第3章 主な医薬品とその作用50主な医薬品とその作用(皮膚に用いる薬・漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問50:主な医薬品とその作用(皮膚に用いる薬・漢方処方製剤)

皮膚疾患(にきび・湿疹・じんましん等)に用いられる漢方処方製剤の証に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)は比較的体力がなく、顔面の充血・のぼせ傾向がある人の顔のにきびに用いられる。
  • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)は比較的体力があり、化膿性皮膚疾患の初期・蕁麻疹・急性湿疹に用いられ、一部処方にカンゾウを含むため使用上の注意が必要である。
  • 消風散(しょうふうさん)は体力中等度以上で、慢性化した湿疹・皮膚炎・あせも(汗疹)・虫刺されによる痒みが強い病態に用いられ、患部が滲出液で湿っている場合に特に適するとされる。正答
  • 当帰飲子(とうきいんし)は体力中等度以上で、患部が滲出液で湿潤している急性湿疹の痒みに用いられる。
  • 消風散にはカンゾウが含まれていないため、カンゾウ含有薬との重複使用を特別に気にする必要はない。
正答:消風散(しょうふうさん)は体力中等度以上で、慢性化した湿疹・皮膚炎・あせも(汗疹)・虫刺されによる痒みが強い病態に用いられ、患部が滲出液で湿っている場合に特に適するとされる。

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正答はウです。

消風散は「体力中等度以上で、慢性化した湿疹・皮膚炎で患部が滲出液で湿っている場合に特に適する」という記述は正しい内容です。消風散は「渗出性(ジュクジュクした)皮膚炎」が特徴的な証であり、慢性の痒みの強い皮膚疾患に用いられます。

アは清上防風湯が「比較的体力がない」とした点が誤りで、正しくは「比較的体力があり」です。イは概ね正しいですが、十味敗毒湯はカンゾウを含む一方でカンゾウを含まない製品もあり、一般的には含む処方です。エは当帰飲子が「体力中等度以上・滲出液が湿潤している急性湿疹」とした点が誤りで、当帰飲子は「体力中等度以下・乾燥した慢性湿疹・老人の乾燥肌」に適します。オは消風散にカンゾウが含まれており、「カンゾウを含まない」とする記述は誤りです。

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皮膚疾患の漢方4処方 比較まとめ:

| 処方名 | 虚実(体力) | 主な特徴/証 | 患部状態 | カンゾウ |

|---|---|---|---|---|

| 清上防風湯 | 実証(体力あり) | 顔面のにきび・のぼせ・充血・赤いにきび | 炎症強い・化膿傾向 | 含む |

| 十味敗毒湯 | 実証〜中間(比較的体力あり) | 化膿性皮膚疾患初期・急性湿疹・蕁麻疹 | 化膿初期・急性期 | 多くの場合含む |

| 消風散 | 中間〜実証(体力中等度以上) | 慢性湿疹・皮膚炎・あせも・虫刺され | 滲出液あり(湿潤型) | 含む |

| 当帰飲子 | 虚証〜中間(体力中等度以下) | 慢性湿疹・老人性乾燥肌・皮膚の痒み | 乾燥型 | 含む |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 清上防風湯は「比較的体力があり(実証)」の人に適します。「体力がない」とする記述は誤りです。顔面の充血・のぼせ・炎症性の赤いにきびに用いられる実証向けの処方です。
  • イ(正の内容・正答はウ): 十味敗毒湯は体力中等度以上で化膿性皮膚疾患の初期・急性湿疹・蕁麻疹に用いられる記述は正確です。カンゾウを含む場合が多く、重複使用への注意は必要です。ただし正答はウです。
  • ウ(正): 消風散は「体力中等度以上(中間〜実証)」で、「慢性化した湿疹・皮膚炎で患部が滲出液で湿っている(滲出型)」場合に適します。慢性期のじゅくじゅくした皮膚炎・あせも・虫刺されによる強い痒みに用いられます。
  • エ(誤): 当帰飲子は「体力中等度以下(虚証〜中間)」で、患部が「乾燥している」慢性湿疹・老人性皮膚乾燥・皮膚炎の痒みに適します。「滲出液で湿潤している急性湿疹」は誤った証であり、これは消風散の証です。
  • オ(誤): 消風散はカンゾウ(甘草)を含む処方です。「含まない」とする記述は誤りで、他のカンゾウ含有薬との重複使用では偽アルドステロン症のリスクに注意が必要です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【「湿潤型 vs 乾燥型」皮膚炎の病態と漢方選択の根拠】

皮膚炎の病態を「湿潤型(滲出型)」と「乾燥型」に分けることは、漢方選択の重要な基準であり、現代皮膚科学とも対応しています。

湿潤型(滲出型)皮膚炎の特徴:

  • 組織学: 急性〜亜急性の炎症→真皮の血管拡張・浮腫→表皮内海綿状態(海綿状態)→水疱形成→破れると滲出液が出る
  • 臨床所見: 赤み・浮腫・水疱・びらん(表皮欠損)・滲出液・かさぶた(痂皮)
  • 代表疾患: 急性湿疹・接触性皮膚炎急性期・アトピー性皮膚炎急性増悪期・あせも(汗疹)
  • 対応漢方: 消風散(清熱除湿・疏風)

乾燥型皮膚炎の特徴:

  • 組織学: 慢性炎症→表皮の肥厚(苔癬化)・角質層の異常(落屑)・皮脂分泌低下・保湿機能障害
  • 臨床所見: 乾燥・落屑(皮膚片が剥がれる)・亀裂・かゆみ・苔癬化(皮膚が厚くなる)
  • 代表疾患: 慢性湿疹・アトピー性皮膚炎慢性期・老人性皮膚瘙痒症・魚鱗癬
  • 対応漢方: 当帰飲子(補血・潤燥・疏風)

【消風散の生薬構成と「疏風除湿(そふうじょしつ)」の機序】

消風散の主要構成生薬(12〜14味):

| 生薬グループ | 代表生薬 | 作用 |

|---|---|---|

| 疏風 | 荊芥(けいがい)・防風(ぼうふう)・牛蒡子(ごぼうし) | 風邪解散(かゆみ・発疹の原因を取り除く) |

| 清熱燥湿 | 石膏(せっこう)・知母(ちも)・蒼朮(そうじゅつ) | 熱と湿邪を除き、滲出液を乾燥させる |

| 活血・補血 | 当帰(とうき)・地黄(じおう) | 血虚を補い、皮膚の栄養改善 |

| 清熱解毒 | 木通(もくつう)・苦参(くじん) | 熱毒(感染・炎症)の解毒 |

| 調和・補助 | 甘草(カンゾウ)・蝉退(せんたい) | 諸薬調和・かゆみ鎮静(蝉退は蝉の抜け殻) |

「疏風」(そふう)とは漢方の「風邪(ふうじゃ)」という病態概念で、突然出現・移動する症状(かゆみ・発疹等が体表を移動する)を引き起こす邪気を払う治療法です。現代医学的にはアレルギー・炎症メディエーターの播散に相当するとも解釈されます。

【当帰飲子の「血虚燥痒(けつきょそうよう)」への対処】

当帰飲子は「血虚燥痒」という病態に対処する処方です。

血虚燥痒の概念:

  • 「血虚」: 血液・栄養(現代医学的には組織への栄養・保湿因子の不足)
  • 「燥」: 乾燥(皮膚の水分・脂質の不足)
  • 「痒」: かゆみ(皮膚乾燥→神経終末の露出・炎症性サイトカイン→かゆみ誘発)

当帰飲子の主要生薬:

| 生薬 | 作用 |

|---|---|

| 当帰・芍薬・川芎・地黄 | 四物湯(補血の基本処方)成分:血虚を補い、皮膚の栄養供給改善 |

| 防風・荊芥 | 疏風・かゆみ鎮静 |

| 何首烏(かしゅう) | 補血・潤燥(タデ科植物・皮膚乾燥改善) |

| 蒺藜子(しつりし) | 疏肝・明目・かゆみ鎮静 |

| 甘草(カンゾウ) | 調和・抗炎症 |

| 黄耆(おうぎ) | 補気(気虚を補い、免疫・皮膚バリア機能回復) |

「老人性皮膚乾燥症・高齢者の皮膚掻痒症」への適応は現代でも臨床的に用いられており、加齢に伴う皮脂・保湿因子の低下→乾燥→かゆみというメカニズムに対して「血虚燥痒を補血潤燥で治す」アプローチが現代医学の「保湿による乾燥性痒みの軽減」に対応しています。

【清上防風湯・十味敗毒湯の実証向けにきび・皮膚炎への使い分け】

| 観点 | 清上防風湯 | 十味敗毒湯 |

|---|---|---|

| 対象部位 | 顔面(特に上半身・顔のにきび) | 全身(体全体の化膿性・急性期) |

| 化膿の状態 | 炎症性・赤いにきび(炎症主体) | 化膿初期(排膿前後・膿疱初期) |

| 急慢性 | 慢性のにきび・繰り返すにきび | 急性・亜急性の化膿性皮疹 |

| 特徴的な証 | のぼせ・顔の充血・口渇 | 化膿初期・蕁麻疹・急性発疹 |

十味敗毒湯の「排膿作用」は桔梗(ききょう)・川芎・生姜等が担い、化膿した患部の排膿促進・体外排出に働きます。「化膿が完成してから」ではなく「化膿が始まったばかり(初期)」に用いることがポイントです。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第10節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第10節「皮膚に用いる薬(漢方処方製剤)」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

にきび・皮膚の漢方=清上防風湯/十味敗毒湯/消風散/当帰飲子頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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