登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問49|鼻の漢方=辛夷清肺湯/葛根湯加川芎辛夷/荊芥連翹湯の証

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

鼻の疾患(鼻炎・副鼻腔炎・蓄膿症等)に用いられる漢方処方製剤の証(適する患者の状態)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

荊芥連翹湯の証として「比較的体力がなく」という記述が誤りです。荊芥連翹湯は比較的体力があり、皮膚が浅黒く、手足の冷えや貧血傾向があり(これは正しい)、蓄膿症・慢性鼻炎・慢性扁桃炎に用いられます。

鼻の漢方3処方の体力レベルを整理すると:

  • 辛夷清肺湯→体力あり(実証)・熱感・膿性鼻汁
  • 葛根湯加川芎辛夷→体力あり(実証)・鼻詰まり・頭痛
  • 荊芥連翹湯→体力あり(実証よりやや下だが、「体力がない虚証」ではない)

「比較的体力がなく」は当帰芍薬散・加味逍遙散等の虚証処方に使う表現で、荊芥連翹湯の証として「体力なし」とするのは誤りです。

鼻疾患の漢方3処方 比較まとめ:

処方名虚実(体力)主な特徴/証カンゾウ
辛夷清肺湯実証(体力あり)膿性・黄色い濃い鼻汁・鼻詰まり・熱感・副鼻腔炎含まない
葛根湯加川芎辛夷実証(比較的体力あり)鼻詰まり・鼻水・頭痛・頸部のこわばり含む(葛根湯由来)
荊芥連翹湯実証〜中間(体力あり)皮膚が浅黒い・手足の冷え・貧血傾向・慢性鼻炎・蓄膿症・慢性扁桃炎含む

各選択肢の解説:

  • ウ(正): 辛夷清肺湯は副鼻腔炎(蓄膿症)の代表的な漢方薬で、「膿性の濃い鼻汁・鼻詰まり・熱感」という「肺熱(上焦の熱邪)」の証に適します。比較的体力がある実証の患者向けです。辛夷(シンイ: モクレン科の花蕾)・石膏・麦門冬等が主構成生薬です。
  • イ(正): 葛根湯加川芎辛夷は葛根湯(葛根・麻黄・桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗の7味)に川芎(せんきゅう: 頭部の血行改善)と辛夷(シンイ: 鼻詰まり改善)を加えた処方です。鼻症状に頭痛・肩こりを伴う場合に有効です。
  • ア(誤・正答): 荊芥連翹湯は「比較的体力があり(実証〜中間)」とされており、「比較的体力がなく」という虚証の表現は誤りです。皮膚が浅黒い・手足の冷え・貧血傾向(これらは証として正しい)の組み合わせが特徴です。慢性化した鼻・咽喉の炎症(慢性副鼻腔炎・慢性扁桃炎・中耳炎)に適します。
  • エ(正): 辛夷清肺湯は石膏・知母・麦門冬・山梔子・黄芩・枇杷葉・辛夷・百合・升麻で構成され、カンゾウを含みません。葛根湯加川芎辛夷には葛根湯由来のカンゾウが含まれるため、両処方の同時使用は原則不要ですが、仮に使用する場合はカンゾウ過剰のリスクはありません(辛夷清肺湯にカンゾウなし)。
  • オ(正): 荊芥連翹湯はカンゾウを含む処方です(構成生薬に甘草あり)。カンゾウ含有薬の重複使用で偽アルドステロン症(低K血症・浮腫・高血圧)のリスクが増大します。複数の漢方薬・かぜ薬を同時使用している顧客への確認が重要です。

【辛夷清肺湯の構成生薬と「肺熱」概念の現代的解釈】

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)の構成生薬(9味):

生薬役割
辛夷(シンイ)モクレン科コブシ等の花蕾。鼻詰まり・鼻通開通(宣肺通竅)
石膏(セッコウ)硫酸カルシウム水和物。清熱(熱を冷ます)・鎮炎
知母(チモ)ユリ科植物の根茎。清熱・滋陰(粘膜の乾燥を潤す)
麦門冬(バクモンドウ)ユリ科植物の根の膨大部。滋陰・潤肺(肺・気道を潤す)
山梔子(サンシシ)アカネ科クチナシの果実。清熱・解毒・鎮静
黄芩(オウゴン)シソ科コガネバナの根。清熱燥湿・抗炎症
枇杷葉(ビワヨウ)バラ科ビワの葉。清肺(肺の熱を冷ます)・止咳
百合(ビャクゴウ)ユリ科植物の鱗茎。潤肺・滋陰
升麻(ショウマ)キンポウゲ科植物の根茎。解熱・解毒・引経(上部への薬力誘導)

「肺熱」とは漢方の病態概念で、上気道(鼻・咽喉・気管支)に熱邪が滞り、炎症・膿・熱感・充血を生じた状態を指します。現代医学的には細菌性副鼻腔炎・急性上気道炎の「化膿性炎症期」に相当します。

石膏・知母・黄芩・山梔子の組み合わせが「清熱(熱邪を冷ます)」の中核を担い、麦門冬・百合が「滋陰(乾燥した粘膜を潤す)」を担って、炎症を抑制しながら粘膜の修復を支援します。

【荊芥連翹湯の生薬構成と「血熱」の概念】

荊芥連翹湯の構成生薬(17〜18味・処方により異なる)の主要薬:

生薬グループ代表生薬作用
解表・清熱荊芥(けいがい)・連翹(れんぎょう)・防風表邪解散・清熱解毒
清熱瀉火黄芩・黄連・黄柏(おうばく)強い清熱・消炎
活血川芎・当帰・芍薬血行改善・瘀血解消
解毒桔梗(ききょう)・甘草排膿・解毒・調和
滋陰地黄(じおう)血虚・陰虚(津液不足)補正

「皮膚が浅黒く・手足の冷え・貧血傾向」という荊芥連翹湯の特徴的な証は、漢方の「血熱(けつねつ)」と「瘀血(おけつ)」が共存する病態を反映しています。体の内部に熱が籠もりながら、末梢の血流は悪い(手足の冷え)という複雑な状態に対応する多味の処方です。

慢性副鼻腔炎・慢性扁桃炎等の「慢性・持続性の炎症」に有効とされ、単なる清熱(一時的な熱取り)ではなく、体質改善を含む長期的なアプローチに適します。

【シンイ(辛夷)の生薬学と作用機序】

シンイ(辛夷)はモクレン科植物(コブシ Magnolia kobus・タムシバ M. salicifolia・ハクモクレン M. heptapeta 等)の花蕾を乾燥させた生薬です。

主要成分:

  • マグノロール(Magnolol)・ホノキオール(Honokiol): 抗炎症・抗菌
  • コクロウリン(Coclaurine)・サリカリン(Salicarine)等のアルカロイド
  • シネオール・オイゲノール等の精油成分: 鼻腔粘膜への刺激・血管収縮(鼻通り改善)

現代薬理学的な作用:

1. 鼻腔粘膜の血管収縮(充血解消・鼻詰まり改善)

2. 鼻粘膜の線毛運動促進(粘液・膿の排出促進)

3. 抗炎症(COX阻害・サイトカイン産生抑制)

「シンイ(辛夷)」は葛根湯加川芎辛夷・辛夷清肺湯の両方に含まれる鼻疾患漢方の「要(かなめ)」の生薬です。

【鼻疾患漢方の選択実務と受診勧奨】

登録販売者が鼻の漢方を選択する際の参考フロー:

```

鼻症状の性質は?

├── 急性・発熱・頭痛あり → 葛根湯加川芎辛夷(かぜ初期〜鼻炎)

├── 膿性・黄色い鼻汁・熱感・体力あり → 辛夷清肺湯(副鼻腔炎・蓄膿症)

└── 慢性・繰り返す・皮膚浅黒い・体力あり → 荊芥連翹湯(慢性副鼻腔炎・慢性炎症)

```

受診勧奨が必要な場合:

  • 片側のみの鼻詰まり(鼻腔腫瘍等)
  • 血性鼻汁(鼻腔内出血・腫瘍)
  • 38℃以上の発熱を伴う頭痛・顔面痛(急性副鼻腔炎の重症化・頭蓋内合併症)
  • 漢方処方を2〜4週間使用して改善なし

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅶ-2)

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅶ-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(漢方処方製剤)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅶ-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(漢方処方製剤) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。