問題
三相3 線式配電線路から6 600 V で受電している三相負荷設備がある。この負荷設備から配電系統へ流出する第5 調波電流を算出するにあたり,次の(a)及び(b)に答えよ。 ただし,負荷設備は定格容量500 kV・Aで,力率改善用として6 %直列リアクトル付きコンデンサ設備が設置されており,この負荷設備から発生する第5 調波電流は,負荷設備の定格電流に対し15 %とする。 また,受電点よりみた配電線路側の第n 調波に対するインピーダンスは10 MV・A基準でj6×n[%],コンデンサ設備のインピーダンスは10 MV・A基準でj50×(6×n-100/n)[%]で表され,発生高調波は定電流源とみなせるものとし,配電系統(インピーダンスj6×n)と直列リアクトル付きコンデンサ設備(インピーダンスj50×(6×n-100/n))が受電点で並列に接続された等価回路で表すことができる。なお,(a)で求めた第5調波電流(受電点電圧に換算した電流)は6.6 Aである。 (b) 受電点から配電系統に流出する第5 調波電流[A]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
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答え合わせ
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自信の3択
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解説
負荷設備から配電系統に流出する第5調波電流を,配電系統側とコンデンサ設備側の並列回路の電流分担で求める計算問題(令和7年度上期 問12(b))。正答は(2)「6.2」です。
(a)で求めた第5調波電流6.6 Aは,受電点から見て配電系統側(インピーダンス小さいj30%)と,直列リアクトル付きコンデンサ設備側(インピーダンス大きいj500%)の2つの経路に分かれて流れます。電流は抵抗(インピーダンス)が小さい方に多く流れる性質があるので,配電系統側に流れる分は,コンデンサ設備側のインピーダンスの比率に応じて6.6 Aのほとんど(約94%)が配分され,6.2 Aとなります。
【論点】並列接続された配電系統とコンデンサ設備への高調波電流の分流計算(令和7年度上期 問12(b))
【① 第5調波(n=5)でのインピーダンスを求める】
配電系統側:Z_sys=j6×n=j6×5=j30[%](10 MV・A基準)
コンデンサ設備側:Z_cap=j50×(6×n-100/n)=j50×(30-20)=j50×10=j500[%](10 MV・A基準)
【② 電流源の扱い】
高調波電流源(第5調波電流6.6 A)は受電点に接続され,配電系統とコンデンサ設備という2つのインピーダンスに並列に分かれて流れる定電流源とみなせる。
【③ 電流分流の式】
並列な2つの枝に電流が分かれるとき,一方の枝(配電系統)に流れる電流は,全電流に「もう一方の枝(コンデンサ設備)のインピーダンス/両枝の和」を掛けたものになる。
I_系統=I_全×Z_cap/(Z_sys+Z_cap)=6.6×500/(30+500)=6.6×500/530≒6.23 A
【④ 結論】
配電系統側のインピーダンス(j30%)がコンデンサ設備側(j500%)よりずっと小さいため,ほとんどの電流(約94%)が配電系統側に流れ出すことになり,最も近い値は(2)「6.2」。
【核心論点】直列リアクトル付きコンデンサ設備は,基本波(n=1)では力率改善用の容量性回路として働くが,高次の調波では回路の性質が変わり,配電系統との間でインピーダンスの大きさに応じて高調波電流が分流するという理解(令和7年度上期 問12(b))。正答は(2)です。
【直列リアクトル付きコンデンサ設備のインピーダンスがnによって変わる理由】
コンデンサ設備のインピーダンスはj50×(6×n-100/n)[%]という式で表される。かっこの中の「6×n」は直列リアクトル(インダクタンス)の寄与分で次数nに比例して大きくなり,「100/n」はコンデンサ(静電容量)の寄与分で次数nに反比例して小さくなる。基本波(n=1)では6-100=-94となり負(容量性)だが,nが大きくなるにつれてこの値は増加し,6n-100/n=0となるn(=√(100/6)≒4.08)を境に符号が正(誘導性)へ転じる。第5調波(n=5)では6×5-100/5=30-20=10と正になっており,このコンデンサ設備は第5調波に対してはインダクタンス的(誘導性)な,比較的大きなインピーダンス(j500%)を持つことになる。
【配電系統側のインピーダンスとの対比】
一方,配電系統側のインピーダンスj6×nは次数に比例して増加するだけで,第5調波でもj30%と,コンデンサ設備側(j500%)に比べてかなり小さい。高調波電流源からみると,受電点でこの2つのインピーダンスが並列に接続された形になっており,電流は「インピーダンスが小さい経路」に優先的に流れるという基本的な回路の性質(電流分流の法則)に従い,6.6 Aのうちの大部分(約94%)が配電系統側へ流出することになる。
【6%直列リアクトルの意味と(a)との関係】
直列リアクトルが無ければコンデンサ設備のインピーダンスは-j5000/n[%]の容量性となり,系統の誘導性インピーダンスj6nとの並列共振で高調波電流が拡大するおそれがある。6%のリアクトルを付けると,上で見たとおり第5調波以上で誘導性になり,共振による拡大が起きない。本問の結果も,流出電流6.2 Aが発生電流6.6 Aを超えていない(拡大していない)ことで確かめられる。
なお(a)の発生電流は,定格電流 500×10³/(√3×6 600)≒43.7 A の15%で約6.56 A(選択肢の6.6 A)である。6.56 Aで計算しても 6.56×500/530≒6.19 Aとなり,答えは同じ(2)である。(b)の選択肢1.2・10.8・30.9・41.2は,(a)の選択肢1.3・11.4・32.8・43.7にそれぞれ500/530を掛けた値になっている。つまり(b)は分流比500/530≒0.943を正しく使えても,(a)の発生電流(定格電流の15%)を誤ると連鎖して誤答する作りである。分流比を逆(30/530)にすると6.6×30/530≒0.37 Aとなり,選択肢に該当がないことからも分子に置くのは相手側(コンデンサ設備側)のインピーダンスだと確かめられる。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 法規(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

