問題
プロジェクトのEVM分析でCPI(コスト効率指数)が0.8であるとき、最も適切な解釈はどれか。
答え合わせ
- A
- B
- C
- D
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正解は「予算より20%多くコストがかかっている」です。
CPI(コスト効率指数)は「予算どおりに進んでるか?」を1.0を基準に測る数字です。
- CPI = 1.0 → 予算ぴったり
- CPI > 1.0 → 予算より安く済んでいる
- CPI < 1.0 → 予算より多く使ってしまっている
CPI=0.8 は「100円の価値を出すのに125円使っている」状態で、コスト超過のサインです。スケジュールの遅れは別の指標(SPI)で測ります。
覚え方:「CPIはコスト、1未満は赤信号」。
正解は a「予算より20%多くコストがかかっている」です。
EVM(Earned Value Management, アーンドバリューマネジメント)はPMBOKに準拠したプロジェクト進捗・コスト管理手法で、以下の指標を用います:
- PV(Planned Value):計画完成出来高(その時点で完了しているはずの作業の予算価値)
- EV(Earned Value):実際完成出来高(その時点で実際に完了した作業の予算価値)
- AC(Actual Cost):実コスト
これらから3つの主要指標を計算します:
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| CPI(コスト効率) | EV / AC | 1未満=コスト超過 |
| SPI(スケジュール効率) | EV / PV | 1未満=遅延 |
| CV(コスト差異) | EV − AC | 負=コスト超過 |
CPI = 0.8 を式に当てはめると EV = 0.8 × AC、すなわち AC = EV / 0.8 = 1.25 × EV。実コストが出来高(予算価値)の1.25倍、つまり20%超過していると解釈できます。
実務での使い方:
- CPI < 1.0 が継続するなら「コスト超過の早期警告」としてリスケジュールや再見積りを検討
- 完成時コスト予測 EAC(Estimate at Completion)= BAC / CPI で算出可能(BAC=完成時予算)
- 経営報告ダッシュボードで CPI/SPI を週次でモニタリングするのが定石
AP午前で頻出のテーマで、PMBOK由来の用語と公式を暗記しておきましょう(シラバス「プロジェクトマネジメント・プロジェクト管理プロセス」)。
正解は a「予算より20%多くコストがかかっている」です。
EVMは1960年代の米国防総省C/SCSC(Cost/Schedule Control Systems Criteria)にルーツを持ち、現在はPMBOK・ISO 21508(プロジェクトEVM国際標準)として体系化されています。本問は公式適用ですが、上級者として理解すべきは「EVMの仮定とその限界」「派生指標による予測精度向上」「アジャイル適用での課題」の3点です。
1. EVM の3変数モデルと指標体系
基本3変数(PV / EV / AC)に対し、以下の主要指標と派生指標があります:
- CV(Cost Variance) = EV − AC → コスト差異
- SV(Schedule Variance) = EV − PV → 進捗差異
- CPI(Cost Performance Index) = EV / AC
- SPI(Schedule Performance Index) = EV / PV
- EAC(Estimate at Completion) = BAC / CPI(CPI継続前提)
- ETC(Estimate to Complete) = EAC − AC
- TCPI(To-Complete Performance Index) = (BAC − EV) / (EAC − AC) → 残作業で必要なCPI
- VAC(Variance at Completion) = BAC − EAC
CPI=0.8 のケースで BAC=1000万円なら、現在CPIが継続すると EAC = 1000/0.8 = 1250万円となり、25%(=250万円)のコスト超過予測が出ます。これがEVMの「早期警報」としての価値です。
2. CPIの安定性 — Cooper定律
David S. Christensenらの研究(1990年代の米軍プロジェクト分析)により、「プロジェクト全体の20%完了時点のCPIは、最終CPIから±10%以内で安定する」ことが実証されています。これは Cooper の経験則(CPI Stability Rule)として知られ、CPI=0.8 のような初期警告を経営層が真剣に受け止めるべき根拠となっています。
3. EVMの仮定と限界
EVMは以下の前提に依存します:
- WBS(作業分解構造)が網羅的で、各作業項目に予算と出来高基準が定義されている
- 出来高(EV)が客観的に測定可能(50/50ルール、0/100ルール、%完了等)
- スコープが安定(追加変更が頻発するとPVの再計算が必要)
これらの前提が崩れると EVM 指標は信頼性を失います。特にスコープクリープが激しいプロジェクトでは「PV更新が追いつかず SPI が見かけ上良好」という錯覚が生じます。
4. アジャイル開発でのEVM適用 — AgileEVM
スクラム/カンバンではWBSが固定的でないため、伝統的EVMは適用困難です。これに対し「AgileEVM」(Sulaiman, Barlow, Bardill, 2006)が提案されており、以下の調整を行います:
- PV/EV/AC を「ストーリーポイント × ベロシティ × 単価」で算出
- スプリント単位で再計算し短サイクル運用
- スコープ追加は新規プロダクトバックログとして別枠管理
ただし現実には Burndown/Burnup チャートやスループット指標(リードタイム、サイクルタイム)がアジャイル文脈ではより自然で、EVMの厳密適用は減少傾向です。
5. CPI=0.8 への対応戦略
実務的には以下のステップで対応します:
1. 原因分析:CV=EV−AC の中身を「見積り過少」「工数超過」「リワーク」に分類
2. トレンド分析:直近3〜5週のCPI推移を確認し、悪化・安定・改善を判定
3. 是正処置の選択:
- リソース追加 → ブルックスの法則(人月の神話)に注意
- スコープ削減 → ステークホルダー合意必須
- 残作業の効率化 → 自動化・並列化
4. 再見積りと予算追加申請:TCPI で「現実的に達成可能か」を判断
6. AP午後問題との接続
AP午後のシステム企画・プロジェクトマネジメント問題では、EVM指標から経営判断を導く問いが出題されます。CPI/SPI から EAC/TCPI を計算し、是正処置を選択する流れを習熟しておくと得点源になります。
CPI=0.8 が出た瞬間に「20%超過」と即答できるのは基礎、その先の経営判断まで導けるのが上級者のレベルです。
出典と作り方
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 応用情報技術者試験(AP) 令和7年度 春期 問4/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

