 瀉下(硫酸ナトリウム系・浸透圧性) |
| 甘草(カンゾウ) | 調和(各生薬の作用を調整) |
桃核承気湯はダイオウ+ボウショウという強力な瀉下薬を含むため、便秘を伴う実証の婦人科疾患に用いられます。カンゾウを含むため偽アルドステロン症(低K血症・浮腫・高血圧)のリスクも念頭に置く必要があります。
【婦人薬漢方の「証」の実務的な見分け方:登録販売者のヒアリング術】
顧客が更年期症状・月経不順で来店した場合の処方選択参考フロー:
```
体力は?
├── 体力なし・冷え性・貧血傾向
│ ├── 精神症状(精神不安・不眠)が強い → 加味逍遙散
│ └── 精神症状なし・冷え・めまい・浮腫 → 当帰芍薬散
└── 比較的体力あり・のぼせ傾向
├── 便秘なし・下腹部の抵抗・圧痛 → 桂枝茯苓丸
└── 便秘あり・強いのぼせ・精神的興奮 → 桃核承気湯
```
ただしこれはあくまで参考フローであり、漢方の証判定は総合的な「腹証(お腹の触診)」「舌診」等が必要で、登録販売者が「この人はこの漢方が最適」と断言することは越権行為です。重篤な症状・長期症状は医師・漢方専門家への紹介が必要です。
【婦人薬漢方と妊婦・授乳婦への注意点まとめ】
| 処方 | 妊婦 | 授乳中 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 当帰芍薬散 | 比較的使用例多い(医師相談前提) | 注意 | 活血作用(子宮収縮の可能性・文献で議論あり) |
| 加味逍遙散 | 要相談 | 注意 | 一部成分の安全性データ限定的 |
| 桂枝茯苓丸 | 要相談(活血作用) | 注意 | 牡丹皮・桃仁の活血祛瘀作用 |
| 桃核承気湯 | 留意(瀉下薬は「相談すること」) | 使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける | ダイオウ(腸の急激な動きによる流産・早産のおそれ/乳汁移行による乳児の下痢) |
※ 当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸の行は手引きに記載のない一般的な注意で、試験の根拠ではありません。手引きが妊婦・授乳婦の留意を明記しているのは、ダイオウを含む桃核承気湯です。
桃核承気湯は構成生薬としてダイオウを含むため、妊婦又は妊娠していると思われる女性、授乳婦における使用に留意が必要とされています。刺激性瀉下成分は腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあること、授乳婦では吸収された成分の一部が乳汁中に移行して乳児に下痢を生じるおそれがあることの2点が問題になります。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅵ
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅵ「婦人薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

