第一種電工
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

第一種電工 令和3年度午後 問6|電気の基礎理論

問題

第一種電工 | 電気の基礎理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-14

図のような,三相3線式配電線路で,受電端電圧が6700V,負荷電流が20A,深夜で軽負荷のため力率が0.9(進み力率)のとき,配電線路の送電端の線間電圧[V]は。ただし,配電線路の抵抗は1線当たり0.8Ω,リアクタンスは1.0Ωであるとする。なお,cosθ=0.9のときsinθ=0.436であるとし,適切な近似式を用いるものとする。

問題の図(出典: 令和3年度(午後) 第一種電気工事士 学科試験 問6/電気技術者試験センター)

図・写真の中の記号が イ・ロ・ハ・ニ のときは、選択肢の ア・イ・ウ・エ に順に対応します(試験の問題用紙の表記)。

図の出典:令和3年度(午後) 第一種電気工事士 学科試験 問6(一般財団法人 電気技術者試験センター)

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ

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解説

配電線路に電流が流れると電圧降下が起こるので、ふつうは送電端(電源側)の電圧のほうが受電端(負荷側)より高くなります。この問題のポイントは、深夜の軽負荷で力率が「進み」になっていることです。進み力率のときは、線路のリアクタンスによる電圧降下が逆向き(電圧を押し上げる向き)に働くため、電圧降下はとても小さくなります。計算すると電圧降下は約10Vで、送電端の線間電圧は約6710Vです。受電端の6700Vとほとんど変わらない、という感覚をつかんでおきましょう。正答はイ(6710V)です。

三相3線式配電線路の電圧降下は、次の近似式で求めます(R・Xは1線当たりの抵抗・リアクタンス、Iは線電流)。

・遅れ力率:Vs − Vr ≒ √3 I(R cosθ + X sinθ)

・進み力率:Vs − Vr ≒ √3 I(R cosθ − X sinθ)

本問は進み力率なので、下の式を使います。

R cosθ − X sinθ = 0.8×0.9 − 1.0×0.436 = 0.720 − 0.436 = 0.284

Vs − Vr ≒ √3 × 20 × 0.284 ≒ 34.64 × 0.284 ≒ 9.8 V

Vs ≒ 6700 + 9.8 ≒ 6710 V → 正答はイ。

【間違えやすい点】

・遅れ力率の式(+X sinθ)で計算すると 34.64×1.156 ≒ 40V となり、6740Vという選択肢にない値になります。「進み」の文字を見たらX sinθの符号を反転させる、と覚えましょう。

・6700V(ア)は「電圧降下がゼロ」とみなした値です。R cosθ(0.72)のほうがX sinθ(0.436)より大きいので、わずかに降下が残ります。

・単相2線式なら係数は2、三相3線式なら√3です。

【近似式の導き方】

受電端の相電圧Erを基準にとると、進み力率の電流は I(cosθ + j sinθ)です。送電端の相電圧は

Es = Er + (R + jX)·I(cosθ + j sinθ)

 = Er + I(R cosθ − X sinθ) + jI(X cosθ + R sinθ)

となります。配電線路では虚数部(Erと直角の成分)がErに比べて十分小さいので無視し、実数部だけを足すのが近似式です。線間電圧はこれを√3倍して Vs − Vr ≒ √3 I(R cosθ − X sinθ) になります。

本問で無視した直角成分は 1相当たり I(X cosθ + R sinθ) = 20×(0.9 + 0.349) ≒ 25 V。相電圧約3870Vに対して大きさへの影響は 25²÷(2×3870) ≒ 0.08V 程度で、近似は十分成り立ちます。

【実務とのつながり】

・進み力率になるのは、軽負荷の深夜に高圧進相コンデンサが入ったままのときです。R cosθ < X sinθ になるほど進みが強いと、送電端より受電端の電圧が高くなる「フェランチ効果」が起こります。

・受電電圧が上がりすぎると、機器の過電圧や配電系統全体の電圧上昇につながるため、高圧受電設備では自動力率調整装置でコンデンサを段階的に切り離す、軽負荷時に開放するなどの対策をとります。

・遅れ力率と進み力率で符号が変わるのは X sinθ の項だけです。R cosθ(抵抗による降下)は常に電圧を下げる向きに働きます。

【計算の確かめ】

√3 ≒ 1.732、1.732 × 20 = 34.64、34.64 × 0.284 = 9.84 V。選択肢の6710Vが最も近い値です。

この問題の根拠出典:令和3年度(午後) 第一種電気工事士 学科試験 問6(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

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本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。