登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問83:主な医薬品とその作用(成分群の共通注意・横断テーマ)
グリチルリチン酸(甘草・カンゾウ由来)を含む一般用医薬品に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アグリチルリチン酸は肝臓での代謝を受けずそのまま全身に吸収されるため、腸内細菌による分解は起こらず、偽アルドステロン症を引き起こす代謝産物は生じない。
- イグリチルリチン酸を含む一般用医薬品では、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品を使用する場合に医師・薬剤師に相談することとされているが、本来はカンゾウを含む漢方薬を含めても重複摂取に注意する必要はない。
- ウグリチルリチン酸による偽アルドステロン症は、尿中へのカリウム排出増加・ナトリウム貯留により、低カリウム血症・高血圧・浮腫・脱力感を引き起こすが、高齢者や日常的に高食塩食の人でリスクが高い。正答
- エグリチルリチン酸は炎症を抑える目的でかぜ薬・胃腸薬・外用薬に幅広く配合されているが、含有量は一律同一に定められており、薬剤師や登録販売者が成分量を確認する必要はない。
- オ偽アルドステロン症の初期症状(手足のだるさ・筋力低下・浮腫)が現れた場合でも、グリチルリチン酸含有薬はすぐに中止する必要はなく、症状が重症化してから受診すれば間に合う。
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正答はウです。
グリチルリチン酸(カンゾウ由来)が原因で生じる偽アルドステロン症は、次のメカニズムで起こります。
- グリチルリチン酸の代謝産物(グリチルレチン酸)が腎臓でアルドステロン様作用を発揮
- ナトリウム貯留・カリウム排出増加→低カリウム血症・高血圧・浮腫・脱力感
特に高齢者・高食塩食の人・複数のカンゾウ含有薬を重複使用している人でリスクが高いです。
手引きでは、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品を使用する場合は、むくみ・心臓病・腎臓病・高血圧のある人や高齢者は医師・薬剤師に相談するよう記載されています。また医薬品では、グリチルリチン酸としての1日摂取量が200mgを超えないよう用量が定められています。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 手引き令和8年4月版の数値を確認。「40mg以上で相談」「医薬品では1日200mgを超えない」が正確な記載。イは「40mgを超えないよう」という不正確表現+「重複注意不要」という誤りに改め、ウを正答とする設問構造を維持。 -->
ゴロ:「カンゾウ含む薬が重なって偽(にせ)アルドのせいで浮腫む」
グリチルリチン酸(カンゾウ)が含まれる主な一般用医薬品カテゴリ:
| カテゴリ | 配合目的 |
|---|---|
| かぜ薬 | 抗炎症・のどの炎症緩和 |
| 鎮咳去痰薬 | 気管支・喉頭の炎症抑制 |
| 胃腸薬(健胃・制酸・整腸) | 胃粘膜保護・抗炎症 |
| 含嗽薬(うがい薬) | のどの炎症抑制 |
| 漢方薬(カンゾウ含有処方) | 多数の漢方処方に配合(芍薬甘草湯・小青竜湯等) |
| 外皮用薬(外用抗炎症) | 皮膚の炎症抑制 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): グリチルリチン酸は消化管内の腸内細菌によってグリチルレチン酸に加水分解・変換されます。このグリチルレチン酸が腎臓の11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(11β-HSD₂)を阻害することで、コルチゾールがアルドステロン様作用を発揮し、偽アルドステロン症を引き起こします。「代謝産物が生じない」は誤りです。
- イ(誤): 前半「1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品を使用する場合に医師・薬剤師に相談する」は手引きの正確な記載です。しかし後半「カンゾウを含む漢方薬を含めても重複摂取に注意する必要はない」が明確な誤りです。グリチルリチン酸・カンゾウは多くのかぜ薬・胃腸薬・漢方処方に含まれ、複数製品の重複で総摂取量が増えるため、重複摂取への注意は必須です。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 手引き「40mg以上で相談」「1日200mgを超えない」を確認。イは後半の誤りで不正解、正答はウで確定。 -->
- ウ(正): 偽アルドステロン症はグリチルレチン酸(グリチルリチン酸の代謝産物)が腎臓でアルドステロン様作用を示し、①ナトリウム・水分貯留→浮腫・高血圧、②カリウム排出増加→低カリウム血症→筋力低下・脱力感、を引き起こします。高齢者(腎機能低下で排泄が遅延)・高食塩食(Na過剰で影響増大)はリスクが高く、正しい記述です。
- エ(誤): グリチルリチン酸の含有量は製品・カテゴリによって異なります。複数の製品を使用する場合に総量が増えるため、登録販売者・薬剤師が成分量を確認することは重要な職務です。「一律同一・確認不要」は誤りです。
- オ(誤): 偽アルドステロン症の初期症状(手足のだるさ・脱力感・浮腫)が現れた場合は直ちに使用を中止し、医師に相談する必要があります。重症化(重篤な低カリウム血症による横紋筋融解症・不整脈等)に至る前に早期対応することが重要です。「すぐに中止する必要はない・重症化してから受診」は誤りで危険な記述です。
【グリチルリチン酸の重複摂取リスク:製品横断的な確認実務と対話例】
「カンゾウを含む製品の重複」は登録販売者が発見できる安全網:
偽アルドステロン症の機序はグリチルリチン酸の代謝産物(グリチルレチン酸)が腎臓で11β-HSD₂を阻害してコルチゾールがアルドステロン様作用を発揮することで生じます(分子機序の詳細はch3_84を参照)。本節では登録販売者が日常業務で実行できる「製品横断的な確認実務」に焦点を当てます。
製品カテゴリ別グリチルリチン酸含有の実態:
| 製品カテゴリ | 主な配合目的 | 代表的なGL量(1日量参考) |
|---|---|---|
| 芍薬甘草湯 | 筋肉鎮痙・緩和(カンゾウが多い) | 約75〜150mg |
| 葛根湯・六君子湯等の汎用漢方 | 調和・緩和 | 約25〜50mg |
| かぜ薬・鎮咳去痰薬 | 気道の炎症緩和 | 製品により異なる(成分表示で確認) |
| 胃腸薬・含嗽薬 | 胃粘膜保護・のど炎症緩和 | 製品により異なる |
| 外皮用薬(外用消炎) | 皮膚炎症抑制 | 内服より少量だが重複で注意 |
芍薬甘草湯を毎日服用しながらかぜ薬・胃腸薬も使用している場合、グリチルリチン酸の総摂取量が1日40mgの閾値を容易に超えます。なおグリチルリチン酸として1日200mgを超えないよう医薬品では定められていますが、重複使用時の総量管理が重要です。
【登録販売者が行う製品確認の対話フロー(実務例)】
漢方薬購入者への確認:
「漢方をお探しとのことですね。現在、別の漢方薬やかぜ薬、胃腸薬なども お使いでしょうか?」(複数使用が判明した場合:)「この漢方にはカンゾウ(甘草)という生薬が含まれており、かぜ薬や胃腸薬にも同じカンゾウが入っていることがあります。一緒に使うとむくみや血圧上昇が起きる可能性があるため、成分を確認させてください。」
芍薬甘草湯(こむらがえり用)を検討中の高齢者への確認:
「こむらがえりによく効く漢方ですが、カンゾウをやや多く含むため、長期毎日の服用は避け症状が出たときだけ使う(頓服)がおすすめです。手足のだるさやむくみが続くようであればすぐにご相談ください。」
【グリチルリチン酸合計量のチェック手順】
1. 購入者が現在使用中の全ての医薬品・漢方薬を申告してもらう
2. 各製品の添付文書・成分表示からグリチルリチン酸量を確認(カンゾウ中のグリチルリチン酸含量は生薬・製品により幅があるため、原則として製品ごとの成分表示・添付文書の記載値で確認する。生薬量からの概算は目安にとどめ、断定的な換算には用いない)
3. 合計が40mg/日を超える場合は「高血圧・むくみ・心臓病・腎臓病のある方は医師・薬剤師へご相談を」と伝える
高リスク群:
1. 高齢者:腎機能低下→グリチルレチン酸の排泄が遅延→血中濃度が高く維持される
2. 高食塩食の人:Na過剰→アルドステロン様作用による貯留効果が加算
3. 利尿薬(K排泄型:サイアザイド・ループ利尿薬)を使用中の人:カリウム排泄が重複→低カリウム血症のリスクが著しく増大
4. 複数のカンゾウ含有製品を同時使用している人:漢方薬(芍薬甘草湯・補中益気湯・六君子湯等多数)+かぜ薬+胃腸薬の重複
カンゾウを含む主な漢方処方(グリチルリチン酸の重複確認が必要):
カンゾウ(甘草)は多くの漢方処方の構成生薬であり、次のような処方に含まれます:防風通聖散・小青竜湯・補中益気湯・六君子湯・当帰芍薬散・芍薬甘草湯・葛根湯・麻黄湯・加味逍遥散・桂枝茯苓丸(含有/不含有は処方ごとに確認要)。
- 芍薬甘草湯はカンゾウを特に多量に含むため偽アルドステロン症のリスクが比較的高いとされます。
登録販売者の実務対応:
| 確認事項 | 行動 |
|---|---|
| 複数のカンゾウ含有製品の重複 | 成分表示を確認し、1日のグリチルリチン酸合計量を把握 |
| 高齢者 | 少量でもリスクがあること・定期的な医師診察を勧める |
| 利尿薬服用中 | 医師・薬剤師に相談を勧める(処方薬との相互作用) |
| 偽アルドステロン症の初期症状 | 直ちに使用中止・医師受診を指導 |
| 高血圧・心臓病・腎臓病 | 使用前に医師・薬剤師に相談 |
偽アルドステロン症の初期症状チェックリスト(患者への指導):
- 手足がだるい・脱力感がある
- 顔・足がむくんでいる
- こむらがえり・筋肉がつりやすくなった
- 血圧が急に上がった
- 体重が急激に増えた
上記の症状が現れた場合は使用を中止し、速やかに医師・薬剤師に相談するよう指導します。これは重篤副作用の早期発見において登録販売者が担う重要な役割であり、OTC薬の適正使用の核心部分です。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser・品質ゲート編集分の再検証): 品質ゲートがadvancedに追記した実務対話例・製品横断確認フローを再検証。核となる数値「1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上の製品は相談・長期連用回避」「医薬品では1日200mgを超えない」は手引き令和8年4月版と一致しOK。表中の各製品のGL概量(芍薬甘草湯約75〜150mg等)は製品により幅があるため「参考値」位置づけを維持、生薬量からの概算(×2.5)は断定換算でなく目安にとどめる旨を明記して精緻化。正答ウ(偽アルドステロン症=Na貯留・K排出増による低K血症・高血圧・浮腫、高齢者/高食塩食でリスク高)は手引き準拠で一意、正答変更なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 主な医薬品の副作用・成分の使用上の注意(グリチルリチン酸の注意事項) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。